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2021.10/18 配合設計

身の回りのゴムや樹脂は、高分子だけで作られているケースは稀である。また、高分子は分子量分布を持っているのでそれ自身が多成分系であり、分子量が1000未満のオリゴマーが可塑剤の働きをしている場合も存在する。


ゴムや樹脂は、加工性や使用される条件に合わせるために耐久性を上げる必要から各種添加剤が使用される。そのために配合設計技術が重要になってくる。


コンパウンド開発や部材開発を行っている企業では、伝統的な配合設計技術が存在している。当方が写真会社へ転職した時にも塗布液の設計方法についてノウハウが存在した。


しかし、その設計方法が今の時代にも合理性を発揮しているとは言い難い例もあるので、環境問題解決が必須となった現代において見直しをするには良い機会ではないかと思う。


20年以上前のことなので問題ないと思うが、塗布液の配合設計において必須の添加剤が存在した事例を紹介したい。その添加剤は塗布された後に無害となるが、化合物単体では環境適合性がない素材だった。


当方はこの化合物の使用を禁止したいと思ったが、担当者から不可能と言われた。PETの表面処理には必須の素材だという。確かにその化合物の構造から機能性を十分に理解でき、コーティング用には不可欠との説明を理解できた。


それでも、当方が心配したのはその化合物が使用禁止となった時に新たな技術開発をしていては遅い、と言う問題である。環境問題とは、企業にとって突然死を宣告するような事態を招く問題である。


伝承されていたその化合物の機能性について異なる視点で見直し、新たなコンセプトの技術を担当者に提案してみたが採用されなかったので、自ら実験を行いその有効性を確認した。


この新たなコンセプトを実用化するために現場の説得も必要となり時間がかかったが、伝統的な配合設計技術を新たなコンセプトの設計技術に転換することに成功した。しかし、10年近くかかった。


配合設計技術は長い間伝承されてきても時代の進歩に合わせて見直す必要がある。しかし、その刷新には時間がかかる。一因として市場の問題を恐れる保守的な考え方があるが、今はロバストを検証できるタグチメソッドという方法がある。当方の新たなコンセプトもタグチメソッドを使用し実用化されたが、ロバストは従来技術よりも高かった。

カテゴリー : 高分子

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