活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2022.03/21 成形体の均一性(3)

PETやPENフィルム、PPSベルトの開発で正体不明のボツや目玉故障を経験している。いずれも1mm以下の大きさなので満足な分析ができず、正体不明となる。


そこで、粘弾性測定ができるほどの量を採取する努力を行い、正体不明部分の粘弾性を測定した経験がある。馬鹿げた作業という人もいたが、それなりの結果が得られた。


高分子材料の高次構造について研究がかなり進んだが、実務におけるすべての故障について科学的にこたえられるレベルにまだ到達していない。


例えば1種類の結晶性高分子について、構造は結晶部分と非晶部分が必ずできる。高分子の静置場でできる結晶は球晶だが、これはラメラと非晶部分で出来上がっている。


非晶部分には大きさが不確かな自由体積部分が存在し、無機ガラスのように均一性が高くない。すなわち高分子の非晶部分はかなり不均一な構造である。


この非晶部分の科学的研究が十分に進んでいない。球晶の構造については研究がかなり進んだが、非晶部分については不明確なところが多い。


多くの高分子の成形プロセスでは、高分子を高温にして溶融するプロセスが使用される。この時溶融温度付近の高い温度で溶融させて流動性を得るのだが、この高分子融体についての研究が不十分である。


PPSで実験を行っても、実験条件を機能に着眼して設定すると理解に苦しむ結果が得られる。ただ、ある仮説を設定し思考実験を行うと説明可能だが、これは科学的ではない。

カテゴリー : 一般

pagetop