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2014.03/28 高分子材料の電気特性(1)

白川先生により導電性高分子が発見され、その分野の研究が進み、多くの導電性高分子が開発された。高分子半導体技術なども実用化され始めた。ここでは絶縁性の一般の高分子について考えてみる。

 

高分子材料の多くは比誘電率が3前後の誘電体である。導電性を直流で計測するためには精密な電流計が必要になる。高電圧を印加すれば電流が増加するので計測可能と言われるが、高分子材料のVI特性の線形性は材料により異なる。

 

誘電率が3程度の高分子材料は、10の13乗Ωcm以上の体積固有抵抗を示す絶縁体であるが、誘電率が3.5以上の高分子材料になってくると10の12乗Ωcm前後になってくる。すなわち一応絶縁体領域であるが、高誘電率の材料になってくると絶縁性と詠っていても10の11乗Ωcm程度の半導体領域の抵抗を示すようになってくる。

 

注意しなければいけないのは、フィラーを添加したときである。絶縁性のフィラーを添加したつもりでもフィラーの添加により材料の抵抗が変化する場合がある。これはフィラーとマトリックス高分子との界面の問題が大きいが、10年以上前に富士通のハードディスク問題を引き起こしたのは表面が一部加水分解され導電性になっていた難燃材を用いたためである。

 

このとき材料メーカー担当者にはパーコレーション転移の恐怖が分かっていなかったらしく、実験室で問題が無かったのでそのまま市場に出したらしい。実験室で問題が無くともパーコレーションの閾値は容赦なく下がる。当時の原因解析では、成形体の中でフィラーの再分配が生じ、表面付近に難燃剤の量が増加した状態になっていたという。その結果、パーコレーション転移が生じ半導体領域まで本来絶縁体で無ければならない材料の抵抗が下がった。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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