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2022.07/08 タグチメソッドが嫌われる理由

基本機能を設定し、各種因子を盛り込んだ実験計画を立案後、実験を行う。ところが基本機能がうまく動作せず、実験データの得られないケースが出てくる。


それゆえ、田口先生は「基本機能の設定は技術者の責任」と述べており、へぼな基本機能を設定しないよう技術者に求めている。


そうはいっても、研究開発段階で基本機能のうまく動作しない現象を避けることができない場合があり、その時の対処方法をこっそり田口先生は教えてくださったが、ご存知ない方は弊社へお問い合わせください。


このようにタグチメソッドの実験では基本機能がうまく動作せず、実験が失敗したような結果となる場合を経験したりするので、嫌われたりする。


おそらくこのような人はゴルフも嫌いかもしれない。ゴルフは自己責任で自然相手にゲームを進めるスポーツだ。タグチメソッドも同様に基本機能の設定は自己責任である。


それに対し、科学者を目指す人で科学の実験が嫌いだ、という人がいても世間は優しく、例えば否定証明を連発するような人でも論文が優れておれば科学者として許されてしまう。


40年ほど前に、電気粘性流体を実用化するためにゴムのケースに封入して実験を行っていた研究者がいた。ゴムからブリードアウトした物質により電気粘性流体が増粘したために、この研究者は否定証明を行っている。


すなわち、「この現象は界面活性剤を用いて問題解決できない」、という科学的に完璧な否定証明の論文をまとめた後、加硫剤や老化防止剤などの添加剤が全く入っていないゴムを開発しなければならない、という新たな企画を提案している。


このような状態を笑って見ているだけの立場であれば幸福だが、当方にこの無茶なアイデア提案を検討する仕事が巡ってきたので大変なことになった。このようなことになった理由は、当時の研究所でゴムの混練に詳しい研究者が当方だけだったためである。


降ってわいた災難を払いのけるために、当方は界面活性剤について主成分分析を行い一晩徹夜して実験を成功させて、この問題を解決できる界面活性剤を見出した(注)。


技術開発とはロバストの高い機能を開発することだが、科学の研究では真偽を明らかにする論理が重視され、否定証明でも論理が完ぺきであれば高い評価を受ける。


これは科学で研究の完璧さを目指すとモノを創り出すことよりも論理の整合性に力を入れるためで、企業の研究者であることを忘れる人が出てくる。


ロバストの高い技術を生み出したいならば、タグチメソッドの習得は、技術者だけでなく企業の基礎研究者にもそれが必要である。否定証明を自慢したり褒めたりしていては技術を創り出すことはできない。


(注)ドラッカーは優秀な人が成果をあげられない理由をその著書の中で述べている。また、優秀な人の中にはジキルとハイドのような人がいる。高純度SiCの半導体治工具事業を当方は立ち上げていたが、写真会社へ転職することになった。STAP細胞の騒動もTVドラマのような展開となったが、研究所の経営でお困りの方は弊社へご相談ください。健全な風土を生み出すノウハウを体験に基づきご指導いたします。

カテゴリー : 一般

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