2023.04/22 技術が生まれた日(4)
高純度SiCの前駆体合成技術は、ポリウレタン発泡体のリアクティブブレンド技術開発で獲得した経験知と暗黙知が活かされている。ただし、通常のポリウレタンのリアクティブブレンドでは、低分子量のイソシアネート化合物が使われている。
新入社員の時に難燃性ポリウレタンフォームの新技術開発を担当した。その時に、世界初の新技術を企画してほしい、と課長から言われた。入社間もないのにうれしかった。
毎日楽しくサービス残業し過重労働していたら、趣味で仕事をやるなと課長である主任研究員に叱られた。今ならば、自分で努力し発明をしたことの無い上司の無思慮な発言と理解できるが、当時は少なからぬショックを受けている。楽しく仕事をしていてはいけない、と誤解した。
女性の指導社員が優しい人でサービス残業を少なくするように、時折食事に誘ってくれた。男女二人の食事と言っても相手は5歳年上の既婚者である。心配してくれた指導社員には申し訳ないが、サービス残業でも実験をしていた方が楽しかったような記憶がある。
50年近く前の社会は植木等のスーダラ節の余韻が残っており高度経済成長に浮かれていた。ゆえに上司が部下を誘って食事というシーンが多かった。それにもかかわらず、課長はケチなので絶対に自分で部下を誘わない、と噂されていた。
今ならば歓迎された管理職の姿であっても、当時はケチと見なされたのである。ただ、楽しくサービス残業をやっていた部下に対して、サービス残業の注意をするのではなく、楽しく仕事をしていることを問題視するような人物だったので、ケチという評価をされたのだろう。
美人の指導社員と部下全員に嫌われている課長という、32年のサラリーマン生活の中で少し風変わりな人間関係と最も自由だった職場環境でリアクティブブレンドについて多くのことを学ぶことができた。
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