2023.05/30 プロンプトエンジニア
AIから適切な回答を引き出す技術者をプロンプトエンジニアと呼ぶ。DXでまた新たな職業が生まれた、と騒がれているが、冷静に考えてほしい。本当によくできた人間に近いAIならば、そのようなエンジニアなど不要なはずだ。
プロンプトエンジニアの需要が伸びているだけでなく、AIから適切な回答を導き出すプロンプトが販売されているそうだ。このような流行は、かつてあった。
50年ほど前、研究情報を収集するために化学系の技術者ならば英語で書かれたケミカルアブストラクトを毎月読破する技能が要求された。そして特定分野に絞ってケミカルアブストラクトのさらにアブストラクトを作成する仕事が存在した。
すなわち情報コンサルティングである。DEMOSというNTTのコンピューターサービスが提供されるようになると電話回線を利用した情報検索サービスが生まれ、特許も含めてうまく適切な情報を検索できるスキルが要求される仕事が生まれた。
過渡期には、ケミカルアブストラクトが良いのか情報検索サービスが良いのか議論が起こり、ケミカルアブストラクトの購入をやめる企業が出てきた。すなわち、電子サービスがアナログ調査よりも優れていると認められたのだ。
このとき化学の専門性の高さよりも、目的とする情報にうまくヒットできる検索式を作成する能力が要求され、企業に情報検索部門を設置したところもあるが、バブルがはじけるととともに消えていった。
さて、AI相手のプロンプトエンジニアの仕事はいつまでニーズが続くのか。恐らくAIが進歩すれば専門のエンジニアなど不要となるに違いない。
質問の意図や背景を具体的に説明したり、要求する回答に近いネット情報を具体的に与えたりするのが今のAIから適切な回答を引き出すために必要となるのだが、このコツを理解できるとにんまりとされる年配の管理職は多いのではないか。
今の若い部下に適切な成果を出させるマネジメントスキルがあれば、AIから適切な回答を導き出せるのだ。むしろChat-GPTから適切な回答を導き出せない管理職は、プロンプトエンジニアを探す前に日々のマネジメントを反省しなければならない。
カテゴリー : 一般
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