2015.09/27 実践知も取り入れた研究開発
学生時代に「知性の時代」という書を読んだ。読んだと言うよりも読まされた、といったほうが良いかもしれない。読めば眠くなる哲学の書である。単位を取得するために、眠けをさけ一気読みしたが、知が「形式知」と「実践知」、「暗黙知」の3つに分かれるという解説は当時新鮮だった。
すでに知の3つの形態はこの欄で紹介してきたが、哲学は形式知なので300年前後に登場した哲学の一形態である科学も形式知となる。実践知は経験により獲得された知で、暗黙知は職人が持っている書き表すことができない知だ。
技術で形式知と言えば科学の知識になる。20世紀は形式知を中心に技術開発が進められてきた。ゆえに科学の進歩とともに技術が急激に進化した。人類の歴史の中でこの100年間の技術の進歩は未曾有のことだ。
しかし、知には紹介したように形式知だけでなく実践知や暗黙知がある。研究開発は科学的に行うべき、というのは当たり前であるが、だからといって形式知だけで研究開発を続けていても他社との差別化が難しい時代になった。すなわち情報の拡散スピードが速くなったためだ。
一方技術開発の過程で科学的に解明されていない現象に遭遇したときなどの実践知や実験をサポートして実行している職人の暗黙知は、人材が流出しない限り外部に漏れにくい。このような知を技術の中に造り込むと他社でリベールしにくい技術となる。
それでは、実践知や暗黙知をどのように技術開発に取り込んでいったら良いのか。詳細は弊社にご相談してください。少しヒントを書けば、形式知は科学なので真理は一つであり、原因と結果が科学的に結びつく場合には一つのルートになるが、実践知や暗黙知では、その真理が保証されないのでそれぞれの否定された情報を取り扱わなければいけない、ということである。
このあたりの考え方は従来のロジカルシンキングなどのビジネスの問題解決法とは少し異なるヒューマンプロセスの思想である。そして従来の問題解決法よりも簡単である。弊社の研究開発法をしかるべき取り組み方で実践すれば、暗黙知さえも伝承できる可能性が見えてくる。