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2015.10/30 デンソーのSiCウェハー技術

今年の東京モーターショーでデンソーは、SiCウェハーの6インチサイズを展示していた。クリー社から8インチウェハー技術ができた、という発表があったが、まだ市場に出ていない。ゆえに、現段階では最先端の商品であり、自動車に興味のない人でもこの分野に興味のある人には、一度見に行って説明員から話を聞くと勉強になる。
 
東京モーターショーでは、よくコンパニオンが話題にされるが、美しいコンパニオンに目が奪われている技術者は、企画マンとして失格である。自動車は我が国の基幹産業であり、そこに展開される技術のトレンドを調査する現場として、東京モーターショーはコストパフォーマンスの大きい有益な情報源である。
 
今自動車は、石油原料から水素燃料へ、あるいは電気自動車へ技術革新が始まったばかりである。これから30年間進められる技術革新で、未来の車の姿が明確になり、新たな産業も立ち上がる。SiCウェハーは、インバーターに絶対必要なパワー半導体の本命であり、この産業がどのような展開をしてゆくのか興味がある。
 
すでにシリコーンウェハーと異なる発展の様相が見えてきており、異業種から新規参入するには良い機会である。おそらくこの10年は、最後の参入の機会になるのかもしれない。
 
デンソーは、従来の昇華再結晶法(レーリー法)と気相成長法の二刀流で技術開発に取り組んでおり、やがてクリー社を技術開発で追い抜く可能性がある。ウェハーからその応用されたデバイスまで開発できる市場のリーディングカンパニーという立ち位置が強みである。
 
かつてブリヂストンも日本化学会化学技術賞を受賞した時にSiCウェハーの開発を行っていると報告していたが、2011年にその開発をやめ、高純度SiCの創業時の事業である、ダミーウェハーやヒーターなどの半導体治工具(注)へ特化している。
 
ブリヂストンの高純度SiC技術に用いられる有機物前駆体からは、様々な状態の高純度SiCを合成することが可能で、昇華再結晶法に適した技術、と期待していただけに残念である。なお有機物前駆体法による高純度SiC技術の合成法とその速度論については学位論文として公開しているのでご興味のある方は問い合わせていただきたい。
 
(注)元住友金属工業(株)小島荘一氏のご尽力の賜物である。
 
 
 
 
 

カテゴリー : 一般 電気/電子材料

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