99歳で大学卒業、という朝のニュース。放送大学を17年かけて卒業をされた、大正11年生まれの99歳の学生が紹介された。インタビューに”勉強に終わりはないのでこれからも勉強したい”、と答えている。頭が下がる。
11年前に100歳で父が亡くなったが、亡父の口癖も同じような内容だった。亡くなった時にも机の上には、新聞に入っていたチラシの裏に書きかけのお経があった。写経を行っていたようで、遺品を整理したところ段ボール二箱以上の写経が出てきた。
紙の変色状態から10年20年前ではないことが伺われた。大量の蔵書とともに改めて知への飢餓感を知った。恐らくニュースで紹介された99歳の学生も知への欲求が高いのだろう。
放送大学は卒業証書も発行されて、知を学ぶ目標が明確であり、学びには数少ないよい制度である。情報化が進行した結果、書店がかつての半分に減少しただけでなく、知に関する雑誌も少なくなった。
かつては、雑誌”工業材料”はじめ、技術関係だけでも10誌以上あったように記憶している。少年ジャンプの5倍から10倍程度の価格だったが、読者がいたのだろう。発刊日に書店にはそれぞれ2-3冊おかれていたように思う。
当方は工業材料をよく購入していたが、定期購入ではなく、書店で他の雑誌を物色した後購入するのが習慣だった。ゴム会社の図書室にも同様の雑誌は置かれていたが、図書室に並ぶのは1か月遅れであった。
すなわち、新刊は管理職に回覧された後に図書室に並んでいたのだが、せっかく回覧されていてもそれを読んでいない管理職もいたので、知への欲求には個人差があることを上司の姿から知った。
当方の新入社員当時の上司は、知への欲求が高いようなそぶりをしていたが、本を読むのが嫌いだったようで、英文の雑誌だけでなく和文の雑誌についても、要旨を報告する役目をよく指示された。
本人が読んでいないだけでなく、部下育成の目的と言いつつそうでないことは、部下育成と明らかに無関係の記事などもあって迷惑だった記憶の方が多い。
ただし、今思いだしてみると知識の幅は広がったので、勉強嫌いの上司は部下育成がうまいという法則になるのかもしれない。しかし、要旨を報告してもそれが右から左へ受け流し状態ではモラールも下がったので、マネージャーとしての力量は他のメンバーの評価どおりだったのだろう。
ただし、当方は右から左へ何でも鮮やかに受け流す技には感心していた。右から左だけでなく、上から落ちてきた責任までも、見事に下へ受け流していた。
入社間もない時に訳の分からない始末書を書かされた記憶は今でもこの上司の秀逸な能力として思い出す。ホウ酸エステル変性フォームはこのおかげで誕生している。
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混練は伸長流動と剪断流動で進行する。ウトラッキーにより1995年 に発表された伸長流動装置は,ナノ分散を実現したが,量産性に難があ った。その後コニカミノルタで開発された伸長流動装置(カオス混合装置) はその問題を解決するとともに,二軸混練機で宿命的な混練の不均一性を 解決できる装置で,樹脂の品質を向上するとともにフローリーハギンズ 理論で相溶が否定されたPPS・6ナイロンの系を相溶する能力を発揮した。3人の講師による伸長流動に関するセミナーが下記のように企画されております。受講希望者は弊社へご相談ください。
1.主催 技術情報協会
2.開催日時 2022年3月30日(水) 10:30~16:30
3.セミナー形式 WEBセミナー
4.表題 プラスチック,フィルム分野における「伸長流動」の考え方,その測定法と応用
5.講師(当方以外の2名)
(1)長岡技術科学大学 工学研究科 機械創造工学専攻 教授 工学博士 高橋 勉 氏
(2)(株)プライムポリマー 研究開発部 産包材研究所 樹脂開発チーム 上席主席 博士(工学) 大槻 安彦 氏
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4月1日から施行される新たな法律について、環境省から説明資料が公開された。動画も公開されているそうだが探しても見当たらない。
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さて、環境問題について地域環境問題から地球規模の環境問題となり21世紀となる直前に、環境基本法はじめ様々な法律が出されて日本も国際標準の環境問題取り組みにかかったのもつかの間、2015年に海洋ゴミが国際問題となった。
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さらに海洋ゴミの3割が日本製ということもあり、環境問題において日本に対して風あたりが強くなった。日本の取り組みが遅れていることに対し、2019年に当時の小泉環境大臣が「セクシーに取り組む」と回答したことが、日本のマスコミに叩かれた。
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日本のマスコミはセクシーの意味を取り違えたのだが、小泉大臣は大まじめに的確な回答をしたのである。当方はセミナーの中で小泉大臣にエールを送る意味もあってセクシーの意味を余談として解説している。
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しかし、日本への風あたりよりも大問題となったのは、脱プラスチックという思想が国際世論となったことである。
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すなわち、それまで環境問題では3Rが合言葉であり、2015年以降4つ目のRとして「Refuse]が国際世論として形成されつつある。身近ではレジ袋の有料化やプラスチックストローが紙ストローになったりする変化として現れた。
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しかし、これは行き過ぎである。そこで当方はこのような環境問題に対する行き過ぎた考え方に対して企業が環境問題対策として新たなRを提案すべきと4年ほど前からセミナーを行ってきた。
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この声が届いたのかどうか知らないが、環境省はRefuseではなくRenewableとして4つ目のRを新たに提案している。詳細は弊社へお問い合わせください。
カテゴリー : 未分類
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専門の話になるが、高分子材料は成形されて機能が発揮されるが、その時必ず成形前に添加剤が混合される。高分子合成時に必要な添加剤を加える方法もあるが多くは合成後の高分子に必要な添加剤が混合されている。
ラテックスのような低粘度の材料の処理プロセスでは溶融せずに高速攪拌可能だが、多くは高温度で一度高分子を溶融させて添加剤と混合する。
この時、練りも同時に行うと高分子の物性は改良される。練りとは、高分子1本1本の絡み合いを進めるプロセスである。加硫ゴムではこの1本1本の高分子の絡み合いが十分に行われない場合に、力学物性が極端に悪くなるので、ゴム材料を扱う技術者は練りの重要性を理解している。
しかし、圧力をかけて固める射出成形では、この練りの効果は表れにくい。練りの効果が全く現れないのではなく、樹脂材料技術者が気がつかないケースが多い。
ある射出成形技術を研究されているアカデミアの先生に研究の目標を尋ねたところ、どのようなコンパウンドでも良好な射出成形体を得る技術を確立すること、と答えられた。
しかし射出成形技術においてもコンパウンドの性能が極端に低ければどうにもならないケースは存在する。
高性能加硫ゴム材料を扱っている技術者は皆コンパウンドの混練プロセスの重要性を理解している。加硫ゴムの押出成形では、コンパウンド性能が成形体にそのまま表れるそうだ。これは樹脂の押出成形も同様である。
15年以上前になるが、半導体無端ベルトの押出成形を担当することになって自力でコンパウンド工場を半年で立ち上げた経験があることをこの欄で以前書いたが、睡眠時間を4時間以下に削って過重労働をしなければいけなかったのは、コンパウンド供給会社の技術者が混練プロセスの重要性を知らなかったからだ。
カテゴリー : 高分子
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ワイブル統計は、最弱リングモデルで導かれている。最弱リングモデルとは、製品品質の最も壊れやすいところで品質劣化が起きれば、製品の機能の寿命であるという考え方だ。
大変わかりやすいモデルで、製品の故障解析手法として普及している。また、このモデルの統計的扱いと式の導出方法は、高校の数学の知識があれば理解できるので、統計手法として易しい部類である。
ただ、セミナーを通じて感じることは、品質管理部門に比較して研究開発部門で普及していない不思議さである。そこで、弊社はこのホームページにワイブル統計のプログラムを無料公開して普及に努めている。
製品品質のデータ処理だけでなく、引張強度データについても処理を行うと、強度データのばらつき構造を整理できる。
例えば高分子材料の引張強度は、弾性率と靭性が影響するが、それ以外にサンプルの取り扱いプロセスも大きく影響する。
ワイブル統計でデータ処理を行い、傾きの大きな1本のグラフが得られれば良いが、複合型のグラフが得られたならば、弊社へご相談ください。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
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昨日は成形体の電気特性がコンパウンドの電気特性に影響を受ける話を書いた。力学特性も同様である。ただし力学特性は、電気特性に比較して物性評価時におけるばらつきが大きいのでコンパウンドの影響を議論しにくい問題がある。
引張強度の測定を事例に物性評価のばらつきについて説明する。まず、物性評価時にサンプルを評価装置へ取り付けるときのばらつきが存在する。これは5人ほどに同じサンプルについて引張強度測定を実施してもらうと明らかに有意差として観察される。
測定時の注意点を細かく指導し、測定時に監視しながら実施するとそれが小さくなるか無くなるので、こうした物性評価に不向きな人がいることにも配慮する必要がある。
高偏差値の大学を出ていても精度の良い力学特性評価をできない人がいることも知っておいた方が良い。力学特性評価は、個人のスキルが出やすい項目である。
次にサンプルの形状の影響である。射出成型時の歪が形状に現れることもあれば、サンプル保管時に形状ばらつきが生じることもある。新入社員の時に当時最先端の樹脂補強ゴムを開発していた。
その時、引張強度サンプルについては測定本数よりも1本多く作成することを指導された。さらに、シートサンプルから切り出した後2日ほど静置して評価サンプルを選び出すように、とも指導された。
たいていの場合に予備の1本は無駄だったが、まれに変形していることがあった。このような場合に1本だけでなく2-3本ダメになることもあったので、予備の本数を増やした記憶が残っている。
力学特性について電気特性よりも測定技術上の問題の影響を受けることが意外と知られていない。測定技術上の問題を解決してから成形体の不均一性を評価すると成形ロットや位置の影響などを検出できる場合がある。
カテゴリー : 一般 連載 高分子
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成形体の均一性にペレットの均一性が影響を及ぼすことが意外と知られていない。高分子の混練技術の目的に成形体の均一性を実現できるコンパウンドの提供という項目があることをご存知ないコンパウンドメーカーも存在する。
これは絶縁体である高分子にカーボンなどの導電体をブレンドし半導体シートあるいは半導体ベルトを製造して平面の表面比抵抗を数点計測して確認できる。
コンパウンド段階で電気特性が均一であると、押出成形あるいはインフレーション成形を行ったときにシートなりベルトの面内の電気特性が均一となる場合が多い。
ここで、コンパウンドの電気特性が均一ならば確実に成形体で均一になるとは限らないことに注意する必要がある。パーコレーション転移という現象が起きるためだ。
すなわち、コンパウンドの電気特性を均一にしただけでは不十分で、パーコレーションが安定化されていることも要求される。
パーコレーション転移については後日説明するが、混練技術の重要性を示す現象の一つが半導体高分子の成形プロセスで起きる。半導体シートや半導体ベルトを製造するときに、コンパウンドの電気特性が不均一であると電気特性を均一化できないことを知っておいてほしい。
ただし、コンパウンドの電気特性についてどこまで均一性とパーコレーションの安定性を実現すべきかは、求められる成形体の電気特性により変化する。
コンパウンド段階で10%程度のばらつきがあっても成形体で5%程度のばらつきに抑えることも可能である。このあたりはコンパウンドの配合設計にも依存する難しい問題である。ただ、成形体の均一性に混練技術が影響することを知っておいてほしい。
カテゴリー : 一般 連載 電気/電子材料 高分子
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PETやPENフィルム、PPSベルトの開発で正体不明のボツや目玉故障を経験している。いずれも1mm以下の大きさなので満足な分析ができず、正体不明となる。
そこで、粘弾性測定ができるほどの量を採取する努力を行い、正体不明部分の粘弾性を測定した経験がある。馬鹿げた作業という人もいたが、それなりの結果が得られた。
高分子材料の高次構造について研究がかなり進んだが、実務におけるすべての故障について科学的にこたえられるレベルにまだ到達していない。
例えば1種類の結晶性高分子について、構造は結晶部分と非晶部分が必ずできる。高分子の静置場でできる結晶は球晶だが、これはラメラと非晶部分で出来上がっている。
非晶部分には大きさが不確かな自由体積部分が存在し、無機ガラスのように均一性が高くない。すなわち高分子の非晶部分はかなり不均一な構造である。
この非晶部分の科学的研究が十分に進んでいない。球晶の構造については研究がかなり進んだが、非晶部分については不明確なところが多い。
多くの高分子の成形プロセスでは、高分子を高温にして溶融するプロセスが使用される。この時溶融温度付近の高い温度で溶融させて流動性を得るのだが、この高分子融体についての研究が不十分である。
PPSで実験を行っても、実験条件を機能に着眼して設定すると理解に苦しむ結果が得られる。ただ、ある仮説を設定し思考実験を行うと説明可能だが、これは科学的ではない。
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朝寝坊をして6時に目が覚めた。支度を整えて本欄を書こうとしたら、NHKで表題の番組を放送していた。1972年2月にグアムから帰還した横井庄一氏の話である。
彼が雑誌社に頼まれて一人テープに吹き込んだ声を中心に番組が構成されていたが、当方の文章では表現できないほどの壮絶な体験がそこに記されていた。そして彼が語り部としての使命感だけで生き延びていたこともそのテープから理解できた。
まだ二十歳前の当方にとって横井庄一氏の帰国シーンは衝撃的だった。当方だけでなく日本全国が彼の帰国に沸いた。彼のグアム生活の展示会では長蛇の列ができたことからも、その関心の高さを理解できる。
帰国してから彼はその体験を語り始めたが、ある日突然語るのを辞めてしまった。これは今の時代でも想像できるように、彼の語った内容に対する批判からである。
この放送で紹介されたテープは公開しない条件で録音されたものであるが、一人の人間がジャングルで戦争が終わっても苦労して生きてきた体験談は、戦争というものを知ることだけでなく、人が生きるとは何かを知る意味でも重要である。
記録を見る限り、彼と小野田氏以外戦後のジャングルで壮絶な人生を生きた人はいないのである。彼らの人生を学ぶ意味は、まさに「戦争」と「命」を学ぶことかもしれない。
敗戦が濃厚ならば投降すればよい、あるいは兵士でなければ逃げ出せばよい、という意見が今起きているロシアとウクライナの戦争において安易に語る人がいるが、彼の声を聴くとそれでは命をつなげない甘い意見であると理解できる。
ひとたび戦争状態になれば人道など保証されないのだ。それだけではなく、グアムでは部下を見捨てて戦争が終わっていないのに投降した上官の話などが彼の語りから飛び出した。
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高分子材料の成形体を製造するときにペレット状のコンパウンドが用いられる場合が多い。この時ペレット一粒一粒の組成が均一であっても成形体で品質故障が現れることがある。
射出成形体では目立たないが、押出成形やインフレーション成形で発生する。そこで故障部位をケミカル分析してみると組成が均一なので分析結果に現れず、原因不明となる。
ところが故障部位のレオロジーを測定してやると故障部位が他の部分と異なる特性であることを発見できる。
あるいは、結晶性樹脂ならば故障部位の結晶化度を測定することにより他の部位との差異を見出せるかもしれない。
このように組成が均一な原料を用いても、成形体を製造するときに原料を一度溶融させる必要があるので溶融が不均一だったと思われる品質故障が発生する。
溶融の不均一性であれば、成形時にダイに至るまでのシリンダーの中を均一にする努力をすれば解消できる、と考えて努力すると、努力が報われて、品質故障の発生頻度が下がる。
しかし、発生頻度が下がってもなかなかゼロにできない。このじれったさは、実際に経験してみないと分からない。
成膜されたPETフィルムを体育館に広げて15名ほどの研究者で品質故障部位をマジックで印をつけてみた。ゼロにできたと思ってもどこかに数10個は品質故障部位が見つかっただけでなく、ラインの検出器をすり抜けた部分も存在した。
カテゴリー : 一般 高分子
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