フィルムカメラF100の裏蓋フックはプラスチック製だった。樹脂の材質は不明だが、壊れた断面は、典型的なクリープ破壊の破断面を示していた。
すなわち、その破断面を観察すれば、裏蓋を押し上げるためのスプリング強度が強すぎたためフックのクリープ速度が速くなり、フックが壊れたと理解できる。
ただし、これはフックが常に目標スペック通りにできていた前提の仮説である。
1970年代の低密度ポリエチレンのクリープ速度に関する研究では、密度が0.02大きくなると、クリープ耐性が2倍になるという報告がある。すなわち、密度が大きくなるとクリープ耐性が非常に大きくなるのだ。
これは逆に密度がたった0.02小さくなっただけでクリープ耐性が著しく弱くなることを意味している。スプリング強度が仕様通りだったとすると、F100の樹脂製裏蓋フックの成形体密度がばらつきで小さくなっていた可能性がある。
樹脂の成形体密度は0.02程度のばらつきを生じる場合があり、注意を要する。低密度ポリエチレンのクリープ速度と樹脂強度との関係を調べた研究の動機でもある。
ところで、このF100の裏蓋フックについて高分子材料のツボを読んでいた技術者ならばおそらく密度のばらつきに注意が向いたはずである。
そして組み紐のモデルを思い出し、密度が下がれば著しくクリープ速度が速くなる可能性があるとの想像ができて、品質問題を未然に防げた。
なぜなら密度が低いということは、自由体積の部分が多い樹脂成形体を意味しており、自由体積部分では高分子がぴくぴくと運動している。高分子の運動にレピュテーション運動というのがあるが、これは分子の鎖方向にウナギの如くくねくねと動く運動である。
自由体積が多くなり、レピュテーション運動も活発にでき、そして外力がかかったならどうなるか。紐がずるずるとほどけてゆく様子を頭に描くことができる。クリープ破壊とはこのように進行する。
ただしこれは当方の妄想であり、科学的ではないことを注記しておく。但し、高分子材料開発ではこのような妄想が重要な場面として役に立つケースが多い。品質問題という悪夢と思いたい現実に遭遇するよりも妄想を描きながら慎重に材料開発を進めた方が精神衛生上よい。
後日、中間転写ベルトでは頭に浮かんだ妄想からカオス混合装置を開発した実話を紹介する。科学的な知識では否定証明となってしまう場面でも妄想により掻き立てられた開発欲求により、科学を超越した発明が生まれる可能性が高いのは高分子分野である。
健全な妄想により、悪夢のような現実を起こさないように進むのが、大人の技術開発である。不健全な盲目的科学崇拝では現実否定ばかりしている場合にも、健全な妄想は希望の光を見つけ出す。健全な妄想は健全な精神と誠実で前向きな生き方により生まれる。健全な肉体は、ここぞという勝負時に必要である。
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高分子材料の密度ばらつきを甘く見ると痛い目にあう。以前この欄にN社のフィルムカメラ(F100)裏蓋が、防湿庫に保管中壊れた話を紹介している。フィルムカメラの裏蓋はフィルムの感光を防ぐ重要な機能部品である。
また、F100というカメラはハイアマチュア向けの当時N社を代表するカメラの一台だ。価格も安くない。それが、大切に保管中壊れたのだから頭が真っ白になった。購入してから1年以上経過していたので無料修理も効かない、とサービスセンターで言われた。
すでにデジカメD2Hを使用していたのでF100の修理をあきらめて、高分子の破壊と劣化セミナーで技術が無いために品質問題を起こした事例として使うことにした。裏蓋の壊れたフィルムカメラを修理しないで使う方法としてそれ以外思いつかなかった。
一応修理窓口で無償修理が効かないならセミナーの教材として使ってよいか、と尋ねたら、簡単に承諾が得られた。ゆえに当方の高分子の破壊と劣化セミナーでは無残に壊れたF100が最初に登場する。
フィルムカメラの裏蓋は、高級カメラの場合にボタンを押すとカパッと開くタイプが多い。F100も裏蓋にスプリングがついており、ボタンを押し下げると気持ちよくカパッと半開きになる。
長年P社の一眼レフを使ってきたが、カメラ店でF100を触ってみて、その高級感とデジカメの将来を考え、N社に乗り換えようとしてF100でシステムを揃えなおした。50万円を軽く超えたがN社のデジカメと心中するつもりでF100に乗り換えた。
そして、デジカメはD2Hを購入したわけだが、N社に乗り換え3年でF100の裏蓋が壊れ、無償修理もきかない事態に改めてP社のカメラを見直した。システムを一通りそろえても50万円を越えない懐にやさしいカメラである。
結局現在はN社とP社の両方のデジカメを使用している事態になっている。高分子材料と密度についてF100のフックが壊れた話を書こうとすると、品質保証のサービスが受けられなかった話までさかのぼる。理由は、本来は無償修理すべき問題だと今でも思っているからだ。明日その理由を書く。
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高分子材料の成形体密度は、金属の成形体密度に比較してばらつきが大きい。これは高分子材料のツボで説明したように部分自由体積の影響であるが、この密度のばらつきの上限と下限を知る方法があるのか実験した経験がある。
配合処方と射出成形条件を一定にして成形体を作ると、密度のばらつきは一定の範囲に入るので、上限と下限を決めることができそうに見える。
ところがコンパウンドのロットが変わると、この上限と下限が狭くなったり広がったりするケースがある。PC/ABSのような多成分のポリマーアロイでこうした現象を観察することができる。
すなわち、同一二軸混練機で同一条件により混練していても原材料が異なるロットを用いると密度のばらつきが影響を受けるということだ。密度のばらつきが影響を受ければ、密度と相関するその他の物性ばらつきも影響を受ける。
例えば、弾性率や誘電率、屈折率などもそのばらつきに密度の影響が現れる。その結果、例えばコンパウンドメーカーが試作段階でコンパウンドの仕様として成形体密度を決めていたならば、ロットアウトとなる場合が出てくる。
ここまで説明すると数年前あるコンパウンドメーカーが仕様書を捏造していた問題を思い出す人がいるかもしれない。そしてその問題では自動車メーカーが一斉に社内の品質検査で問題が無かった、と声明を出す不可思議なことが起きている。ここではこれ以上書かない。もし気になられた方は弊社にご相談ください。
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高分子材料について組み紐を用いて説明しているが、混練プロセスを考える時にもこのモデルは便利である。高分子材料を混練するときに混練温度をどのように設定するのかは、良好なストランドを引くために重要である。
吐出された樹脂をストランドとして押出しペレット化(ペレタイズ)するプロセス以外に吐出された樹脂をそのままペレットとするプロセスもあるが、ここではストランドとして押し出すプロセスを考えてみる。
混練するときに多くは高分子のTmを基に混練温度が決められるそうで、この温度よりも低い温度で混練すると分子が断裂するので好ましくない、とよく言われている。
当方は、この考え方は現象をよく見ていない人の考え方だと思う。分子の断裂よりも混練機のトルクオーバーを心配しなくてはいけない。しかし、分子の断裂や混練機のトルクオーバーを起こさず、Tm以下の温度でどのように混練するのかは、ここで明確に説明しない。
それは組み紐モデルを眺めておれば気がつくことだからだ。もしアイデアを思い浮かばないならば弊社にご相談いただきたいが、Tm以下で混練してみるとTm付近の混練物とはレオロジー特性の異なるコンパウンドが得られびっくりする。
高分子材料の混練については分配混合と分散混合で説明されているが、40年以上前には溶融高分子に着眼した考察が行われていた。少なくともゴムの混練ではこの視点であり、その時Tm以下でも高分子は流動する前提があった。
乱れた組み紐を眺めていると今にも流動しそうに見えてくる。また、溶融温度以下では乱れたまま混練される姿を想像できる。退職してからこの10年も様々な高分子をコンパウンディングしてきたが、Tm以上の温度で混練した経験は無い。
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扇風機を2台つけただけの空調服が2万円台の価格で販売されている。これだけの価格ならばペルチェ素子を用いたエアコンジャケットの方が快適である。同じ価格帯で供給可能である。
ただ、問題はペルチェ素子をただつけただけでは、エアコンジャケットとならない。そもそもペルチェ素子だけでは体を冷却することはできない。もう一工夫必要である。
弊社ではこのひと工夫に成功し、ペルチェ素子を用いたエアコンジャケットの試作に成功している。ただ残念なことに開発依頼主の本業がコロナ禍のあおりを受けてエアコンジャケットの事業がペンディングとなった。
特許は3件出しており、そのうち重要な1件については弊社から出願し、出願時審査請求を行っている。開発依頼主からは弊社が新たな事業先を探してよいことになっているので、もしエアコンジャケットの事業を希望される方は弊社へお問い合わせいただきたい。
ちなみに扇風機を2台つけただけの空冷服の問題は、外気を体に直接吹き付ける点である。ペルチェ素子を用いたエアコンジャケットでは、外気と体表面とは遮断されて冷却されることになる。さらに冷却しすぎも無く快適である。
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かつてブランドが付加価値の一つと言われ、企業のブランド価値を上げる努力がなされた。しかし、市場の変貌あるいは縮小等の要因により、ブランド価値が高くても企業の存続が難しい時代でもある。
例えば、オーディオスピーカーのB&WやJBLは、かつてのオーディオ市場では高級ブランドの一つであるが、今企業の存続すら難しい状況に陥っている。
音工房Zという10年ほど前に起業したスピーカーメーカーの実験で、300万円のスピーカーと聴感上同じ品質のスピーカーを40万円前後でできることが示されている。ここで同等品質とは、多数の人のブラインドテストを行ったときに差がない、という意味においてである。
ギターのマーケットでは、倒産しかかったギブソンがブランド戦略でその立て直しを図っている。カスタムショップでビンテージ感のある製品を市場に投入しており、高いものでは100万円をこす製品もある。
新製品も同様で、同じ型式の新製品の価格が100万円程度異なることもある。これは品質管理を学んでいたなら、品質のばらつきが大きい商品を販売するメーカー、とか品質管理のできていないメーカーと言う烙印を押したくなるような状態だ。
例えばES335という型式のギター(注)では、安くても25万円前後から130万円前後まで存在し、このギブソンよりも高い品質の製品をアイバニーズブランドならば7万円前後で入手できる。アイバニーズは名古屋に本社のある星野楽器のブランドだが、今世界3位のブランドといわれており、ギブソンと同等以上のブランド価値である。
アイバニーズは安いギターばかり作っているのではなく、ES335タイプで40万円前後の製品も存在する。40万円前後の製品と7万円前後の製品との違いは、主に材料の違いと生産場所の違いである。
40万円前後の製品は日本製だが、7万円前後の製品はインドネシアや中国で生産されている。驚くのは40万円前後の製品と7万円前後の違いは、トヨタのレクサスとカローラほどの品質の差がないのである。
自動車と異なり、楽器では付加価値の差を生み出すところが少ないので、比較として正しくないことは承知しているが、日本製でないことを我慢できるならば、7万円前後のギターでも十分練習できる。
なぜなら、エレキギターに使われているピックアップやその他電装品は同じで、弦も同じである。演奏者の力量に40万円と7万円の差をみいだすことを求めるのは難しいだろう。
アイバニーズというブランドを世界3位まで押し上げた原動力は、高い品質とコストパフォーマンスにあると思われる。これはトヨタのブランド価値とよく似ている。
トヨタはレクサスという高級車ブランドを持っているが、日本ではクラウンの位置づけを悩んでいるという記事を以前WEBニュースで読んだ。当方の世代ではレクサスよりも「いつかは、クラウン」と思っている人が多い。クラウンにはレクサスと異なる付加価値があるように思うのだが。
(注)20年ほど前に閑職となった時、たまたま降りた御茶ノ水駅で店じまいをしている楽器屋で新品展示品19万円のES335を見つけて衝動買いした。ほどなくして豊川へ単身赴任し忙しくなり、ES335は埃をかぶることになったが、これを2年ほど前に断捨離した。16万円で売れたので本物だったのだろう。コロナ禍となり、友人が高価な手工ギターをオーダーし楽しんでいる、とメールに書いてきた。それならその1/10の価格で満足できるギターを買おうとしてオークションで楽器店から新品展示品定価14万円相当のアイバニーズのES335タイプのギターを7万円で落札できた。驚いたことに16万円で売却した本家ES335よりも品質が高いのだ。指板に使われているローズウッドは素人がみても高級と分かる緻密な木目模様である。またフレットの角の処理もギブソンのように引っかかるところが無い。また、ボディーの杢目もトラメがきれいに出ており最高級品のメイプルが使われている。生音はギブソンのES335よりも大きいだけでなく、音の出口のfホールの小口にもアイバニーズのギターは装飾がなされている。木口むき出しのギブソンの製品とは大きく異なるところだ。ピックアップを通した音色もアイバニーズの方が好みの音である。ギブソンは特有の図太い音で4万円の安いエレキギターにありがちな音色だった。ギターのプロではないのでこのあたりの評価が正しいかどうかは不明だが、少なくとも工業製品として見たときに、どちらが7万円のギターかわからなくなる。ただ思うのは、19万円のギターを売却して16万円もらい7万円支払って19万円よりも高品質のギターに交換できた、すなわち閑職の時に衝動買いしたおかげで9万円以上儲かった可能性がある、と言う事実である。ギブソンと言うブランド力はすごい。
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低分子有機化合物の構造解析には、UVやIR,NMRが使われる。化学系の大学では卒業までに構造解析の実習あるいは、試験があるので皆身に着けている。ところが高分子に関する構造解析について当方の時代には低分子に準じるとごまかされていた。
確かにIRやUVにより高分子に含まれる官能基を知ることができるが、NMRを計測しても低分子のようにわかりやすいスペクトルは得られない。また、高分子では分子量分布も問題になる。分子量だけならば粘度測定でおおよそ知ることができるがやはりGPCを計測しその分布も知りたい。
分光学的方法と比較すると熱分析は大学でも分析の授業で触れられるだけで、それを使用した解析方法は詳しく授業で取り扱わない。少なくとも当方の時代には熱分析装置の原理までで高分子材料の分析への展開について説明はなかった。
しかし、TGAやDSC、TMAは、実務で活用分野が広い。TMAについては粘弾性を測定可能な装置も発売されている。当方はポリウレタンの難燃化技術開発でこれら熱分析装置の威力を学んだ。
もし高分子の種類が分かっているならば、分光学的方法よりも熱分析手法の方が実務では役立つのではないかと思っている。ただJISでこれらの測定法を読むと残念なのは、TGAとDSCで昇温速度が異なっていることだ。
確かにDSCでは20℃/minでも情報を得ることができるが、TGAではこの昇温速度では早すぎて一部の情報を得ることができない。TGAの昇温速度は速くても10℃/min前後が限界と考えた方が良い。
JISに従って測定データを取得していると、TGAとDSCで異なる昇温速度のデータを比較することになる。これは熱分析では不都合なことなのだ。このあたりを解説すると長くなるので、これ以上説明しないが知りたい方は問い合わせていただきたい。
JISにDSC測定の昇温速度が20℃/minと書かれていても10℃/min.で計測されることをお勧めする。それは何か問題が起きたときにTGAを10℃/minで測定することになるからだ。同じ昇温速度のデータで熱分析結果は比較すべきである。
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現象をシミュレーションする方法には、現象のモデルを数値解析し得られた数式で行う方法とコンピューターの中でモデルを動作させて計算を進める方法がある。
科学の世界では現象について数学で記述することを目指している。現象を数式で表現できれば未来予測も簡単である。数学を得意とする人ならば数式と現象がダイレクトにつながり、理解できるかもしれないが、凡人にはそれが難しい。
ゆえに現象をすべて数学で表現するのではなく、現象をモデル化して、出来上がったモデルを少しずつ変化させて計算する方法が直感で理解しやすい。
有限要素法では、物体を三角形の要素に分割し、例えば応力がかかった時の変形については、三角形の変形した座標を頼りに計算を積み上げてゆく。
現象についてすべて数式で記述されるよりもこの有限要素法的シミュレーションの方が凡人は理解できるかどうかは別にして安心できる。
ただし、この方法はコンピューター無しではシミュレーションは難しい。換言すればコンピューターが登場したから可能となった現象理解の方法である。
高分子も分子1本の解析結果を積み上げシミュレーションする技法が開発されている。ただ、複雑な分子になってくるとコンピューター資源が大量に必要となるので複雑な部分を簡略化して計算を進める手法が開発されている。
高分子とコンピューターとの関係などどうでもよい、と思っている人は時代遅れである。マテリアルインフォマティクスでは人間の頭でやったほうが良い場合があるのにAIを使ってデータマイニングする方法が検討されている。
昔TRIZやUSITが流行った時代があったが当たり前の結果しか出ないので相手にされなくなった。マテリアルインフォマティクスもAI一辺倒だと当たり前の結果しか得られなくて誰も相手にしなくなる、という懸念がある。
何でもコンピューターに放り込む、という姿勢もどうかと思う。昔電卓で微分方程式を解かれていた方は、大型コンピュータを操作できるスキルを持っていた。しかしそれでも電卓を使った理由は、それを使うことにより新しいアイデアが湧くからと言われていた。この言葉は今の時代にも参考になる。
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日本人の低賃金が話題になっている。正規雇用でも給与が上がらず低賃金化が進んでいるという。情報化が進展する中で日本にその中核となる企業が育たなかったため、という説明も聞かれる。
高度経済成長末期のバブル崩壊直前に「Japan as No.1.」という著書が世界的なベストセラーとなった。またセラミックスフィーバーも日本発であり、これに驚いたアメリカクリントン政権はナノテクノロジーブームをアメリカに起こしている。
日本の素材産業が世界をリードしてから30年以上経った。今環境問題から脱石油の流れが起きており、20年ほど前のオイルリファイナリーからバイオリファイナリーの兆候がようやく現実のものとなってきたが、日本企業の関心は薄い。
当方は10年前に多糖類ポリマーの可能性に着目し、ミドリムシから1個体あたり50%程度の収率で得られる多糖類を利用した特許を出願してみたが、企業の関心は薄かった。
現在の高分子産業は石油のクラッキングから製造されるモノマーを重合したポリマーに端を発し伸びてきた。そしてそれが環境問題を引き起こしたのだ。少し考えただけで新たな高分子産業がどのような形態になるべきか想像がつく。
この想像ができない人は弊社へご相談いただきたいが、せっかくのチャンスが到来しても夢を描けなければ賃金など上がらない。新たな付加価値を生みだしてこそ利益が上がるのである。賃金が上がらないのは企業トップも含め仕事のやり方が悪いのだ。
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40年以上前に化学系の学部で学んだ高分子科学は重合反応が中心で高分子物性論の授業が無かった。おそらく今の化学系の学部ではOCTAの話なども出てくるのではないかと思う。OCTAでは、高分子の分子1本からの積み上げでシミュレーションを行っている。
20世紀末に分子1本のレオロジーに関する研究報告を聞いた。当時、ダッシュポットとバネのモデルによる粘弾性論が破綻し、新しいレオロジーについて議論が活発化していた。
新入社員のときの指導社員はレオロジストであり、ダッシュポットとバネのモデルで粘弾性解析を行うのを得意としていた。電卓で微分方程式を解かれている姿はかっこよかった。
その指導社員が自分の行っている方法はもうすぐ学問ではなくなる、と予言されていた。その20年後高分子のレオロジーに関する研究ではダッシュポットとバネのモデルが時代遅れとなった。
しかし、高分子材料を設計するときにこのダッシュポットとバネのモデルを頭に描くと便利なことが多い。特に粘弾性試験機で測定されたデータを理解するときには、このようなモデルは重宝する。
高分子材料の表に現れる物性は、分子1本づつの積み重ねの結果であるが、力学物性の場合には高次構造が関係している場合が大半である。するとダッシュポットとバネのモデルでとらえた方が理解しやすくなる。
もっとも、今の若い人は大学でダッシュポットとバネのモデルを学ばないだろうから、意味のない話ではある。しかし、経験知としてこのモデルは大切にした方が良いと思っている。
カテゴリー : 一般 高分子
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