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2021.12/03 高分子材料のツボ(16)

低分子有機化合物の構造解析には、UVやIR,NMRが使われる。化学系の大学では卒業までに構造解析の実習あるいは、試験があるので皆身に着けている。ところが高分子に関する構造解析について当方の時代には低分子に準じるとごまかされていた。


確かにIRやUVにより高分子に含まれる官能基を知ることができるが、NMRを計測しても低分子のようにわかりやすいスペクトルは得られない。また、高分子では分子量分布も問題になる。分子量だけならば粘度測定でおおよそ知ることができるがやはりGPCを計測しその分布も知りたい。


分光学的方法と比較すると熱分析は大学でも分析の授業で触れられるだけで、それを使用した解析方法は詳しく授業で取り扱わない。少なくとも当方の時代には熱分析装置の原理までで高分子材料の分析への展開について説明はなかった。


しかし、TGAやDSC、TMAは、実務で活用分野が広い。TMAについては粘弾性を測定可能な装置も発売されている。当方はポリウレタンの難燃化技術開発でこれら熱分析装置の威力を学んだ。


もし高分子の種類が分かっているならば、分光学的方法よりも熱分析手法の方が実務では役立つのではないかと思っている。ただJISでこれらの測定法を読むと残念なのは、TGAとDSCで昇温速度が異なっていることだ。


確かにDSCでは20℃/minでも情報を得ることができるが、TGAではこの昇温速度では早すぎて一部の情報を得ることができない。TGAの昇温速度は速くても10℃/min前後が限界と考えた方が良い。


JISに従って測定データを取得していると、TGAとDSCで異なる昇温速度のデータを比較することになる。これは熱分析では不都合なことなのだ。このあたりを解説すると長くなるので、これ以上説明しないが知りたい方は問い合わせていただきたい。


JISにDSC測定の昇温速度が20℃/minと書かれていても10℃/min.で計測されることをお勧めする。それは何か問題が起きたときにTGAを10℃/minで測定することになるからだ。同じ昇温速度のデータで熱分析結果は比較すべきである。

カテゴリー : 一般 高分子

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