高分子材料は誘電体のため電気をためやすい(蓄電)。ゆえに使用していて帯電に悩まされる。例えば、梱包材に使用されている発泡スチロールを廃棄するために細かく手で砕いていて体に白い粉がついて困った経験はないだろうか。
発泡スチロールは脆いので、無造作に細かく粉砕すると、帯電した切り子が多数発生しそれが体に付着する。手で払おうとしても、掃除機で吸い取ろうとしてもきれいにとることができない。
このような目に合うと、樹脂の帯電のパワーに改めて気がつくことになる。樹脂だけではない。乾燥した冬の季節では、人間の体も帯電する。乾燥肌でかゆくなったりするのも静電気の刺激が影響しているので保湿剤を塗って、体表面の抵抗を下げるとかゆみが止まる。
このような体験をすると、樹脂成形体では最表面だけ帯電防止されておればよい、という経験知が身につく。家電製品に使用されている樹脂では、帯電防止剤が添加されている樹脂もあれば、添加されていない樹脂もある。
梱包材として使用される発泡スチロールは低コストで供給したいのでポリスチレンに耐候剤を添加していない場合が多いが、家電製品はじめ耐久消費財に使用される樹脂には、耐久性を向上させるための各種添加剤が添加されている。
このような添加剤は、成形時に表面へブリードアウトしやすい。ブリードアウトの問題は以前書いているのでそちらを見ていただきたいが、表面にブリードアウトした添加剤が帯電防止に一役買っている。
ゆえに樹脂の配合設計を担当している人は、クレームでもない限り、帯電防止技術を深く考えていないようだ。もし市場で帯電による品質故障が発生した場合には、弊社へご相談ください。
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樹脂の混練技術を担当されている方は、樹脂は溶融温度(Tm)付近で混練する、と教えられた人が多い。高分子学会賞に推薦された時に、審査員から混練温度が低いことを指摘されて落選している。
ただしこの時の審査員の理由は、分子の断裂が起きるので相溶が起きてもおかしくない、というものだが、審査員の考え方は間違っている。その時分子量分布の変化も示したが、PPSは測定が難しい材料だ、とデータを懐疑的にみられている。
この結果実績を積み重ねるために中国で活動する決断ができた。どうも日本社会は異なる見解や独創性について冷たい仕打ちをうける様な体験が多い。このような体験から、樹脂の混練をTm近辺で行うのは形式知同等の知識と思われているのではないかと心配して本日書いている。
当方の混練技術はゴム会社の新入社員時代に混練の神様と呼んでも良いような方から3か月間技術伝承されたもので、カオス混合技術もその時に指導され、これを多軸混練機で実現するのが当方の宿題になった。
この宿題は、たまたま退職5年前に豊川へ単身赴任した時に実現できた。製品化まで半年と残された時間のない中で、カオス混合を応用した混練プラントを中古の二軸混練機を購入して立ち上げたのだ。
このプラントで出来上がったPPSコンパウンドは、一流コンパウンダーのコンパウンドと高次構造は全く異なり、半導体ベルトと同一の高次構造になっていた。
そして解決できなかったすべての問題をこのコンパウンドで解決することができた。成形工程の難題には、コンパウンドを改良しない限り解決できないことが知られていない。特に押出成形では形状付与以外の問題は、コンパウンドで解決するのが鉄則、というのはタイヤ工場の職長から教えられた経験知である。
Tm温度付近で混練していないだけでなく、カオス混合を行った結果だが、混練条件が異なると出来上がるコンパウンドの高次構造まで異なってくる、というのは混練の神様から教えられた重要なスキルである。
(注)樹脂をTm温度以上で混練する場合もある。分配混合と分散混合中心の考え方では、混練温度などの条件をどのように決めたらよいのか、このあたりの考え方の重要性は強調されないが、当方の執筆した混練活用ハンドブックは分配混合と分散混合とは異なる視点で混練技術をとらえている。40年ほど前に指導された技術であるが、中国では新技術として受け入れられた。
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技術者が科学知識を身に着けておくことは常識であり、義務教育では、科学教育が9年間行われている。国民の90%以上が高卒レベル以上の科学知識を身に着けている日本では、技術者の科学知識については十分だろう。
しかし、技術に関する経験知や暗黙知の獲得の仕方については、企業で実務を経験するまで学ばないけれど、最近は企業も従業員教育を昔のように一生懸命行っていないから、技術者の知識獲得機会はかつてより減少している。
ゴム会社は人材育成にかなり力を入れており、職場教育や3年ごとの一斉研修などがあり、学ぶために就職したと感じる様な会社だった。研究所はさらにアカデミアよりも形式知重視で否定証明の報告書も立派な報告書として扱われたりしていた。
転職してびっくりしたのは、社員教育への企業投資の違いである。おそらくゴム会社は伝統的に人材教育に力を入れている企業で、それがまた創業者の精神伝承の一つだったと転職して感じた。
写真会社は、おそらく世間の標準程度の人材教育をしていたのだろうが、20年勤務している間に人材教育も自己責任となっていった。ゆえに社員で自分磨きに投資している人とそうでない人はきれいに相分離する様子を観察することができた。
この様子を見て、当方は勉強の重要性を部下にしてきたのだが、窓際になってからやめた。成果を出してもそれが人事評価に反映されないのなら、ワークライフバランスを取りながら働いた方が賃金上昇が無い現代においては得なのである。
だから、ワークライフバランスが流行するのであり、窓際族が口をだしては、たとえそれが教育目的であったとしても迷惑だろう。今なら積極的なサービス援護はパワハラやセクハラとの誤解を受ける時代でもある。窓際族は静かにしているのが無難である。静かにできないならばさっさと退職したほうが精神衛生上よい。
働くという道徳的な概念が定着しないままワークライフバランスを導入された結果、勉強しない人はどんどん仕事ができなくなってゆく。また仕事ができなくても終身雇用なので給与が入ってくる。大卒が50%近くを占めるようになったので人事評価の平等性が難しくなったが、学習を自己責任とすれば相分離が自然に起きるので、それを容易にする。
その結果、理系の大学出身であれば、高学歴な作業者となってゆく。たとえそのように処遇されたとしても身に着けておきたいのはタグチメソッドである。タグチメソッドは現象を見る眼力を磨くことができる。タグチメソッドだけは勉強しておきたい。個人でも構わないのでご興味のあるかたは問い合わせていただきたい。
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高純度SiCの開発企画は研究所内では全くの不評で、海外留学の話が当方に提案された。しかし、その行き先はSiCの研究ができる環境ではなかった。
そこで、当方は当時SiCの研究で世界の注目を集めていた無機材質研究所(現在の物質材料研究機構)と調整し海外留学の代わりに無機材質研究所へ2年留学することになった。
その後、留学中に研究開発本部長が交代するとともに研究所長はじめ組織体制が変った。以前この欄で高純度SiC新合成法が生まれた時の状況を書いたので省略するが、2億4千万円の先行投資とファインセラミックス研究棟の建設があり、2年間の留学を1.5年で切り上げ、ゴム会社で高純度SiCの事業化を推進している。
ここまでに至るごたごたについて省略しているが、大切なことは、担当者には直属上司の方針や職場風土などから会社のイメージが形成されるが、それは誤解であり、正しくは社長がその企業の実体である。
迷ったり悩んだ時には、担当者にとって遠い存在かもしれないが、社長をよく見つめてみることである(すなわち、社長方針や機会あるごとに社長が話される言葉などを読んでみる)。
例えば、直属の上司の方針と社長方針とが乖離しているときには、直属の上司が間違っている、とまず「悟る」ことが大切だ(大きな組織では、方針管理のすり合わせを行っても誤った方針が設定されたりすることは、方針管理を伝言ゲームと勘違いしている職場では時々生じる。)。
悟った結果の行動についてはそれぞれの判断になるのだが、当方は、新入社員研修で「火中の栗を拾う人材を求めている」、と言われた社長の言葉を信じて、それに従って拾ってみたら、成果を出しても昇進試験に落とされたりと火だるまになった、というわけだ。
ただし、社長方針として「ファインセラミックスを事業の柱に」と出ていたのに、研究所の方針が曖昧となっていたことに憤りを感じていたので、火だるまになりながらもゴム会社の社長を信じ行動した。
信じた結果、人事部長はじめ新事業開発室室長、新しい研究開発本部長など多くの援助者に恵まれ、住友金属工業とのJVとして事業を立ち上げることができた。そしてそれが30年つづいた。
ドラッカーは、30年経ったら事業を見直せ、と言っていたが、ゴム会社は見直しを行い、2018年に愛知県の「MARUWA」に事業譲渡している。
ゴム会社で企画した「高純度SiCの開発」の30年間を眺めてみると、経営の力を感じ取ることができる。ただし、その種を作るのは若い力であることを今一度経営者は考える必要がある。
<注>当方が転職の決断をしたのは、FD事件を研究所で隠蔽化されたからである。おそらく社長まで重大事件の全貌は伝わっていないと思う。最近は、このような隠蔽体質が引き起こす問題で社長が謝罪するシーンをよく見るが、また、財務省の忖度事件では、現在の自民党の総裁選レースにまで影響が出ており、隠蔽=大きな損失を招く、という考え方になりつつある。隠蔽を習慣化し放置すると組織は悪の巣窟となる。当方が驚いた事実は、学会賞の推薦書に虚偽を平気で書くような輩が現れたり、当方の残してきた書類等が消えていたり、と不可解な事件が起きている。組織内の悪の連鎖が問題となるのは、その証拠が社会に染み出してあふれてくるからだ。不謹慎な社員や管理職により会社の社会的信用を落とすことになる。当方は記念にいくつかあふれ出した証拠を保管している。企業活動を、ドラッカーが言っていたように、なぜ誠実真摯に行う必要があるのかは、昨今のSNSにおける告発を考察すれば容易に理解できるはずである。
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30年以上前にゴム会社で行われた電気粘性流体の耐久性問題では、組成と機能との関係を科学的に研究し、見事な否定証明を行い、界面活性剤では電気粘性流体の耐久性を改善できない、という結論を導き出している。
界面活性剤ではHLB値がその機能性を表していると教科書に説明されているが、これが研究をミスリードしたのだ。この否定証明の研究が完成し、添加剤が入っていないゴム開発というとんでもないテーマが企画された。
そして、そのテーマが当方に回ってきた。理由は、当時の研究所でゴムの配合研究を一人でできる担当者は当方しかいないからだという。アメリカのタイヤ会社を買収し、社内でリストラが進められた結果、コーポレートの研究所にどろくさいゴム配合の技術者が一人もいなくなっていた。
当方は、研究所へ配属されて3か月間エンジンマウント用防振ゴム配合研究を担当し、当時先端材料だった樹脂補強ゴムを開発している。1年間の予定のテーマを3か月で開発できたのは、サービス残業と過重労働の成果であるが、それができたのは指導社員が神様のごとく優秀な方だったからである。
カオス混合技術をはじめ材料技術すべての考え方をこの指導社員から伝承された。いまから思い出してみても優れた科学者であり、実務も詳しい技術者だった。
この指導社員の言葉で、「やってみなければわからないことは、やってみればよい」は、材料技術者は知っておくべき格言である。電気粘性流体の耐久性問題もこの格言が活かされた。
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スマートグリッドとかマイクログリッドと呼ばれている発電方式は、電気を地産地消あるいは発電所を小型化して分散発電する方式である。太陽電池や燃料電池による発電が代表的ですでに実用化されている。
この視点に立った時に、発電しながら電気で走る車は、防災にも役立つ多目的車となる。エンジンで電気を発生してそれを動力とするぐらいなら、直接エンジンで車を走らせた方が効率が良いが、燃料を石油以外にしたときに内燃機関は効率が悪くなる。
特にレシプロエンジンは、その特性が顕著であり、回転数が頻繁に変動する用途には環境対応を考えたときに不向きである。ガソリンでかろうじて実用的な燃費となっていたのだが、水素やアンモニアを燃料とした場合に燃費が現実的な値ではなくなる。
しかし、発電機としてレシプロエンジンを使うならば、定速動作で良いので最も燃費の良いところで動作させることができる。すなわち、日産のe-Powerは、環境問題を考えたときに優れた自動車の動力方式の一つになる可能性が浮かび上がる。
最近日産自動車は、レシプロエンジンのエネルギー効率40%を超えるエンジンを開発したが、それは定速稼働を前提とした技術で、効率50%を超えることも可能と発表された。
登場した当初は、トヨタのハイブリッド車と比較されて効率の悪さが指摘されたりしたが、分散発電方式の車として見れば、様々な燃料を用いることが可能な方式としての優位性が注目されるかもしれない。
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空前の半導体不足で自動車の生産も一部止まっているらしい。コロナ禍で国内の半導体工場の事故が影響している、と書いてあった記事がある。
今、何らかの高機能製品には半導体が使用されている。スピーカーさえもCPUが搭載される時代になった。身の周りの製品を探せば10点以上は半導体を用いている製品を容易に見つけることができる。
昔、半導体は産業のコメと言われた時代があった。その主食であるコメを政府は国内で製造しないという判断をしている。少なくとも現在の日本の半導体不足は国の産業政策の失敗が原因と思われる。
責任を取らないような組織の文句を書いてもしょうがないが、今産業のコメとなる半導体を自前で安定供給可能な状態にするためには1兆円規模の投資が必要となるので、民間企業が新規に進出するにはリスクが大きい。
10兆円以上の金額を書いている記事があるが、それはやや誇張だと思う。しかし、最低でも1兆円はかかる可能性が高い。現在韓国などで稼働している工場をそのまま建設するだけならば、半分以下の投資で済むかもしれないが、工場が建設された後十分な競争力があるようなプロセスとするためにお金がかかるのだ。
昔、高純度SiCの粉末について10kg/日で生産できる工場を2億4千万円で立ち上げたが、パワー半導体用SiCウェハーの工場を現在建設するならば数100億円以上かかるであろう。コメの原料部分の一部についてこれだけの費用がかかるのである。パワー半導体の最先端の生産プロセスを国内で建設する場合に数千億円は投資が必要となる。
パワー半導体はこれから伸びる領域であるが、それ以外の旧来のSi系半導体についても同額かかる。ゆえに1兆円以上の投資が必要と見積もっている。今国内にこれだけの投資をできる半導体関連事業者はいないので、どうしても国策で、となる。
日本における半導体生産に関するニュース記事に人材がいない問題も指摘されている。しかし、若い技術者はいないかもしれないが、定年退職した技術者で元気な人がいる。例えば当方もそのようなプロジェクトが立ち上がるならば参加したいと思っている。まだ若い技術者には負ける気がしていない。年寄りを活用すれば人件費を安くできる。
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ここのところWEBニュースにコロナ後遺症関係の話題が多い。その中に子供のコロナ後遺症の深刻な問題が指摘されていた。すなわち医者が健診を行っても原因不明となる後遺症である。あるいは、子供ゆえにコロナにかかったかどうかわからず放置される例である。
コロナ後遺症ではないが、当方の子供の頃の声が出なくなった体験を基に少しお話ししたい。これも原因不明であるが精神的な要素がかなり大きかったと思っている。その時の状況や周囲の大人の対応は、今でも思い出され、当時の教師には申し訳ないが、教師によるいじめ体験として記憶に残っている。
これには、教師が仮にいじめを自覚していなかったとしても子供心にはいじめに感じられた、という注釈もつけておきたい。この時の体験はFD事件の体験同様に当方の心の傷跡として残っている。
FD事件は破壊されたFDや目撃者もいたので実際に起きた事件であるが、教師のいじめ体験は、当方の受け取り方の問題かもしれないので、声が出ない、という体験がコロナ後遺症の参考になるのではないかという自己診断である。
まず、声が出なくなった原因は子供から大人になる時の変声期が原因だった。それまで高かった声が現在の声のように低くなる過程で、自分の声の高低変化に驚いた。困ったのは音楽の時間で急に低い声が出たりした。無理して裏声を使うと変な声になり、クラスメートに笑われた。
クラスメートに笑われた程度ならよいが、音楽の先生から変な声で歌うな、と注意を繰り返し受け、最後にお前は歌を歌うな、となった。大人から「お前」と呼ばれたのは初めての経験であり、ひどく叱られた感じがした。
実際に教師はきつく当方を叱った可能性が高いが、それ以来声が出なくなった。声を出そうと思っても声が出ないのである。母親は大変びっくりして女学校の友人に電話をかけ、ご令嬢がピアノの教師を目指し音大に通っているというので夜とにかく訪問し、歌の練習をしている。
最初は声が出なかったが、ご令嬢が大変優しくしてくれて、20分ほどで少し声が出るようになり、30分もしたらピアノに合わせて裏声で歌えるようになっていた。まるで森進一のような声だったが、泉谷しげるよりはまともだった。
それから数日通い、今中国のカラオケで歌うように低い声で普通に歌えるようになった。不思議な体験である。ただ、精神的な要素が大きく肉体に影響を及ぼす恐怖を学んだので、精神的に強くなった。
精神的に強くなることは難しいことではなく、自分の強みと弱みを知ることである。自分の弱みについては、隠そうとしないことである。世の中には人の弱みにつけ込む悪い人がいるが、それに対しては強みで対応するのだ。
当方が物事に対して攻めの姿勢で対峙するのは、この体験が生きており、大抵は良い結果が出ている。すなわち、これまでの人生で組織にいた誰もできなかった難しい問題をいくつか解決してきた。
当方にはこれができたが、世の中には自分の強みを見出せない人もいる。例えば子供の場合に大人が強みを指導しない限り、弱みから抜け出せない。褒めて育てる教育が重要と言われるのは、褒めて強みを伸ばしているのだ。
さて、子供のコロナ後遺症で「すぐ疲れ」というのがあるそうだ。ひどい場合にはそれで寝込んでしまう事例も報道されていた。原因不明とされているが、これは当方の子供の頃の声が出なくなった体験と似ていると感じたので、参考までに子供のころの体験を書いてみた。
コロナとの関係であるが、現在の社会状況は子供にとってかなりの恐怖ではないだろうか。当方さえも昨年少し恐怖感があった。TVの報道などもその一因であるが、コロナウィルスの感染特性を理解できてから恐怖感は無くなった。
恐怖感は人様々であるが、自分の持っている知を越えた理解できないものに対し、好奇心あるいは恐怖心なるものが起きるらしいことを本で読んだことがある。情報と知とは異なり、誤った情報が溢れてくると整理がつかなくなり恐怖になるという。知の少ない子供にとっては、情報過多の情報化時代ではストレスが大変大きくなっていることを理解してあげないといけない。
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PPS/6ナイロン/カーボンの単純な配合のコンパウンドで半導体ベルトの押出成形を行うと、パーコレーションの制御がコンパウンド段階で完成していなければ、パーコレーションの問題で悩むことになる。
パーコレーションの問題を押出成形技術で解決するのか、コンパウンドの混練技術で解決するのかは、経験知が無いと結論を出せない。30年以上押出成形を行ってきた職人の経験知に従えば、コンパウンド段階で問題解決しておくべきである。
ゴム会社の職長の経験知によれば、高分子のプロセシングにおいて、コンパウンド段階の技術が一番むつかしいのではないか、ということである。すなわち、成形段階で機能を作りこむ考え方では高分子のプロセシング技術のハードルが高くなる、と言われていた。
技術が人間の営みである以上、苦労が少なくなるように開発が進められるべきである。すなわち、成形技術の研究開発では、技術の上で完成したコンパウンドを用いて行わなければ、何を研究開発しているのかわかりにくくなる。
カーボンのような導体微粒子を高分子に分散し、高分子半導体を製造するときに、カーボンクラスターの変化でパーコレーション転移が安定しない。
しかし、カーボンクラスターを弱いふわふわな凝集体として高分子に分散するとパーコレーション転移を安定化できる。混練の形式知に従えば、分散混合を押さえ分配混合を進める、となるが、言葉として記述できてもやり方が分からない。
カーボンクラスターのドメインのパーコレーション転移を制御しておいてから、そのドメインの分散についてパーコレーション転移を設計してやる、というのが答えである。すなわち、パーコレーション転移をWで制御することになる。詳しくは弊社に問い合わせてください。
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「高分子の混練り活用ハンドブック」という本をゴムタイムズ社から出版しているが、高分子材料を扱っている人には、ぜひ読んでいただきたい。混練技術に関する教科書が分配混合と分散混合を中心に書かれていることに疑問を感じ、ゴム会社で新入社員時代に3か月間座学で学んだ話を中心にまとめている。
高分子に微粒子を分散する事例では、分配混合と分散混合の説明はわかりやすく、形式知として体系化しやすい。しかし形式知として体系化できても、それを実務で役立てることができなければ意味のない学問である。ここで実学偏重という批判は勘弁してほしい。
学問のための学問も尊いかもしれないが、仮に実際の混練現象を説明できない混練の科学という体系を作り上げたとしても意味のないことを理解してもらえると思う。
今から15年以上前に写真会社でPPSと6ナイロン、カーボンの単純な3種類の配合のコンパウンド工場を設計する必要に迫られたとき、1冊10万円前後の教科書を4冊、自腹を切って購入した。
半月かけて読み終えたが、実務では役に立たない教科書だった。少なくとも目の前にあった問題を40万円ほどかけて購入した本の形式知をつなぎ合わせて解こうとしても、ヒントさえ得られなかったのだ。
ただし、外部のコンパウンドメーカーから購入していたペレットの問題点を理解できた(注)が、それを改良しようとしたときの方向が分配混合と分散混合中心の教科書では見出せない。
仕方がないので、35年前に混練の神様のような指導社員から教えていただいたことを記録した手帳を探し出して、それを読み返してみた。カオス混合のアイデアまで書いてあった。そして問題解決の方向を見出すことができた。ゴムタイムズ社から出版されている本は、その時の手帳をまとめなおしたものである。
(注)電顕写真を見る限り、カーボンの大きな凝集体は見当たらないか、細かい均一な凝集体の分散状態だった。すなわち、形式知から分散混合が進んでいると説明できるが、分配混合はどの程度か評価する方法が不明だった。そこで、いくつかの区画を切ってカーボンの数を数えてみたのだが、それが等しかったので分配混合が進んでいる、と理解した。
ゴム会社の職長から伝授された経験知では、押出成形において成形精度の問題だけに集中しないとモノができない「いってこい」の世界である。すなわち、成形精度以外の問題解決は、コンパウンドで解決するのが鉄則である。この鉄則に従ったときに、コンパウンドをどのように改良するのかという答えを既存の混練の教科書に書かれた形式知から導くことができない。
形式知からは導くことができなかったが、ゴム会社で習った「形式知に裏づけられた経験知」で答えを見出すことができた。既存の混練の形式知が間違っているかどうかは知らないが、それがコンパウンド開発に役立たないことを経験した。
当方が中古の混練機を購入し3か月で作り上げたプロセスで製造されたコンパウンドを既存の押出プロセスへそのまま流したところ、ポリイミドベルトよりも抵抗変動が小さいベルトを押出成形できた。押出プロセスは完成していたのである。コンパウンドが未完成だった。
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