広陵高校野球部をめぐる報道で、高野連が「厳重注意」で済ませた対応が妥当なのか、多くの疑問の声が上がっている。ちなみに広陵高校校長は高野連副会長を務めており、教育者であれば出場辞退を提言したはずである。
学校における暴力及びいじめの隠蔽は、企業内の各種ハラスメント以上に罪は重い。ゆえにこれまでの同様の問題を起こした高校は辞退を選んでいる。
広陵高校が辞退を選択しなかったことは教育機関として大きな問題を社会に提示したことになる。恐らく甲子園終了後もこの問題は尾を引くだろう。
報道によれば、1.部内で暴力行為があった、2.学校が高野連に報告、3.処分は厳重注意、4.甲子園の出場は辞退せず、 ということらしい。
ところが、SNSでは集団暴行・転校・隠蔽の話が拡散されている。転校について調べてみると、暴力行為を行った主力選手ではなく、被害者が転校している。
これは、社会的に大きな影響のある問題である。なぜなら、事実だけを書き並べても、「教育現場の事件」として、おかしいことは明らかである。たかが、高校野球で済む問題ではない。
特に当方は加害者ではなく被害者が転校に至った理由を心配している。当方は、ゴム会社で高純度SiCの半導体治工具事業(注)を立ち上げながらも、FDを壊されたり、すさまじい事件が起きて、被害者でありながら転職している。
これはリーダーが隠蔽化したからである。この由々しき事態に当方以外に若手含め合計3人が転職したのだが、写真会社へ転職後、小生が指導社員を勤めた当時の新入社員とは、偶然福井大学で再会している。
そして彼のおかげで、福井大学の客員教授となり、帯電防止技術の研究をまとめることができた。「被害者の転職」は少し幸運な方向に流れたのだが、広陵高校の被害者の場合はどうだろうか。
広陵高校は、もし、被害者のことを最大限に思うならば、本来辞退すべきだったように思う。被害者を転校させて、加害者を甲子園に出場させていたならば、教育現場としておかしいのである。
甲子園大会そのものの在り方を問う問題でもある。教育の一環としての高校野球なら、勝ち負け以上に問われるのが高野連の姿勢である。おそらくここまでの騒ぎとなったのは、高野連もおかしな組織なのかもしれない。
ちなみに2005年の明徳義塾高校の暴力問題では、対外試合禁止処分が課されたために出場を辞退し、準優勝の高校が甲子園へ出場している。2023年豊田大谷高校も暴力事件で自主的に辞退している。
高野連がまともな組織であれば、教育の一環としての活動ということを重く考え広陵高校の試合前に経緯を説明すべきだろう。恐らく暴力問題への対応に関して規定が無いので高野連として暴力を処分済みとして許しました、という今の時代動向からみれば反社会的説明になるのかもしれない。
このまま広陵高校の第一試合を行ったならば、さらに大きな問題となることを高野連はリスクとして捉えるべきである。
広陵高校は事実公開を行って世間の理解を得ようと教育機関としてはあるまじき手段をとっている。過去のどの高校も辞退しているのだ。暴力行為を甘く見ている、と解釈されても仕方が無いだろう。被害者が転向している理由について書かれていないのもおかしい。
すでに新聞にも出ており、今回の一件を最後まで隠し切れないのは自明であり、このまま高野連が放置すれば、甲子園大会そのものを辞めようという社会的動きにつながる可能性がある。当方は、甲子園大会そのものを見直さない限り教育界に歪を残すと思っている。
(注)この事業は、30年ゴム会社で続き、現在は愛知県にある(株)MARUWAに譲渡されて今も続いている。2007年に日本化学会技術賞を受賞しているのだが、2005年に最初の推薦書が出てきて虚偽記載で受賞を見送りとなっている。社会通念上あまりにもひどい内容なので詳細は控える。2007年の推薦書では正しく改められて産学連携成果として記述されている。
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先の選挙で政権与党が過半数を取れなくても、野党は内閣不信任案を出さない、自民党は政権にしがみついている石破総理を引きずり下ろすこともできない、などこれまで見たことのない政治状況が続いている。
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この毎日の暑さも異常だが、今の政治状況も異常である。ところが選挙前には国民の支持率は20%台になったのに、最近の支持率が30%台に回復した異常現象が現れた。
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かつて二党制が叫ばれて、野党の再編が進んだが、それが野党乱立の時代になった。かつて最大野党だった社会党は、社民党として風前の灯だが、共産党は、従来と同じ勢力を誇っている。
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社会党も怪しい政党だったが、共産党の血塗られた歴史よりは受け入れやすかったのに、自民党と共闘を組んでから、急速に勢いを無くした。
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このような歴史を知っておれば、立憲民主党はじめ他の野党もおいそれと自民党との連立内閣など組めない。そうかといって、野党だけでまとまって政権運営ができるのかというと、右から左まで乱立している状態ではまとまらない。
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昔政治とカネの問題で、内閣が辞任した時、自民党のメンバーにクリーンなイメージの人材を探すのが難しく、何やかやとチェックを繰り返し、宇野内閣が誕生したが、69日で簡単に倒閣された歴史がある。
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今自民党内でも後任に選ばれるのも苦しい状況と皆が判断しており、一度下野する案が出ている。玉木氏の名前があがったりしているが、宇野内閣と同じ状況にならないか。
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過去の女性問題は、奥さんがかたずけたとの噂が週刊誌に出ていたが、歴史は繰り返す、で赤いハンドバックでも出てきたら面白い。
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政治の世界に限らず、日本はリーダーの育成が下手である。立憲民主党の野田党首は松下政経塾出身だが、今一つキレが無い。小泉農相が注目されたりするのは、キラリと光るものがあるからだ。メッキかもしれないが光物に弱いのは日本人の習性である。
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79年4月1日にゴム会社へ入社し、半年間の研修を経て10月1日に研究所へ配属された。30代後半の指導社員にとって初めての部下だったので、丁寧な扱いを受けた。
1年間の新入社員テーマとして、防振ゴム用樹脂補強ゴムの開発が設定されていた。大学院が無機材料の講座だった、ということで、毎朝3時間座学で高分子材料のプロセシングの講義を受けている。
すなわち、午前中高分子材料に関する授業があり、午後は自由時間で、新入社員のテーマをこなすという日課だった。最初の1週間は新入社員テーマについて指導を受けている。
驚いたのは、目標となるサンプルを示され、そのサンプルの配合設計の考え方からプロセシングまで講義と実習が行われている。そして、当方の仕事は、その目標サンプルよりも圧縮永久歪が小さいゴム配合を見出すことだった。
検討対象の樹脂とゴムは、材料倉庫の1画に新入社員テーマ用と張り紙がなされ準備されていた。さらに、準備されていた材料の配合で出来上がった樹脂補強ゴムのレオロジーについて、シミュレーションが完了していた。
当方はただ配合を混練し、加硫後物性を計測して、シミュレーション結果と合致するのか確認するだけの作業だった。新入社員テーマとはここまでフロントローディングで用意しなければいけないのか、と驚いた。
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埼玉県行田市でマンホール作業員4名が転落して亡くなったそうだ。10m近く下方の下水管作業で硫化水素が検出されたという。
残念なのは、つい最近の道路陥没事故では硫化水素が発生しているというので、運転手の救助がすぐにできなかった経験知が活かされていないことである。
安全基準に基づいて作業がなされていたかどうか云々という記事が出ていたが、安全基準の前に作業で硫化水素対策が必要と発想されなかったことに疑問を持つ。
さらに10m近く下方ならば、酸欠対策も行いたい。仮に安全基準に書かれていなくても行うべきである。実際に浅くても酸欠事故が下水管工事で起きているのだ。
世の中マニュアル化が進んだが、日々のニュースから学ぶ経験知伝承のマニュアル化ができていない。これは一人一人が気をつけるべき問題なのだが、問題は一人一人の感度である。
今石破総裁が辞職しないことが話題になっているが、何故辞職しなければいけないのか、という疑問が自民党内からも出始めているという。3連敗なので責任論から当然という声があるが、もとは、自民党の裏金問題である。
過去の経験では、石破おろしを加速するところだが、日米貿易の問題やコメ問題、さらには台湾有事の問題が控えている中で辞職することに義があるとは素人でも思えない。ここは政治空白を作らないよう石破内閣に踏ん張って欲しい。
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「郷に入っては郷に従え」-。関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)(80)の発言が波紋を広げている。中国でスパイ行為の罪に問われた日本人社員が実刑判決を受けたことに端を発する。
発言に先立つ同16日には、中国でスパイ活動をしたとしてアステラス製薬の日本人男性社員が北京の裁判所で実刑判決を受けていた。
この問題の記事の多くが中国社会の実情を知らずに書かれている。まず、中国で怪しいことは何事もやってはならない、という原則を忘れてはいけない。おそらく、アステラス製薬の社員は何らかの怪しいことをやった可能性がある。
知らずにやってもアウトである。また、空港に着いたら、そこからすでに行動がチェックされていることを知らなければならない。空港のトイレにもカメラがある。
当方はコロナ禍以前の10年以上中国で仕事をしてきたが、日本で生活するよりも気を使っていた。また、戸外で写真を撮るときには、必ず中国公安に確認をとっていた。
ゆえに戸外の写真には必ず中国人1名以上は入っている写真ばかりである。日本人だけを戸外で撮ることは無い。そのくらい気を使っていても問題が起きる。
たまたま二週間中国で仕事をしたときに、飛行機の時間が1時間遅れ中国滞在時間が1時間伸びて、出国審査で捕まった。知人の中国人に電話をかけて問題解決できたのだが、金銭を要求された。
中国ではこのようなことは日常である。これを賄賂だ、なんだと騒いではいけないのである。騙されたつもりで500元支払った。
支払う必要のないお金でも制服を着ている人や、眉間に傷のある人には、さっさと財布の中身を見せて、お金を支払うのが身のためである。ゆえに当方はいつも財布を3つ持って中国へ出張している。
こうしたことに文句を言いたくなったり、腹を立てたりするような人は中国で仕事はできない。「郷に入ったら郷に従え」とは、そのような意味である。
中国社会のこのような風習を知っておれば、問題は起きない。10年前は日式カラオケが全盛だったが、今虹橋近くは壊滅状態なので夜遊びには気をつけたい。ぼったくりの店が増えており、遊びに行くときには中国人と行くようにしたい。
中国の夜は、安全な場所は日本よりも健全であるので、商談には向いている。不健全なところは日本よりもリスクが高いことを知っておくことが賢明である。2010年前後と2016年以降では大きく変わったので、昔の武勇伝を信用しない方が安全である。
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chatGPTに1970年の東京の最高気温を質問すると8月29日に33.5℃が記録されていたという。当方が高校生の時に夏の合宿は、一日中高校の校庭で行われたが、水道水で十分だった。
しかし、今の東京の夏休みの日中の温度では、一日中校庭でテニスをしていたら死んでしまうのではないか。熱中症どころの騒ぎではない。サウナの中で運動するようなものである。
地球の平均気温が4℃上がったら、などと話題になっていた時代が懐かしい。すでに日本は平均気温で50年前より4℃近く上昇し、最高気温については6℃以上も上がったのだ。
子供の頃の猛暑日には、人間の体温近くになるのを心配していたが、今は人間の体温など簡単に超える猛暑日が連日続いている。
二酸化炭素の影響である可能性が科学的に示されているので、増加防止ではなく、削減を目指さなければいけない。そのための研究も行われているようだが、効率的な方法は植物利用である。
ミドリムシという藻があるが、この繁殖力はすごい。これを東京のビルの屋上で栽培してみてはどうだろうか。きれいな水で栽培すれば、パラミロンを取り出すことができる。
パラミロンは酢酸があれば簡単にミドリムシから取り出すことが可能なので、料理のように個人がミドリムシを食べれば健康増進につながる。ユーグレナを買わなくても良い。
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8月1日になると思い出すのは、複合プリンターの定着ローラで発生した品質問題である。中間転写ベルトの歩留まり向上だけを考えて、2005年に豊川市にある生産技術センターへ単身赴任したら、この問題で揉めていた。
研究開発段階でゴムの耐久寿命については、某国立大学の著名な先生のご指導を受けたアーレニウス法で科学的に完璧に機械本体の寿命よりはるかに永い、との結果を得ていた。その結果を否定する1か月未満という寿命しかない定着ローラが量産試作で発見されたのである。
当方が赴任した時には、量産試作が始まって1か月の段階であったが、市場から回収された20本の不良ローラが山積みになっていた。
赴任したばかりで、MFPの構造すら理解していないのに、原因を尋ねられても普通の人なら困ったと思われる。ただオブジェクト指向を身に着けていたので、目の前のオブジェクトを簡単に説明してみた。
「これは、ゴムの動的破壊が短時間に進行した結果であり、全体の設計に問題があるのか、ゴム材料に問題があるのか、分けて考えなければならないが、発生率が10%未満なので、ゴム材料起因と思われる。」
と、あたり障りのない回答をしたところ、すぐに福建へ飛んでください、となった。中国の福建にあるベンダーの工場で生産されたものらしく、工程の異常を見てきてください、ということになった。
1時間後総務の女性からパスポートを持ってきてください、と連絡がきた。中国出張など考えていなかったのでパスポートなど持っていなかった。日米写真学会の招待講演でカナダに行ったときにパスポートを作っていたが4年前であり、少し心配になった。
品質保証部長から明日東京出張してパスポート持ってきてください、と連絡が入り、単身赴任したばかりなのに、東京へ戻ることになった。なんやかやと訳の分からないまま、周りに振り回されて、気がついたら、福建の日式カラオケで歌っていた。
初日にベンダーの接待でカラオケとは、と疑問に感じたが、とにかく一息つけた時間だった。飛行機の中では、開発担当の一人から、科学的に耐久寿命を行った経緯をべらべら説明されたので、考える時間も無かった。
1曲歌って、定着ローラの製造工程について何も知らないことに気がついた。そもそも開発担当は、大学の先生から学んだ知識を当方に説明してくれたのだが、製造工程については何も教えてくれなかった。
オブジェクト指向の観点からは、成形オブジェクトと加硫工程オブジェクトが、その振る舞いから定着ローラの仕上がりに影響を与えることぐらいが想像できる程度だった。
福建に到着して翌日工程監査のやり直しを行ったが、ベンダーの説明を聞く前に、1時間ほど成形と加硫工程を見せてもらった。そして、二つのオブジェクトのふるまいに影響を与える3つの因子を現場で見つけた。
この3つの因子のうち一つは、慣れてしまえば、疑問に思わないが、初めて見た場合には不思議な因子である。現場で質問したところ当たり前の説明がなされたが、その後これが最も大きな因子であることが分かった。
オブジェクト指向の良いところは、各オブジェクトについて全体との整合性を捉えることができる点である。科学的に一つ一つの因子に問題が無くても、それらが絡み合った結果、異常を起こすことがある。
工程問題には非科学的であるが、オブジェクト指向で頭の中で各オブジェクトのふるまいを検証する思考実験が有効である。E・S・ファーガソンの言葉では心眼である。
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当方の体験した実話をもとに、仕事のやり方を書いてみたい。
まず、転職の原因となった、電気粘性流体の改良技術を担当することになった時の仕事のやり方を公開したい。
当時、高純度SiC半導体治工具事業を一人で担当し、住友金属工業とのJVを立ち上げて、大変忙しい時に、本部長が交代した。新しいI本部長は、6年間研究が続けられても実用化の目途が立っていない電気粘性流体の仕事について、当方に加硫剤も添加剤も入っていないゴムを開発するように命じてきた。
当方に部下が増えるわけではなく、住友金属工業とのJVをやりながらの担当である。すでに過重労働状態でサービス残業をしていたので担当は不可能だった。
プロジェクトリーダーが、ゴムの配合アイデアを出すだけで良い、と言ってきたので、無茶苦茶なテーマなので一晩考えさせてほしい、と答えている。
当時ファイアーストーンの応援のため、ゴムの研究者が研究所に残っていなかったので、当方が一番ゴムについて詳しい研究者という立場になっていた。
一晩考えるにあたり、耐久試験で増粘した電気粘性流体を入手した。当時の電気粘性流体は、耐久促進試験で1時間も持たなかったので、有効な界面活性剤を見つけるには時間がかからなかった。
そこで、「あらゆるHLB値の界面活性剤を用いても、耐久試験を通過できない」という否定証明の研究が、多数の界面活性剤を取り寄せ1年かけて行われたのである。
この科学的に完璧な研究成果をもとに、I本部長は無茶苦茶なテーマ設定をしただけでなく、前本部長が立ち上げたJVをつぶそうとしてきたのだ。
タイヤ事業で世界トップメーカーでありながら、なぜ新事業が育たないのかは、伝統的にこのようなマネジメントが行われている、と言っていた人がいるが、まさにそれを体験するような状況だった。
なんとか新事業をつぶさず、電気粘性流体の仕事も推進することができないか考え、オブジェクト指向とデータサイエンスで乗り切ることを考えた。
そこで界面活性剤のカタログデータを主成分分析したところ、5種類ほど他の界面活性剤と異なる集団が見つかっり、それを用いて耐久試験を朝まで行ったところ、増粘せず、たった一晩で有効性が確認された。
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探偵小説を推理しながら読んだり、日常の異変について原因を考えたりするときに、科学的思考法を誰もがとるに違いない。
科学教育が徹底している日本では、科学的思考法が標準で行われている。これは良いことだが、その結果、ブレーンストーミング等でアイデア出しを行っても皆同じアイデアしか出てこないというつまらない状態になった。
1980年代は、ロジカルシンキングやシステムシンキングなど科学に基づく思考法が流行した。しかし、こうした科学的思考法をセミナーで学んでも当たり前の解答しか出てこなければ、解決できない問題も増えてくる。
ドラッカーは、異なる見解にこそ耳を傾けよ、とか異なる見解を大切にせよとか、著書で自分と異なる見解の重要性を指摘している。
それでは、情報化時代の情報が溢れている状態で、異なる見解を生み出すにはどうしたらよいのか。それは、科学以外の思考法をする以外にない。
科学以外の思考法とは非科学的思考法となるのだが、人類は科学誕生以前にも思考して問題解決してきたので、現代の繁栄がある。
これを思う時、非科学的思考法にも目を向けるべきではないか。この10年マテリアルズインフォマティクスが流行しているが、これを新帰納法とごまかして科学的思考法の中で説明されている。
何故素直に非科学的思考となることを言わないのだろうか、イムレラカトシュの科学の方法を読めば、データマイニングによる知識の絞り出しは、科学的検証がおこなわれない限り非科学的知識である。
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ドラッカーは問題を定義し、正しい問題を見つけることが大切だ、と指摘している。そして、正しい問題を見つけるだけで、目の前のトラブルは80%解決したようなものだと語っていた。
但し、彼は、問題の解決法まで示していない。あくまでも正しい問題を見つける方法について書籍で展開していた。それは、社会という抽象的なオブジェクトを具体化するためのものの見方である。
彼の書籍の普遍さはこの点にあり、資本主義社会が終焉し知識が経済に、そして社会にどのような影響を与えるのかを語っていた。ゆえに、彼の書は、問題解決法の書として読むことが可能で、そのような読み方をしたときにかなり厳しい言葉が引っかかるようになる。
例えば、「優秀な人がしばしば成果を出せないのは、正しい問題を解いていないからだ。」とか、「間違った問題の正しい答えとはどのような意味があるのか」など、心に刺さる言葉である。
さらに、「時々、優秀な人たちにより導き出された、間違った問題の正しい答えで社会に混乱を創り出している」と軽快である。
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