探偵小説を推理しながら読んだり、日常の異変について原因を考えたりするときに、科学的思考法を誰もがとるに違いない。
科学教育が徹底している日本では、科学的思考法が標準で行われている。これは良いことだが、その結果、ブレーンストーミング等でアイデア出しを行っても皆同じアイデアしか出てこないというつまらない状態になった。
1980年代は、ロジカルシンキングやシステムシンキングなど科学に基づく思考法が流行した。しかし、こうした科学的思考法をセミナーで学んでも当たり前の解答しか出てこなければ、解決できない問題も増えてくる。
ドラッカーは、異なる見解にこそ耳を傾けよ、とか異なる見解を大切にせよとか、著書で自分と異なる見解の重要性を指摘している。
それでは、情報化時代の情報が溢れている状態で、異なる見解を生み出すにはどうしたらよいのか。それは、科学以外の思考法をする以外にない。
科学以外の思考法とは非科学的思考法となるのだが、人類は科学誕生以前にも思考して問題解決してきたので、現代の繁栄がある。
これを思う時、非科学的思考法にも目を向けるべきではないか。この10年マテリアルズインフォマティクスが流行しているが、これを新帰納法とごまかして科学的思考法の中で説明されている。
何故素直に非科学的思考となることを言わないのだろうか、イムレラカトシュの科学の方法を読めば、データマイニングによる知識の絞り出しは、科学的検証がおこなわれない限り非科学的知識である。
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ドラッカーは問題を定義し、正しい問題を見つけることが大切だ、と指摘している。そして、正しい問題を見つけるだけで、目の前のトラブルは80%解決したようなものだと語っていた。
但し、彼は、問題の解決法まで示していない。あくまでも正しい問題を見つける方法について書籍で展開していた。それは、社会という抽象的なオブジェクトを具体化するためのものの見方である。
彼の書籍の普遍さはこの点にあり、資本主義社会が終焉し知識が経済に、そして社会にどのような影響を与えるのかを語っていた。ゆえに、彼の書は、問題解決法の書として読むことが可能で、そのような読み方をしたときにかなり厳しい言葉が引っかかるようになる。
例えば、「優秀な人がしばしば成果を出せないのは、正しい問題を解いていないからだ。」とか、「間違った問題の正しい答えとはどのような意味があるのか」など、心に刺さる言葉である。
さらに、「時々、優秀な人たちにより導き出された、間違った問題の正しい答えで社会に混乱を創り出している」と軽快である。
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問題と課題とは異なる。概念として、課題は問題を構成する因子であり、問題が決まると課題が明確になる性質がある。それでは、問題とは何か。
これに明確な答えを示したのは、ドラッカーであり、1980年代には問題学なる学問が生まれている。ロジカルシンキングやシステムシンキング、TRIZなど問題の解法に関するセミナーが流行ったのは1980年代である。
問題の解法としてその基礎になっているのは論理学であり、どの問題解法セミナーでも論理学を基にしており、結局同じような内容を見方を変えて分かり易く教えようとしているものだった。
すなわち、論理学の成立とともに誕生した科学という哲学が分かりにくいので、それをセミナーで教えようと、指導しようと1980年代流行している。
しかし、科学教育が進化するとともに、教員も当方の世代にいた教員の質よりも科学教育という観点で高くなった。昔は、科学をよく理解していない義務教育課程の先生が多数いた。
いまは、生徒の裸の写真を撮影したり、それを科学の力で共有したりする道徳の無い先生がいても、科学を理解していない先生は皆無だ。むしろ科学を悪用したりするぐらいだから、科学教育という観点では50年前よりはよくなった。
その結果、1980年代人気だった科学的な問題解法を教えるセミナーに人が集まらなくなった。弊社は非科学的な問題解法を中心にそれを普及しようと立ち上げたのだが泣かず飛ばずである。
ところが、中国からお声がかかり、ナノポリスでこの非科学的方法を指導したら、人気となりコロナ禍前までいくつかのローカル企業を指導した。
今週高分子同友会でこの手法について勉強会が開催される。ただ与えられた時間が短いので教材をまとめなおすのに苦労した。
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「赤沢経済再生担当相(64)が26日、NHK「サタデーウオッチ9」(土曜後9・00)に生出演し、相互関税を巡る米国との交渉で合意文書をかわさなかった理由について説明した。重視したのはスピード感だという。「米国から取ったものは、関税率です。25%を15%に下げる。ここに“遊び”はまったくないので、取ったものをピン止めする必要も何もなくて、この合意を、大統領令を出して実現してもらうことだけが必要」と説明した。<以上スポニチ電子版>
赤沢経済再生担当相は、野党はじめ自民党内でも共同文書作成を言っているのはピント外れだとも指摘していた。とにかく1日でも早く関税を下げることが重要で共同文書はそのあとだとも。
このようなケースを当方は何度も経験してきた。スピード重視の仕事を目指せば当然犠牲にすべきところが出てくる。そこを外野は手伝って補おうとするのではなく、やんややんやと騒ぎ立てるのである。
当方の仕事で、3か月間でカオス混合のコンパウンド工場を立ち上げたときに、この手の輩が最初に騒いだ。
しかし、当方は退職する決断もできていたので、この手の輩含め、これが年内に成功しなかったら新製品を出せず5000億円の赤字になる、と書類をばらまいたら静かになった。
5000億円が正しい数値かどうか当方も自信はないが、皆赤字になればボーナスが下がることは知っている。さらに5000億円という数値は一部門の管理職の責任で済まないことも理解していた。
常識では1年半かかる仕事を3カ月でやり遂げたことの不思議さには誰も関心を示さなかった。当方が自腹で出張したり、休日を返上した成果でもある。そのような苦労はだれも関心を示さないのだ。
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化学工学で低粘度の、例えば水の撹拌機の研究は、20世紀に完成しており、シミュレーション技術もかなり精度の高いソフトウェアが存在する。
ラテックスの合成や酸化第二スズゾルの開発では、アイデアを練るために活用し、その精度に驚いた。しかし、これがゴムなどの高粘度の撹拌機になると、途端に話が変わる。
未だ二軸混練機のシミュレーターで良いものが無い。しかし、スクリュー開発では十分に役立っていると聞くので、スクリュー技術を疑っている。
様々なニーディングディスクやローターが作られたが、バンバリー+ロールのプロセス以上の混練を進めるスクリューに出会ったことが無い。
ところで、このバンバリーについては誤解があり、密閉型ニーダーと混同されている方がいる。もっとも装置メーカーのカタログを見ていると、バンバリー型ニーダーなる装置が載っていたりするのでめまいがする。
バンバリー社が作った密閉型ニーダーをバンバリーと呼び、歴史的に唯一の装置である。進化した現代のニーダーとは、スクリュー形状やオイルシールの構造が異なる。
バンバリーでカーボン配合を混練すると軸受け部分からカーボンの微粒がガスのように吹き出たりする。これが、最新のニーダーでは起きない。
バンバリーの方が性能が悪いように見えるが、どのみち3分程度しか混練しないので、バンバリーで十分なのだ。すなわち、ゴムの混練で重要なのはロール混練で、コンパウンド性能はこのプロセスで決まる。
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高分子成形体の品質管理で重要なパラメーターを一つあげよ、と言われたら密度と応えたい。
成形体の用途により、かわるだろう、というツッコミがあったとしても、密度は上位2番目までには入る。フィルムであれば、密度に代わりフィルムの厚みでも良いかもしれない。
とにかく密度は重要である。高分子の自由体積部分を制御することが難しい、というのがその理由だが、高分子の球晶さえもその密度がばらついていることを知ると、ますます密度の重要性が高まる。
物質の結晶は、物質の密度を決める重要な因子であるが、高分子の結晶は、アモルファス部分をその構造に含む球晶であり、密度が多少ばらつく。
ところが、高分子のアモルファス部分(非晶部分)には、部分自由体積と呼ばれる構造があり、その構造の量の影響を受けて密度がばらつく。
密度がばらつけば、密度と相関する弾性率や誘電率がばらつく。光磁気機能を要求される分野では、誘電率が関わるので、その機能が密度のばらつきに影響さればらつく。
弾性率は、引張強度や衝撃強度にも影響を与えるので、同様に密度のばらつきの影響を受ける。またケミカルアタックも注意深い実験を行うと密度依存性を見出すことができる。
さらには、物質の変形も密度の影響を受けるのだが、これが意外と知られていない。昨年燃料ポンプのエンペラーの不良でリコールを大量に出した会社があるが、その自動車会社のホームページには密度管理できていなかったことが書かれていた。
実は密度がこのように影響することは50年以上前から知られていたのだが、軽視する技術者が多かった。PETフィルムでも厚みを軽視していたりした状態を見て目が点になった。
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PETの動的粘度特性を溶融温度から降温測定を行うと、結晶化温度近くまで低粘度状態であり、結晶化温度で急激な粘度上昇を示す。
これがPCでは、粘度上昇しながら室温まで粘度特性を計測可能である。PETの射出成形がPCより困難な理由だが、PETの押出やブロー成型では、この粘度特性が幸いする。
飲料用のPETボトルや卵トレイを成形するためのフィルムを製造する分には、PETという材料は扱いやすいレオロジー特性と言える。しかし、これが光学用フィルムとなると、レオロジー特性以外の問題が発生する。
その問題の幾つかは解決済みであるが、未解決の問題も存在する。下引き処理をインラインで行うと、その問題が、フィルム成形起因なのか下引き起因なのか不明となる。
トランスサイエンスの問題であり、原因不明のまま、当方はお役御免となったが、その後PPSの押出成形を経験し、同じ問題がPPSでも発生していることを発見した。
PETでは問題解決できなかったが、PPSでは問題解決できて、改めてPETの問題を考え、発生機構を仮定ではあるが、推定できた。
PETフィルムやボトルを眺めているだけではアイデアが出てこなかったが、レオロジー特性の異なる高分子の押出成形を経験し、アイデアが生まれる体験をするといくつになっても嬉しいものである。
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立憲民主党は、気合を入れて内閣不信任案を提出すべきである。
参院選が終わり、ひと段落したところで野党の不甲斐なさが目立つ。国民民主党も参政党も元気がいいようだが、立憲民主党がふがいない。
与党を過半数割れに追い込んだのだが、立憲民主党も国民から支持されていないことに気がついたからである。すなわち今回の選挙結果は、与党と野党の戦いではなく、旧勢力と新勢力の戦いだったのだ。
新勢力をポピュリズムと解決するのは簡単である。しかし、実際はそのような単純な言葉でくくれる変化ではない。
例えば、大阪では世良公則氏が落選したが、比例ではラサール石井氏が当選している。民社党の存在感がそれなりに認められたわけではない。ラサール石井氏の票で生き延びただけである。
こうした細かい選挙結果を見てゆくと、今回の参院選でかろうじて与党が過半数割っているのが、回復する可能性もあるのだ。
すなわち、今野党が内閣不信任案を出してきたなら、自民党もそれに賛成し衆院選を行うと、与党が過半数を回復する可能性も見えてくる。もし、与党で関心のあるかたはご相談ください。短期に支持率を回復する奇策があります。
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今DXについてまとめているが、単純なデジタル化プロセスではないことに気づかされる。第一次AIブームから静かに起きていた。例えば、刑事コロンボの大ヒットもDXだった可能性が高い。
倒叙探偵小説というスタイルだが、面白いのは、科学が誕生してシャーロックホームズが活躍する探偵小説が生まれている。そして多くの探偵が誕生するのだが、20世紀初めに、「歌う白骨」という倒叙探偵小説が生まれた。
この倒叙探偵小説とは、最初に事件が描かれ、読者には犯人なり事件の全容が知らされて、探偵が犯人を逮捕するまでのプロセスを楽しむ小説である。すなわち、犯人の推理を楽しむ小説ではない。
刑事コロンボでは、事件の全容が最初に描かれるだけでなく、コロンボ刑事が現場で何か証拠が無いか格闘する場面が描かれたりする。まれに部下たちの報告を聞くだけの日もある。
しかし、シャーロックホームズが、事件解決に行き詰まるとベーカー街へ戻るように、刑事コロンボは、推理に行き詰まると殺人現場へ戻る。すなわち、この違いがDXでもあるように思う。
ちなみに、刑事コロンボが始まったのは、第一次AIブームが終わり、日本で情報工学科設立ブームが始まる頃である。第一次AIブームの成果として逆向きの推論が生まれている。
また、トランスサイエンスが同時期に生まれているのだが、日本では21世紀になってこの言葉が注目されている。アメリカでトランスサイエンスが流行した後、セレンディピティーという言葉が流行った。
そのころ、日本ではセラミックスフィーバーが始まり、セラミックス材料の開発にはセレンディピティーが有効などともてはやされている。実はこの言葉はトランスサイエンスの解決法として生まれた言葉だったが。
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事前の予測に近い結果と、開票速報が始まるや否や当選確実がでるなど毎回おどろく。社民党のラサール石井氏が当選し、社民党が1議席獲得したのにも驚いている。
大阪では、世良氏の立候補で当初カオス状態と言われたが、維新の会の底力か、安定得票で当選している。しかし、東京では票が伸びず東京選挙区で維新の会は議席を確保できなかった。
今回の投票結果について、各局から解析結果がこれから出てくるだろうが、与党の微妙な負け方に国民の意志が現れていると当方は思っている。
無所属議員と調整すれば、かろうじて過半数となるのではないか。それを見込んでか、石破首相は続投を表明している。自民党内部では続投を否定する意見も出ているが、自民党内のパワーバランスを考慮すると続投しかなく厳しい政権運営となるだろう。
問題は、野党第一党である立憲民主党の票が伸びず、国民民主党と参政党が大きく伸びている点である。国民民主党は党首の不倫や汚物4人衆とか言われた公示前のごたごたが無かったかのような躍進である。
ポピュリズムの時代などと言われているが、もしそうならば、他の野党ももう少し自民党の票に食い込んでも良いように思う。党首の不倫にも拘らず、国民民主党が伸びたのは、その政策方針が明確に国民に浸透した結果ではないか。
知名度の高い山尾氏のごたごたを跳ね返している。山尾氏は国家の在り方を前面にして戦った結果、その知名度を活かせず惨敗である。
今回投票した国民の多くは、冷静に政治を考えて投票したに違いないと当方は結果を見て感じた。GDPがバブル崩壊後30年上がらない状態は、DXの進展に対応できていない日本企業だけの責任ではなく政治にも問題がある、と国民が気がついたのである。
そして、まだ国民は自民党に未練がある投票結果だった、と思う。立憲民主党が大幅な躍進ではないので与党と野党という対立軸ではなく、古くからの政党対新興政党という対立のような結果である。
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