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2021.10/24 耐熱性高分子

50年ほど前に耐熱性高分子の研究が盛んに行われた。そして一次構造の耐熱性への寄与について結論のようなものが出されている。ここで「ような」と書いたのは、一部研究者により見解が異なる点があるからだ。


そもそも耐熱性高分子と言っても空気中における耐熱性なのか、非酸化雰囲気における耐熱性なのかにより視点が変わる。空気中の耐熱性であれば耐酸化性を考慮しなければならず、不飽和構造は酸化されやすいので非酸化性雰囲気で耐熱性が高いと判定されても空気中では耐熱性の順位がさがる。


ゆえに耐熱性高分子と簡単に表現してもどのような高分子を耐熱性高分子と呼ぶのかは、「耐熱性」の条件により変わってくる。簡単に耐熱性高分子について論じることができない。


さらに一般使用の状況を考えたときに、ガラス転移点(Tg)が耐熱性の指標となる場合もある。例えば高分子構造材料では、Tg以上で緩和速度が上がるので、Tgの高い樹脂が選ばれたりする。


食洗器で洗浄可能なプラ容器かどうかはこのTgで決められている場合がある。すなわちTgが70℃以下の材料でできた容器を食洗器で洗浄すると変形する。但し、Tgが70℃以下でも一部架橋構造の導入された樹脂であれば変形しにくい。


この架橋構造も食洗器レベルであれば、結晶構造がその役目をできる。ただしこの時には結晶の融点が高く結晶化温度が十分に低い必要がある。


耐熱性高分子の開発は40年ほど前まで盛んに行われたが、以上の問題もあり研究は下火になっていった。また、当時の研究成果でも耐熱性=燃えにくさと一般化できないことも分かり、燃えにくい高分子の研究は難燃剤の開発へ中心が移動した。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2021.10/23 フェノール樹脂

フェノール樹脂は耐熱性高分子として、合成樹脂の登場初期から活用されてきた。それゆえ燃えにくいだろうと誤解されている人も多い。


燃えやすさ燃えにくさの指標として極限酸素指数(LOI)がある。LOIは酸素と窒素の混合空気中の酸素濃度を指数として表現した数値で、21より大きい材料は燃えにくく、21より小さい材料は空気中で燃え続ける。


ちなみに、21という値は、空気の組成をLOIで表現した時の数値である。この数値でフェノール樹脂の燃えやすさを表現すると、製造条件によりLOIが19から38以上まで大きくばらつく。


すなわち、耐火性が高いと思われているフェノール樹脂も、製造条件が悪ければ空気中で燃えてしまう材料となる。ただし適切な製造条件が選ばれ管理された状態で製造されたフェノール樹脂ならば大変燃えにくい樹脂となる。


フェノール樹脂には酸触媒で硬化させて樹脂を製造するレゾール型フェノール樹脂とアルカリ触媒で硬化させるノボラック型フェノール樹脂の2種類存在する。いずれの樹脂も触媒量と製造条件が不適切であれば空気中で燃えやすいフェノール樹脂となる。


この燃えやすいフェノール樹脂と燃えにくいフェノール樹脂の差異は、三次元化した割合の違いで現れることが50年近く前にパルスNMRと熱分析を組み合わせて明らかにすることができた。


すなわち、一次構造が線状に長く伸びているような部分が多いフェノール樹脂は、燃えやすく、一次構造が分岐し網目を形成するように伸び、自由体積と呼ばれる部分が少ないフェノール樹脂は燃えにくいことが明らかとなった。

 

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2021.10/22 冷却しやすく保冷も可能

世の中には、科学的に矛盾する二つの現象について二律背反と言う言葉があり、それを両立することは不可能と結論されてきた。表題も熱伝導の仕組みをご存知の方であれば、両立するのは二律背反で不可能と一笑に付されるかもしれない。


すなわち、熱伝導性の高い材料は、それゆえ熱が逃げるのも早く、熱しやすく冷めやすいのが科学の常識である。冷却であれば、冷やしやすくすぐに常温にもどる材料となる。


電子伝導では、半導体材料が帯電防止分野や複写機などで実用化されている。この半導体材料は、その導電性領域をうまく制御してやると、帯電しやすく電気を流しやすい材料とすることができる。


絶縁材料は誘電体と呼ばれ帯電しやすいので、電気分野では二律背反を実現する材料が存在する。これは科学的に解明されていないが、いくつかの実験、すなわち当方の経験から、帯電は直流的な現象であり放電は交流的な要素が機能するためと理解している。


帯電しやすく放電しやすい材料はトナーを用いた電子写真システムでは重要な機能であり、科学的に未解明なところがあっても技術が進歩してきた。


しかし、熱については密閉状態にすれば、すなわち内部の気体を外部に出ないようにすれば冷却後の保冷は可能となるので、冷却しやすく保冷もしやすい材料はニーズが高くなく技術開発されていなかった。


加熱機器では、オイル循環装置が加熱しやすく保温機能も持っているので、一応熱現象の二律背反を実現している技術とみなせるが、空調服でこの仕組みを取り入れると宇宙服のようなスタイルとなってしまう。


もっと簡便に熱伝導の二律背反技術を実現できないかと考えて、実験を行い昨日の発明にたどり着いた。この発明により1着3万円前後の空調服を実現可能で、プロトタイプができておりこの技術にご興味のある企業は弊社へ問い合わせていただきたい。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料

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2021.10/21 ペルチェ素子を用いた空調服

この数年で形成された新マーケットとして空調服がある。暑い夏の工事現場を涼しくする服として、扇風機付きの空調服が開発された。改良が進み現場作業者以外にも使用されるようになった。そして大ヒットしNHKでも取り上げられた。


ただ、この空調服のなきどころは、扇風機で外気を体の中に送る仕組みであり、ホコリっぽいところでは体に埃を吹き付けることになる。さらに、このコロナ禍のシーズンでは、コロナウィルスを吸い込むような仕組みとなっている。


本当にウィルスを吸い込んだかどうか知らないが、ただ扇風機をつけただけの仕組みで大ヒットしたならば、ペルチェ素子で冷却したら面白いだろうということで、発明がなされ特許が出ている。


しかし、なかなか製品が出てこないと思っていたら、ペルチェ素子で冷却しても期待通りの冷却が難しい、ということで開発がとん挫していたようだ。実は昨年この発明者が相談に来られたのだが、実物を前にして相談内容を聞き、公開されている特許のままでは実用化できないことがすぐに理解できた。


そこで新たな特許を3件出願し、当方のアイデアと実験結果を基にプロトタイプを組み立てたところ気持ちよく冷えた。ペルチェ素子を大きくすればガンガン冷えることは理解できたが、この大きさでこの気持ちよさからこれ以上改良しない方が良い、と感じた。


ところが、である。相談者の主たる事業がコロナ禍で資金繰りが悪化し、一時は弊社への支払いも滞り、結局今年の夏の商品化ができなかった。来年にむけてどうしようか、という相談をしているところだが、弊社としては開発費を回収したいので、この空調服を事業化したい人を探している。詳細は弊社へご連絡してください。


なお、本件は相談者も了承済み事項であり、事業化に際してはすべて弊社一任となっております。弊社では、今月先着順に弊社事務所で技術を公開したいと思っています。特許はまだ公開されていないので、周辺特許出願のご希望に沿うことが可能です。

カテゴリー : 一般

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2021.10/20 努力の習慣

昨日の話にどうしたら努力できるのかと質問を頂いた。コビー氏ではないが、努力を習慣化すればよいだけであるが、いくつかコツがある。


ここでは一つだけ紹介する。「自分をほめてやりたい」とは有森氏の言葉だが、この言葉の持つ意味と奥深さは相当なものがある。また、有森氏が言った言葉ゆえにその意味の膨らみも大きい。


「努力しても成功するとは限らない」は内村氏の言葉だが、人生の価値は出世や仕事の成功だけではない。むしろ出世など長い人生を思うとあまり意味が無い。例えば先日判決が出た池袋母子ひき殺し犯は、ネットで上級国民と騒がれたりしたが、裁判の過程における発言や態度を見る限り、人間としての良識を欠いた人物だった。


当方のFDを壊した犯人もそれなりの役職の人物であり、その事件を隠蔽化したのは研究開発本部を統括していた取締役と聞いている。自分の出世のために他人から成果を奪って生きてゆくサラリーマン人生にどれだけ価値があるのだろうか。


組織を離れれば、その人の人生の積み重ねで生きてゆくことになる。その一部に他人の業務妨害までして出世しようとした歴史が残ることは恥ずかしくないのか。当方の研究成果を勝手に論文にした大学の先生もそうである。


ご自分が全く関与していない研究の成果だけを奪い論文を書く、そこまでして研究者としての立場を守りたいのだろうか。またそのようにして守られた人生は、空しくないのだろうか。一度出版されれば永遠に証拠として残ってゆくのだ。


確かにポリエチルシリケートとフェノール樹脂を前駆体とした高純度SiCの研究は、それを自分の成果のようにして学会賞を狙う人物まで出てきたように第三者から見て素晴らしい発明だったのだろう。


当方はこの発明を徹夜や休日返上した過重労働によりたった一人で成果として出している。そして、この成果について何ら報償を受けていない(注)。FD事件を隠蔽化されて退職したゴム会社から特許報償も受けていない。住友金属工業との共同出願特許が成立しており、少なくともこの事業報償があったことを理解していてもである。


死ぬほどの努力をなぜしたのか、と聞かれたことがある。その時「生きるため」と答えている。知識労働者として生きるために知識を獲得する努力は、人間の基本3欲求と同様に重要である。


(注)窓際となり豊川へ単身赴任したその日に無機材研でご指導いただいた総合研究官からお手紙を頂いた。ゴム会社では信じてもらえなかったポリエチルシリケートとフェノール樹脂の均一混合されたポリマーアロイを用いた高純度SiC合成法を実証できるチャンスをくださった方である。基本特許は無機材質研究所から出願されたのだが、その時この方がゴム会社から頂いた特許報償をすべて小生にくださる約束を言われた。小生はお気持ちだけで十分とお答えしたが、その方が退職されるときに当時の思い出とともに激励の手紙を小生に下さった。写真会社へ転職し一番つらかった時に頂いたこの手紙が起爆剤となり、カオス混合装置が発明されている。努力を見ていてくださる人が必ずいるのだと確信した。世の中には悪人ばかりでなく神様のような人もいる。

カテゴリー : 一般 宣伝

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2021.10/19 努力しても成功しない

昨日の日刊スポーツ電子版に内村航平氏がオリンピック会場から去った訳を語っていた。そこで彼は「努力しても成功しないことがあると経験した」と、ものすごいことを語っていた。


当方など努力の塊が人生のような生き方をしており、高純度SiCの発明のような成功もあるが失敗の数は多い。また今の彼よりも若い18歳の時に一度大きな挫折をしている。当方の人生の失敗談など価値が無いかもしれないが、昨日の彼の失敗談は一読の価値がある。


「努力は裏切ることもある、その事実に受け身で甘んじるつもりはない」と語る彼の話は、やはり卓越した天才であることを理解させる。


凡才の人生を生きてきた当方ならば、「努力は報われるとは限らない。報われないことの方が多いかもしれない。しかし、一生懸命努力した結果の失敗であれば、必ずそこに成長がある。それを楽しみに努力したい。」


内村航平氏は、彼の言葉から想像するに、まだ挑戦者である。当方は、さほど大きな成長を望めないことが分かっていても毎日ギターの練習をしている。ここで一生懸命努力するのはボケ防止のためである。


スポーツ選手ならば、早い人で25歳から能力の低下が始まる。フィギュアスケートでは25歳前後で皆引退している厳しい世界である。知的労働者は努力しなければ、40歳から能力の低下が始まるかもしれない。


あの孔子は40にして惑わず、と言っている。15歳から学び始めて40で悟りをひらいたと説明されているが、おそらく学ぶ努力を辞めたのだろう。サラリーマンは少なくとも定年まで学ぶ努力したほうが良いように思っている。


学ぶ努力は第三者が見て価値のない趣味でもよい。当方は努力の価値もないようなギターの練習を始めたが、若い時には挫折して楽譜の最後まで弾けなかった「禁じられた遊び」をようやく弾けるようになった。


練習を始めて50年弱である。途中まったくギターを弾いてなかった期間が40年以上あるので弾けるようになるまで少なくとも5年程度はかかった計算になる。


若い時にできなかったことが、この年でできるようになった感激は、高純度SiCの発明をしたときと同じような興奮を覚えた。そしてコロナ禍前よりも頭の回転が速くなってきた実感がある。練習後の首の運動で首の回転が楽になったのである。

カテゴリー : 一般

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2021.10/18 配合設計

身の回りのゴムや樹脂は、高分子だけで作られているケースは稀である。また、高分子は分子量分布を持っているのでそれ自身が多成分系であり、分子量が1000未満のオリゴマーが可塑剤の働きをしている場合も存在する。


ゴムや樹脂は、加工性や使用される条件に合わせるために耐久性を上げる必要から各種添加剤が使用される。そのために配合設計技術が重要になってくる。


コンパウンド開発や部材開発を行っている企業では、伝統的な配合設計技術が存在している。当方が写真会社へ転職した時にも塗布液の設計方法についてノウハウが存在した。


しかし、その設計方法が今の時代にも合理性を発揮しているとは言い難い例もあるので、環境問題解決が必須となった現代において見直しをするには良い機会ではないかと思う。


20年以上前のことなので問題ないと思うが、塗布液の配合設計において必須の添加剤が存在した事例を紹介したい。その添加剤は塗布された後に無害となるが、化合物単体では環境適合性がない素材だった。


当方はこの化合物の使用を禁止したいと思ったが、担当者から不可能と言われた。PETの表面処理には必須の素材だという。確かにその化合物の構造から機能性を十分に理解でき、コーティング用には不可欠との説明を理解できた。


それでも、当方が心配したのはその化合物が使用禁止となった時に新たな技術開発をしていては遅い、と言う問題である。環境問題とは、企業にとって突然死を宣告するような事態を招く問題である。


伝承されていたその化合物の機能性について異なる視点で見直し、新たなコンセプトの技術を担当者に提案してみたが採用されなかったので、自ら実験を行いその有効性を確認した。


この新たなコンセプトを実用化するために現場の説得も必要となり時間がかかったが、伝統的な配合設計技術を新たなコンセプトの設計技術に転換することに成功した。しかし、10年近くかかった。


配合設計技術は長い間伝承されてきても時代の進歩に合わせて見直す必要がある。しかし、その刷新には時間がかかる。一因として市場の問題を恐れる保守的な考え方があるが、今はロバストを検証できるタグチメソッドという方法がある。当方の新たなコンセプトもタグチメソッドを使用し実用化されたが、ロバストは従来技術よりも高かった。

カテゴリー : 高分子

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2021.10/17 高分子の教科書

当方の時代に大学4年までの授業のカリキュラムにおいて高分子の教科書は、高分子合成に関するものだけで、高分子物性については自分で学ぶ以外に接する機会は無かった。大学院でレオロジーに関する外部講師による特別講義が唯一の高分子物性論であり、その時は数ページの印刷物が大切な教科書だった。


高分子合成に関しては2種類のタイプの教科書があり、一つは純粋に高分子合成法についてだけ書かれており、他の一つは高分子物理に少し近づいた内容で高分子ブレンド系の話が出てくる。ただし物性論まで展開されていない。


日本人の著者によるこの本は、フローリーの高分子とポリマーの総説の良いとこどりをしたような教科書だった。予定外で大学院に進学した時に、心を入れ替え2年間必死に勉強しようと無機の講座に進学したにもかかわらず、高分子の勉強を独学していた。


ゆえに大学院までの6年間に購入した高分子の教科書は10冊を超えており、無機化学の教科書よりも多い。大学院で高分子の教科書を買いあさったのは、高分子を十分に理解できる教科書が無かったからだが、それは当方の頭の悪さだけが原因ではなく無機化学の教科書よりも体系的でなかったため、わかりにくい教科書が多かったためだと思いだされる。


無機化学は結晶と熱力学の体系で相分離現象まで合成から物性までうまくまとめられており理解が容易だったが、高分子の教科書ではその構造と物性について当時はまだわかっていないことが多かったため仕方がなかったかもしれない。


学部の授業も無機化学の先生は優秀にみえて、高分子の先生はどこか頼りなげな先生が多いように思われた。無機の講座に進んだ原因でもあるが、高分子の教科書をいろいろ集めて学んでみてもフローリーの教科書以外はわかりにくかったので、授業が分かりにくかったのはあながち講師の力量ばかりではなかったのかもしれない。


無機化学の講座で学びながらも就職先に選んだ会社はゴム会社で、面接官に何をやりたいか聞かれ返答に困り、「社長をやりたい」と応えている。この答えが良かったかどうか知らないが、採用されて研究所へ配属された。


そこで出会った指導社員は、今日まで含め当方にとって最も優れた高分子科学の先生である。たった3か月間だったが、毎朝9時から12時まで座学で午後は自由時間となった毎日の生活はゴム漬けであり、「指導社員から学んでも無駄知識となると言われた」ダッシュポットとバネのレオロジーはじめ高分子の構造と物性の当時最先端の知識を伝授された。


自由時間はバンバリーとロール、粘弾性装置、テンシロンを自由に使うことができ、学んだ知識をそこで確認することができた。1年のテーマをサービス残業の繰り返しにより3か月で仕上げることができたが、学んだ知識を展開してまとめた防振ゴム用樹脂補強ゴムの報告書は卒業研究のようなレポートとなった。指導社員からそこまで仕上げなくても良かった、というお褒めの言葉を頂いている。

カテゴリー : 一般 高分子

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2021.10/16 知識の伝承

音楽は全くの素人と言うよりも不得意科目だった。それを改めて学ぼうと努力しているのだが、教則本をいろいろ取り揃えて読んでいると面白いことに気がつく。


ギターの教則本と言えばカルカッシの教則本がクラシックで有名であり、ジャズやロックの教則本にもこの流れをくんでいるものもある。古い教則本に多いが、新しい教則本にはジョー・パスの教則本に類似の構成が多い。


すぐにギターが弾けるようになる本は無いかと探していたら、10数冊ギターの教則本ばかり集まった。面白いのはNHK趣味のギター教室の教則本である。神田の古本屋で見つけた1970年代のNHKギター講座の教則本は古賀メロディー一色である。


今ならば編集会議でクレームが出ただろうと思われるが、古賀メロディーにチャレンジしたい方は、この教則本が良いかもしれない。2009年のNHK趣味悠々の教則本は石川鷹彦氏が担当しており、これは70年代のフォークソングで全体が構成されている。


アントニオ古賀氏の教則本はカルカッシのそれに近いが、石川氏の教則本は読み物として仕上がっており、DVDも付属しているのでお買い得である。要するに見て覚えよ、というスタイルである。


後者は1曲1曲仕上げてゆきながら学べるので飽きない限り楽しい教則本である。前者は運指方法の練習で多くの人は挫折するかもしれない。


養父貴氏の「ギターで覚える音楽理論」は、1-2曲ギターの弾ける人には適した理論書と思われる。基礎的な知識から始まり、論理的に構成されている。但し、これを読み終えたからと言ってすぐにジャズギターを弾けるわけではない。


布川俊樹氏の教則本は、いろいろ出ておりCDも発売されていた。この人の著作だけでも5冊買い込んだ。矢堀孝一氏についてはDVD含め3冊あり、面白いのはジョー・パスと布川氏の良いとこどりをしている。


教則本ばかり読んでいてもなかなかギターが弾けるようにはならないが、2年近く様々な教則本を読んできて面白いことに気がついた。自然科学の教科書には大体の定型的な流れがあるが、ギターの教則本はバラエティーに富んでいる。


最初に書いたようにおおよそのタイプに分類することも可能だが、著者の気持ちになって読んでみると、それぞれの流儀が見えてくる。例えば矢堀氏は布川氏にギターを習ったと序文で述べておられるが、著書の流れは布川氏ではなく、ジョーパスである。ジョーパスの影響を受けているのかどうかは知らないが、布川氏のスタイルと少し異なる。


昔、バーローの物理化学を読み、本の構成も含め教科書としてその斬新さと癖の強さに感動したことがあるが、自然科学の教科書にはこのような例は少ない。ゆえに形式知と呼ばれるのかもしれない。

カテゴリー : 一般

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2021.10/15 無機化学と有機化学

昨日音楽における固定度と移動度の違和感を感じたことから音楽教育についてその指導要領を見直してほしい、と一言書いたが、形式知にもそのような部分が存在する。


当方は、FDを壊され転職したという不幸からセラミックスから金属、高分子材料まで学習する幸運に恵まれた。学位論文の中心が高純度SiCの反応速度論だったので、高分子材料についても何かまとめたいと思っていたら、ゴムタイムズ社から「混練」について教科書を書いてほしい、と依頼されたので2年前ハンドブックとして上梓している。


この本では高分子の混練について知っておくべき知識を経験知と形式知を中心に分配混合と分散混合の体系を意識して(材料の変性を意識し、材料を中心として、分配混合と分散混合とは異なる視点で)まとめている。4500円とこの手の本としては安価であり、弊社にご注文いただければ、消費税と送料をサービスいたします。


さて、固定度と移動度に潜む違和感以上に違和感を感じているのは、無機化学と有機化学で議論される結晶や、拡散、混合に関わる現象についてその説明である。


自然科学において数学は現象を記述する言語のように例えられる。ゆえにそれぞれの分野で現象を説明するときには数学表現で行われるのだが、無機化学でうまく表現されていたものが有機化学ではうまく表現できないにもかかわらず、強引に当てはめられているような違和感を持っている。


無機化学ではイオン反応が中心になるので、原子の玉を仮定して議論を進めればよいので数学で表現しやすいが、有機化学では、C-C結合で一定の立体形状を持たない分子の引き起こす現象となり、数学表現が複雑化する。


これを取り扱いやすくするために粗視化したりして計算するが、その結果について固定度と移動度以上に強い違和感を感じているのは当方だけだろうか。この違和感のおかげで、写真会社では数多くの特許を書くことができた。ジョー・パスの枯葉において多くのアイデアが展開されている理屈と同じである。

カテゴリー : 一般

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