Li二次電池の固体電解質は、10-1000Ωcm程度の導電性があり、現在実用化されつつある。かつて,ホスフォリルトリアミドやホスファゼン固体電解質を学生時代に検討し、ゴム会社に入社後その材料の導電性について評価した経験がある。
その結果は、論文発表され、当方の学位論文に成果が記載されている。しかし、世間で注目されたホスファゼン固体電解質は、当方が検討したホスファゼン固体電解質と少し異なり、ホスファゼンポリマーの固体電解質である。
当方の検討したのは、環状ホスファゼンの側鎖基に芳香環をつけ、それをスルフォン化した化合物である。水素をLiイオンにイオン交換可能で、実際にイオン交換した場合の電気特性も測定している。
最良と思われる構造をもったホスファゼン化合物では、1000Ωcm程度のプロトン導電体で、これをイオン交換したLi電解質では、1000Ωcm程度の体積固有抵抗を示した。
当時は、今ほど知識が豊富ではなかったので、研究をそこで辞めているが、改めて過去の研究を見てみると、ホスファゼンポリマーとしていない点がメリットになり、100倍程度導電性を改良可能ではないかと思うようになった。
ちなみに体積固有抵抗の逆数が導電率となるが、昔は1000Ω㎝程度であると導電率で表現するのが恥ずかしい、と言われていた時代である。
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タイヤにはカーボンブラックが40%前後含まれており、このリサイクル用途として電池用カーボンが考えられる。しかし、単純な熱処理だけでは今の技術に適合したカーボンにならないどころか、品質の維持が難しいことをヒューリスティックに思い浮かぶ。
しかし、廃タイヤのリサイクル用途として電池用カーボンの可能性を期待できるのは、最初からグラファイト構造を持つカーボンが配合されている点である。
カーボンの種類はタイヤメーカーごとに異なっていてもグラファイト構造のカーボンが主体に使用されていることは共通している。ゆえに技術さえうまく開発すれば、品質管理は意外と容易になる。
電池用カーボンとして、名古屋大学のグループがグラフェンを用いる技術を開発しているが、どれだけ大量のLiイオンをドープ可能なカーボンを設計できるか、という問題の一つの答えである。
同様に廃タイヤに含まれるカーボンもその処理プロセスをうまくデザインすれば、同等の技術を創り出すことが可能である。
1980年前後に廃タイヤ問題が顕在化し、ブリヂストンで活性炭製造のテストプラントが稼働した過去がある。すなわち活性炭として使用可能であることは過去に確認されている。
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デジタルトランスフォーメーション(DX)は、もはや常識となったが、デジタル化が始まったのが50年ほど前であることを思うと、DXが常識となるのが遅いような気がしている。
30年ほど前にDXが常識となっておれば、当方が転職しなければいけないような事件は起きなかった。当時当方含め3人がゴム会社の研究所から転職したのに、事件は隠蔽化された。
きっかけは、電気粘性流体の耐久性問題をDXで解決したからである。それを非科学的云々と机をバンバン叩きながら、キレて感情的に怒っていた人物がFDを壊したり様々な嫌がらせを当方にしてきた。
その状況を見て最初に転職したのが新入社員であるが、この話の詳細は後日書くとして、どのようなプロセスで問題を解いたのか、説明したい。まさに仕事をDXしたのである。
問題解決にデータサイエンスを使って耐久性問題を解決しただけであるが、この時MZ80Kというシャープの8ビットマイコンを使用している。すなわち、DXは、今のような進んだコンピュータ環境でなくてもできるのだ。
DXは、プロセスをITで行えばよいだけであるが、問題は非科学的プロセスとなる場合が多いことを知っておくべきである。もうDXアレルギーはいないと思うが、科学フェチのジキルとハイドのような人間はいつの時代でもいる。研究所でのDXには注意したい。
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公示前は、都議選の結果を受けて、自民党の大敗で与党の50%議席確保が難しいと言われていたが、公示後はこれが微妙という表現に変った。
恐らく少し盛り返したのかもしれない。以前書いたが、東京選挙区は女性の戦いになっているのに、自民党は2人の男性老人を候補として立てている。
ポスター勝負では、デザインの好みにもよるが、まず自民党は東京選挙区で一人当選がやっとだろう。おそらく多くの有権者は、女性候補のポスターに目を向ける。皆写真が実物以上に若くて美人にとれている写真である。
自民党は、柔和な顔ときりっとした少し怖い顔のポスターであり、女性候補のポスターを見ていた方が楽しい。当方に依頼していただければ、自民党の二人の候補の写真について、女性候補に負けない写真を撮ることができたのにと残念に思っている。
なぜ、自民党は東京選挙区の候補について、このような雰囲気のポスターにしたのか疑問が残る。自民党支持者が盛り上がっているときならこのようなポスターでも良いかもしれないが、今回は逆風が吹いているのだ。
今年の東京選挙区は、女性候補に多くの有権者の目が注がれている。そこで見てもらいたいなら、男性候補者はポスターも工夫しなければいけない。自民党支持者以外注目しないポスターではだめで、多くの有権者が候補者の魅力を感じるようなデザインが重要である。
東京選挙区で自民党はポスターで大負けしている。選挙ポスターの制約の中で、写真によりどのように人物を表現するかは難しい。しかし、女性ならば、まず美人に写せば80点確保できる。
写真の撮り方でどうにもならない時には、目を修正すれば60点から80点へかさ上げすることも可能だ。ところが男性は志を感じるように写さなければいけない。これが難しい。今回の元水泳選手のように怖い顔になってしまう。これは、カメラマンが下手である。
選挙用の写真で難しいところは、光による陰影とアングルにより、志をどのように表現するのか、という点である。候補者に志が無ければ、まず、そのような写真を撮れない。次にカメラマンが志とは何かを理解していなければ、それを映像として残せない。
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明日8日に日刊工業新聞主催で高分子材料の寿命評価と破壊に関するセミナーが開催されるが、ご興味のあるかたは、お問い合わせください。今からでも間に合います。
さて、高分子材料の寿命予測はトランスサイエンスのテーマであり、弊社の得意分野である。高分子の劣化と言えば、1980年代に溶液の中で酸化速度を計測する研究が流行している。
現実の高分子材料は、溶液など含んだ状態で使用されていないので、あまり意味のない研究である。意味のない研究であるが、アカデミアでは研究のための研究として流行していた。
しかし、実使用状態における高分子材料について、酸化状態を調べてみると、意外と酸化されていないことに気がつく。また、プロセシングによる劣化が問題視され、熱劣化防止剤が開発されている。
ただ、コンパウンディングにおいて剪断混練を行えばたいていの高分子材料は熱劣化がほとんど起きないので、この技術も無駄技術になる可能性がある。
このように、高分子材料の劣化について、技術開発は難しいのだが、2000年前後に高分子学会の雑誌高分子に、鉄道研究所を退職された研究者が、高分子の劣化パターンにはいくつかあり、云々という記事を書いていたが、あまり話題にならなかった。
この記事については、経験的に十分納得できる内容であり、その後の若手の研究発表が無いか調べてきたが、アカデミアはあまりこの論文に関心を示さなかったようだ。
昨年中国で開催された再生樹脂の国際会議に招待講演で呼ばれた時、この話を少ししたところ、結構質問が発表後あった。高分子同友会でこの時の体験談を報告しているが、技術情報協会の雑誌にも報告書が掲載されているのでご興味のあるかたは読んでいただきたい。
高分子材料を10年以上放置した時にどうなるかを研究する難しさは、サンプルの科学的信頼性である。実はそのために実験装置が開発されているのだが、この装置についてほとんど改良が進んでいない。
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気象庁が鹿児島県の十島村の悪石島で最大震度5強を観測した地震について会見を行い、そこで7月5日に大災難が起きるという予言について言及した。
これは2011年3月の東日本大震災を予言したというたつき諒氏の漫画『私が見た未来 完全版』(飛鳥新社刊)の中で「2025年7月5日に日本とフィリピンの中間あたりの海底がボコンと破裂(噴火)」「太平洋周辺の国に大津波が押し寄せた」「その津波の高さは東日本大震災の3倍」という予言に対応したもの。
「まず、漫画の予言についてですけれども、現在の科学的知見では日時・場所・規模を特定した地震予知は困難です。ですから地震が偶然に発生したとしても科学的根拠があるものではない。」と回答している。
面白いのは、東大名誉教授が金曜日の夜に、今起きている地震について、よくわかりません、と記者会見で堂々と答えていることである。すなわち、地震予知は科学で問うてみても科学で答えを出すことができない問題、トランスサイエンスということである。
科学的根拠は無くても人は様々な方法で目の前の現象について答えを出すことができる。東大名誉教授も地震学者と協議した結論がよくわからない、となっているが、私見として噴火が起きるようなことを述べられている。
すなわち、根拠のない漫画に描かれた答えに近いことを述べておられた。当方は漫画の著者が根拠にした資料を知りたいと思う。もし、単なるヤマカンだったとしたら、過去にどのようなことを予言してきたのか知りたい。
話は変わるが、当方のゴム会社における人生は、今でいうところのパワハラやセクハラ、モラハラなどおよそハラスメントのデパートで過ごしてきたようなものだ。
しかし、そのハラスメントの機会が成長の糧になっていた。たとえば、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの工場試作を成功させたところ、褒められるかと思っていたら、始末書け、と一週間責められた(注)。
仕事もやらせてもらえなかったので、仕事と無関係のアメリカで生まれたばかりのオブジェクト指向の論文を読んで始末書を書いていた。まともに上司の話を受けていたら、精神が壊れそうだったからである。
この時、オブジェクト指向でホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームの企画書を作成し、始末書に添付して、一週間が終わっている。訳の分からない始末書に対する小生のささやかな抵抗だった。
この企画が認められて、高純度SiCの基礎研究の代わりになった。この研究は入社後二つ目の実用化という成果となった。このあと発泡体軽量天井材もミサワフォームに採用された。
新入社員から4年間に3つの製品を出していたのに無機材研に留学中に昇進試験に落ちて(補)、その電話が所長室にかかり、1週間昇進試験に書いた内容について研究しなさいとなった。
昇進試験の問題は、あなたが推進したい新事業は何か、という問題で、当方は高分子前駆体を用いて高純度SiCを製造し、パワー半導体ウェハーなど半導体関連製品を製造する事業を解答としていた。
この解答は漫画の予言よりすごい。当時セラミックスフィーバーであったが、SiC半導体の研究論文が出たばかりであり、SiCの高純度化はレイリー法以外知られていなかった。そこで高純度化は重要テーマであり、それを昇進試験に事業シナリオとして書いたのだ。
これに試験官だった研究所の課長から0点がつけられたので、昇進試験に落ちたのだが、所長から頂いたチャンスをたった4日で実現している。そして、ゴム会社から2億4千万円の先行投資を頂き、その事業は30年近く続いて、現在はMARUWAという会社で事業が行われている。
始末書はこの後もありえない事件を引き起こした。会社のOA化を推進するために80万円のローンをさせられてMZ80Kとその周辺機器や専用OSを購入している。そして多変量解析のシステムが稼働する環境が完成した時に、電気粘性流体の耐久性問題の解決をしなくてはいけなくなった。
これ以上は書かないが、世の中人知の及ばない連鎖の中で翻弄されながら、生きているのだ。サラリーマンの最後は、早期退職を申し出たところ環境対応樹脂の開発を依頼されたので、2011年3月11日を最終出社日に決めて引き受けた。
自由にやって、成果発表もOKと至れり尽くせりだったので頑張って2種類のPETボトルリサイクル樹脂を開発し、最終出社日の最終講演の準備をしていたところ、グラッと来た。
(注)この始末書問題について、今でもその理由が分からないことを本欄で書いている。課長がプレゼンに失敗したので新入社員に始末書を書かせると答えた話が伝わってきた。
(補)翌年、同じ答案を出したところ満点だったそうである。企業の昇進試験とはこのようなものだから、昇進が遅れたからと言って悩むことは無い。むしろ上司を見返すくらいのエネルギーを持ってほしい。
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化粧品に詳しい方ならばご存知のブランドと思われるが、以前資生堂が買収したフランスの化粧品ブランドである。ベースメイクに定評があり、ファンの女性も多いかもしれない。
資生堂はその後このブランドを投資会社に売却しているが、これは資生堂が研究開発している技術がそれなりの完成度に到達し、おそらく将来は資生堂の技術が主流になると判断したのかもしれない。
ゆえに、ローラ・メルシエ日本撤退というニュースは、化粧品業界にイノベーションが起きる前兆かもしれない。これは、特許など読んだ当方の憶測であり、信頼性が低い情報かもしれない。
しかし、コロナ禍の前後に老齢化が進む日本で若々しい女性が増えたことに驚き、化粧品の進化を疑い、特許を興味を持って調べてこの欄で取り上げてみたいと感じ本日書いている。
もっとも、単純に女性の美しさから化粧品業界で起きつつあるイノベーションを調べようと思っただけではない。化粧品の某協会が、某大の先生に寄付金を出して化粧品の研究を進めていたら、モンスター化したニュースがあったことも影響している。
とにかく今コーティング技術としての化粧品から、肌の健康増進を進める化粧品へと変わるかもしれない技術あるいはコンセプトで資生堂では開発が進められている。
中国で資生堂は、世界一のブランドという話を聞いた。資生堂を扱っている上海のデパート久光でも最もよい場所で販売活動をしている。もし化粧品の技術にご興味のあるかたは、資生堂の技術を調査されることをお勧めする。
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40年以上前のデジタル化の黎明期、研究所の上司から80万円のローンを組まされ、MZ80Kを中心にしたシステムを購入している。カローラDXを買えた値段である。
研究所ではこのほか様々な仕打ちにあい、結局新入社員が指導社員の惨状を見て転職した事件がきっかけで当方もゴム会社から写真会社へ転職している。
研究所はアカデミアよりもアカデミックで、科学が唯一の哲学となっていた。ところが、1970年代のアメリカでは、第一次AIブームが終焉し冬の時代となったがトランスサイエンスという概念が生まれている。
アメリカでは科学に疑問が生まれ、イムレラカトシュによる「科学の方法」にまとめられた論文が多数発表されているというのに、ゴム会社では科学で完璧な否定証明をして自慢している研究者が多かった。
当方は、この惨状をDXで変えようと努力し、電気粘性流体の耐久性問題を非科学的にデータサイエンスで解決するのだが、ジキルとハイドのような犯人に業務妨害され、DXの半ばで転職している。
転職後、故田口先生と出会い、写真会社で3年間田口先生から直接ご指導を受けるのだが、田口先生とは議論の毎日だった。なぜなら、田口先生はタグチメソッドを科学の中に位置づけようとされていたが、当方は非科学でも良いのではないかと先生に進言していた。
40年以上DXしてきた人生だが、今ならば、ゴム会社を転職するような状態にならないと思っていたら、ゴム会社の若い人から研究所は今も変わっていません、と聞かされた。
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「WEBハンドリング、Role to Role を利用した生産技術とトラブル対策」という書籍が、昨日技術情報協会から発売されました。
多数の著者による技術書で、小生は「滑り性付与の材料設計技術とその評価について」というタイトルで、滑り性付与というトランスサイエンスの技術について解説しています。
この分野につきましては、ゴム会社から写真会社へ転職し遭遇した印刷会社の光景がきっかけで勉強しました。この光景とは、印刷に使用する大判の写真が現像処理後にジャムったり、その搬送で引っかかったりする、写真会社の製品のクレーム問題でした。
頻繁に発生すれば分かり易いのですが、時々発生するのです。そして問題となったフィルムと正常なフィルムで物性に違いは無く、問題解決に担当者は苦労していました。
結局転職してきたド素人の小生が問題解決するのですが、岡目八目の問題でした。このようなトランスサイエンスの問題をAIに質問するとどうなるか。それも小生の担当した章で今回扱っています。
詳細お問い合わせください。
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金属やセラミックスはその結晶構造の理解から、20世紀に科学の体系がほぼ出来上がったが、高分子は未だ不明点が多い。しかし、材料として大量に消費されており、また環境汚染物質としても話題になったりしている。
海洋ゴミとして2015年に注目され、脱プラスチックが叫ばれたが、高分子なしには現代の生活は成り立たず、2022年に新しい法律が施行されて、再生樹脂がブームである。
高分子の不明点は、20世紀から今日までなんとくなく科学者たちは理解しているのだが、結局想像するしかないところは、参議院に無所属で立候補する山尾氏の決意に似ている。
高分子の結晶は、ラメラの集合体である球晶となることが多い。この球晶という物質にはアモルファス部分も存在し大変怪しく悩ましい。それでいて、高分子の破壊現象に大きく影響する。
先日の記者会見でも問題とされたが、大衆の関心を示す男女問題は、球晶同様に塊となると悩ましく人生の破壊にもつながる。高分子でも球晶は靭性に影響したりするので、よく似ている。
訳の分からないところが多い高分子なのだが、材料としての便利さあるいは機能の有能さから、海洋汚染の原因と分かっていても使われている。山尾氏も高分子のように国民から期待される結果となるのか、東京選挙区は、世良公則氏が立候補を表明した大阪選挙区よりも面白いかもしれない。
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