学生時代にアコースティックギターを買ったのだが、社会人になった時に独身寮生活だったので、周囲への騒音配慮で弾く機会がなかった。
その後、無機材質研究所へ留学していた時に、少し弾いていた。しかし、結婚して忙しくなったら、また弾かなくなってしまった。
写真会社で50を過ぎたときに倉庫をパーティションで区切っただけの部屋で仕事をするようになって、暇になった。そこで、ギターを弾こうとしたら弦高が高くなって演奏性が悪くなっていた。
しかし、当時の気持ちとして学生時代の思い出を捨てる勇気もなく、ギターを弾きたい思いだけ残り、ボーとしていたらギブソンES-335を購入してしまった。
このあたりの脈絡のない行動は今でも理解できないが、コロナ禍で高校時代の友人たちとメールで語り合ううちに、学生時代に購入したギターを修理してみようという気持ちになった。
このような気持ちになった理由は後日書くが、今日は弦高が高くなった原因が、表板の膨らみにあり、それが表板スプルース材のクリープによるもので、これを防ぐことは難しいという話題。
前置きが長くなったが、アコギの弦は、演奏後緩めておくべきか、張ったままにしておくべきかの議論について、材料科学の立場から前者が正しいと思われる。
昔読んだギターの入門書には、演奏後緩めると弦が切れやすくなり寿命を短くするので緩めない方が良いと書いてあった。しかし、ギター弦の価格とギター本体の価格を考えたら、緩めておくのが正しい。
なぜなら、材料に一定応力をかけていると、必ずクリープが起きる。いくら木材のクリープ速度が遅くても、クリープという現象は避けられないので演奏後ギター弦を緩めておかなければ表板はやがて膨れてくる。
このような初歩的なことを学生時代には理解していなくて、ギターの入門書に書かれていたことを信じて高価な楽器を扱っていた無知を反省している。
もっとも、クリープという現象は、材料の専門家でなければ理解できない。一般教養では「コーヒーにクリープ」が常識なので仕方がないのかも。
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日産自動車が社運をかけて開発したアリアが先日発表された。昨年のモーターショーで公開された姿そのままである。
この車、あまりWEBで騒がれていないが、テスラのライバルの位置づけである。日産はそのようにPRしていないが、当方はテスラの顧客まで奪う勢いを持ってほしいと願っている。
このアリアの価格は、トヨタ高級車ブランドレクサスのRX同等であり、レクサスRXを買うぐらいだったら、先進性の高いアリアを買った方が良い。
おそらく世界で最も先進的な車ではなかろうか。スペックのこまごまをここで述べるつもりは無いが、CASEの目標を最も満たした車であることに間違いない。
電気自動車が話題になってから、すでに20年経過している。リーフが登場したのは2010年だが、中国ではすでに電気自動車が日常の足として走っていた。車だけでなく、オートバイも電気モーターで走っていた。
エンジンよりもモーターは構造が簡単であり、誰でも製造できる。ゆえに中国で電気自動車や電機オートバイが2010年に庶民の足として普及していたのだ。
ただし、その性能は2010年発売されたリーフに及ばない。足回りに至っては、車軸式でサスペンションはついていないものもあったぐらいである。
リーフは世界で最も売れた電気自動車として世界中で知られている。アリアはリーフ同様にエポックメーキングな車としてもう少し注目されても良い。
ガソリン車から電気自動車へ転換してゆくのは歴史の流れでだれも止めることはできない。しかし、電気スタンドの普及が国内で遅れているのは政府の怠慢だろう。
中国では、会社へ電動オートバイで乗り着け、会社のコンセントから充電している風景を見たが、交通費を会社が支払っていると思えば、驚くようなことではない。
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情報化時代となり、ビッグデータを活用した成果が連日ニュースになっている。
世界一のスピードを誇るコンピューター「富岳」によるコロナ感染シミュレーションは、おなじみになった。
材料開発にもAIを導入してこの手法を使っていこうという動きがマテリアルインフォマティクスだが、高分子の世界では1970年代にゴム会社で行われている。
二度のオイルショックで燃費改善をタイヤの材料開発で実現しようとしたテーマが企画された。このテーマでは、転がり抵抗の低減とグリップ性能とは二律背反となり、科学的に解を得ることが難しく、多変量解析による最適化が行われた。
IBMのビジネス用大型コンピューターの統計パッケージが使われたのだが、当方は新入社員実習テーマ「タイヤの軽量化」でこれを使用し、データ入力から結果を得るのに一日かかった記憶がある。
今となっては文明の遺物、パンチカードでデータ入力するのだが、このパンチカード作成も大変だった。さらにデータカードができてもすぐに答えが出てくるわけではなかった。
OSはマルチタスクで処理されていただけでなく、ジョブの優先度も決められていた。POSシステムのデータや経理処理の後に解析が行われたので、結果が翌朝でてくるということもあった。
当時3033という型式で呼ばれたコンピューターを使っていたのだが、今のマイコンに比較すると赤ん坊のような頭脳なのに20帖ほどの快適な部屋で大きな顔をして2台鎮座していた。
また、セラミックスでは無機材質研究所でこのような手法で研究を行っていた人もいた。JANAFの熱力学データやASTMカードのデータを打ち込んでデータベースを作成し、研究をされていた。
当時はデータベースを作るところにも一山超えなければいけない手間がかかった。それだけでなく、AIの代わりに、職人並みの経験知を有した研究者の頭が頼りであった。
高分子学会誌6月号でもビッグデータの話題が載っていたが、温故知新と言ったら叱られるか?無料セミナーでも実例を使って少し説明いたします。
無料セミナーでは、多変量解析による難燃化因子の解析結果から、なんちゃってデータ駆動による難燃性環境対応樹脂の開発事例などを説明します。
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下記予定で、試験的にWEBで無料セミナーを開催します。受講希望者はお申し込みください。なお各講座6名と人数制限を設けていますので、先着順とさせていただきます。また、テキストは有料(5000円)で、7月16日までにお振込みください。但しテキストの購入は必須ではありません。
1.7月17日(金)9時30分から11時30分
「高分子の混練技術概論」
講師の著書(定価4800円)がテキストです。
2.7月17日(金)13時30分から15時30分
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3.7月18日(土)13時30分から15時30分
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以上
今回のセミナー参加者募集は終了しました。
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年金問題に関係して、70歳定年制のアイデアが政府から出ているが、この検討をやめた方が良い、と最近つくづく思う。
昔亡父(10年ほど前に100歳で他界した明治生まれ)の時代には55歳が定年だった。警察官だった亡父は、まだ健康だったので民間会社に3年ほど勤務して、郵便局でボランティアとして働き始めた。
交通費程度しか手当は無かったが、働きたいときまで働けるというメリットから働き始めた。亡父もドラッカーを読んでいたので、人生における働く意味を知っていたからである。
自己実現を行うには、働く以外に趣味でも目的を達成できるが、貢献の達成感は、働く手段が最高である。寄付行為も貢献の一つの形であるが、労働による貢献の達成感は、それを無意識にしても十分に得られる。
新入社員の時に上司から「趣味で仕事をやるな」と叱られたが、当方は十分に労働を味わっていた。上司は、パワハラ気味の小心者だったが、支配された労働を部下に望んでいた前時代的な人だった。
若い時には、過重労働をしていてもこのような上司のもとでも楽しかったが、最近、過重労働でなくても疲労感が貢献意欲をそぐような場面が多くなった。スーパーボランティア尾畠さんのすごさに頭が下がる。
昨年まで現役時代と同じようなペースで働くことができたが、どうもコロナ禍でペースを乱され、リズムを立て直せなくなったようだ。
再度気持ちの立て直しのために、ギターを買ってしまったが、肉体がうまく追従してくれるのか、不安が出てきた。まだ70歳になっていないのに、である。
肉体の劣化は個人差が大きいので、一律70歳定年というのはやめた方が良いように思う。むしろ、組織からの解放制度として60歳定年制に戻した方が良い。
当方は早期退職制度を活用して57歳で退職させていただき、現在に至るが、まったく新しいことにチャレンジする意欲があるうちに起業している。
亡父は郵便局で80歳近くまで働いていたようだが、足腰が痛くなったので仕事を辞めて、結局読書三昧で一生を終えている。亡くなる直前まで、読書感想文を書いていた痕跡に人生の意味を教えられた。
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「働く」という意味は、貢献と自己実現だと故ドラッカーは指摘している。テレワークは、まさにその意味が前提になる様式である。
テレワークとなり、過重労働を問題として指摘したニュースが報じられたが、問題とすべきは、それで健康を害した人が増えたかどうかである。
テレワークがうまく機能するためには、労働において個人の組織における裁量がどこまで認められているかどうかに依存している。
個人商店のごとくそれが認められた組織では、テレワークはうまくいっているに違いない。ただ、そのような組織では中間管理職の問題が顕在化したかもしれない。
中間管理職を廃止しても良い、と経営者が感じたならば、どんどんと個人商店形式のマネージメントを進めればよい。
その時新たな事業提案をしてきた管理職を評価し、働いていない管理職については、「日々の仕事の内容」や「日々の成果」を問えばよい。
写真会社で写真フィルム用高分子技術開発の業務を外され、それまで倉庫だった部屋をパーティションで区切り、そこで処遇されたときには何も任務が与えられず特命業務となった。
そこでさっさと豊川単身赴任を決断している。もっとも単身赴任するまでは3年間精神的にきつい状態となったので、ある日帰宅時に中央線を乗り越し、お茶の水で下車している。
そこで、19万円で売られていた新品のギブソンES335(本物である)を見つけ、弾くことができないのに衝動買いしている。このES335は、希望にあふれた学生時代を思い出すのに大変役立った。
会社と個人の関係は、転職を経験すれば大変よく理解できる。ドラッカーは、「働く」意味を定義づけることにより、そこを抽象的に表現し、読者に答えをゆだねている。
経営者には、「知識労働者」の扱いを杜撰にすれば、経営資源である「知識」を失う問題について警鐘を鳴らしている。
「知識」には可搬性がある。形式知は情報から容易に入手できるが、経験知やそこから生まれる暗黙知は知識労働者がいて初めて経営資源となる。
もし、テレワークで組織に不要ではないかと少しでも感じた管理職は気軽に相談していただきたい。将来に向けて取るべき行動をご指導します。定年あるいは早期退職を促されてからでは遅い。
ちなみに豊川へ単身赴任し、中間転写ベルトの生産立ち上げを成功させるために、カオス混合の開発や、複写機の外装材開発としてリサイクルPET樹脂の開発を5年間に成功させて十分な貢献をした。いずれも当方がいなければ成功しなかった仕事である。
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テレワークがうまく進んだ企業とそうでない企業があるようだ。現場で作業を行わなければいけない企業はテレワークが難しいと言われるが、そうではない。
30数年現場で実験を部下とともに行ってきた経験からすれば、現場の作業が多い人ほどテレワークを導入すべきである。
すなわち、事務所の机など片づけて、現場の一角にテレワーク用の場所を設ければよい。それが一番効率が上がるはずである。
当方はゴム会社で高純度SiCの事業を立ち上げてきたが、転職までの3年間は一人で仕事をしていた。そこへ電気粘性流体開発のお手伝いテーマが飛び込んできて、その耐久性改良や電気粘性効果を高める3種の構造粒子の開発を成功させている。
そしてFDを壊され転職している。この3年間大量の仕事を効率よくこなしているのだが、一番の特徴は必要なとき以外事務所にほとんど顔を出さず、実験室で作業だけをしていたのだ。
実験データをFDで家に持ち帰り、会議などの資料作りは、休日も使ってほとんど自宅で行っていた。そして残業代もほとんど申請していなかったので、写真会社から転職条件を提示されてびっくりした。
当時のゴム会社は30時間ほど残業申請すると世間並みの給与になると言われていた。そのような状況で過重労働をしながらも残業代の申請をしていなかったので給与は少なかった。
ただ使命感だけで仕事を誠実真摯に実行していたわけだが、そこで事件に巻き込まれ転職することになった。今から当時の状況を思い出すと、管理職がいなくても仕事が進む研究職の実態がある。
管理職がうまく機能していれば事件は起こらなかったろうし、また起きてもうまく解決していたはずだ。しかし、事件自身は異常なことであり、正常な部分に目をやれば、管理職などいなくても成果が出て仕事が進んだ事実がある(注)。
そして、たった一人で3年間に住友金属工業とのJV立ち上げと電気粘性流体の増粘問題解決、電気粘性流体のオイル設計、粒子設計などで成果を出している。これは特許を調べていただければわかる。ただし、特許にはお約束で発明者に関係者の名前が入っているが、仕事はたった一人で行われたものだ。
(注)管理職がいなかったから効率よく進んだのかもしれない。この体験があったので、写真会社に転職し、管理職となってもマネージメント業務以外の空いた時間は、実験をしていた。管理業務は部下の女性が実験補助者として多数いたので彼女たちにお願いしていた。笑い話になるが、彼女たちの実験補助の仕事を当方が代わってやっていたら、主任研究員の直属上司が嫌な顔をしていた。管理職の実態は、効率をあげればかなりのまとまった時間を生み出すことができる。マネージメントにそれほど時間がかかるとは思えないのだ。考える時間は電車の中にいっぱいある。
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コロナ禍でテレワークが進んだが、WEBにおける話題は、テレワークで評価の上がる人と下がる人に関するものが多い。
ところが、現実はテレワークの前にすでに二極化していた企業が多いはずだ。テレワークで人材の二極化が進んだという企業は遅れている。
20世紀末に目標管理がブームとなり、一気に日本企業に広がった。この目標管理による経営こそ人材の二極化を進めた原動力である。
ただ、人材の二極化は進んだが、評価システムを大きく変更した企業が少なかったので、その二極化が目立たず、社会で話題にならなかった。
ところがテレワークを実施してみて、評価システムと目標管理の連動を実施していなかった企業あるいは連動していても従来の評価軸で運用してきた企業は、困ったはずだ。
成果の出せない人、すなわち目標を達成できない人が、テレワークにより顕在化したからだ。
大きな組織には、仕事をやっているような顔をして、全然成果を出していない人あるいは他人の成果をちゃっかり自分のモノにしてしまう人が必ずいる。
顔を突き合わせて仕事をしているときには、うまくごまかせても、テレワークでは、これまでのごまかしの手法を使えない。
また、昨年までならば、気軽に資料作成を頼めた同僚が、テレワークでは、他人に仕事を頼むときにどうしても痕跡が残ってしまい、誰がどのように成果を出したのかが見える化されてしまう。
退職して10年近くになるが、今WEBで取り上げられている表題の話題について、たいへんよく理解できる。
ご興味のあるかたは、あるいは成果を出せなくて困っている人は、気軽に相談していただきたい。テレワーク時代の成果の出し方を伝授します。
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樹脂を混練するときの温度について誤解をしている人が多い。例えば、ある学会賞の審査会で、カオス混合によるコンパウンドで製造された中間転写ベルトの技術について、樹脂の溶融温度(Tm)以下で混練している点を指摘し、その温度では混練できない、と頭ごなしに否定され、カオス混合技術は受賞を逃がしている。
学会賞の審査会では、科学的に納得が得られるように嘘を書いてでも世間の常識に合わせて資料を作らなければいけない、などと誤解したくなるような経験だが、樹脂をその溶融温度以下で混練する、とは、そのくらいの認識である。
当方は、この溶融温度以下の混練条件で樹脂を混練する技術について剪断混練と名付けているが、この技術を否定する人はステレオタイプに分子の断裂が起きて低分子量化する問題を指摘する。学会賞の審査会でもこの指摘があった。
この学会賞の審査委員は高分子のことを知らないのか、と突っ込みたくなったが、**学会の審査会だったので高分子の専門家がそろっており失礼になると思って、素直にその場の空気に従ったら落選した。
PIで製造された中間転写ベルトよりも性能の良い複写機部品を製造できた技術なので、当時審査にかけられたライバル技術と比較して遜色がないどころか環境や経済への波及効果は極めて大きかったので、カオス混合技術が落選したのは*******である。推薦してくださった先生に申し訳ないことをした。
さて、このように剪断混練技術は、学会賞で否定されたぐらいの技術だが、この二十年間に当方以外の技術者からも特許が出願されている。ご興味のある方はお問い合わせください。
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