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2020.07/18 木材のクリープ

学生時代にアコースティックギターを買ったのだが、社会人になった時に独身寮生活だったので、周囲への騒音配慮で弾く機会がなかった。

 

その後、無機材質研究所へ留学していた時に、少し弾いていた。しかし、結婚して忙しくなったら、また弾かなくなってしまった。

 

写真会社で50を過ぎたときに倉庫をパーティションで区切っただけの部屋で仕事をするようになって、暇になった。そこで、ギターを弾こうとしたら弦高が高くなって演奏性が悪くなっていた。

 

しかし、当時の気持ちとして学生時代の思い出を捨てる勇気もなく、ギターを弾きたい思いだけ残り、ボーとしていたらギブソンES-335を購入してしまった。

 

このあたりの脈絡のない行動は今でも理解できないが、コロナ禍で高校時代の友人たちとメールで語り合ううちに、学生時代に購入したギターを修理してみようという気持ちになった。

 

このような気持ちになった理由は後日書くが、今日は弦高が高くなった原因が、表板の膨らみにあり、それが表板スプルース材のクリープによるもので、これを防ぐことは難しいという話題。

 

前置きが長くなったが、アコギの弦は、演奏後緩めておくべきか、張ったままにしておくべきかの議論について、材料科学の立場から前者が正しいと思われる。

 

昔読んだギターの入門書には、演奏後緩めると弦が切れやすくなり寿命を短くするので緩めない方が良いと書いてあった。しかし、ギター弦の価格とギター本体の価格を考えたら、緩めておくのが正しい。

 

なぜなら、材料に一定応力をかけていると、必ずクリープが起きる。いくら木材のクリープ速度が遅くても、クリープという現象は避けられないので演奏後ギター弦を緩めておかなければ表板はやがて膨れてくる。

 

このような初歩的なことを学生時代には理解していなくて、ギターの入門書に書かれていたことを信じて高価な楽器を扱っていた無知を反省している。

 

もっとも、クリープという現象は、材料の専門家でなければ理解できない。一般教養では「コーヒーにクリープ」が常識なので仕方がないのかも。

 

カテゴリー : 高分子

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