2020.03/04 混練り活用ハンドブック
八年ほど前に電子ブックとして高分子のツボを出版しましたが、そのリクエストの問い合わせがありました。実は混練り活用ハンドブックにはその6割ほどが盛り込まれています。すなわち高分子のツボについてプロセシング部分を膨らませたような構成です。ご一読ください。
pagetop八年ほど前に電子ブックとして高分子のツボを出版しましたが、そのリクエストの問い合わせがありました。実は混練り活用ハンドブックにはその6割ほどが盛り込まれています。すなわち高分子のツボについてプロセシング部分を膨らませたような構成です。ご一読ください。
pagetop今回の新型コロナウィルスの感染についてクラスター生成のシミュレーションがワイドショーなどでたびたび登場している。
このクラスター生成シミュレーションについては、計算方法の説明を聞く限り、山火事の広がりについて1950年代に数学者たちが議論していた浸透理論の応用と思われる。
浸透理論とはコーヒーのパーコレーター由来の名前、パーコレーションとも呼ばれているが、絶縁体の高分子に導電性粒子を分散し半導体材料を開発するときに観察されるパーコレーション転移がよく知られている。
当方はウィルスの感染についてこのシミュレーションにより考察することに対しどうこう言うつもりはないが、今回の起きている現象についてシミュレーションで考察するまでもないと思っている。
なぜなら飛沫感染を防ぐためには、保菌者を見つけては隔離し、非保菌者を可能な限り「塊」(クラスター)とならないようにばらけることが当たり前であり、それを社会でどのように実現するのかが一番の問題となるからである。
これまでの経験から対策の方向は見えているだけでなく、北海道について現在発見されている感染者の10倍という予測が専門家会議から出されているので対策を急ぐことこそ重要である。
今回学校を休校することに関し、反対意見や懐疑的な意見が出されたが、社会における大きな「塊」を解消する、という観点で政府の要請は間違っていない(注)。
今回のウィルスは子供への感染は軽微だから的外れな要請だという意見もあるが、ウィルスの人類への影響がインフルエンザほど解明されていない現状では、子供をまず守るという発想が重要となってくる。
ウィルスは、人類のDNAに大きな影響を与えていることが明らかになっているからだ。子供を守る対策については急ぐべきである。
この政府の唐突な要請に対して今なすべきことは、学校の休校だけでなく、社会における「人の塊」を可能な限り、無くす努力を国民がすることである。
飛沫感染がメカニズムであるとわかっているので、一定期間人の塊ができないようにすれば沈静化できるはずだ。
特にSARSと異なり、無症状の人でも発症者と同じ量のウィルスが検出され誰が感染者かわからない状態である。
ゆえに一定期間塊の無い状態を作りだし、感染者が減少してゆくようにしない限り、感染者は増え続けることになる。
科学的に難しく考えなくてもドッジボールや鬼ごっこの経験があればすぐにこれを直感で理解できる話だ。
現象に対し、科学的に解析することは大切であるが、対策が急がれる場合に、直観が正しい方向あるいは機能を約束すると経験的に納得できるのであればそれを実行すべきという判断は重要である。
武漢の状況を見る限り、対策の遅れは診療体制の破壊を招く。政府の要請は大きい効果があるかどうかは不明であるが、未来を考慮した場合には対策として間違っていない。
(注)子供の健康は第一である。その次に大切なのは、公教育である。しかし、今回の政府の対応をめぐる議論で、この二つがないがしろにされ、子供の面倒を見る問題や、子供の感染率は低いという議論がなされたのにはびっくりしている。見かけ上子供の被害は少ないが、ウィルスの脅威はまだわからないことが多い。子供の健康を守るのは大人の責任である。健康と、授業を二週間無くすことの議論が行われるなら納得できるが——
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pagetop今月はウィルス騒動の影響で1ケ月ほとんど空いてます。ゆえに電話あるいはスカイプ、弊社事務所への訪問(但し2m程度離れて対話できます)等安全格安で皆様のご相談に応じます。
時間その他につきまして弊社へお問い合わせください。個人のご相談にも応じますので相談費用等は、メールにてお問い合わせください。
pagetop研究開発の管理業務は、企業によりその中身はさまざまであるが、ステージゲート法は、多くの企業で採用されているようだ。
ステージゲート法を採用していない企業でも、研究開発テーマを節目に見直すことを行っているはずだ。今どき、研究開発テーマを何も管理をせずに進められるような体力のある企業は少ない。
ここで面白いのは研究開発管理を厳しくすればするほど、企画に対して研究開発の成功確率が悪くなるというパラドックスが存在する。このパラドックスゆえに研究開発管理は成功体験のある研究者に任せるとうまくゆくのではないか、と誤解している人もいる。
1970年代の研究所ブームでは、経済成長が著しい時だったので売り上げの2%程度はドブに捨てるつもりで研究所へ投資しているような企業も存在し、79年に入社した会社も結構気前の良い企業だった。
また、研究所長は成功体験のある研究者で研究管理部門も研究開発畑出身者だった。研究開発出身のU本部長が研究管理部長になられたときに研究管理部門のメンバーが見直され、経理出身者も補強され営業出身者も採用された。
1980年代にはU本部長が研究部門全体を見られたが、バランス感覚に優れた経営手腕を発揮された。高純度SiCの事業もU本部長時代に住友金属工業とのJVがスタートしている。
しかし、基礎研究を担当している管理職にはすこぶる評判が悪かった。理由は、「まずモノを持ってこい」というのが口癖だったからである。
当方は、6年間このU本部長の指導で研究開発の死の谷歩いていたが高純度SiCのテーマを無事事業化できその後30年事業が継続され、2018年セラミックスを専門としている企業に事業売却された。
6年間死の谷を歩きながら幾つか基礎研究テーマを提案し、研究開発を一定期間続けているが、結局高純度SiC半導体治工具事業だけしか成功させることができなかった。
「まずモノを持ってこい」と言われて、仮の「モノ」を作って企画を成立させて研究をスタートさせても、その次の関門を通過できず、研究段階で白旗を挙げざるを得なかった。
このようにU本部長指導の研究開発管理は基礎研究部門にとって厳しすぎる管理ではあったが、経営と基礎研究のバランス感覚は優れていたと記憶している。
幾つか企画した基礎研究テーマを中断しているが、つぶされた、という感覚ではなく経営について学ぶ機会を得たと感謝している。
当方は感謝しているが、基礎研究部門の管理職の中には、「まずモノを持ってこい」というのは研究を理解していないアホとまで言っている人がいた。
しかし、基礎研究部門の管理職に歓迎された本部長が優れていたわけではない。「加硫促進剤も老防も入っていないゴム」などという現実無視のゴム開発テーマを承認したり、「電気粘性流体の耐久性問題を界面活性剤で解決できない」と科学的に完璧な証明を行った報告書(注)を高く評価するようなミスをしている。
(注)企業の研究報告書における結論では、たとえ基礎研究であっても常に事業を前向きに進める内容が高く評価されるべきである。この報告書の出された直後、当方は界面活性剤を用いて一晩でこの報告書の結論をひっくり返す技術を開発し、界面活性剤の検討テーマを復活している。この技術は特許出願され、電気粘性流体開発のプロジェクトを事業化へ大きく進めることに貢献している。その結果、実用的な電気粘性流体用粉体を開発するように指示を受け、傾斜機能粉体や微粒子分散型粉体、コンデンサー分散型粉体などを電気粘性効果の機能を実現できる粉体を短期間に開発し、この中で傾斜機能粉体が実用化に使われた。FDを壊されて当方が転職後電気粘性流体の事業がしばらく続いたようだが、本来コストを無視していた企画ゆえに事業は長続きしなかった。電気粘性流体のメンバーの多くは高純度SiCの事業を当方の転職後しばらくしてから担当している。
ところで当方が粉体開発を急いだ背景には、コスト問題解決の狙いがあり、難燃性オイルの開発にも着手したがその道半ばで転職の決断を出している。その結果電気粘性流体におけるこれらの成果では特許出願を行っているが研究報告書を一切書かせてもらえなかった。粉体の開発テーマにしてもいい加減な指示からスタートしている。それは、耐久性問題を一晩で解決できたなら粉体も簡単に開発できるだろう、というやや当方を小ばかにしたような指示であり、当方はそのような指示でも誠実に応えて最初の傾斜機能粉体を3日で合成している。この粉体は分析グループにより解析され、見事な傾斜構造だったことが証明された。
調査研究に必要な十分な時間をもらえず、住友金属工業との高純度SiCの事業化テーマを一人で推進している多忙な状態ながらこれらの無理難題のテーマを当時こなしていたのである。
不十分な管理状態では担当者は疲弊する。そのうえ会議前にFDを壊されたのでは仕事の継続は難しい。事業に直接影響しない研究部門と考えていたとしても、管理職も含め研究管理は経営であり誠実真摯に行うべきである。当方は高純度SiC事業について誠実真摯に考えて転職を決意している。その結果転職後20年以上事業として続いた。
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pagetopホームズとコロンボは事件解決にあたり、異なる手法をとる。ホームズはまずベーカー街にある事務所で犯人について仮説を立案してから事件解決にあたる。
小説ではワトソンとの軽妙な対話からホームズの鋭い頭の回転を描き出す。
難事件の場合に仮説が間違っていたと気がつくと、ベーカー街の事務所に戻り、最初の仮説に基づき集めた証拠情報をもとにワトソンと再度仮説を練り直す。
まさに、現代論理学が完成し科学が誕生した時代に書かれた優れた小説と今でも称えられる、納得できる展開である。
しかし、この小説を読んでどれだけの人が科学の方法が抱える問題に気がついているだろうか。
ホームズは、最後に犯人逮捕に成功するのでむしろ科学の優位性に感心し、科学的問題解決法こそ人類の獲得した唯一の問題解決法と妄信的に信奉している人が多いかもしれない。
ゆえに、ホームズの文庫本の最初のページに犯人を落書きをすることはタブーとされたりした。犯人は誰かを考えることがこの小説の面白さだからである。
小説を楽しむ場合にはこれでよい。しかし、部下が実務をこなすときにこのように行っていたなら、管理職はいらいらしなければいけないのに、管理職までもホームズになってしまうことに満足していないか。
実務ではその問題解決の前に誰かが犯人をホワイトボードに書いて議論を始めなければいけない。
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pagetop現代の教育は、科学を中心にして指導される。すなわち義務教育も含め、科学による問題解決法を大人になるまで学ぶ。企業の研修でも科学的問題解決法が行われたりする。
しかし、社会人で問題解決がうまくできない人が多い。長い期間をかけて基礎から学んできてもうまくいかない、というのは教育内容そのものが間違っている、あるいは不十分である、と考えてもよいのではないか。
学校で学んだことは社会では通用せず無駄だ、とよく言われた時代があった。最近は声高に言われなくなったが、これは大卒が50%近くになったこととも関係しているのかもしれない。
大卒が10%から20%の時代であれば、大学教育は役立たないから社会で実務を勉強しようという論法も社会に受け入れられたが、大半がその役立たない教育を率先して受けるようになった時代では虚しさが漂う。
ここは科学教育が無駄と考えるのではなく、社会の問題を解くのに科学以外の方法があることを悟ったほうが良い。すなわち、科学で問題を解くのか、それ以外の方法を使うのか、問題を解く前に考えるのだ。
例えば、科学で問題解決する手法をホームズ型とすると他の手法は刑事コロンボ型だ。名探偵ホームズにはワトソンという相談相手がいるが、コロンボには「ウチのカミさん」しかいない。
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pagetopサービス価格期間を過ぎましてもぽつぽつと弊社へ問い合わせがある。定価4800円に消費税と送料を加えた価格となるのだが、それでも7万円以上の本よりは安い。また、類書と異なる内容であり、高分子に興味のある方にも参考になると思っている。また高分子を知らない人にも読んでいただきたい。
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pagetop人間の免疫だけが頼りのウィルス騒動では、睡眠とストレスをためないことが重要である。これは長い人生経験からのアドバイスだ。
学生時代も含め若いころには免疫を下げる様な生活習慣だった。だからよく風邪をひいた。ところが結婚してからめったに風邪をひかなくなった。
ある日かかりつけの医者から免疫の重要性を説かれた。そしてストレスをためず良く寝ることが大切だと教えられた。馬鹿は風邪をひかないのは、バカはストレスが溜まらず良く寝ることができるからだ、と冗談も教えてもらった。
退職前に5年ほど豊川へ単身赴任したが、夏に赴任したのによく風邪をひくようになった。かかりつけの医者に言われたことを思い出したが、寝る暇が無かった。
コンパウンドラインが完成し、その立ち上げをしていたころ、思い切って仮眠室で昼寝をすることにした。これが良かった。
単身赴任直後は夏場でも風邪にかかったりしていたが、昼寝をするようになり、何となく免疫力が上がったような充実感が体から湧き出てくるのを感じた。
以前この欄で新入社員時代に指導社員による混練の座学で睡眠学習をしていた話を書いているが、あの頃の過重労働は、ストレスを溜めるほどではなかったようだ。良い思い出として残っている。そして睡眠学習の成果は本になった。
本の内容の一部に、コンパウンドの基盤技術が皆無の会社で、ゴム会社における新入社員時代の睡眠学習成果を頼りにカオス混合ラインを立ち上げた経験知をまとめており、ゴム会社の社員にも参考になる。
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pagetop当方の経験知では、引張強度は弾性率と靭性値の関数になる。形式知によれば弾性率は密度と相関する。線形破壊力学によれば、狭い領域において靭性値は密度との相関が低い。
横軸に密度を、縦軸に引張強度や弾性率、衝撃強度の軸をとり、20個以上の試験片の測定結果をプロットしてやると、経験知をサポートするような結果が得られる。
力学物性が高分子の高次構造に相関することに着目すると、この結果をうまく活用して新規なポリマーアロイを開発することができる。
3月31日のセミナーでは、実際にこのデータ駆動の手法で難燃性環境対応ポリマーブレンドを開発した事例を発表する。
コロナウィルス騒動が気になる時期のセミナー開催で人が集まるかどうか不明だが、弊社へお申込みいただければ、当日開催できない場合には他の日に必ず開催できるようにいたします。
pagetop2011年3月11日は当方の退職記念日である。この日が近づくと、TVでは毎年特集が組まれる。すでにニュースでは、ウィルス騒動の最中で3.11の話題が取り上げられ始めた。
サラリーマンの退職者ならばご記憶があるかもしれないが、送別会なり壮行会が必ず開かれる。当方についてはあの日の15時から最終講演が予定されており、会場で準備中にグラッと来た。
その後、すべて予定されていた行事が中止となり帰宅難民となった当方は、会社の事務所で宿泊することになった。
人生、生まれた瞬間と結婚式、サラリーマンなら入社式と退職では、誰もが褒められるそうだが、その称賛の約束された日が一つ無くなった不幸は、いつまでも忘れない。
3.11についてはそれ以外に忘れられないことが多いが、福島原発の爆発は、その一つである。
この爆発については、当時その原因について、防波堤の高さについて十分な検討がされてなかった、とか、補助電源が床に設置されていて水没した、外部電源車から電源を供給しようとしたらコネクターが合わなかった、緊急時に稼働する原子炉のモニター温度計の電源が外されていた、すぐに海水で冷却しようとしたら海水使用にストップ指令が出されたといった明らかに爆発に影響した人間のエラーがいくつか報道されたが、その検証結果について読んだことが無い。
細かいことかもしれないが、明らかにこれらは爆発を引き起こした原因の一つである。津波防波堤が高かったならば浸水を避けることができた。
補助電源が高いところに設置されていたならば、原子炉の停止作業を行うことができた。また、原子炉建屋に付けられたコネクターがユニバーサル規格であったなら同様の作業ができた。
緊急時のモニター温度計が稼働しなかったために原子炉の状況を確認することができなかったとも報じられており、ヒューマンエラーが爆発の原因の一つであったことは明確である。
極めつけは海水を注入して冷却しようとしたら、本社からストップがかかったという。それでも爆発に対して誰も責任を負わないというのは、かなりおかしい。福島原発の問題は人災であったことを忘れてはいけない。
責任者を処罰しても仕方がない、とかこれだけの大事故になったら誰も責任を負えない、とか言われるが、これはおかしいのだ。
もし真剣に再発を防止する意識があるならば、責任を明確にすべきで、それができないのは自然災害による原発の事故を容認することになる。原発の再稼働は地震大国では不可能と言う結論しか出せない。
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