科学は、論理学の成立とともに生まれた、というのが定説であるが、論理学の成立をどのあたりから考えるのかにより、その定義が変わる。
大半の科学者は今の科学の研究で用いられる論理学で科学を定義づける。マッハは、「マッハ力学史」でニュートン力学さえも非科学と位置付けた。
科学の大衆への普及はホームズ探偵で知ることができ、そのためIBMのAIはワトソンと名付けられた。すなわちAIはホームズの助手であるとともに人間を超えられない位置づけに考えられている。
しかし、AIの処理可能なデータ量は人間のそれをはるかに超えAIの活用により科学者のポテンシャルは飛躍的に高まる可能性がある。
換言すれば、単なる従来理論の検証程度の論文を作成している科学者は確実に不要となる。なぜなら、過去の膨大な論文から従来理論の検証ができてしまうからだ。
今後求められる科学者は、論理学で結論を出せる従来のパラダイムを超えた新たなパラダイムを提案できる科学者である。
新たなパラダイムとは何か、と質問しているようではだめである。新たなパラダイムの一例は、現在のパラダイムで見出せない現象を機能として実現できることである。
技術者は、従来のパラダイムにとらわれず、とにかく現象の中から新たな機能を取り出す努力をしてきた。すなわち、技術者の中から科学者に転じるトレンドがAIの時代の新たな流れである。
過去にもそのような流れがあったが、多くの科学者は研究者のキャリアから成長していった。今後は一度技術者を経験しなければ科学者になれない時代となるのかもしれない。
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第三次産業あるいは四次産業へ大きくシフトしてきた日本の産業構造が、AIの登場により第一次あるいは第二次産業への一部回帰を引き起こす可能性がある。
すでに農業は付加価値の高い産物の生産を企業組織で開始する動きが出てきた。農業生産にAIが導入されれば、農業の素人でも効率の良い農業経営が可能になるだろう。
第二次産業においてもAIが導入されれば、商品管理や品質管理に人手が不要になる。具体的な事例として、100円ショップの登場で町の文具屋が無くなったようなイノベーションが起きる。
100円ショップは文具屋ではないが、100円で売れる商品を並べていった結果、それが文具屋に影響を与えたとみるべきだろう。
すなわち、メーカーがAIを導入することにより、科学的に開発されてきた製品を分野に関係なく開発することが可能になる。
教師データをどうするのか、という突っ込みがあるかもしれないが、AIがあれば、二流の技術者の知識と公開情報で一流の科学者にAIを作り上げることができ、それにより異業種の製品なり、部品を組み立てることが可能になる。
すなわち、電気屋ではない会社でユニークで高性能な家電が生み出されるようなことが起きるかもしれない。
モノよりコトが叫ばれて久しいが、それによってGDPが特に改善していないのは、付加価値が生み出されていないためだ。
体験型商品を作ろうとしたときにあらゆる分野の総合力が必要になり、その結果異業種とのコラボが叫ばれたりしたが、うまく付加価値を生み出せていないのは、寄せ集めでは効率が悪いためである。
AIがあれば異業種とのコラボは不要で、あらゆる分野の科学的な知識を容易に一社で組み合わせて新規技術を生み出すことが可能となる。
ただし、これは科学的に構築された技術分野の製品だけである。このように夢想してゆくと、21世紀に第二次産業は何を目指さなければいけないのか見えてくる。
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1月1日といえば一年の計画を立てて初詣に行き、神様にお願いをする。そしておみくじを引いて一年間を占ったりするのは、多くの日本人のルーチンだろう。
弊社の今年の目標なり戦略は先月末作成しているが、その中で今月末販売される「ポリマー混練り活用ハンドブック」は重要な位置づけである。
発売前のサービス価格として送料消費税込み4600円で今申込受付を行っているが、定価4800円の書籍なので送料からすべて込みの4600円という価格が弊社にとりましては出血価格であることはご理解いただけると思います。
出血価格をつけてまで販売したいのは、この続編も出版したいと計画中だからです。続編ではマテリアル・インフォマティクスを取り上げたいと思っています。
電子出版事業を目指していますが、まずは実体のある書籍から地道に積み上げていく戦略に切り替えました。本年もよろしくお願いします。
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今年もいろいろなことがあった。また年末になると各方面で一年の振り返りで様々な事件が取り上げられる。面白いのはその1位から10位ぐらいまでには、3つほどは共通した事件が取り上げられていることだ。
その中で当方が思い出深いこと一つ上げるとしたら、宇野昌磨選手を通じてコーチングの役割とその重要性を改めて知ったことである。
どこもこの事件を取り上げていないので、余計に思いで深いこととなった。誰も十大事件として取り上げないのに当方が取り上げる理由は、昔コーチングについて学習してみてもあまり有効性などを実感しなかったからだ。
転職して有機無機複合ラテックスの開発に成功した時に少しコーチングの魔力を感じたぐらいである。
しかし、宇野選手は今年一年の振り返りとしてコーチの重要性を大変わかりやすく回答してくれただけでなく、コーチが不在の時にどのような状態になるのかも身をもって教えてくれた。
実は組織活動においてはフィギュアスケートの様な厳しさが無いためにコーチングの重要さをあまり感じさせない。プロ野球でも張本氏にコーチなんて誰でもいいんじゃないの、と言わしめるようにコーチの効果や影響はわかりにくい。
しかしそのプロ野球でも、王選手はコーチングによりホームラン王になった話をかつて語っていた。
コーチングは誰でもうまくできるものではない。コーチングスキルとして取り上げられるように、これは意識して練習しなくては身につかないものである。
それゆえ一時期企業でもコーチングスキル向上のための研修がもてはやされたが、最近はあまり聞かない。
これが定着したために評判になっていないならよいが、パワハラやモラハラの事件がよく取り上げられるようにコーチングのありがたみが浸透していないために忘れ去られた感がある。
実はコーチングスキルとはコーチ一人のスキルアップで成り立つのではなく、コーチを受け入れる側のスキルにも依存し、その効果が影響を受けることが理解されていない。宇野選手はそれを教えてくれたのだ。
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セラミックスでは、粉体の粉砕技術は重要である。それゆえ40年近く前のセラミックスフィーバーでも様々な粉砕機が開発された。
また、粉砕により粒子が正規分布するだけでなく、多分散系となることも確認された。そしてサブミクロンの粉砕を行うためには時間をかけなければいけないことが分かってきた。
高分子の混練の教科書を読むと粉体が解砕されてゆく機構が書かれているが、その時粒子がどのような分布になるのか言及していない。
ゴムにカーボンを配合するケースは多いが、カーボンは一次粒子が金魚のうんこ状態でつながっている。困ったことにうんこの形態まで変化する。
ロール混練では時間をかけてうんこ状態をうまく分散できるが、二軸混練機では一定時間で混練物が吐出されるのでさまざまな分布となっていることを容易に想像できる。
力学物性では、マトリックスの弾性率に依存し80から800μmまで許容される凝集粒子の大きさが異なる。
すなわち最大粒子径がある一定値を超えると靭性に影響が現れるので、引張強度が低下する。
電気物性では、分散状態の影響が力学物性よりも大きく現れる。パーコレーションの問題は力学物性にも存在するが、電気物性で大きな問題となるのは、パーコレーション転移前後でその物性が大きく変化するためだ。
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100円ショップで売られているお茶碗や湯飲みには、その価格に驚く。子供の頃親に連れられて行った瀬戸物市よりも安い。しかも品質が安定している。
瀬戸物の安物には、どこか欠陥があった。また、割れやすく、畳の上に落としても割れたものがあった。母親はそれを見て、打ちどころが悪かった、と嘆いていたが、品質が悪かっただけである。
100円ショップのお茶碗は射出成形で製造される。その後脱脂工程でバインダーを除去してから模様をシールで張り付けて焼結と同時に模様が焼き付けられる。
100円ショップのお茶碗の中には、お茶碗の形に焼結が行われた後、シールが貼られる場合もあるが、そのようなお茶碗は使用していると模様が薄くなってくる。
20年前にはこのようなお茶碗を見分けることができたが、最近は技術が高度化し、焼結時に焼き付けた模様との区別が難しくなった。
実は今事務所で使用しているマグカップの模様が少し薄くなってきたので、この様な事を書いている。
100円ショップの商品ではなく何かの粗品として頂いたマグカップだが、起業してから使用していた愛用品である。
普段使用していて気がつかなかったが、事務所の食器をすべて整理していて気がついた。昨日から大掃除をやっている。
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この本は、2005年に中間転写ベルト開発を担当した時に読みたかった本である。それが世の中になかったので今回自分でまとめてみた。
とりあえず、混練の本として盛り込むべき内容を盛り込んだつもりである。そして表題に「混練り」とつけたのは、既存の混練に関する書籍の大半が混合分散に終始していることにあてつけたものだ。
ポリマーの混練は、フィラーやポリマーをただ分散しているだけのプロセスではない。そこのところにこだわって「り」をあえてつけている。
また、この本では最先端のマテリアルインフォマティックに関しても一つデータを提示している。ただしこの研究テーマがどのように流れてゆくのか不明なのでマテリアルインフォマティックとは述べていない。
すなわち測定データ駆動型新材料開発を試みた実験結果を掲載しているだけだが、これは今東大の先生方が提唱されているプロセスインフォマティックに含まれるかもしれない。
ただ当方は、この手のはやりものにかぶれて書いている、と思われたくないのでひっそりと一つデータを掲載しているだけだ。
そのデータとは、射出成形体の強度は弾性率と靭性の関数になるという混練の神様が教えてくれた経験知をもとに、新たな材料開発を行ったときのデータだ。このデータ群から難燃剤を添加しないでリサイクルPETの難燃化処理に成功している。
このハンドブックには、このように最先端の香りも盛り込んでいるが、学術書ではない。あくまで経験知と形式知をハンドブックとした書籍である。
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半年後に製品化を控え、外部の一流コンパウンドメーカーから購入していたコンパウンドでは歩留まりが悪く製品化立ち上げが困難と判断して参加した打ち合わせにおいて、「素人は黙っとれ」と言われた話は以前書きました。
一流コンパウンダーの技術者やPPSを供給していた一流メーカーの技術者の意見と当方の見解が全く異なり、打ち合わせの途中で当方が追い出されるような事態になりましたのが、高価な本を数冊購入した動機でした。
混練りの神様から指導された内容が間違っていたのか、世間の混練に対する見解が間違っているのかは、形式知が書かれた書籍を読むのが一番確かです。
しかし、高い金を払って購入した書籍には、どれも混練の神様から伝授された考え方が書かれていませんでした。ひいき目で表現すれば、混練機を設計する人には役に立つかもしれないような本でした。
ただ、それにしても混練の形式知と呼ぶには貧弱で、混練機構をモデル化しやすいように考え出された形式知のようにも見えました。
そこでゴム会社時代の手帳を引っ張り出し、混練の神様から受けた授業のメモを頼りに自分で勉強しなおし、カオス混合のプラントを設計して、たった3ケ月でそれを立ち上げることに成功しました。
そこから製造されたコンパウンドで、中間転写ベルトの歩留まりを90%以上と飛躍的に向上させることができました。そのラインは現在でも国内で稼働しております。
この学んでから20年以上経過したゴム会社の基盤技術(注)を写真会社で復刻させた体験は書籍にも少し書かれています。
(注)ゴム会社でのキャリアは、高純度SiC事業化を業務としていたのでセラミックスである。ただ新入社員時代に3ケ月間樹脂補強ゴムをテーマにゴム技術を指導社員から伝承されている。毎朝座学で午後は実習だった。定時後は指導社員が管理されていた設備について自由に使用してよいと言われていた。スペクトロメーターにロール、バンバリーの3機種を自由に使えたのは知を学ぶために有効だった。
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先ほど表題の書籍について、2020年1月下旬発刊との連絡が出版元のゴムタイムズ社から正式に入りました。価格は1冊4800円とのこと。
昨日、本欄で書きましたように年内は割引価格送料込み4600円で頑張りたいと考えております。
さて、この本は2005年にPPSと6ナイロン、カーボンの配合によるレーザーカラープリンターの部品である中間転写ベルトの押出成形を前任者から引き継ぎました時に、読みたかった内容の本です。
当時8万円以上する専門技術書を自腹で5冊ほど購入しました。資金源は以前この欄で書きましたが、高純度SiCの基本特許に対してゴム会社が旧無機材質研究所に支払った使用料です。
このお金の出所につきましてはドラマがあるのですが、ケンシューを退職するときに公開したいと考えています。
怪しいお金ではありません。人情噺に近いかもしれない美しい話です。誠実真摯に生きておればよいことがある、という事例の様な実話です。
さて、高額な専門書を購入して勉強したところ、驚いたことにゴム会社に入社して樹脂補強ゴムの開発を担当した時にご指導いただいた混練の神様と呼んでも良いような指導社員から毎朝座学で習った内容と異なっていたのです。(明日に続く)
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昨日書籍購入を申し込まれた方にはお礼申し上げます。予想外の申込数ため、4000円のサービス価格は昨日だけですが、年内は送料込みで4600円で申し込みを受け付けたいと思っています。
おそらく来年には値段も確定し、1月下旬には全国の書店に並ぶかと思いますが、昨今の書店の倒産などの状況を考慮し、弊社のホームページでもt年明けしばらくは販売前のサービス価格でがんばろうと思っています。
発刊後は諸事情あり定価販売送料サービスとします。著者割引価格も決まっていない状況ですが、とりあえず年内は送料込み4600円として申し込みを受け付けることにいたしました。
1月下旬ころ出版され次第申し込まれた方には郵送にて発送いたします。本日は昨日申し込まれました方の整理の最中です。
昨日申し込まれた方にはお礼申し上げるとともに、発送が1月下旬になることをお許しください。なお、定価は5000円前後となりそう、と昨晩連絡が入りました。
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