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2019.08/27 オリゴマー

すでに弊社とお客様との共同出願による特許が公開されたので少しオリゴマーについて書いてみる。

 

高分子技術の状況についてはすでに書いてきたが、オリゴマーの技術は高分子技術よりも理解されていない部分が多い。

 

すなわち、オリゴマーの材料科学における価値やオリゴマーを制御して合成する技術など未開拓である。

 

このことを御存じない方が多い。これまでオリゴマーは邪魔な存在ととらえていた技術者も多いのではないか。ゆえに弊社とお客様との共同出願特許が公開されてもその意味が理解されないのではないかと思う。

 

科学の時代において高分子分野におけるこのような存在を不思議に思う方がおられるかもしれないが、これはパラドックスと呼べるような状況である。

 

すなわち、科学が進歩すればするほど非科学的分野の新規性と有用性が増加してゆくということだ。

 

高分子材料分野においてオリゴマーはどちらかと言えば邪魔な存在だった。すなわちうまく重合を制御できないとオリゴマー成分が増えて、それが物性に悪影響を与えてきたのでオリゴマーを取り除く方法が高分子合成において重要だった。

 

しかし、オリゴマーは、うまく分子量制御し合成して用いると、高分子材料の改質に有用な物質にもなりうるのだ。そしてその有用性について科学では処女地と呼べるような分野である。

 

今回公開された弊社とお客様との共同出願された特許は、オリゴマーの分子量制御とその結果生まれた新規の現象を含む事例である。ご興味のある方はお問い合わせください。

 

なお、8月30日のセミナーではこの技術の可能性についても少し説明します。まだセミナーの申し込みをされていない方は、少し空席もございますので今からでも間に合います。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2019.08/26 NHK朝ドラ視聴率が落ちた理由

朝8時からのNHK朝ドラの視聴率が落ちているという。民放のディレクターの意見まで出てきて、原因の解説をさせているが、要は急につまらなくなった、の一言に尽きる。

 

すなわち8月15日以降の話の展開や主人公のセリフも含め、あまりにも物語の時代と価値観がずれており、それが50代以上の視聴者には安っぽいドラマと見えているのだ。

 

視聴者が誰も見たことのない時代の話、ちょんまげ時代劇ならば許されるこのような「時代考証のずれ」は、手抜きどころかばかげて見えてくるから不思議だ。

 

昔ビートたけし監督の時代劇でタップダンスが飛び出して新鮮さを感じたが、あれは監督も述べていたように誰も知らない時代の話だからジョークとして捉えられたのだろう。

 

誰もが知っている時代の話の中でありえないシーンを展開するためには、その効果に対して高度な考察が必要になる。

 

これは科学の世界の話でも同様で、PPSと6ナイロンは相溶しないことをその専門家たちは知っている。そこでPPSと6ナイロンが相溶した話をしても「ウソだろ」となり、高度な技術でも理解されない経験をしている。

 

常識とあまりにもかけ離れると話そのものが嘘っぽくみえてつまらなくなる。だから常識外れの話の展開の仕方などに高度の工夫がいる。

 

以前STAP細胞の騒動では、騒動になる前に若い研究者に割烹着を着せて理研は説明させていた。生物化学界をひっくり返すような現象の発表なのでそのような演出がなされたのだろう。あれはうまい方法だと感心させられたが。

カテゴリー : 一般

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2019.08/25 KY

表題は当方のイニシャルではない。当方はYKである。KYとは空気を読めない、の意味で、その場の雰囲気を忖度せず振舞う人のことを言う。

 

小泉孝太郎主演のドラマが好調でKYがネットで話題になっていた。インタビューで小泉氏は、俳優として成功した理由を自分のKYな性格にあったと述べている。

 

すなわち、首相の息子として見られることを承知で芸名もそのままにデビューしている。また、TVが映し出す芸能界においての活動もKYそのものである。

 

多面評価が主流となった企業のサラリーマン社会ではKYは評価されず給与が伸びない時代である。給与を増やすためには常に忖度が要求される。しかし、いつも忖度をしていてはそれも評価されないので難しい。

 

その難しさの中で生き抜き組織人として成長してゆく。よく大企業のサラリーマンと中小企業のサラリーマンの違いが論じられたりするが、組織の大きさとそこからくるストレスが原因である。

 

大企業のサラリーマンでもKYの人は成長しない。ゴム会社に入社し、一年ほどしたときに先輩社員から、「一皮むけたな」と言われたが、早い話が組織環境に慣れて忖度の毎日となっただけである。

 

ただ忖度だけでは仕事はできない。少なくとも成果を出そうとしたときに忖度が障害となる場合がある。そこにいつ気がつくかにより出世する人とそうでない人の差が出る。

 

 

日本のGDPの伸びが鈍化しバブル崩壊後は停滞していたが、最近少し伸び始めた。日本全体が忖度の弊害に気がつき始めたのかもしれない。

 

カテゴリー : 一般

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2019.08/24 ハロゲン系難燃剤

ある皮革加工会社から依頼されて、皮革を難燃化した。予算が少ないので2日間の特別作業だが、何とか技術開発できた。

 

実は昨年、1年間の契約で同様の依頼を受け、ホスファゼンを使用し革の鞣し工程に使用可能な新技術を開発して特許出願を完了している。

 

しかし、その後使用したホスファゼンの生産が中止になったため今回は別の技術を開発する必要があった。しかし、予算が無いので2日間の限定で、と依頼されたので、なりふり構わず既製品のハロゲン系難燃剤を使用し、技術を作り上げた。

 

既製品と言っても、革の鞣し工程用の薬剤が販売されているわけではないので、うまく既存の工程に合うようそれなりの技術開発が必要になる。

 

あらかじめ界面活性剤を数種用意して取り組んで、無事1日で技術を作り、残り一日で効果の再確認をおこなって引き渡しした。

 

昔先端技術で高偏差値の研究者が数名一年間取り組み技術開発は不可能と結論が出された電気粘性流体の増粘問題を一晩で解決した「技術開発の方法」を今回用いている。

 

ただ、昨年は環境対策が技術開発目標としてあったので難燃剤の選択に時間が必要だったが、今回は昨年度の経験を使用でき、そこでなりふり構わず、昨年検討から外したハロゲン系難燃剤を検討することにした。

 

中部大学武田教授も指摘されているが、ハロゲン化合物+三酸化アンチモンの組み合わせは強力でおそらく何でも難燃化でき、今回も3時間程度でその機能最適化までできた。

 

ところが、昨年開発したホスファゼンシステムでは、燃焼時に煙が少なく難燃化できたのに、今回の系はいかにもの色をした煙が大量に出る。

 

カテゴリー : 一般 高分子

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2019.08/23 実験

実験は仮説を確認するために行え、は、科学こそ技術開発の唯一の方法と信じられていた時代の考え方である。

 

 

企業の研究所において部下をこのように指導されている方は今でも多い。しかし、技術開発において実験の目的はそれだけではない。

 

 

むしろ、実験を仮説確認のためだけという考えのほうが間違っている。アカデミアにおける実験ならばそれでも十分かもしれないが、技術者にとって実験は機能確認のために行う場合が多い。

 

 

タグチメソッドでは、まさに基本機能のロバストを確認するために実験を計画する。効率を上げるためにラテン方格を利用したりもする。

 

 

また、機能を確認するためだけでなく、新しい機能を探すために実験を行う場合がある。

 

 

この実験の目的や方法が意外としられていない。昨今の新技術の話題は生化学や通信情報分野が多く、20世紀にあれだけ騒がれた材料分野では、ほとんど新技術の話題が無くなった。

 

 

生化学や通信情報分野の新技術に新材料技術も必要なはずだが、例えば高周波対応の材料については従来の素材の科学的に自明の方法による改良技術しか話題になっていない。

 

 

10年ほど前に負の誘電率が少し騒がれたが、それに対応した材料技術を特許で探しても公開されてきていない。

 

 

実は負の誘電率については1990年代に実験を行い気がついていたが、科学的にあり得ない、と否定されたのでそのままにしていたが、最近面白い実験結果が出た。

カテゴリー : 一般

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2019.08/22 興奮した実験結果

仮説を確認するために実験を行うのは科学者だが、技術者は機能を確認するためにあるいは新たな機能を見つけるために実験を行う。

 

タグチメソッドでは、基本機能の確認をラテン方格を用いて行うが、これは試行錯誤法の一つである。また、故田口先生もタグチメソッドは実験計画法ではないと言っていた。

 

計画された実験でなければ試行錯誤である。タグチメソッドでは試行錯誤を効率よく行うためにラテン方格を利用しているにすぎないのだ。

 

だからタグチメソッドで時としてびっくりするような結果が得られたりするときもある。これも故田口先生は、そのために制御因子は大きく変動させるように指導されていた。

 

さて、実験結果でいつも科学の真理に基づく結果ばかりが得られるわけではない。

 

例えば電気粘性流体の耐久性問題では、界面活性剤では問題解決できないという科学的に緻密で完璧な論文があったにもかかわらず、界面活性剤を使い一晩で(今ならば荷重労働、さらに残業代も支払われていないので典型的なブラック企業の実験となる)問題を解決している。

 

この時、科学的に完璧な論文を見せていただいてなかったので、問題解決できても興奮しなかった。住友金属工業(当時)とのJVが立ち上がり高純度SiCの業務に専念したいために余分な仕事を早く解決したいだけだった。

 

しかし、これまでの人生でビックリするような実験結果は問題解決よりも、「こんな現象が起きたら面白い」という興味半分の実験で得られている。

 

いくつかあるが自慢話のようになるのでここで書かないが、神がかり的な実験結果を一つ紹介すると、初めて高純度SiCを製造した実験では、必死のお祈りがプログラムコントローラーを暴走させて、その結果最適条件で熱処理され、黄色い高純度SiCが得られた、という冗談のような実験がある。

 

 

(これは、当時の無機材質研究所で行われており、多数の目撃者や原因不明の暴走ということで安全委員会まで開催されている。ただし、安全委員会では、必死でお祈りしていたという証言をしていない。)

 

この30年以上前の体験は、今でも鮮明に思い出すことができる。神の存在を信じることになるのだが、どのような神なのかは無信教なので具体化されていない。

カテゴリー : 一般

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2019.08/21 高分子のプロセシング(37)

A,B2種類の物質が固体なり液体の場合、両者に必ず界面が生じる。この時それぞれの表面における分子の自由エネルギーは、内部に存在する分子の自由エネルギーよりも大きい。この状態から系全体のエネルギーを最小にするように形状が決まる。(この捉え方は間違っていない。)

 

物理化学では、溶解状態と分離状態の取り扱いについて理想溶液を前提にしている。すなわち混合はランダムに生じ、エントロピー項はモル分率だけで表現できる、と仮定して溶解について議論を進める。(高分子についてこの仮定が不十分であることは明らかである)

 

この低分子の溶解理論において最初からすでに誤差が入っていることに注意する。さらに溶質と溶媒との間の凝集力が分散力(ファンデルワールス力)だけで議論できる、とする正則溶液(regular solution)という前提も出てくる。

 

有名なHildebrandの溶解性に関する概念では、液体の凝集エネルギー密度を溶解性パラメーター(Solubility Parameter:SP)と定義している。

 

この時の熱力学的前提条件として、溶液は正則容液であること、また、分子間力は分散力に基づく分子間力のみ、となっている。

 

そして、モル凝集エネルギーをE、モル容積をVとして、溶解性パラメーターδ = (E/V)1/2を表現している。この定義により、δの近い物質同士では、理想溶液の混合を前提にして相互に溶け合う。

 

これに対して、Hansenが、分子間力の相互作用について分散力成分のみで処理できないとし、分散力相互作用(d)、極性相互作用(p)、水素結合性相互作用(h)の総和が溶解性パラメータ、すなわち(δtotal2=(δ+(δ+(δ であるとした。

 

その後も、この概念の拡張は行われているが、拡張された概念であっても皆正則溶液という制限がついていることを忘れてはいけない。一般に行われる高分子の混練においてそのような系は存在しないのである。

 

混ざる議論について基本的にこのような原則で現象を眺めている、ということを忘れてはいけない。おかしな現象が現れてもおかしくないのである。

 

混練で起きている現象は、科学で論じられた教科書の内容をはみ出すことがあるのだ。それならば、アイデアも大胆に展開したほうが新たな技術を生み出すチャンスが増える。

 

PPSと6ナイロンを混練したところ、科学の真理に反する透明な樹脂液が出てきて、腰を抜かした人がいたが、当方はカオス混合の成功で飛び上がって喜んだ。

 

但し、目の前の現象は、科学を否定しているのではない。科学で解明されていない領域の現象が起きているにすぎないのだ。それは、混合に関する科学が大変狭い領域の現象について真理を明らかにしただけで、科学で解明できていない現象がまだあることを示している。

 

余談だが、実験を何のために行うのかについて、諸説あるが、新しい現象を見出すために行うのも実験の目的の一つであり、またこれは実験の最大の楽しみである。

 

仮説を確認するために行う実験は大切かもしれないが、その実験が新しい現象を生み出さないようでは、面白みが無い。単なる自己満足で終わる場合もある。

 

誰も見たことのない新しい現象が目の前に現れたとき、人生最大の興奮状態になる。最近は実験をするときに命を心配するようになった。

カテゴリー : 高分子

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2019.08/20 高分子のプロセシング(36)

高分子のブレンドや添加剤について机上で検討するときに、SP値が使われることが多い。

SP値は、例えば高分子や添加剤に含まれる官能基の引力定数表の値を用いてSmallの方法やOCTAなどで計算もできる。

しかし、このような計算値ではなく、SP値が既知の溶媒を用いて、高分子なり添加剤をその溶媒に溶解して、その溶け具合から決定する方法が良い。

なぜなら、Smallの方法で得られたSP値の信頼度について、筆者の経験ではせいぜい60%程度だからである。

また、SP値が既知の溶媒を用いて評価する方法では、無機フィラーの表面についてもSP値という概念に展開可能である。

すなわち、混練では、高分子へ微粒子を分散する場合があり、その時に微粒子の表面と高分子の濡れで分散効率は変わる。これは混練機の性能よりも大きく影響する場合がある。

余談だが、混練のシミュレーターを使ってみて理解できたことだが、シミュレーターには配合成分の相互作用に関する情報を入力できないものもある。また入力できたとしても、不十分な情報しか入力できないソフトウェアーも存在する。

混練のシミュレーション結果ぐらい当てにならないものはない、というのがそれを使用した印象である。

さて、計算により求められたSP値の信頼度が低い理由として、低分子の溶解理論から高分子の相溶に至る理論の拡張に原因がある、と思っている。

カテゴリー : 高分子

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2019.08/19 情報通信のセミナー

情報通信分野で5Gが注目を集めています。5Gで世の中がどのように変革されるのか。

高分子材料の誘電率制御に関して、下記のようにセミナーを開催します。

弊社へ申し込まれますと、36,000円(消費税含まず)となります。

1.主催  サイエンス&テクノロジー

2.日時  2019年8月30日(金)10時30分-16時30分

3.場所  品川区大井町きゅりあん

4.詳細  https://www.science-t.com/seminar/B190850.html

カテゴリー : 学会講習会情報 宣伝

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2019.08/18 高分子のプロセシング(35)

混練では、異なる一次構造の高分子(ポリマー)を複数ブレンドするケースは多い。ここでは、形式知のポイントの整理にとどめ、混練時に注意すべき現象については経験知に基づき説明する。

 

具体的な細かい議論については、バーローやムーア、最近であればマッカーリとサイモンによる物理化学の教科書、あるいは高分子の物理に関する書籍を読んでいただきたい。

 

ただし、高分子関係の教科書の中には、低分子の溶解理論から議論せず、いきなりフローリー・ハギンズ理論が出てくる場合もある。

 

物質の溶解現象に関して熱力学の形式知は体系化されたが、低分子から高分子にかけての拡張についてその体系に少し危うさがある。

 

そのまま実務で使用していると大切な現象について形式知に邪魔されて見落とす場合もある。

 

高分子材料の混練技術について考察するときには、形式知と経験知を日々正しく分離して整理する努力をいとわないことがコツである。

 

混練プロセスでは、時として形式知を疑いたくなるような現象が起きたりする。しかし、それは形式知が正しいとか正しくないとかいう議論の前に、非平衡における現象について形式知の体系が未だできていないことに注意する必要がある。

 

そのため、奇妙な現象に遭遇したら、信頼できる専門書かアカデミアの研究者に相談されることを勧める。

 

ただし、アカデミアの先生の中には泥臭い現場情報を不得意とされる方もおられるので注意を要する。「know who」は、「know how」同様に重要である。

カテゴリー : 未分類

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