銀塩フィルム写真が終焉を迎えようとしていた時,写真愛好家の間でボケが注目され始めた。ボケとは英語でも「BOKEH」であり、日本から生まれた表現技法の言葉のようだ。
写真のピンボケには、「blurred(blurの過去、過去分詞)」が使われたりしていたが、写真表現としてのボケという単語には、日本語のボケが海外でもそのまま使われている。
この日本語はぼけ老人としても使われたりするが、「bokeh」は、写真独特の表現技法だけに使用される。この技法は、レンズを通してオブジェクトを二次元化するときに撮影条件を満たすと写真特有の美しい世界を生み出す。
ボケの対極にある技法は「ヌケ」だと思っているが、これはまだ流行っていない。おそらくボケの対極の言葉として位置づけたのも当方が初めてかもしれないが、「ヌケ」と「ボケ」をバランスさせたレンズを設計するのは大変難しい。
なぜならボケを美しくしたいならばレンズの収差を残す必要があるからだ。収差が残れば、シャープな画像や正確な色再現は難しくなる。安いレンズで撮影した画像でヌケの悪い眠いケースがあるが、これは収差の補正がうまくできていないためである。
おそらくこのボケとヌケのバランスを意識的に設計したのは、ペンタックスのLimittedレンズシリーズが初めてではないか、と思っている。また、ボケのブームはこの77mmから始まっているらしい。
このペンタックスのレンズシリーズで撮影された画像のボケは皆美しく、特に31mmが有名だが当方は、少し絞ると大変抜けが良くなる77mmを一押しとしたい。ただし77mmは、注意しないと軸上色収差や球面収差などが原因で起きるパープルフリンジに悩まされるくせ玉である。デジカメで使用するとさらにこれが起きやすくなった。
どうもパープルフリンジは画像センサーの影響(写真フィルムは感光層の厚みと表面の凸凹で目立ちにくい)も出ているようだが、77mmレンズにはボケの美しさを優先して設計したためにこの欠点が残っているらしい。
おそらくレンズ設計やデジタル処理でこれを取り除く方法もあるかと思うが、ペンタックス77mmレンズはこのような欠点があるにもかかわらずボケとヌケのバランスを大変良く調整できるので当方のポートレート撮影には欠かせないレンズである。
最近ソニーのミラーレス用レンズがボケの美しさで注目されたりしているが、この85mmレンズで撮影された画像を見ると、ボケ方は大変良いのかもしれないけれど、カメラ雑誌に紹介された絞り開放の写真ではやや眠い画像と感じる作品もある。
また商品を紹介しているソニーのサイトに掲示された画像はニコンの様なカリッとした写真ではない。色のりは良いのだがヌケを少し悪く感じる。これは好みも依存するかもしれない。
ちなみにヌケの良い画像が得られてポートレート撮影で腕が上がったような錯覚になるレンズは、ニコンの85mmF1.4Dである。このレンズを用いて絞り開放で撮影したデジカメの写真は、絞り開放にもかかわらず大変シャープでヌケがよい画像が得られる。カメラのサポートもあり、目にピントがかっちりあった画像が得られる。これをモデルに見せると皆喜ぶから不思議だ。
もちろん絞ればさらにカリカリになり雑誌の表紙のような写真を撮れる。このレンズでポートレートを撮影すると、ボケよりもそのヌケの良さでプロのカメラマンになったような気分になれる。
ただしボケは少し硬く、ソニー製品を高評価しているボケ好きの老人評論家B氏によれば「汚いボケ」と言われている。しかし、このB氏が指摘するような汚さではなく当方は硬さと捉えている。ヌケが好きな人にはこの硬さもボケの一表現として気にならないはずだ。
おまけに、新しい設計のニコン85mmF1.4Gと比較しても前ボケと後ろボケのバランスが良いレンズだ。WEBで作例を比較してみると、絞りリングの無い85mmでは、後ろボケはやや1.4Dよりも柔らかくなってはいるが、前ボケは少し硬いようなイメージがある。
このようにポートレート用レンズとしていろいろなレンズを比較をしてみると、ペンタックス77mmレンズは古い設計なのでパープルフリンジの欠点を抱えている問題はあるが、当方が知る限りヌケとボケの最もバランスが取れ、さらにコントラストも高く色のりもよいポートレート用として最も優れたレンズと思っている(これは主観である。)。
ちなみにポートレートはこのレンズで撮影することが多く、例えば、八景島ボディーペインティング世界大会写真の部でこのレンズで撮影した写真が一席を獲得している。
レンズの光学技術は、科学で完璧に説明されつくした分野のように思っていたが、ボケとヌケのバランスをとるとなると、科学知識だけでは難しく美に対する見識が必要と思っている。
写真を芸術の一分野とするならば、レンズ設計技術は官能の世界で行われる作業の成果にも思われ、科学知識だけでは難しいのではないか。かつて多変量解析で車のデザインと色の関係を研究した論文を読んだが、統計手法で得られた結果を説明するために人間の目がナノオーダーの領域まで見ていると考えなければ説明できない、という考察が書かれていたのが印象的だった。
ニコンはぜひ官能評価も取り入れてレンズ設計して欲しい。新しいZマウントの35mmは大変ヌケとボケのバランスの良い写真が撮れるが、なぜかその結果に人工的な匂いを感じる。
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デジカメの市場が大きく動き始めた、と言われている。今一眼デジカメと言うカテゴリができて、一眼レフとミラーレスカメラがそのカテゴリーにくくられはじめた。
かつてミラーレスカメラは、オリンパスやパナソニックが商品化を積極的に進め、そのさなかソニーがフルサイズミラーレスを上市して注目された。ニコンはニコン1をペンタックスはペンタックスQを発売した。
このころはミラーレスと一眼レフはそれぞれ別々のカテゴリーの商品だった。実際に、ペンタックスが一眼レフのミラーをとっただけのミラーレスを発売しても大きく市場は動かなかった。しかし、ソニーが一年ほど前フルサイズのミラーレスでニコンの一桁一眼レフ以上のスペックのカメラを市場に投入してからマーケットは大きく動き始めた。
ソニーはいつの間にか一眼レフカメラの開発よりもフルサイズミラーレスを一眼デジカメの主力商品に育て上げていた。その結果、一眼レフデジカメはミラーレス一眼カメラにマーケットを侵食され始めた。
一眼レフカメラのツートップメーカーはこの状態となり、昨年ようやくソニーのフルサイズミラーレス一眼を追撃する商品を発売した。驚かされたのはパナソニックもフルサイズミラーレス一眼を発売したので一気に一眼レフとミラーレスの垣根は無くなり、同じ土俵で戦うことになった。
キャノンとニコン、パナソニックは、ソニーを追う立場であるが、ニコンの戦略は際立っている。すなわちミラーレスで「今」の戦いを捨て、未来に生き残る戦略をとっている。すなわち、市場占有率を広げる戦略ではなく、性能トップを狙う戦略である。これは当方も高純度SiCの開発を行ったときにとった戦略なので大変理解できる。
すなわち、最高級の性能を市場で実現しておれば、シェアーは取れなくても、必ず生き残れるのだ。実際にゴム会社で生まれた畑違いの高純度SiCの技術は生き残って30年以上事業として続き、昨年末名古屋のセラミックス会社に事業譲渡された。
この面白い状況を体験しようとニコンZ6をズームレンズのセット品として購入した。購入して一か月、そのズームレンズの性能に驚かされたので35mmレンズを追加購入した。この35mm単焦点レンズにはさらにびっくりさせられた。ボケと抜けの見事な両立が実現されていたのだ。
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この20年間のデジカメの進歩は著しいが、デジカメだけでなくそのアクセサリーの進歩もすごい。最新のデジカメに最新のストロボを組み合わせて写真を撮ってみると、テカらないのだ。
もちろんバウンス撮影をすれば昔からストロボ光によるテカりを抑えることはできたが、それでもわずかにストロボ光の跡が画像に残る。また、ストロボに光拡散板やディフューザーをつけても同様の効果を得ることができた。
しかし、今時のストロボは事前にモデリング発光を行い、最適な光量を決める精度が著しく向上し、ダイレクトに光をぶつけてもテカらない場合がある。テカらない場合があると書いたのは、被写体によってはそれでもテカるからで、どのような被写体でそうなるかはここで詳しく書かない(例えば、お寺の住職の頭は確実にテカる)。
さて本論に入るが、先日ニコンのサービスセンターで最新ミラーレスに合うストロボを尋ねたら、電波制御が可能な5000番の商品を紹介された。電波制御は、ストロボ専業メーカーニッシンのストロボで人気が出た方法で、カメラメーカーのストロボは赤外線を用いたワイヤレス方式が主流である。
当方もニコンのワイヤレスストロボは、フィルム時代の製品も含め3台持っており、室内でオブジェクトを撮影するときに3台をワイヤレスで制御して活用していた。だから5000番の電波制御ストロボを購入すると古いストロボが使えなくなるのだ。
もちろんマニュアルには電波制御と光制御の両方を実現する方法が書かれているが、このようなリモート制御は一方式が、老人の頭には好ましい。サービスセンターではしきりに5000番を勧められたが、ビックカメラで調べたところ500番のストロボでも十分であることが分かった。価格は半分で、最新の機能のストロボが手に入るのだ。
もしZ6あるいはZ7を購入された方でストロボが必要な方は高いストロボを購入する必要はない。二か月使ってみたが、古いストロボも十分に生かすことができて重宝している。ちなみにCH3に制限されるが500番でもリモートの親機として使える。(また、電波制御を行う場合には、カメラ本体にオプションを使う必要もある。なぜサービスセンターは高価で不便な5000番を勧めたのだろう?)
ミラーレスカメラを購入するときに、ソニーか、キャノン、パナソニック、オリンパスと迷ったが、結局手持ち資産を生かすためにニコンZ6を購入した。使いやすいカメラだがサービスセンターの対応に不満が残った。デジカメの市場の勢力図はこの10年流動的で、ミラーレスについてはソニーの一人勝ちである。
ニコンとペンタックスの弱小勢力のカメラ愛好家となってしまったが、画質には満足している。ペンタックスの77mmとニコン85mmf1.4との比較も機会があれば紹介したいが、ソニーその他とは一線を画す画質である。
最近はボケに注目が集まり、ソニーのミラーレス用レンズはそのボケ味に特徴を出してきたが、ペンタックス77mmは負けてはいない。被写体の色乗りはペンタックス77mmに分がある。また画像の抜けの良さはニコンが一番だ。
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アイデアを出すためには、いくつかコツがある。誰にでもできるコツの一つとして、オブジェクトについて思いつくことを書いてみる、という方法がある。
問題解決のケースでは、問題について、まず、問題そのものを明確にする必要がある。これが難しいと思う人は、そもそも今までボーっと問題解決をしてきた人であり、アイデアが出ないのも当たり前と思ってほしい。
問題とは、あるべき姿と現実との乖離である、と言ったのはドラッカーであり、あるべき姿とは、例えば商品であれば、そのスペックがあるべき姿になる。
商品であれば、スペックを満たしていないことが問題であることがすぐにわかるが、あるべき姿が分からない時には、まずそれを明確にすることから始める。
この作業で、漫然と頭に描かれていた問題が明確になることもあるし、上司から言われた問題が違っていたことに気がつく場合もある。上司がいつも正しいわけではない。
現実とは、目の前の現象を明確にすればよい作業なので比較的簡単である。あるべき姿と現実との具体化が済んだらその乖離している事柄を具体的に書いてみる。これだけで問題解決できてしまうことだってあるから驚きである。
あるべき姿と現実との乖離について具体化できたならば、それを結果とみなして、その結果を生み出した原因について思いつくことを書いてゆく。このような作業を繰り返してゆくと、そこにアイデアが具体化されてゆく。このあたりは弊社の企画するセミナーの内容だ。
アイデアが出ないと言って恥じている前に、とにかく「書くこと」である。恥は何もしなくてもかくことができるが、アイデアとは具体的に文字として書かない限り、凡人の頭には出てこないのである。
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朝ドラがプロジェクトXのようになってきた。このドラマ、面白いのはマンペイさんという発明家のキャラクターをうまく演出している点である。そして役者もそれをうまく演じきっている。
アインシュタインは、その脳の解析から発達障害と疑われているが、天才は常人と異なるところがある、というのが俗人の見方で、最近はその異なる理由を発達障害に求める論評があったりするから驚く。
ともかく、ドラマの中のマンペイさんは普通ではない人として描かれており、その振る舞いも奇怪なところが現れたりしている。マンペイさんが普通かそうではないかは実は問題ではない。昨日のドラマでは、フクちゃんのアドバイスによりリーダーとしての役割をうまく演じていた。
マネジメントとは、人を成して成果を出すことであるが、発明のマネジメントとなると難しい。フクちゃんはコーチングによりマンペイさんをうまくマネジメントしているが、それは夫婦関係という位置でのマネジメントだからうまく発明ができているのだ。
ところが天才肌に見られているマンペイさんが部下たちにコーチングしても所詮天才と凡才という受け取り方を部下にされてうまくゆかない。コーチング手法は、人間関係の影響を強く受ける。
そこで、マンペイさんはコーチングではなく、自分が責任をもって応援する、と寄り添う姿勢を演じていた。実はこの姿勢はコーチングではないのだ。当方は、20年前二通りのコーチングの研修を受講した経験があるが、どちらもフクちゃんタイプのコーチング手法である。
昨日見せたマンペイさんの姿勢は、過去のコーチングの研修では手法としての説明がなく、10年以上前に当方が実務体験をまとめた研究所におけるリーダーの在り方そのものである。
当方は凡人であり、アイデアを毎回苦労してひねり出していたが、テレビで演じられるマンペイさんのアイデアを捻りだす過程も血と汗のほとばしるプロセスだった。
高純度SiCの製造プロセスについては、無機材研の先生はじめ多くの方から天才的アイデアと言われたが、このアイデアを捻りだすために30年前、天井材の開発を終えてから1t近くのフェノール樹脂とポリエチルシリケートの廃棄作業を一人で行っているのだ。
天才だろうが凡才だろうがあっと驚く実用的な発明は、才能だけで生み出されるものではない。ドラッカーは、「頭のいい人ほど成果が出せない」といいことを言っている。
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会社起業前に購入したインクジェットプリンターが壊れた。エプソン製顔料系インクを用いたA3ノビまで印刷可能な最高級のプリンターである。
このプリンターが壊れる前は、染料系プリンターでやはりA3ノビまで対応していた8色インクのプリンターを使っていたが、ノズルつまりが多発していたので、4年ほど使用して今回の機種に交換した。
ノズルつまりもほとんど生じず印刷される画質に不満が無かったので使い続けてきたが、集合写真の印刷を行ったところわずかなゴーストが見られたので調整を始めたら、にっちもさっちもいかなくなった。
インクと紙の消耗戦となったので、あきらめて新機種を購入しようと久しぶりにカタログを見て驚いた。インクジェットプリンターがものすごく安くなっていたのだ。
しかし、写真画質となると最高級品は、以前よりも高くなっている。キャノンはこの高級品と低価格品との間の機種がなく、エプソンは高級品から低価格品までラインアップをそろえており、6色インクの機種をミッドレンジ商品として出していた。
この6色インクの機種の出力を見て驚いた。昔使用していた染料8色系と変わらないのだ。早速購入して、過去に出力した写真を幾つか再プリントしてみた。その写真とこれまで印刷した写真とを比較してみた。
驚くべきことに9年前購入した顔料インク8色系プリンターが少しずつ劣化していたことが分かった。6年前に印刷した写真と比較すると6年前の印刷では細部で擬色が発生している。購入して3年後には目立たない劣化が始まっていたのだ。
インクジェットによる写真の印刷では、この擬色の発生を見つけにくい。先日は明らかなゴーストとして目で検出できたので気がついたのだが、日常の印刷では作品としてまじまじと観察しないので気がつかないのではないか。写真を打ち出す前は、ノズルチェックが欠かせないことを意味している。
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この3月末に高分子の難燃化セミナーを企画しているが、新技術について公開しようか迷っている。いくつかアイデアを中国で試してみて可能性を確認しているが、特許を書いていない。一部基本特許をあるメーカーから出願し先日公開された技術もあり、それは今回のセミナーで初公開となる。
判断で悩んでいるのは、特許を出願していない技術である。これは中国のコンパウンドメーカーにも教えていない方法でまだ実用化されていない。しかし、幾つかの現象を組み合わせると新しい難燃化機能が見えてくる。
難燃化技術は、科学の世界ではとらえきれない技術であり、元名古屋大教授武田先生もその難しさについて語っている。科学では難しくとも人類は経験で、ハロゲンとアンチモンの組み合わせやリン系化合物を見つけてきた。燃えるイメージの赤燐さえも難燃剤になるのだ。
高分子の難燃化技術で難しいポイントは、難燃剤を高分子にどのように均一に分散するのかという問題である。すなわち、難燃剤成分の分散プロセスがその機能発現に影響する。難燃剤を使わないで可燃性高分子を難燃化する技術もセミナーで紹介するが、この技術は難燃剤の分散というプロセスから解放された技術である。
従来の高分子の難燃化セミナーとは少し異なる視点で、科学で対応できない技術にどのように取り組んだら良いかと言う問題解決法的な要素も講演しようと考えている。ご興味のある方は弊社へ問い合わせてください。3月29日に東京で開催します。
<セミナーのご案内>
日時 2019年3月29日
場所 大井町きゅりあん
<内容>
高分子の難燃化を科学で体系化するのは難しいですが、アカデミアのチャレンジ結果も出そろい経験からおおよその体系が見えてきています。混練技術にまで遡及し、経験知による体系を提示します。
カテゴリー : 一般 学会講習会情報 電気/電子材料 高分子
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実験を行う目的は、大別すると2つある。一つは、仮説を確認するためであり、他の一つは、機能を調べる、あるいはチェックするためである。
前者は、主に科学者が研究のために行うものであり、後者は、多くの技術者が行うべき実験である。前者は小学校から学習してきたので、主に後者について考えてみたい。
写真会社に転職してびっくりしたのは、実験は仮説を確認するためだけにやれ、と仮説に基づく実験だけを強制していた管理職がいたことだ。
タグチメソッドが導入されたときには、L18の実験は仮説を確認する実験だと大変狭い意味の指導をしていた。
ラテン方格を用いるL18実験は、本来すべての条件で実験を行っていては時間がかかるので、一部実施の実験で基本機能のチェックを18種の実験で確認しているのだ。
制御因子を配置していても実験結果を検討するとそれが制御因子とならない場合があり、そのため制御因子を仮説だなんて説明していたが、制御因子は仮説ではない。
技術者が考案したシステムを機能させるために操作すべきレバーあるいはダイヤルに相当するものだ。
実験開始前に制御因子として設定しても、それがSN比の制御因子と言えるほどの寄与が無かったときには、調整因子として利用できる。
すなわち、SN比に影響を与えないで機能の調整ができる因子となる。ゆえに最初に制御因子を設定した時にこれを仮説だけの意味に捉えるのは少し無理がある。仮説の様にみえてしまうが、単なる仮説だけの目的で制御因子を設定して実験をするわけではない。
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この一カ月近く表題のキーワードを見ない日がない。およそファッションには興味が無く、その結果ZOZOTOWN(以下ZOZO)については通り一遍の知識しかないが、表題の現象について、必ずしも一般に書かれている内容のような見方で当方は現象を捉えていない。
ZOZOについては、高級ファッションをインターネットで安価に購入できるようにした功績が大きいが、そもそも高級ファッションであり続けるためには、販売もその価格維持ができる販売形式でなければいけない。
若いころにJUNとかVANとかのブランドが流行った。しかしこのような流行はやがては下火になる。すなわち流行らなければだれも着なくなるからだ。ある日新品VANジャケットが1500円代で販売されていた。それまで10倍の値段で売られていた商品である。
さすが名古屋の投げ売りはすごく、今でも某高級エビせんの割れたかけらは1/3の価格で売られていたり、マロングラッセの砕けた粒の袋詰めが200円程度でデパ地下で売られたりしている。名古屋のこのような投げ売り商品は「買い」である。
ところでこのVANジャケットを購入して通学時に着たのだが、何か違和感があった。周りが着ていないのだ。そもそも流行ブランドと言うものは周囲が来ているから流行であって、流行が過ぎればいくらデザインが良くてもだれも着ず、そのようなデザインを着続けていると、周囲から浮く。
結局価格が1/10であっても1シーズン着なかったので高い買い物になったのだが、およそファッション関係の価格はこのような宿命である。だから一流ブランドが流通革命というキーワードに踊らされてZOZOに進出したが、それがブランド価値を落とす行為だと理解したら撤退するのは当たり前である。
高級ブランドは新品が安価で販売されたとき、その命を失うのである。高級ブランドを追いかける層は一定量いるので、その市場で事業を行うのが鉄則である。当方は高級ブランドよりも自分磨きにお金を使う主義なのでZOZOには興味が無かったが、これだけ世の中で騒がれると知らなくてもよいことを知ってしまう。
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平成の働き方の変化、ハラスメントはなぜ増えたか、という記事を昨日見つけた。その記事に次のようなことが述べられていた。
「これは、セクハラやパワハラが悪いことだと世間に認知され、「我慢しなくていいんだ」と考える被害者が増えたこともあるでしょうし、いじめや嫌がらせの内容が昔に比べてひどくなっているという可能性も考えられます。」(ヤフーニュースやつづかえり氏の記事から引用)
この見解について、前者について同感だが、後者については昔のほうがひどかったので、この意見は外れているように思う。
例えば、小生は20年ほど前にフロッピーディスクを壊されるような嫌がらせを受けてゴム会社から写真会社に転職しているが、「この程度は大したことではない」というのが当時の見解である。
しかし、当方はこれを異常な犯罪として捉え、せっかく立ち上がり始めた高純度SiCの事業を他の人に任せ、転職している。少なくとも20年ほど前は、職場のハラスメントに対する感覚が今ほど敏感では無かったと思う。
転職後、社外活動の機会が増えたので、職場の問題を他社の方から聞く機会が増えたが、さすがに当方ほどひどい事例は聞かない。むしろ、20年間に職場の問題は、改善されてきたはずである。
写真会社を早期退職し起業したら、ゴム会社から講演依頼という最初の仕事が飛び込んできた。転職した時の古巣からの依頼だったが、聴衆の雰囲気は20年前とすっかり変わっていた。そこに経営陣の努力を感じた。
多くの会社は、職場を働きやすくすることが業務効率につながることに気がつき、ハラスメント撲滅に努力しているのが実態ではないか。注意しなければいけないのは、ハラスメントに過敏になりすぎると、コミュニケーションやOJTに障害が出てくる可能性がある。
2年ほど前から品質データの改竄問題が明るみに出たりしているが、これが、上司が部下の指導を厳しくできなくなった結果であると厄介である。
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