光学用ポリオレフィン樹脂を射出成型すると、非晶質の成形体が得られる。無機ガラスならば全体は密度が均一なガラス状態である。
ところが高分子のガラスでは、自由体積と呼ばれる、分子運動が可能な空間が存在する。
すなわち、高分子のガラス相には、分子運動が凍結されている構造部分と、室温でもぴくぴくあるいはぶんぶんと、分子の一部が動ける自由体積部分との二つが存在する。
20世紀に高分子結晶に関する科学が著しく進歩し(注)、球晶の中にも非晶質部分の存在することが分かってきた。無機の結晶子に相当するのはラメラであるが、このラメラの生成の様子もわかってきた。
すなわち、光学用ポリオレフィン樹脂に限らず高分子の構造では、室温ですべての運動が凍結されているのではなく、自由体積部分のように分子運動が活発に行われている部分が存在する。
(注)当方が学生の頃、新規高分子合成が研究の花形であったが、高分子結晶に関する研究は盛んにになりつつあった。ゆえに授業では、シシカバブが出てきても球晶の詳細については講師から説明が無かった。また講師がシシカバブの名前の由来を御存じなかった時代でもある。ゆえに社会人になって学会に出かけその進歩の様子を見ていてアカデミアの活躍に圧倒された。もっとも企業ではおいそれと研究発表の許可が出なかっただけかもしれない。
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高分子量のポリオレフィン樹脂の一分子が、室温で空気中に浮いていることは無く、樹脂として何かの形になっている。例えばポリエチレン袋やアペルやゼオネックスの様なポリオレフィン樹脂レンズである。
ここで面白いのはポリエチレンは結晶性樹脂として知られているが、アペルやゼオネックスは非晶性樹脂と言われている。後者は嘘である。15年以上前にゼオネックスやアペルを結晶化させた経験があるからだ。
すなわちアペルやゼオネックスは結晶性樹脂である。これらは、側鎖基に嵩高い分子構造の基をくっつけて結晶化しにくくしているだけである。それがわかると結晶化させることが可能となる。
カタログには結晶性樹脂と本当は記載すべきであるが、射出成形では結晶化しにくいので問題になっていない。呼び名は問題になっていないが、この樹脂が非晶性樹脂と信じていると、レンズの射出成型で問題が起きたときに原因がわからなくなる。
さて、レンズ用ポリオレフィン樹脂では、全体が非晶質となっていることを信じ、高分子鎖1本がどのようになっているのか夢想してみよう。
高分子の非晶質体はすべてTgを有するのでガラスである。面白いのは無機ガラスと異なり、全体を細かく区切って部分部分の密度を比較すると、大変大きな密度差が観察される。
この時最も低密度の部分は自由体積と呼ばれ、その部分には、ガラス状態でも分子運動が行われている。すなわち、成形体全体はガラス化され運動が凍結されているが、自由体積と呼ばれるところでは、高分子の一部がそこに存在すると運動できる空間があるおかげで、分子運動が可能となる。
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原子では一個の玉を想定して、室温において高速で飛び回っている運動だけを考えればよい。球が自転していたりする運動をここでは無視しているが、それは飛び回ることで衝突したりして費やされるエネルギーの方が大きいだろうから、誤差として扱うこともできる。
ところが分子では、飛び回っている運動と分子を構成する原子の回転運動を原子のように扱えない場合も出てくる。これは、分子がいくつの原子でできているのか、分子の形はどうなのか、原子がどのような結合でつながり分子となっているかなどいろいろ考えなければいけないからである。
これは人間でも同じで、独身であれば一人の世界で何かしていても問題とならないが、夫婦という関係ができたとたんに一人の世界が壊滅状態になる夫婦生活もあれば、ある程度の一人の世界が許容される夫婦関係もある。子供ができればこの関係も変わる。
夫婦の片方が大変活性な運動をしている場合もある。夫婦の関係では不倫となるが、相手が独身の立場では訴えられない限り問題は起きない。原子と分子の夢想をこのように行うと話が進みづらくなるが、似ているところもある。
化学反応など一定のルールの中での結合形成である。科学的ではない反応が起きた場合など化学だけでなく物理も動員して考えなければ新たなルールを生み出せない。LGBTの問題は少し似たようなところがある。
さて、高分子は炭素原子が大量につながった構造をしている。1本の手、σ結合だけでつながっている高分子をポリオレフィンと呼んでいるが、このポリオレフィンにおいて炭素原子は、室温に相当するエネルギーでくるくる回転している。
その回転に合わせてσ結合が振り回されるから、もしポリオレフィン分子1本が空気中に浮いていたならば、ものすごい状態で動いている様子を観察できるだろう。但しこれは少し不気味で気持ち悪いかもしれない。粗視化モデルで温度を下げると異なる世界が見えてくる。
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あらゆる原子や分子は、その原子や分子のすぐ近くで測定された温度に相当する熱エネルギーで運動をしている。すなわち熱エネルギーを受けてそれを運動エネルギーに変えている、あるいは原子や分子は絶対零度であれば安心して寝ていることができる、というのが分子運動論の考え方である。
ここで温度は強度因子であり、エネルギーは容量因子なので、単純に測定温度からエネルギー量を決めることができない。測定温度からその空間のエネルギー量を決めることができるのは、平衡になっているときだけである。すなわち、25℃と計測されたときに、平衡状態となっていない酸素分子は必ずしも25℃ではないのだ。
26℃の酸素もおれば、20℃の酸素もいる。この温度とエネルギーの関係について専門家でも勘違いされている方がいるので気を付けたい。ここを正しく理解しておかないと、Tg以下でもスピノーダル分解が起きたり、クリープが起きたりする現象を理解できない。
さて、高分子はこの熱エネルギーによる運動をどのように行っているのか。これを夢想すると少し笑える。思い描く世界によっては艶美な風景となったり、エッチ恋(レン)だったりする。ここでは、それぞれの趣味で高分子を頭に浮かべてほしい。
まず、教科書には、溶融温度(Tm)以上で高分子は流動性を示す、と書いてあったりするが、ガラス転移点(Tg)以上でも以下でも夢想世界では時間軸を変えて高分子の流動性を描くことができる。すると教科書の記述はこれでよいのか、という疑問が出てきたりする。
大した話ではないが、難解な高分子物理の論文と格闘するよりも、物理化学の教科書の最初のページに出てくる形式知だけでも頭の中で楽しめるので、明日もこの奇妙な話を書く。
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9月は台湾ITRIからの依頼で講演会がありましたが、国内の参加者はいらっしゃらないと思い、案内を掲載しませんでした。10月には下記3件の講演会が開催されますのでご案内いたします。参加ご希望の方はお問い合わせください。また、弊社にて特別価格で行うセミナーもございますのでお問い合わせください。例えば高分子の専門外の方が高分子について学ぶ特別少人数セミナーを弊社事務所で休日の午後を利用して安価(15000円/1名、基礎の基礎編は時間が短く10000円です。)に開催しておりますのでお問い合わせください。このほかの技術セミナー(料金は内容により異なります)についても随時受け付けておりますのでお問い合わせください。
1.テーマ:リチウムイオン電池の信頼性向上・難燃化技術
開催日時:2018年10月9日(火)10:30~16:30
会 場:ちよだプラットフォームスクウェア 5F 503
(終了しました。来年1月ころにもセミナーが企画されています)
2.テーマ:プラスチック/ゴムの劣化・破壊メカニズムとその事例および寿命予測法
開催日時:2018年10月19日(火)10:30~17:30
会 場:日本テクノセンター研修室
参 加 費:48,600円(税込) ※ 資料代含
3.KRIワークショップ’18
2018年10月24日京都リサーチパークで開催されますが詳細は直接KRIへお尋ねください。本件につきましては弊社で受付できません。
以上
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「インターネット専用で、質が十分に保証されていない粗悪な学術誌「ハゲタカジャーナル」が増えている問題で、名古屋大と新潟大は、研究者のヒアリングや論文の投稿ルール作りなど独自の対策に乗り出す方針を決めた。両大は、ハゲタカジャーナルに学内から多数の論文が投稿されていたことが毎日新聞などの調査で判明している。」
少し寂しい記事をヤフーニュースで見つけた。この記事のどこが寂しいのかというと、アカデミアの先生が金を払って論文投稿している点とハゲタカジャーナルへの投稿を悪い、と決めつけている大学の見識である。
さて、このニュースの内容では、研究者が自分でお金を払って論文を載せてもらっているのだという。当方のこの年齢になるまで、お金を払ってまで自分の研究成果について論文を投稿する研究者がいるとは夢にも思わなかった。これはお金を払って学会発表するのとは少し異なる。
学会発表では自分の研究の審査を受ける意味あるいは反響を探る意味があるから有償であり、それ以外は学会発表でも招待講演者には交通費ぐらいは出る。6月に上海で行われた国際会議に招待講演者として講演する機会があったが、ビジネスクラスの飛行機にホテルはスイートルーム、謝礼は封筒がたつほどの束を頂いた。この経験から研究成果の価値を考えた時にお金を払って論文投稿する、という行為など考えられない。
せいぜい学会に依頼され、その雑誌へ無料奉仕として投稿するのが我慢できる限界だろう。論文を書くにはそれなりのエネルギーと時間を使う。労働対価を頂くか、社会奉仕のために自分のエネルギーと時間を提供するのかどちらか目的になるだろう。
価値ある研究成果を公開するためにお金を払う、という条件では論文を書く気にまずならないはずだ。逆に何か惨めな気持ちになり、筆が止まる。
少し話が変わるが、会社設立時に出版社数社から社長インタビューのためお伺いしたい、というご提案をいただいた。設立したばかりの会社なのに、と不思議に思っていろいろ質問すると、雑誌を数年購読してほしい、という依頼が目的の取材だった。
手の込んだ商売方法になると有名女優のインタビューを持ち出してくる。それだけでなく、その女優と楽しそうにツーショットがのっているインタビュー記事が書かれた立派な紙質の雑誌を送ってくるなど、ものすごいエネルギーで勧誘してくる。そのようなエネルギーに対しても有償であれば、徹底してお断りしている。
今時の先生の中には、お金を払ってまで自分の研究を雑誌に投稿される人がいるようだ。当方には原稿料を頂ける原稿依頼がよく来るので、お金を払ってまで投稿する研究者がいることなど考えたことが無かった。
ところで、お金を払って論文を投稿する行為の善悪だが、旧国立大学ではこのような教員に対して善悪の議論ではなく、もうその行為を理由に減給処分あるいは退職勧告してもよいのではないか。
税金で運営されている大学で、お金を出さなければ論文を掲載されない研究者はそれだけで失格である。国立大学の研究者には有償で掲載を依頼に来るぐらいが当たり前と思っていただきたい。
次にお金を出して雑誌に掲載してもらう行為だが、これは国税が使われていない研究者であれば、悪くない行為だと思う。研究の広告費として考えればそのような方法も現代ならば許される時代だと思う。ハゲタカジャーナルは少し言い過ぎだ。
研究内容が保証されない、云々と記事にはあるが、特許の世界では簡単には実施できない実施例が多い。しかし、その簡単には実施できない実施例を信じて苦労して実現した結果、賞を頂いた例もある。科学的に正しくても実務では使い物にならない研究もある。
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昨日昼飯の蕎麦で遊んだ話を書いた。立ち食い蕎麦屋なので価格は安い。しかし、きちんと氷水でしめているようで、夏の暑いときなどおいしく感じる。
欠点は、昨日書いたような状態で、つるつると調子よくすすることができない。自然と食べ方が上品になる。しかし、これでは蕎麦の本当のおいしさが出ない。下品と言われても、噺家がやるように、ズルズルと音を立てて食べてみたい。
高級な蕎麦屋に行くと蕎麦が絡まっていなくて、巨大なラメラ状態で出てくるので下品な食べ方が可能になる。
さて、立ち食い蕎麦屋の蕎麦がなぜ絡まっているのか、今まで疑問に思いつつ確認したことが無かった。昨日遊んでいたために時間が無くなり、やはり確認することができなかった。
すなわち、立ちぐい蕎麦を食べるのは急いでいる時なので、蕎麦がなぜ絡まっているかなどその確認をしたくても時間が無いために確認できなかったのだ。
そこで昨日は出張からの帰り道、もう一度蕎麦屋に行って蕎麦を食べてみた。その時蕎麦を注文しながら作業の様子を注意深く見ていたら、この疑問がすぐに解決した。
大量の蕎麦を一度にゆでて、一度に氷水で〆ていたのだ。だから手早くやる必要があり、乱雑に蕎麦を揉むので、あたかも混練のごとく蕎麦が絡み合うのだ。
程よく絡み合っておれば、だまだまの大きさは小さいので食べるのに苦労しないが、昨日は違った。3回ぐらいで食べ終える程度の大きさだったのだ。さすがにそのまま口に入れるのをためらった。口に入れる前に、つけ汁にもつけれない。その結果レプテーションを観察することになった。
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昨日は移動時間の都合で昼食として池袋でざるそばを食べたのだが、その店のそばが絡まりすぎていて、一箸の塊が大きくなり、つるつるとリズミカルに食べることができなかった。
この蕎麦屋で、出張の際に昼食を時折食べているが、一箸の塊サイズが安定していない現象について以前より気になっていた。昨日電車の時間に余裕があり特に急いでいたわけではないが、それでもつまんだ時の大きな塊に少し焦った。
この現象は、蕎麦が乱雑に絡まっているためとわかっていたので、時間に余裕があるのを幸いに蕎麦一本を箸でつまんで遊んでみた。すると大きな塊が摘まみ上がってくることを期待したにも拘らず、きれいに一本だけするすると引っ張り上げることができたので感動した。
どこに感動したのかというと、摘まみ上げた一本の蕎麦のレプテーション的運動を観察できたからだ。高分子のレオロジーにおける現象モデルとして、土井先生が提案されたレプテーションモデルが有名だが、これは高分子が分子鎖方向に運動するモデルのことで、クリープをうまく説明できる。
試しに、うまく抜けそうなものを探し、もう一本摘まみ上げてみたところ同じようにレプテーション的運動でほどけて抜けてきた。三本ほど丁寧に繰り返したところ、蕎麦がうまくざるの上に広がった。複雑に絡み合っているかのように見えたのだが、そうではなかった。
このように複数摘まみ上げて引き抜いたところ、大きな塊とならず、うまくつるつると口の中に入ってくるようにざる蕎麦が変性された。これだけでも蕎麦の味が変わるから面白い。まるで高分子が混練プロセスで変性される様子を味で確認しているようなものだ。
混練による高分子の変性はともかくとして、たった2-3本の絡み合いが複雑になっているだけで大きな塊になる現象から、樹脂のMFR測定におけるばらつきや樹脂のレオロジーの温度分散測定、ゴムが配合が同じにも拘らずロール混練条件で異なる物性を示す現象などについて思いをめぐらした。
20年以上昔の教科書では高分子の絡み合いについてほとんど触れていない。昔ゴムの架橋モデルについて古川先生が展開されたケモレオロジーは、ご都合主義だ、と指導社員が厳しい批判をされていたが、それは土井先生のレプテーションモデルが提案される前だったので妥当な批判だった。
すなわち、ゴムの架橋はゴム分子の絡み合い構造があって、その絡み合い構造で架橋反応が進行しているモデルを考えなければいけないのだが古川先生のモデルでは絡み合い構造を無視していた。
ゴム会社のある部長が部下に命じて古川先生のモデルについて妥当性のあることを証明するための実験をしていた時代でもある。指導社員は、これを批判したわけだが、この点について機会があったら詳細をここで書きたい。
蕎麦を食べていたら40年ほど昔の記憶がよみがえった。よく噛んで食べることは認知症の予防になる、と以前TVのある番組で言っていたが、このことだろう。この腰のある絡み合った蕎麦を食べなければ思い出さないような記憶を思い出したのである。認知症予防のためには確かに食事を大切にしなければいけない。
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朝日新聞デジタル9月28日の記事だが、三菱電機が社名公表を恐れ裁量労働制を全廃したという。幾つかの記事で厚労省の調査を受けて過重労働の指摘を受けた結果だという。社名公表を恐れていたことがこうしてニュースで報じられてしまうのも皮肉なことであるが、過労死が複数発生していたという。
当方がゴム会社に勤務し高純度SiC事業立ち上げを行っていた時に他の事業立ち上げを行っていた若手リーダーが突然死した。NB地区と呼ばれるところで新事業関係の業務が推進されていたので、当方も顔だけは存じ上げていた。
当方の職場はNB地区の一番端にあり、小説で名が知られた療養所が隣接していた。仕事がうまくいかず落ち込んだときにはその療養所を眺め、あらためて気合を入れなおし仕事に取り組んでいた。
過労死してもよいような状態で仕事をしていたが幸運なことに独身寮が徒歩五分の所にあり、異常を感じたときにはこっそりと自分の部屋で昼寝をしていた。不謹慎と言ってしまえばそれまでだが、異常な状態で仕事を推進していることを自覚していたので命を守るために取った行動である。
ある日、本部長が研究棟を訪ねてきて当方がいないことを同僚に尋ね、行く先を聞いたという。同僚はしかたなく青年会館の部屋で仕事をやってますと答えたという。後日、その本部長と食事をする機会があり、その話題を出されたが特に叱責されるわけでなく、体だけは大切に、そして早く結婚しろと言われた。
遠慮なく、十分に体を大切にしてますから、機会があれば仲人お願いします、と答えたが、このような上司の下では何が何でも事業を立ち上げようという気力がわいてくる。不幸にもこの本部長の時に突然死が起きているが、この本部長は過重労働を求めていたわけではなかった。残業削減をむしろ推進していたのである。
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電池というデバイスはシステム商品である。だからその信頼性予測にはワイブル分布を用いるのが好ましい。これを理解されている方はどれだけいらっしゃるのか分からないが、Li二次電池に関わるトラブルが多い。10年ほど前に購入したMACの二次電池は、何度交換しても3年ほどで膨れてくる。
10年も同じPCを使う時代ではないかもしれないが、普段の仕事ではWindowsの走るPCを使っており、MACは、プログラムのテスト用である。MACはユニックス系のOSなので、プログラム言語やツールを無償で入手できる便利さがある。
PCでシステム(プログラム)開発をしようと思ったらMACやLINUXは大変低コストでできる。Windows環境におけるコストの高さが目立つが、今日は電池のシステムについて書く。
ボーイング社のLi二次電池の事故は記憶に新しいが、あれはアクシデントではなくインシデントだという。航空機業界に詳しい友人が指摘してくれたが、航空機業界ではアクシデントとインシデントを厳密に分けるのだそうだ。
Li二次電池のインシデントについては、当時たくさんあったという。ただインシデントだったので表に出ていないものもあるという。怖い話である。航空機の電池については、多数の予備バッテリーが積載されているので、一フライトで電池の二つや三つに異常があっても問題ないという。
航空機業界では電池というものが信頼性の低いデバイスであるという認識が定着しているようだ。たしか10年以上前は、Li二次電池を3個程度カバンに入れていても問題とならなかったが、今はLi二次電池だけ複数カバンに入れていると荷物検査に引っかかる。それだけLi二次電池の信頼性が低く見られているわけだ。
カテゴリー : 電気/電子材料 高分子
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