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2019.03/03 転職

プレジデントオンラインによると、最近ミドルの転職が好調とのこと。理由として就職氷河期に採用を手控えた結果、管理職の人材が不足してきた、と書かれている。

 

当方はゴム会社でFD事件があり、不本意ではあったが、立ち上げた新事業へ影響を避けるため退職を決意している。そして高純度SiCの開発を成功させて以来、会社として交流のあったヘッドハンティング会社にセラミックスのキャリアと異なる分野の調査をお願いし、写真会社の紹介を受けている。

 

湾岸戦争の時であり当方はゴム会社で管理職昇進直前だった。写真会社からは研究管理部門の主任研究員と言われて転職したのだが、退職までにヘッドハンティング会社から伺っていた雇用条件を満たされていたわけではない。

 

原因は、バブルがはじけたために写真会社は転職の一年後にリストラを行っている。そして転職先の部門が無くなったり、分社化したり、他の会社との統合があったりと、転職時の約束がリセットされるような事情があった。

 

しかし、そのような雇用条件が異なっていた環境でも腐ることなく成果を出している。ライバル会社の緻密な特許網に穴をあけた金属酸化物を用いた帯電防止技術の開発やAPS用巻き癖防止PEN、高靭性ゼラチン、環境対応接着剤はじめ数多くの成果をフィルム事業で出している。

 

当方がいなければ写真会社に生まれなかった技術、と胸を張って言える。またライバル会社の方からもそのように褒められて悪い気がしなかった。

 

他の会社との統合時には左遷されて豊川へ単身赴任となったが、その時でもカオス混合装置を発明して転覆直前だったPPS製中間転写ベルトのテーマを無事事業化している。

 

さらに退職予定を一年延ばし環境対応樹脂の開発で成果をだして、退職予定日だった2011年3月11日は帰宅難民となり会社へ宿泊している。

 

日本の会社で転職者が成功する可能性は低い、ということをこれから転職される方は心しておくように。転職で成功するためには、成果を出そうと意気込まず、転職先の上司にまず気に入られるような仕事の進め方が、日本においては成果を出すよりも大切である。

 

すなわち、昇進よりもキャリア形成に力点を置くべきで、上司に便利に使っていただけるようにすれば、自己のキャリアアップのベクトル方向へ進むことが可能である。

 

写真会社では高分子技術の人材育成に尽力し博士を一名育成したが、成果を出しても評価されないと悟った50歳を過ぎてから退職までの7年間自己の高分子スキルを磨くことに専念し始めた。

 

PPSコンパウンドの生産ラインについては、卒業試験のつもりで半年で立ち上げている。基盤技術の無かった会社で、たった8000万円でカオス混合が可能な半自動化ラインを0から生産を立ち上げている。環境対応樹脂は、このようなチャンスを頂けたささやかなお礼である。

 

3月11日の退職記念パーティーは中止となり、総務部から頂いた非常食2食と誰もいない広い事務所で宿泊した。このサラリーマン最後の思い出は、転職というものがどのようなものかを理解するに十分だった。

 

転職先のリストラの嵐の中でゴム会社の御厚意で無機材研における高純度SiCの研究も含めた論文で学位を取得し、セラミックスのキャリアに終止符を打つことができた。

 

その後、福井大学客員教授の職はじめ外部の方々から頂いた御支援による様々な機会に理解を示してくださった内外の上司のおかげで高分子スキルを磨くことができた。PPSコンパウンド工場の決済をしてくださったセンター長には感謝している。

 

 

 

 

カテゴリー : 一般 高分子

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