ブリードアウトの問題は、高分子中の物質の拡散速度で決まる、と単純に理解している人が多い。
ブリードアウトの問題を考えるために高分子中の低分子の拡散速度を測定すると、フィックの拡散理論に沿った結果が得られる。
多少グラフが外れていても、仮説としてそれなりのモデルを組み立て考えてやると、うまく仮説に沿ったグラフが得られるから誤解するのも仕方がない。
しかし、実験室で得られたカーブを信じて配合設計を行い製品を市場に出したにもかかわらず、ブリードアウトという品質問題を経験すると、技術者ならば慌てないが、科学者は頭を抱えて悩み始める。
ここで秘策を一つ無料で教える。実験室で正しく評価し、添加量を科学的に導いても市場で品質問題が起きていたなら、思い切って添加量を半分にしてみるとよい。
おそらく半分にした結果、ブリードアウトの問題は解決するが、添加剤の添加量で制御されていた物性が破綻するかもしれない。この物性が製品の重要品質でなかったら、こっそりと市場に出してみる。
そしてその製品の品質問題が解決されたなら、少しずつあるいは「えいやっ」で添加量を増やしてみる。すなわち市場で品質問題を解決可能な添加量を探るのだ。
QMS上このような方法が許されない場合には、開発をやり直すしかない。そのときどのようなことを考えなければいけないのかは相談して欲しい。
ところで、実験室で科学的に添加量を決めても何故市場でブリードアウト問題が起きるのか。これは高分子の自由体積の量がばらつくためである。
このばらつきの偏差は、高分子の種類により異なる。だから実験室で決められた添加量を実現している自由体積の量が実験室で最大値を示していた時、量産ではばらつきが避けられず、たまたまその自由体積量が少なくなってブリードアウトがおきることになる。
科学的に添加量を決めたのに製品でブリードアウトが起きてしまう原因は他にもあるが、これはここで書きにくい。しかし、機会を見て書き残したいと思っている。
ブリードアウトという現象について、拡散の視点で科学の世界における問題として扱うことは可能だ。しかし、市場の品質問題は、技術で解決することを忘れてはいけない。
ブリードアウト現象に遭遇したら、悩まず科学と技術の違いを理解できる良い機会と喜んでいただきたい。面白いのは、ここで悩み落ち込むと問題解決に時間をかけることになるが、喜んで対応すると短時間で解決できたりする。
人間の営みについて科学ですべてを記述できない。しかし、不易流行という言葉が示すように時代を越えて変わらないものがある。残念ながら、経験しなければ理解できない問題は、いつまでも残り続ける。
AIの時代でも生き残れるのは科学者ではなく技術者だ。形式知だけを頼りに生きている人はAIで置き換えられることになる。ブリードアウトの問題を拡散だけで考えている人は必要のない時代になった。
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あるポリオレフィン樹脂(Tgがほぼ135℃で融点は195℃)だけを二軸混練機を模したバッチ式混練機で混錬した時の経験である。
バッチ式なので長時間の混練が可能である。200℃以上の温度では10分間の混練でTg付近のエンタルピー変化が安定化しているように見えた。しかし、そのエンタルピーは190℃以下の低温度で混練した時よりも高い。
すなわち、溶融温度よりも高い温度で混練するとこのエンタルピーは、ある一定値よりも下がらなかった。
但し、190℃以下の低温度における混練(未溶融剪断混練あるいは剪断混練)では、30分以上の混練でTgのエンタルピーは低くなり安定化している。
Tgのエンタルピーは高分子の自由体積の量とも関係しており、この値の低い系が高い系よりも安定しているとみなせるので、30分以上混練をしないと安定化しない、と思われる。
また、溶融温度(Tm)以下の混練では、溶融温度以上の混練よりもエンタルピーが低下する傾向がみられ、このポリオレフィン樹脂を安定な状態まで混練するには、30分以上剪断混練を行う必要がある、とおもわれるような実験結果が得られている。
これは、ポリオレフィン樹脂だけを長時間混練した結果である。二軸混練機では原料の投入から5-6分でストランドが出てくるので、高分子の混練状態が非平衡であるだけでなく、十分な緩和もしないまま、すなわちその状態が訳も分からないまま吐出されている。
これが理解できると少しは二軸混練の技術に対して見方が変わる。この部分を読み、カオス混合装置が欲しくなった技術者は頭の回転が速い。そして弊社へ問いあわせのメールを出した技術者は、仕事が速く良くできる人だ。
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設楽雄太氏の発言がネットをにぎわしている。「オリンピックより一億円」。当方も言いたいが、設楽雄太氏の言葉だから皆騒ぐのだろう。
結局オリンピックは札幌でマラソンを行うことになったのだが、当日の天気はその日にならなければわからない。当日東京が涼しくて、サッポロが猛暑だったらどうするのか。
学生時代の夏休みに北海道一周旅行をしたのだが、札幌はあの名古屋よりも暑かった思い出がある。
いわゆるカニ族スタイルで札幌の町を歩いていたのだが、リュックが汗でびしょびしょになった。北大にたどり着いたときには、なぜか水着にTシャツとなっていた。
IOCの期待通りに札幌のマラソンが成功するかどうかわからない。ここで面白い提案がある。札幌でオリンピックのマラソンをやっている最中に、東京で予定していたコースを使い、マラソン大会をやってみたらどうだろう。
大迫選手が先月、自らマラソン大会を創設するといい、設楽選手も賛同している。札幌でオリンピックのマラソンをやっている日の同じ時刻に東京でマラソンを行い、タイムを競うのは面白いと思うのだが。
今時のTVは横長で二画面写すことが可能だ。札幌と東京のマラソンを自宅で楽しめる。しかも残念ながらオリンピック選手に選ばれなかった方たちのフラストレーション解消になる、前代未聞のマラソン大会だ。
「東京オリンピック札幌マラソン記念マラソン大会」と名付けて、世界中からオリンピックに参加できなかった選手を募集したら面白いと思う。ビートたけし氏が司会をして、中村勘九郎氏が東京マラソンを解説すると視聴率も期待できる、か。
オリンピックは二画面TVで、自宅で楽しもう、そのために大画面有機ELーTVをとPRすれば、液晶TVから一気に有機EL-TVに置き換わるかもしれない。今どき、東京から夫婦で札幌マラソンを見るために4泊5日の予定で北海道へ行けば、チケット代も含めると、有機EL-TV一台購入できる金額となる。
おそらく法には触れないだろうが、クレームをつける組織があるかもしれない。しかし、せっかく東京でマラソンができるように準備したのだ。それをそのまま使って同時にマラソンを行ったら、日本陸連だけでなくIOCも腰を抜かすだろう。
小池知事が先頭に立って支援をできないかもしれないが、オリンピック前の知事選で落選したら、スタートの号砲役を引き受けてくれるかもしれない。そんな光景を見てみたい気もする。
マラソンや駅伝は、自宅の居間が特等席だ。スタートからゴールまですべて解説付きで見ることができる。札幌マラソンのチケットは売れ残るかもしれない。また、NHK「いだてん」の低視聴率は、東京オリンピック大赤字の前哨戦かもしれない。
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企業における管理職の助言者としての役割は重要である。この役割により、組織に成果を生み出し、人材も育成できる。コーチングが20年近く前に流行した原因である。
コーチングについてはそれなりのスキルが要求され、良いコーチングにより成果が生み出される。
当方は、写真会社で有機無機複合ラテックスとこの技術を応用したゼラチンの高靭性化でその高い有効性を実感した。
この技術以外に、保護コロイドや、ポリマーアロイラテックス、酸化スズゾルなどを活用したPETフィルムの帯電防止層や、写真感材の環境対応技術などでもコーチングスキルが発揮された。
しかし、有機無機複合ラテックスでは、当方以外の誰もが不可能と言っていた技術であり、コーチングだけでできるのか、と内心懸念していた。さらに技術が生まれるきっかけとなったのは、当方の激励の言葉と一枚の絵だった。
決して具体的な技術内容ではなかった。コーチングの面白さは、ここにある。コーチに4回転が飛べなくても宇野昌磨には飛べるのだ。しかし、その成功の信頼性は飛べないコーチのコーチングにより高められる。
今季宇野昌磨は日本スケート連盟の不手際でコーチ不在の戦いをしなければいけなくなった。シーズン初め、気丈にも彼は一人でもできるとマスコミに応えていた。
しかし、試合を経験するにつれて、精神面で影響している可能性に触れ、「どれだけ調子が悪くてもコーチがいると笑顔になることもある。1人では絶対にできないことがあることも痛感した」と話した。
この言葉は、助言者としてのコーチの役割の大きさを示す。研究開発でも同様である。良いコーチング手法は、新たな成果を生み出す。コーチングスキル向上について弊社にご相談ください。
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大学全入時代に浪人率が未だ10%以上あるという。多い時には受験生の40%が、平均3人に1人が浪人する1990年以前なら浪人も仕方がない、という時代だったが、今は浪人すべきではない、というのが当方の見解である。
大学など入れるところに入学しておけばよく、勉強などどこの大学でもできる。また、そのくらいの気概で大学進学すべきだろう。大学は今も昔も学び究める場所だ。
もし、浪人してでも特定の大学に入る意味があるとするならば、あこがれの先生のいる大学だろう。
ところが高校時代にあこがれていた先生がとんでもない先生だった、ということも昨今はあるようなので、やはり浪人しないで入れる大学に入ってまず新しい勉強を早めにスタートし、社会へ少しでも早く貢献できる道を選ぶべきだ。
どこの大学でも学生にとって不適な先生もおれば素晴らしい先生もいる。社会で仕事をしていて高校生時代と認識を変えたのは、大学は偏差値ではない、ということだ。
世界のランキングを見てもトップ3に日本の大学は入っていない。グローバルな視点ではどこの大学でも日本では同じだ。もし本当に良い大学を目指すならトップ3だろう。
学ぶために、それが良いとも思わないが、大臣の発言で問題となった「身の丈」で決めるのが良いのかもしれない。
たまたま、浪人の意味について大東文化大学の香川講師が研究発表した、という記事を目にしたのでこのようなことを書いている。
この研究の結論は、男性は浪人してもその後の人生にプラスになっていないが、女性の場合には収入増など大きなプラスになっていたという。すなわち、浪人について、その後の人生に男女差がある、というものである。
これは、何となく理解できる。今の社会では、卒業後3年もたてば大学名など何の意味もなくなる社会だ。偏差値日本一の東大卒でも会社員となった時に仕事ができなければ、学歴は負の遺産となる。
また、採用時に大学名を伏せて面接をする会社も増えてきており、わざわざ難関大学に浪人してまでも入る価値は昔ほど無くて、今や大学名は自己満足以外の何物でもない、というケースもある(他方首都大学東京を都立大学に戻す話も出ており、大学名が就職に影響する、という現象もあるようだが)。
しかし、女性の場合には、男性と異なり、子供を産む年齢の制限もあり、1年でも無駄にしないようにと浪人すること自体に気合が入っているから香川講師の研究結果に現れたのではないかと思う。
実際に浪人した女性社員と一緒に仕事をしたことがあるが、年配の有名私大卒の男性社員よりも頼りがいがあった。
一方浪人してわざわざ高偏差値の大学を出てきたある男性社員は、少し勘違いをしており、有名大学を出ておれば部長まで昇進できると思う、と新人1年目の振り返りの面談で答えていた。
その時、それは大きな勘違いだ、社会に出てもよく勉強しろ、と忠告したが理解してもらえなかった。風の便りにその男性社員の仕事ぶりを聞いたが、20年前の忠告が生きていなかった。
香川講師の解説にはこのような見識の男性社員の話は出てこないが、浪人した女性の方が同じく浪人した男性よりも社会を見る目が厳しいためではないか、とレポートを読んでいて感じた。そこのところを少し掘り下げてほしかった。
ちなみに、弊社では個人でセミナーを受講される方にも事務所を開放している。問題解決法や大学では教えない技術開発の手法など30年間成果の山を出し続けた手法を伝授している。科学の学びなおしは大学へ、技術のスキル獲得は弊社へご相談ください。
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昨日フィギュアスケートGPフランス杯が終了し、宇野昌磨はシニア転向後最低となる8位だった。得点も215.84であり、女子の最高得点よりも低い。
原因はトリプルアクセルや4回転ジャンプでの度重なるミスが原因だが、この10月に参加したフィンランディル杯の時から今年の宇野昌磨選手は、調子が今一つである。
フィンランディル杯では優勝をしているのだが、得点は233点であり、かろうじての優勝である。この時もジャンプのミスがあった。
問題は今回キスアンドクライで流した涙である。本人は観客の声援がうれしかった、と応えているが、公開された映像からはそのように見えない。明らかに悔し涙である。
すでに報じられたが、今年度は日本スケート連盟のミスなども重なり、新しいコーチとの連絡がうまくできてなくて、コーチ不在のままたった一人でシーズンを戦っている。
この原因について詳しく報じられていないが、日本スケート連盟は、スター選手の管理をどのように考えているのか。昨年までの宇野選手の実績を考えれば、明らかに羽生選手に次ぐスター選手である。
コーチの選任は選手の自己責任、とかたずけてしまえば連盟の責任ではなくなる、と勘違いしていないか。少なくとも日本選手権で高い入場料を取る限りにおいて、スター選手の管理責任は日本スケート連盟に残る。
織田元関西大学監督の離任では、有名女性コーチのパワハラが週刊誌で報じられた。宇野選手の問題とは異質の問題だが、日本スケート連盟には過去にもいろいろと事件があり、金銭問題で2006年に逮捕者が出ている。
東京オリンピックを前に、ボクシングやテコンドーでスポーツ連盟のあり方が問われ理事長の進退問題が起きているが、日本スケート連盟も第三者委員会を設けて監査すべきではないか。素人が外野から見ていても組織としてかなりおかしい。
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10月31日の表題の火災について未だその原因が報じられていない。この火災ではいくつかの疑問点があり、ニュースをこまめに見ているが、現代における建築火災への対応としてみたときにお粗末なところがある。
まず、初期消火が何も機能していなかった点である。第一発見者は警備員と報じられているが、実は煙が出て火災に燃え広がる前の様子を黙ってみていた人がいるとインターネットにその証拠が載せられ、NHKの第一報はその写真が使われたという。
また、正殿が燃え盛る様子を庭内から撮影した動画がSNSで拡散しており、誰が撮影したのかが話題になっている。
これらは警察の取り調べが進むとニュースで詳細が報じられるだろうが、とりあえず第一発見者の警備員が現場に来たときにもう手が付けられなかった、という点は防火対策の観点から奇妙だ。
多くの観光客が訪れるところは、突然の火災から観光客を守るために建築の防火基準が存在する。果たして首里城は現在の建築基準法に準じて建てられていたのだろうか。
また、首里城内部には初期消火用の消火栓があったというが、今回の火災では使われていなかった原因は何か。また、5基あった設備のうち一基が国により撤去されその補充が成されていなかったとも報じられている。
もうそろそろこのような点について問題を整理して報じるニュースが出てきてもよい。火災発生時から報じられている画像を見ていて、難燃化技術の専門家の目には不審点ばかり見えてくる。
よく燃えた理由などニュースで説明されても正しい問題は見えてこない。少なくとも30年以上前から建築物の防火基準は厳しくなっているので、あのような火災になった真の問題は、文化財の防火対策にある。
コンクリートの名古屋城を木造にしようという計画が名古屋で進んでいる。文化財をどのように後世に残すのか、という観点でもう少し議論した方が良い、と当方は考えている。内部の貴重な文化財を火災から守る観点ではコンクリートでも良いような気がしているが—。
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給与が安いことで「日本は終わっている」とツイートした人に申し上げたい。日本の社会は良い方向に向かっている、と。
給与が安くても働く場所があるだけ幸せである。だから、あなたはホリエモンが言うような「終わっている人ではない」。貢献と自己実現という働く意味について考えていただきたい。
当方は、日本に仕事が無いので、中国でローカル企業の指導をしている(注)。日本では、安くても給与の支払いはあるが、中国では契約していても契約通りに給与を支払ってくれない。その回収に大変エネルギーが求められる。
それでも我慢して新素材開発や工場建設の指導をしていたら、蘇州ナノポリスのアドバイザーに推薦してくれた。そこで研究開発の場を得ることができた。また、上海国際CMFシンポジウム2018の招待講演者として推薦を受けた。
誠実真摯に努力しておれば何か報われる。ただし、それが努力の対価として妥当かどうかは別問題で、「働くならば誠実真摯に努力」することが,いつの時代でもどこの国でもまず大切だ。
「日本は終わっている」とツイートしている暇など無いのである。写真会社に勤務していた時に、仕事をしていなくても勤務しているだけで係長まで昇進できる状態(出勤しても本を読んでいるだけのその人は大変満足していた)を見てびっくりした。
最初から働く気力が無くて、そのような人を間違えて雇っても給与を支払わなくてはいけないのが日本の会社である。昔、旧国鉄(民営化されてJRとなった)の社内の様子がTVで報じられていた。
働かない社員を何とかしようとかなりのエネルギーを使ってもクビにすることも給与を下げることも難しい。だから社員を指導する意欲も失せる管理職の問題を国民は知った。
働く気が無い人に意欲を持たせるのが管理職の役割であり、それを果たせない問題と働く意味を理解しようとしない労働者の問題を民営化により解決できたのではないか。
「日本は終わっている」とツイートされたあなたから旧国鉄の状態を思い出しました。ただ、当時と異なるのは、管理職は部下の給与を下げることが容易になった。
部下の能力について正しく評価することを管理職に強く求める会社も増えてきた。どのような部下でも昇進させる管理職について是とする会社ならばあなたの給与は下がらなかったかもしれない。
管理職に部下の能力を厳しく評価することを求めている会社では、能力が下がれば給与は下がる。しかし、誠実真摯に働く限り貢献を誰かが見ているので、誰かが誠実真摯に働く人にご褒美を与えてくれる。
能力の評価は自分でも難しいが、誠実真摯に働いているかどうかはわかりやすく周囲に伝わる。その結果が表れるのに時間はかかるが、必ず報われる。だから、あなたも、まず誠実真摯に努力してみてはいかがか。これは40年の労働者人生で学んだ知恵だ。
(注)中国では、成果を出せば噂を聞いたお客様がどこからか現れるので営業活動の必要はないが、信用度の低いローカル企業なのでお金の回収が難しい。昔中国は日本に漢字をタダで教えたので、今技術を無償で教えるのは当たり前という冗談を真顔で言われた時にはびっくりした。労働対価が支払われるかどうか不明の環境で働いている日本人もいるのだ。成果がでなくなれば仕事はこなくなる厳しい環境である。形式知と経験知、それと無限の暗黙知が頼りである。
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ホリエモンのツイートについて自己責任論に基づく、とリツイートし、それを支持する意見が多い。当方は、それはあまり深く考えていない意見だと言いたい。
給与が低くても雇用されている状態に注目すれば、本人以外の責任が見えてくる。本人が会社に貢献するような働きをしていても、それを快く思わない人は組織にいる。その結果給与は増えないこともある。多面評価ならば致命的である。
当方が昇進試験に落ちたとき、成果を出していなかったわけではない。ゴム会社に入社して3年間に、樹脂補強ゴム(開発された配合により後工程で自動車用エンジンマウントとして実用化された)、難燃性軟質ポリウレタンフォームの実用化、フェノール樹脂天井材の実用化と商品化企画3テーマに成果を出していた。
(当時「成果の出ない研究所」と陰口を言われていた組織においての連続の成果である。樹脂補強ゴムに至っては、一年の予定のテーマを毎日深夜まで、時には徹夜までして3ケ月で仕上げている。もっともこれは指導社員の当方をうまく教育してくれた成果だがーー。「成果の出ない研究所」の原因は、「成果を出すと評価されない研究所」だったのだ。例えば、発泡体の研究を担当していた部署の課長は、担当者の時何も成果を出せなかった、と陰口を言われていた。成果が出せなくても研究所では大卒であれば昇進試験に合格したのである。)。
フェノール樹脂天井材のテーマについては、開発中にMホームですぐに採用され、会社の売り上げに貢献した。開発途中の天井材は、開発が完了した時よりも豪華な設計だった。アジャイル開発のため品質重視で設計したことがその理由である。(おそらくソフトウェアーよりも早くアジャイル開発を導入した例なのかもしれない)
しかし、給与明細書を友人と見せあって当方には成果に対する査定がついていなかったことを知った。また、快くサービス残業をして成果を出している姿勢が周囲のひんしゅくを買っていることも分かっていた。
なぜなら研究所では大半の人が定時退社だった。タイヤ開発をしている部署の人たちは、それを「雲の上の人々」と表現していた。研究所は成果が出ていなくてもエリート集団として扱われていたのだ。
新入社員でありながら難燃性軟質ポリウレタンフォームの開発スタート時に工場試作を成功させて始末書を書いた実績もある(これは負の実績だが、少なくとも上司以外の誰もが課長が始末書を書くべきと、ひそひそ話をしていた。)。
さらに、その始末書で提案した技術で実用化に成功しても評価されなかった実績から、サラリーマンの給与は必ずしも成果や貢献度合いではなく、上司のさじ加減の寄与が大きいので、給与が少ないことについて右往左往するなと言いたい。
(当方の成果については、当方の書いた特許や論文、学位などを見ていただけばわかります。FD事件の起きた原因である電気粘性流体については、その犯人を示す出願がある。公開された資料から裏を読むと「事実は小説よりも奇なり」という現実が見えてくる。わかりやすいのは、ゴム会社で実施されまとめられた論文の筆頭著者が当方ではなく、その論文に関わっていなかったT大の研究者の名前が書かれている例もある。あえてこの欄でその研究者の名前を書かないが、その研究者は恥ずかしいと思わなかったのか、と今でも疑問に思っている。当方がT大からの学位を辞退し中部大学で取得した理由である。)
給与の少ないことを単純に自己責任論で片づけたなら、本当の問題が見えなくなる、と思っている。担当者の給与が少ないのは、給与決定権のある上司にも問題があるのだ。
落ちた昇進試験に影響する査定をつけた上司は、職務上公私混同を平気で行い問題行動が多かったが、それをうまく隠蔽する能力に長けた人だった。部下は皆気がついていたが、黙認していた。
当方は管理職の時に部下の評価査定については、気合を入れて人事との交渉を行っている。ゆえに当方が悪い評価をつけたのは、会社に来ても仕事をせずぶらぶらして、「これでも会社はクビにできない」とうそぶいていた社員だけだ。一方で、貢献と自己実現に努力をすれば、給与以上の見返りがある、そう信じて生きてきた。
ゴム会社では成果に対する報酬の問題や残業制限があったため十分な残業代を請求していなかったが、12年間の勤務で多くの先輩社員のご指導で実務スキルを身に着けることができた。これを転職した写真会社で生かすことができた。
例えば、写真会社では早期退職前に混練プラントを建設し中間転写ベルトのプロジェクトを成功に導いている(ちなみにこの成果で部長だった当方は何も評価されていない。この問題については機会があれば書いてみたい。企業における人事評価は公正に行わなければ風土に影響する。なぜなら明確な貢献に対して評価されない状態を放置すれば、貢献しようという意欲を否定しているようなものだからだ。)。
混練の技術基盤など写真会社には無かった。混練プラントが短期間で立ち上がったのは、ゴム会社で体得した混練技術に関するスキルのおかげだ。これ以外に写真会社で残してきた成果にはゴム会社で新入社員時代に担当したテーマで獲得したスキルが生きている。
一日前に上司が長い手紙を当方に下さった話を書いている。そこには本音がつづられていた。そして翌年必ず昇進試験を受けなおしてほしい、と結ばれていた(注)。
高純度SiCの発明をした後、8社から転職のお誘いを受けている。留学中に合計10社から転職のお誘いを受け、30歳前後の技術者の年収について最高額の相場が800万円であることを知った。少なくとも当時の当方の年収ベースで2倍である。
しかし転職しなかった。ホリエモンの価値観から見たらバカな理由かもしれないが、当方のためにゴム会社の中で一生懸命動いてくださっている方々がいたからである。
転職すべきかどうかの判断は難しい。給与以外に、組織における人間関係も影響する。0点がつけられた昇進試験の解答に書かれた高純度SiCのシナリオへ先行投資しようと言われたときの感動は今でも記憶に残っている。学位を取得する段取りも会社が用意してくれたのだ。
働く目的はお金と思われがちであるが、ドラッカーはお金ではなく「貢献」と「自己実現」と述べている。当方は貢献の中には、ラグビーの様な人との交流も含まれていると思っている。
大きな会社になるほど人格も含めて価値観などのおかしい人が増えてくる。これは30年間ドラッカーを教科書として社会を見てきた実感である。
働く目的は給与ではないのだ。仮に給与が少なくとも貢献する価値のある組織で働けるのは幸福である。腐った組織ならば、給与の額とは関係なくさっさと転職したほうがよい。
(注)上司の手紙を読みながら、なぜその年の昇進試験の時に面倒を見てくれなかったのか、と突っ込みをいれたかったが、会社の研究所の問題が書かれていたので、それを恐れず文章に書き、わざわざ手紙として当方にくださった決意に心を動かされた。ただ、この上司は、ファインセラミックス研究棟の起工式の日に病で倒れ、竣工式の日にお亡くなりになった。成果を出すためには、死ぬ気で働かなければいけない時代だった。また、そのくらい頑張っている人がいて経済成長していた。それに比べれば今は良い時代である。サラリーマンが命を落とせば社会でその問題を議論してくれる時代である。昔は会社で割腹自殺してもすぐに忘れ去られる時代だった。日本はバブル崩壊後良くなっている。決して終わっていない。
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今年の東京モーターショーは、これまでと異なり、家族であるいはアベックで楽しめるイベントだ。また、ディズニーランドは大人一人では行きにくいが、東京モーターショーは子供から老人までたった一人でも違和感なく楽しめる。
例えば本日18時からも次のようなイベントがある。
災害時にも役立つ「給電可能な」クルマによるイルミネーション点灯式
NONSTYLE 井上さん、佐野ひなこさん、パンサー菅さん、尾形さん、
ひょっこりはんさん、バイク川崎バイクさんが集結、 電動キックボードに乗って登場
パレットプラザで10メートルの巨大クリスマスツリーがお披露目
「Welcome HEART TREE」点灯式
また、11/1-11/2には、ドローンによるレース大会がある。11/2には日向坂のショーもある。
東京モーターショーと言えば、内外の新車発表会の様なイメージを持っておられる方も多い。また、コンパニオン目当てに会場に行くのが恒例という人もいたかもしれない。
しかし、今年のモーターショーは、外国メーカーの参加も少なければ、コンパニオンもやや地味。さらに新車発表をしていないメーカーもある。例えば日産自動車は、2020年に新車が目白押しのはずだが、それらの展示は無い。
日産自動車よりもグループとして展示している三菱自動車の方が気合が入っており、市販車に近いガスタービン車を展示している。
ガスタービンと言えばジェットエンジンである。かつて40年近く前にセラミックスフィーバーの時に日産自動車は参考出品ながら断熱セラミックスガスタービンエンジンを展示していた。
バットマンカーの派手な車の動力もおそらくガスタービンだったのではないか。詳しい人は教えて欲しい。最近はバットマンよりも相手役ジョーカーの話題が多い。三菱自動車のブースにジョーカーの格好で見に行くのも面白いかもしれない。
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