電気粘性流体企画も高純度SiC企画もCI導入時にLi二次電池企画と同様にゴム会社の新事業3本の柱としてスタートしている。この3種類の企画で、高純度SiCの事業だけ残り、ゴム会社で30年続き昨年末他社へ事業譲渡された。
この3つの企画の違いはどこにあるのか、興味のある方は弊社へ問い合わせていただきたいが、Li二次電池の企画は、スタートして間もなく日本化学会技術賞を受賞している。そして受賞後、すぐに事業をやめている。
高純度SiCの技術は、当方が転職後日本化学会技術賞を受賞しており、その受賞メンバーには電気粘性流体の主要メンバーが入っている。
これらは、いずれも公開情報であり、公開情報からでも研究開発部門の企画はどうあるべきかは推測できる。当方は、学術論文の発表や学会賞への応募をしなかったのだ。
すなわち、研究開発部門の企画は少なくとも技術として成功することを前提として立案されるべきで、アカデミアの様な研究企画を、今の時代企業で多人数のパワーをかけて推進すべきではない。アカデミアへ委託すればよい。
当方はそのような考え方で、高純度SiCの基礎研究を行うため無機材質研究所へ留学している。そして高純度SiCの事業の核となる研究を「プレゼントされた一週間」という期間でそれをまとめた(注)。学位論文にしても役員から勧められて取得しているが、この学位論文においては少しドラマがある。企業はアカデミアと連携し、学術研究はアカデミアに任せて企業は技術開発に専念すべきという考え方を若い時から持っていた。
技術として成功する企画が必ずしも事業として成功するとは限らないが、技術として成功しなければ事業のスタートを切れないのだ。それでは、技術として成功する企画をどのように立案するのかは、弊社へお問い合わせください。
(注)留学前に基礎研究のネタを仕込んでいた。SiC化の反応について動力学的解析は、ゴム会社で業務終了後に行っている。この研究のために残業代等頂いていない。またこの研究は高純度SiCの前駆体について品質管理するために当時必要だった技術でもある。すなわちどのような前駆体であればカーボンも残さずに高純度化できるのか等は当時SiC化の反応について満足な基礎データが無かったため、技術の方向が不明だった。試行錯誤よりも基礎研究を行った方が早道だった。世間の研究が遅れているときには、企業でもこのように研究を行わなければいけない。実は、論文調査をしてみてわかったのだが、超高温熱分析と言う分野においてアカデミアにも研究のできる人もいなければ装置もなかったのだ。この研究については、当方もいわゆる大人の対応として学位取得につられて事後承諾しているので書きにくい部分もある。ただ、当方の研究について勝手にアカデミアから論文として出された事実は論文の執筆者の順序として永遠に残っている。これは嫌な思い出だが、この出来事の後、中部大学の先生からいろいろとサポートしていただけたのはアカデミアのすばらしさの思い出として残っている。アカデミアという世界は良心的な先生ばかりではないのだ。
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電気粘性流体の増粘問題を界面活性剤で解決した技術について、平成10年12月25日に「特許2867343」として特許が成立している。報告書など過去の研究情報を見せていただけないなどその処遇に疑問のあったお手伝い業務に関わらず、この改良技術も含め電気粘性流体の性能を改良するそのほかの技術について多数の特許を出願している。
ところで、界面活性剤で問題解決するこの技術は科学的証明では否定されていたが、たった一晩でその技術シーズが生まれている。その後企画のタイトルが界面活性剤から第三成分と修正され、実用化されている。
各種添加剤が無添加のゴム開発というテーマは、誰も担当することなく消えている。すなわち、やらなくてもよいような企画が事業化テーマを止めてまでも推進されようとしていた。研究所における問題解決型テーマにはこのような企画が生まれる可能性がある。
ところで、科学で否定された技術について、なぜ、一晩で技術を作ろうとしたのか。新入社員時代に3ケ月だけ防振ゴム開発を担当し、その時に身に着けた知識でプロジェクトリーダーが提案してきた企画が、ただ研究として確認するための、すなわち研究のための研究的企画であり実用性のない企画と判断できたからである。
研究として真理を確認するための研究も時として必要かもしれないが、事業化テーマである高純度SiCの企画を中断してまでもそれを推進すべき企画とは思われなかった。
ちなみに高純度SiCのJVで推進していた半導体治工具開発企画(特開平5-24818、特許2565024)はその後30年近く事業として続き、2018年10月11日に株式会社MARUWAへ事業譲渡されている。一方電気粘性流体については、テストマーケティングされたようだが、当方が転職後数年でその事業は消えて無くなっている。
但し、当方は電気粘性流体のテーマに対して非協力的だったわけでなく、研究色の強かった企画内容に対して、事業に照準をむけるよう推進方針の変革を促す技術企画をいくつか提案している。
まず非現実的なオイルの改良技術として難燃製油(それまでは安全性の乏しい引火性のオイルが使用されていた)を提案し、特許出願(特開平4-149253、特開平4-198190:特許2896808)している。
また、技術内容の不明確だった問題、すなわちERFに添加されている微粒子の設計指針となる、傾斜機能粉体(特開平3-252498、特開平4-22796:特許2855354、3102054)や微粒子分散型微粒子(特開平4-227996、4-227996)、コンデンサー分散型微粒子(特開平6-279018)など高い電気粘性効果を示す粒子のあるべき姿を明らかにし、それを特許出願して電気粘性流体の実用化に十分な貢献をしている。
これらの企画は高純度SiCの事業化を一人で推進しながらサービス残業で立案されている。今働き方改革が叫ばれており、サービス残業など非常識かもしれないが、当時高純度SiC事業化を推進するためには、その手段しか残っていなかったのである。
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今年の箱根駅伝一区で転倒した選手A君のケガが心配である。昨日のニュースにもこの選手の話題が出ていた。実業団で活躍を期待されていた選手のようだ。今回のケガで選手生命を終えることのないように早く全快されることを祈っている。
この事故について、解説者による、美談にするな、という叫びが生放送中に飛び出した。ケガの程度は本人以外分からない状況で関係者から棄権の判断を出しにくいが、専門家には走り続ければ危険と思われたのだろう。本来監督が棄権を申し出るべきだったろう。
監督は、その場にいなかったので棄権の指示を出せなかった、と言っているが、これは100m競争ではないのだ。十分に選手のケガについて情報を得る時間もあり、適切な指示を出せる時間が十分にあった。
これは、正月早々寝ぼけた情けないコメントである。解説者の美談にするな、という判断が正しかった。できれば、監督は途中棄権を申し出るべきだ、と踏み込んだ解説をしても許される時代である。
「今」、と言う時代は、気がついた人がイエローカードを出すべき時代かもしれない。NHKの「あさイチ」はじめ多くの番組で発達障害を社会問題として取り上げているのだ。その責任のある役割の人が、もし発達障害の場合には正しい判断を出せないかもしれない。
駅伝のような競技で、ケガをした選手の立場で、棄権を申し出るにはかなりの勇気がいることである(恐らく責任感が強ければ多くの人は無理をして走り続ける判断をするものだ。だから、他の役割の人による正しい判断が求められる。経営においても監督役と執行役がある。今回のように選手のことを第一に考えない監督に指導を任せている大学に長距離を目指す若者を高校は送り込んではいけない。)。
特に今回は始まったばかりの一区で、とても棄権など本人は言い出しにくい。TV観戦をしていても選手がかなりの無理をしていることは理解できた。
当方は、サラリーマン時代過重労働に土日返上、サービス残業など無理な働き方をしてきた。しかし、年休の取れるときには申し出にくい雰囲気であっても成果を出していたので堂々と年休をとり(日本では評価されなくなる、とアドバイスをしてくださる上司もいたが)、資本である体力を消耗しないよう努めた。体力があっての知力である。コンピューターも電気が無くなればただの電子部品の塊である。
また、独身時代の冬場の3ケ月は、友人たちに冬眠期間と宣言し一切の遊びを裁ち、土日を勉強時間にあてている。さらに、FD事件が起きたときには、自己の専門領域を変更しなければいけなくても、転職の判断を下してきた(これはサラリーマン人生において最も精神的にきつい判断だった。)。
長い人生において、無理をどのように味わいその状況にどのように対峙するのか、そのツボを考えながら生きてきたが、ケガをした学生にはそのような思考力があったのかどうか。あったとしても「責任感」という重圧から、一つの答えしか選べない状況である。
すなわち、当方が選手であっても、自分が苦労して立ち上げた高純度SiCの事業や専門領域の仕事を捨てて写真会社へ転職したように、長距離ランナーの夢をあきらめて走り続けたかもしれない。A君もその覚悟で走り続けたに違いない(注)。
ここで心配なのは、A君に実業団の道が閉ざされないか、と言う問題である。ニュースによれば半年間は練習できないという。A君には今後人生の岐路になるような事態になっても、今回の自分の下した判断を後悔せず、新たな人生のための学びの機会として頂きたい。
監督は、その役割に誠実真摯であったかを反省して欲しい。そして応援していた人は、その時自分がそれぞれぞれの立場ならばどうするのか、真摯に考えるべき美しくない箱根駅伝だった。往路優勝、復路優勝、総合優勝がすべて異なる面白さはあったが。
(注)今働き方改革が議論されているのは、やや遅すぎたように思われる。むしろ、高度経済成長期にこのような議論がなされるべきだったろう。ゴム会社では、当方が高純度SiC事業を立ち上げたときに、同じ世代のメカトロニクスを担当した若者が突然死したり、これはFD事件が原因で転職後の出来事だが、週刊誌や新聞を賑わすような事件が起き自殺者が出ている。モーレツな時代には、今回の箱根駅伝における「その場にいなかった」監督のように、しかるべき役割の人たちは何もしなかったのである。働き方改革をどのように進めるのか、悩まれている方はご相談ください。また、パワハラ、セクハラ、過重労働など働く立場で無理をしなければいけない人もご相談ください。社会で問題になっている多くのサラリーマンの危機を実体験し学んだ知恵を伝授いたします。
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当方は写真会社へ転職前に、高純度SiCの事業化を一人で担当していた。ただし、この企画は、社外(住友金属工業)とのJVであり会社公認のテーマだった。
高純度SiCの企画は6年前に2.4億円の先行投資を社長から直接決裁を受けてスタートしている。しかし、ファインセラミックスと同様にCI導入時メカトロニクスの事業を目標としスタートしていた電気粘性流体(ERF)の企画が、ERFの耐久性問題でとん挫しかかっており、そのお手伝いを頼まれた。
高純度SiCのテーマを中断しERFのテーマに注力するといった判断は、転職するときにわかったことだが、中間管理職あたりから出されていたようだ。全社方針としてファインセラミックスのテーマは継続となっていた。
当方がFD問題解決のため転職を決意したとき、高純度SiCの企画を継続して推進するために数人のプロジェクトが作られたことから、それを理解できた。
高純度SiCのテーマは、その成り立ちの経緯から納得していたが、研究所の管理職が歓迎していなかったテーマであり、転職するまでにFD問題だけでなく、テーマ中止を求められる事件が起きていた。
そのたびに、当方はしかるべき人に相談しながら一人で担当していた事業企画を中断ではなく少しでも継続できるよう努力していた。だから、ERFの耐久問題が発生してその仕事を手伝う限りは、問題とその位置づけを明確にしてほしいとプロジェクトリーダーにお願いしている。
その時、プロジェクトリーダーは、電気粘性流体をゴムのケースに入れて使用していると増粘するので、電気粘性流体を増粘させないゴム開発を担当してほしい、具体的には配合剤が入っていなくてもゴムとして機能する材料を開発して欲しいと協力を求めてきた。
「問題解決」の依頼ではなく、プロジェクトリーダーが決定したテーマを押し付けてきたのである。当方は、それに対して「界面活性剤で問題解決をする企画」を提案した。すると彼は、それは1年研究して、その方法で問題解決できないという結論が出されている、と応えてきた。
その報告書の閲覧をお願いしたところ、重要機密であり見せられない、と言われた。これは、同じ部門にいながらおかしな回答である。この奇妙な回答の意味を察し、その日の夜に、当方はサービス残業によりこの増粘問題を界面活性剤の添加技術で解決した。
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1970年前後の研究所ブームでは多くの企業で研究開発部門が、それも全社の基盤技術を高めるための基礎研究を重視した研究部門が設立され、それが日本企業の成長のエンジンになった、と言われている。
50年近くたち、製造業の研究所に対する評価は経営者によりさまざまである。基礎研究部門を廃止した企業も存在する。一方で既存の事業領域を超えて研究開発を進めるために基礎研究所を改組し、未来技術研究所としたところも—。
企業により研究開発部門の運営はさまざまであるが、50年前の研究所ブームと現代と大きく異なるのは、過去のアカデミアの様な基礎研究一本やりの研究所は無くなった点である。化学系企業の経営者の意見を聴く限り、50年前の研究所と現在設置されている研究所はテーマも含めて企画の方法まで異なる。
当方がゴム会社で研究開発部門に配属されびっくりしたのは、アカデミアに近い基礎研究を重視した雰囲気だったことである。目的が不明な研究テーマを見つけたときにはびっくりした。
12年勤務し、写真会社へ転職するときに電気粘性流体の増粘問題に取り組んだ報告書を当時の上司にお願いして見せていただいたが、その報告書ではイムレラカトシュが「科学の方法」で指摘していた完璧な否定証明が展開されていた。
当方はその報告書を読みながら、電気粘性流体開発のお手伝いを頼まれた2年ほど前を思い出し、もしその時この報告書を見せていただいていたなら、と残念に思った。
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表題は、かつて使用されていたCMにおける日産自動車のコピーである。最近はあまり聞かなくなったが、ノートの販売台数が日本一になったと聞き、このコピーを思い出した。
トヨタ自動車のハイブリッドエンジンに対して日産自動車のそれはe-パワーと名付けられている。面白いのは、エンジンで発電して、モータ-を回すe-パワーの仕組みである。
科学的に考えると明らかに効率が悪い方法である。日産自動車の方法は熱力学的に不利なメカニズムゆえに、トヨタ自動車は1980年代より現在のハイブリッドの仕組みを研究開発してきた。
このあたりは昨年すでに説明しているので詳しく触れないが、科学的に考えるとトヨタのハイブリッド車よりも燃費で不利にもかかわらず、それを技術でカーバーして商品化したところが日産自動車のすごいところである。
ノートの実燃費は、ユーザー情報によると科学的に有利なハイブリッド車アクアとあまり変わらないと言われている。なぜこのようなことが可能となったのか。
それは、電池技術はじめエネルギー回生技術の進歩により自動車の動力回りのイノベーションがあり、過去の科学の常識を覆す技術が出来上がったのだ。
エンジンで発電し、その電気でモーターを回す、この機構だけをとらえて評価すれば、エネルギー効率は悪い。しかし、車の運転経験があればすぐに気がつくが、一般道の運転で車のスピードは大きな変化の繰り返しである。
発電用のエンジンでは燃費の良いところで発電し、減速時はエネルギーを回収するなどして科学的に不利な部分を補うことで、ハイブリッド並みの実燃費を生み出すことに成功した。科学的に否定されても、技術では成功した事例だと思う。
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ゴーン氏逮捕のニュースの影響で、様々な経営者論がニュースに登場しました。その中の一つに、企業経営にも技術が必要であり、その専門家である社長が高い報酬を得るのは当然、という意見がありました。
技術者がその高い技術力ゆえに高給で優遇されるのは当方も技術者ゆえに理解できますが、経営者がその高い経営能力ゆえに高給を取っても当然、という意見には少し違和感があります。
これは公表されたゴーン氏の会社私物化実体や、ゴーン氏の経営手法を見れば明らかであり、もしこれを有能で成果を出した経営者ゆえに許されるとしたならば、組織だけでなく社会もおかしくなります。
ドラッカーは社長の重要な仕事は、誠実で真摯な後継者を選ぶことだと述べており、会社経営で必要となる高いスキルについては、知識労働者の採用で対応するよう解説しております。
わかりやすく言えば、社長とは常に誠実で真摯に会社のため、社会のために身を捧げて貢献しなければいけない特別な役職と言っています。ゴーン氏について公開されている情報が仮に法律的に許されたとしてもその仕事ぶりは、およそドラッカーが理想とした経営者像とは程遠い。
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2011年に創業してから8年経過し、弊社もようやく黒字が見えてきました。創業時の電子出版をただいま中断しておりますが、再開のシナリオを今年度は完成する予定でおりますので、よろしくお願いします。
また、昨年から始めましたミニセミナーに今年度は少し力を入れてみたいと考えております。個人でも参加可能なように準備中ですのでご期待ください。
情報過多の時代で全体が見えにくくなったり、捉えた部分から全体を見ようとしてもうまくいかない体験をされた方もいるのではないでしょうか。
堅実な技術開発の方法の一つに温故知新があります。不易流行という言葉は俳句の世界だけでなく、情報化時代の仕事のコツにもつながります。
ミニセミナーにおいてもこのキーワードを用いた問題解決手法を取り上げてみたいと思っています。何かと働きづらい、あるいは生きにくい時代でもあり、それらの問題解決にも貢献したいと準備中ですので弊社へご遠慮なくお問い合わせください。
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高分子の難燃化技術は、2000年以上前からあった、とする説もあるが、その技術開発について科学誕生前では試行錯誤により進められてきたはずである。
科学の時代となっても、この分野は学問として扱いにくく、未だに科学的に満足な研究は少ない。武田先生はその経験談を公開されているが、科学者の悩みを読み取ることができる。このような事情はやはりこの分野の研究を科学的に完璧に進めることの難しさにあると思う。
東北大村上先生は、当時先駆的な研究成果をまとめた洋書の翻訳をされているが、その研究室では研究の調査だけで終わっている。科学的に研究を進めるには、それなりの勇気のいる分野であり、当時の高分子分野には難燃化技術研究以外に面白い取り組むべき研究テーマが多数あった。
有機物材料はセラミックスと異なり、空気中で必ず燃焼する。そもそも燃焼とは急激に進行する酸化反応を意味し、実際の火災についてそれを科学的に再現可能なデータになるようにモニタリングすることが困難である。しかし、そこで諦めていては科学や技術の進歩が無い。
1980年前後の高分子の難燃化技術開発において力がいれられたのは、評価技術についてである。今はあまり使用例を聞かなくなったが、煙量を評価するアラパホメーターと呼ばれる装置があった。
煙量は、燃焼時に発生する煤の量に相関することに着目した評価装置だが、他の評価法でも煙量の直接測定手段が用意されたりしていたので、最近は見かけなくなった。この装置の優れていた点は、簡便に煙量を測定できたことである。
建築材料に関するJIS難燃2級の規格もこのとき生まれている。面白いのは同じ時代に生まれたUL規格やLOI法との考え方の違いである。UL規格は、実際の火災で発生する多数の現象を整理し、高分子材料が使用され火災に至ったときに大きな問題となる現象に着目して評価法としている。LOI法は、燃焼を継続するために必要な酸素量だけに着目した評価法である。
一方、JIS難燃2級やその後この改良版として生まれた準不燃規格は実火災の再現を目指している。この点が、UL規格やLOI法と大きく異なっており、サンプルの大きさも含め評価装置の規模が大きく扱いにくい問題がある。
TGAやDSC、TMAなどの科学的な熱分析評価法を用いて、これら多くの難燃性評価法との関係について研究レポートが登場したのもこの時代である。日本化学会の春季年会でも報告がされており、アカデミアでも高分子の難燃性を科学的に研究しようという意気込みが見られた。
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1980年代は、高分子の難燃化技術が大きく進歩した時代である。難燃剤有力メーカー大八化学で縮合リン酸エステル系難燃剤が多数開発された。大八化学はこの時代を代表する難燃剤メーカーである。
また、ホスファゼンの日本メーカーによる事業化もこの時代に数社がスタートしている。大塚化学はその老舗メーカーで、当時からホスファゼンの研究開発を続けている。
LOIやUL規格もこの時代に普及した。建築材料評価法のJIS難燃2級が欠陥評価法であり、プラスチック天井材の新たな規格である準不燃規格はダンフレーム登場後3年経過して制定されている。この準不燃規格制定にあたり筑波にある建築研究所のお手伝いを半年行っている。
当方は、大学4年生の時にシクラメンの香りの合成に成功後大学院は大学の都合で無機の講座へ進学しなければいけなかった。学問の自由など学生には認められていなかった、と感じるような出来事だが、半分やけくそになって無機の講座へ進学している。
もっとも、授業料は免除され、企業の奨学寄付金や奨学金を頂けたので、家庭教師のアルバイト収入も含め今よりも裕福な研究生活をおくれた。また、おもしろい個性的な先生のご指導を受けることもでき、やけくその選択が良い結果をもたらした。
1979年ゴム会社へ入社するまでの2年間、ホスフォリルトリアミドについてその応用研究を行っている。重合様式の研究や燃料電池用プロトン導電体、ホスファゼンとのコポリマー、PVAの難燃化と2年間にしては多くのテーマを企画し研究を進め、ショートコミュニケーションも含め、2年間の研究で5報論文を書いている。
色材協会へ投稿した論文では、ホスフォリルトリアミドホルマリン付加体を用いてPVAを難燃化してLOI法によりその性能評価を行っている。この時高分子の難燃化について調査をしているが、今のように多数の教科書が無かった時代であった。
色材協会の論文をまとめたころに、東北大学村上先生から良い本を出版するから、とご紹介を頂いたが、とにかく情報の少ない時代だった。LOI評価装置も普及しておらず、近くの女子大にあることをスガ試験機の営業の方から紹介を受け、研究に使用している。
この時、某女子大の先生には測定法のご指導などいろいろお世話になったが、まさかゴム会社で高分子の難燃化を担当することになるとは思わなかった。しかもゴム会社の指導社員は、この時お世話になった方よりもさらに世話好きで、高分子の難燃化と言うテーマを今日まで続ける十分な動機の一つになっている。
1980年前後の高分子の難燃化研究は、このような出会いが無ければおよそ好んでそれを研究しようと興味を持てない分野だった。元名古屋大学武田先生がこの分野の研究を始められたのは、臭素系難燃剤などが登場し、高分子の難燃化技術が出そろって研究分野として面白くなってきた頃である。
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