活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2018.05/10 駅弁

昨日出張のため新幹線車中で昼食をとらなければいけなかった。東京駅で少し小さく手ごろな駅弁があったので購入したのだが、1000円札で不足だという。その大きさから1000円程度だと思って一枚出したのだが、そっけなく足らないと言われたので一万円札を出した。

 

値段を聞いてびっくりした。1600円だという。これにさらに消費税がつく。この大きさで1600円ならものすごく旨いのではないかとお昼が楽しみになったのだが、弁当の表書きには炭火焼米沢牛特上カルビ弁当と書いてある。表書きを見てさらに期待が膨らんだ。

 

期待で胸が膨らんでいてもお昼近くになれば腹は減る。この年になっても腹時計は正確で誤差は15分程度。さっそく食べようと思いお弁当の蓋をとったらご飯の上に60g前後のカルビ肉が乗り、シューマイが二個入っているだけの値段の割に貧相な弁当だった。

 

ところでその肉の味はと期待しながら一口食べてがっかりした。まずくはないのだが、期待ほどの旨味は無い。上海のローカル焼き肉店で食べる得体のしれない熱い牛肉の方がはるかに旨い。やはり焼き肉は熱くないとだめだ。

 

ローストビーフは冷たくても旨いのだが、焼き肉と名がついた冷たい牛肉でうまいと感じた経験はこれまで無かった。そのうえ、1600円で購入した焼き肉弁当でもこの程度の味である。まずくは無かったのだが、冷たい焼肉は旨くない、という経験知の精度を高めることになった。

 

10年ほど前に、松阪へ出張したときに薄汚い定食屋へ入った。一時を過ぎていたので客は当方と同伴してくれた課長だけだった。1000円札でおつりが来た焼肉定食を食べてびっくりした。ものすごく旨いのだ。さらにこの値段で牛肉である。店主に代金を払うときに旨かった、と一言礼を告げたら、当たり前だ、松阪牛だ、と答えが返ってきたのだが、なぜか昨日この時の感動を思い出した。

 

 

カテゴリー : 一般

pagetop

2018.05/09 芦原温泉

「5月5日に発生した火事で3棟が全焼した福井県あわら市温泉4丁目の老舗旅館「べにや」で、天皇、皇后両陛下が宿泊された同旅館の特別室「呉竹」の調度品が災禍を免れ、併設した源泉風呂の湯もわき出ることが7日分かった。

 

呉竹は俳優の故石原裕次郎さんも長期滞在し、石原さんの写真など“お宝”の一部も残った。1956年の芦原温泉大火からの再建の際につくられた看板も無事で、奥村隆司社長は「うちの“象徴”が少しでも残ったことは奇跡的。これを励みに必ず旅館を再建したい」と話している。」以上は昨日の福井新聞記事からの引用である。

 

この「べにや」すぐ近くには、昔福井大学客員教授をしていた時に時々宿泊していたホテル「八木」がある。またここから徒歩数分のところには、常宿としていた「角荘」があった。

 

芦原温泉は、関西の熱海とも称されていたところだが、温泉ブームが去った後は、すたれるばかり。「角荘」は15年以上前に廃業している。角荘に限らず、数年に1件の割合で廃業してるのが現在の芦原温泉である。

 

20年以上前に芦原温泉を盛り上げる核とするために老舗のミュージックホールのテコ入れがあったが、ここもいつの間にか廃業していた。外の看板は15年以上前の状態である。

 

少し足をのばすと、山中、加賀、山代、粟津と有名温泉どころに行ける。ゆえに福井市から近い芦原温泉ではなく、山中温泉や加賀温泉へお客が流れることになる。

 

芦原温泉は、いわゆる俗的温泉街としての魅力は乏しい。ミュージックホールも無く、旅館周辺に何か興味を引くようなお店があるわけではない。しかし、そこが良いのだ。

 

温泉街には、少し大きな酒屋があり、そこに行けば福井の銘酒を味わうことができる。一本木以外の中小の酒蔵の酒も扱っているので試飲するだけでも楽しめる。

 

これといった魅力に乏しい芦原温泉だが、その温泉以外何もない健全な温泉街という魅力があることをPRしたい。家族で安心して遊べる温泉街である。

カテゴリー : 一般

pagetop

2018.05/08 努力不要論は間違っている

脳科学者中野信子著、努力不要論 脳科学が解く!「がんばってるのに報われない」と思ったら読む本」というのがある。また、WEBで中野信子氏は、この本の目的を「これは無駄な努力をしている人が多いので、正しい努力をしてほしいと思って書いた本です。」と述べている。

 

そして、「人間の大きな目的が生存である以上、今生きている人の人生は、いいことも悪いことも含めてみんなボーナスみたいなものなんです。それならば、苦しい思いをして出世しようとか、お金儲けをしようとか考えずに好きなように人生を楽しんだほうがいいのです。」とも語っている。

 

サラリーマン時代に「がんばってるのに報われない」と時々嘆いたときもあった。しかし、この年になって人生を振り返ると、無駄な努力も人生の糧になっている、と思えてくる。

 

例えば、ゴム会社で事業立ち上げに努力した高純度SiCの仕事では、何もゴム会社からは報われず、転職している。ものすごい無駄な努力の典型である。さらには、以前この欄にも書いているが、この仕事も含めゴム会社では、本来残業代を申請できてもそれすら申請せず、徹夜の業務をしたりしていた。

 

これらが金銭的に生理的にも極めて大きな無駄であったことは、他人に言われなくても十分に理解している。しかし、この大きな無駄から学んだことは多い。特にどんなに苦労していても、その苦労を必ず見ている人がゴム会社にいた、ということだ。

 

無心に努力しその努力を心から称賛してくれる人に出会ったときは、人を信じる力、あるいは社会を信じる力が得られる機会でもある。この体験は、困難な仕事に遭遇した時に、再度頑張って努力しようというエネルギーになる。

 

そもそも働く意味は、中野信子氏が指摘しているような出世のためではなく、故ドラッカーが指摘した「貢献」である。そのための努力に無駄は無いのである。

 

生きるために大自然と闘わなければいけない時代ではないが、新たな価値を生産し続けなければ持続的な成長ができない産業社会とは大変な時代で、無駄な努力と思われても常に新たな時代を夢見てチャレンジする若者の姿勢が社会から求められている。

 

好きなように人生を楽しむことを当方は否定しない。しかし、無駄な努力と思われるような次の時代を切り開くチャレンジする若者を輩出できる社会が理想と思っている。そこには無駄な努力でチャレンジしてもそれを糧に人生を楽しめる風土があるはずだ。

カテゴリー : 一般

pagetop

2018.05/07 電子書籍の閉鎖

電子書籍が閉鎖されたらどうなる、というニュースが昨日あった。すなわち電子書籍はインターネットで配信されているので閉鎖されたら読むことができなくなる。

 

これまでに、エルパカBOOKS(ローソン)、TSUTAYA.COMeBOOKS(T-MEDIAホールディングス)、地球書店(NTTソルマーレ)、BOOKSV(富士通)など大手が閉鎖している。

 

中小含めたら10社以上がこれまでに閉鎖したのではないか。2011年の電子ブックフィーバーで弊社も電子ブックを開店したが、1年ほどですぐに閉鎖している。一年間で売り上げは上昇傾向にあったが当初の予想曲線を大幅に下回ったのでリスク回避のためにすぐに閉鎖している。

 

電子ブックの問題は、閉店した後、購入者に何も残らないところだ。弊社は閉店に際し、PCに組み込めば購入した書籍が読めるようにコンテンツを購入者に配布した。その結果赤字だけが残った。

 

閉鎖した大手は、同様の対策をとれない可能性が高い。電子ブックの価格は紙媒体の書籍よりも安価に設定されており、その結果コンテンツをすべて配布したらそれだけも赤字になる。すなわち電子書籍は開店するときに閉店するときのリスクを考慮し事業を行わなければいけない。

 

弊社は、事業が黒字になる最低販売見積もり曲線を作成し、それより低ければユーザーが少ない時に撤退する覚悟で開始している。すなわち購入したユーザーに迷惑をかけない形で閉鎖できるように考えて事業をスタートしたのだが、2年と続けることができなかった。

 

失敗の原因は、顧客の見積もりが甘かったことに尽きるが、弊社が運営している「miragiken.com」の状況をみると、電子書籍の運営のコツは、*****であることが分かってきた。資金ができ次第、再度電子出版を再開したい。

カテゴリー : 一般

pagetop

2018.05/06 中国のトイレ革命

10年前に比べて中国の公衆トイレがきれいになってきた。10年以上前は、緊急でなければ使いたくないトイレが多く、ホテルまで我慢したことが多かったが、上海市内に限れば、それがなくなった。

 

ネットには、この状況がトイレ革命として報じられている。従来の大便用トイレに間仕切りが無かった状態が洋式トイレになり、さらに便座シートが自動で新しくなる衛生的なタイプも登場した。

 

しかし、行き過ぎの衛生トイレもあり、例えば全面ガラス張りや、カラフルで宙に浮いているようなトイレ、自然と一体になったトイレなど観光地には風変わりなトイレが登場しているという。

 

これは習近平氏が先の全人代でトイレ革命を指導したからだそうだが、コンビニにトイレが付いたのではなく、トイレにコンビニが付いた改革や、ATM付きトイレ、テレビ付きトイレ、さらには「おもてなし心満載の巨大TVの設置された応接室」付トイレなどびっくりするトイレが登場しているという。

 

さすがに中国国内ではこのようなトイレに対し、お金の無駄遣いや、非実用的などの批判が出ているが、中国人のこのようなトップの指示に対して「やりすぎ」革命には納得のゆくところがある。

 

習近平氏にもこの情報は伝わり、さっそく行き過ぎを禁止する指示が出たといい、今それぞれの町のトップがトイレ視察を行っている。

 

日本では絶対にこのようにはならない。それは今の国会審議の様子を見ていれば明らかだ。民主主義を誠実に実行すると非効率的なお金の使い方になる。そして発想力の乏しい官僚により、箱もの行政となる。現実離れした華美なものができない代わりに皆が満足した不要のものが作られる。

 

 

カテゴリー : 一般

pagetop

2018.05/05 犬と猫

犬はひもでつながれて飼い主と共に散歩しているが、猫は野放し状態である。この日常見る光景に疑問を持たなかったが、昨日ひもでつながれ散歩している猫を見て不思議な気持ちになった。

 

猫がひもでつながれて散歩していても不思議ではないのだが、違和感を覚えるのはなぜだろうか。どうでもよいことだが、ふと日常見慣れた光景と異なる場合の「違和感」について考えてみた。

 

実は、この「違和感」がきっかけで退職前の5年間に担当した中間転写ベルトでは、他人が自分の発明と言いたくなるような大発明をしているからだ。

 

過去に、高純度SiCの反応速度論の解析では、大学の先生が何も貢献していないのに自分の研究として論文を発表されたが、中間転写ベルトの実用化を成功させたカオス混合装置でも昨年、自分の発明と称して講演している方を見つけた。

 

他人が自分の発明としたくなるような発明であれば大発明といってもよいだろう。特にその他人がその道の権威者であれば、なおさら大発明間違いなしだ。

 

速度論の研究を当方の許可なく論文発表したのは旧7帝大のO助教授だが、カオス混合装置を自分の発明と言って講演していたのは、某有名混練メーカーの元技術者H氏だ。

 

このカオス混合装置の発明のきっかけとなったのは、押出成形をやっていた現場で聞いた日常の騒音と異なるトーンの騒音に違和感を感じたことだ。

 

どちらも騒音であり、どうでもよい音だったが、騒音の音程がわずかに下がったところに違和感を感じた。そして、すぐに調査を進め、カオス混合装置の発明にたどり着いた。年を取って耳が悪くなっても感じる違和感だったので若い人に気がついてほしかった。

カテゴリー : 一般

pagetop

2018.05/04 一眼カメラのレンズの「味」(3)

レンズの映りに対して昔から哲学を変えていないのはニコンである。とにかく映したい被写体を徹底的にくっきりとそのままに描けるようにレンズ設計されている。いわゆる「カリカリ」の映りだ。

 

女性雑誌のほとんどは、おそらくニコンのカメラで撮られているのではないだろうか。キャノンも使われているかもしれないが、あの女性雑誌のモデルの様な写り方をするのがニコンのレンズの特徴である。

 

だから科学撮影をするときにはニコンに限る。20年以上前のフィルム時代からニコンとペンタックスを使っているが、記念写真を撮る必要があるときにはニコンを使うようにしている。

 

たまたまペンタックスカメラに24mmF2スターレンズをつけて携帯していた時に記念撮影を頼まれた。タイマーを仕掛けて自分も列に加わろうとしたときにミスをした。カメラが当方を追跡し始めたのだ。

 

今時のカメラは自動追尾機能があるのでこのような場合に注意をしたほうが良い。ペンタックスの自動追尾機能は遅いので、たまたまシャッターが切れたときにピントが外れた。

 

画像をその場で確認すればよかったのだが、家で見てびっくりした。皆牛乳瓶の様な目で映っていたのだ。すなわちピンボケ写真となっていた。画像処理ソフトで修正を試みたが、何とかそれぞれの顔が認識できる程度までしか修復できなかった。こんなことがあって、重いニコンを我慢して持ち出すようになった。

 

D2Hを購入後F100を防湿庫に保管していたら、購入して5年しか経過していないのにバックカバーのフックが壊れた話は、当方のセミナーでよく取り上げる。技術のニコンと知られているが、高分子材料技術ではイマイチで、F100ではブリードアウトも起きている。

 

しかし、くっきり抜けが良い画像が欲しいときにニコンは欠かせない。キャノンでも駄目である。やはり、くっきりスッキリという画像はニコン独特のレンズの「味」かもしれない。もしニコンの技術者がこの欄を読んでいたなら、高分子材料について当方に相談していただきたく。ニコンカメラの弱点である。

カテゴリー : 一般

pagetop

2018.05/03 ギブソン倒産

ギターメーカーの老舗ギブソンが破産申請をしたという。ティアックとかオーディオメーカーの買収を続けてきたがギターの売れ行きが悪く、資金繰りが立ち行かなくなったという。ギブソンといえばアコースティックギターよりもエレキギターが有名で、そのコピー品を売るエピフォンも実績を上げてきた。

 

アコースティックギターでは、マーティンという大ブランドがあり、ギブソンのアコースティックギターハミングバードは、苦戦している。もっともハミングバードだけでなく、昔のギルドなどもブランドだけ残った状態なので1960年代のギターブームのように事業を展開できていないのだろう。

 

1960年代の日本ではマーティンギターのコピーが多数販売され、井上陽水が使用して有名になったS.ヤイリ、そしてその兄弟が経営したK.ヤイリ、クラシックギターで有名だった松岡良治のブランドを扱っていたアリア、家具などの木材加工から転業したモーリス、東海楽器のキャッツアイ、バイオリンメーカーから派生した木曽スズキやチャキ、民社党党首の関係会社カスガ、独自路線のヤマハ、ギブソンのコピーを販売していたキャンダ、など多くのブランドが誕生し世界に輸出された。

 

その年輪の模様が美しいため高級ギターのボディー側板に用いられたハカランダという木が伐採禁止になるほどギター生産が行われた。今高級品にはローズウッドが使われ、ハカランダは超高級品にしか使われない。しかしこのハカランダも伐採禁止になる前に伐採された材木が無くなればハカランダ製ギターは無くなる。

 

材木が無くなるほど生産されたギターだが、ギブソンの倒産に代表されるようにギター市場は21世紀になり縮小した。日本のブランドも今残っているのは、独自のサウンドを構築できたメーカーだけだが、S.ヤイリのようにブランドだけを海外メーカーにゆずり細々と事業を続けているところもある。

 

また、愛知県海部郡にある寺岡製作所ではアリアはじめ多くのブランドのギター製作を行っているところもあり、業界は様変わりした。

 

日本では高度経済成長の時に、ピアノはじめ音楽の手習いがブームとなったが、中国やASEANではそのような現象が起きていない。1960年前後の日本は今の中国のような経済状態で、街にはギターを担いだジーパン姿の若者が多かった。しかし今の上海の街中を見てもそのような若者はいない。中国でギターブームが起きればすぐにギブソンの経営状態は上向くのではないか。

カテゴリー : 一般

pagetop

2018.05/02 オーディオブーム

デジタル化の流れの中で日本のオーディオ業界が壊滅状態になって久しいが、秋葉原を歩くとオーディオ市場が盛り返してきたような印象を受ける。スピーカーについては外国メーカーの前に日本メーカーは苦戦しているが、市場そのものが縮小してきた過去を思うと今息を吹き返してきたのではないか。

 

JBL専門店は一時閑古鳥が鳴いていたが、ゆっくり視聴できない状態になってきた。大型店のスピーカー売り場も以前は自由に聞き比べができたが、今は商談客が多く、聞くだけの客は相手にしてもらえない。しかしそれでも1970年代ほどの賑わいではない。

 

会社を起業してから何が変わったかと言えば、好きな音楽を聴きながら仕事ができるようになったことである。年寄りにつきものの耳鳴りもこれで改善してきた。耳は明らかに劣化してきているはずだが、聞こえていないはずの高域を感じることに疑問を持ち始めた。

 

健康診断で聴力検査をしても単一周波数の音は聞き取りにくい。一応異常なしの評価を頂くが、内心本当は聞こえていないのではないかと疑問を持っている。だから高級オーディオを買う動機は失せているが、オーディオ店に行くと若者よりも年寄りが多いので驚く。

 

改めてオーディオが趣味の商品であることに気づくのだが、店員が細かい蘊蓄をならべ高いスピーカーを老人に進めている光景は詐欺ではないかと思ってしまう。しかし、店員の蘊蓄をこっそりと聞きながらスピーカーの比較試聴をしてゆくと確かにそのように聞こえてくるから不思議だ。さっきまで90万円のスピーカーと30万円のスピーカーの差に気がついていなかったのが、確かに90万円がよく聞こえる、と納得する。

 

90万円と30万円の音質の差が気になり始めると、10万円と30万円の違いがかなり大きな差に聞こえてくる。面白いのは日を改めて同様の比較をしてみると大した差では無かったりする。

 

 

 

カテゴリー : 一般

pagetop

2018.05/01 上司からの手紙

ゴールデンウィークで世間が長期休みの間に少し部屋の片づけをしている。今の事務所へ引っ越した時にほとんど整理もしていなかったので1日では終わらない。今日もその続きをしようと思ったら、昔上司から頂いた手紙が本の間から出てきた。

 

無機材質研究所へ留学中に二度目の昇進試験を受けるタイミングで頂いた手紙である。その前年は、無機材質研究所に入所し、昇進試験に落ち、無機材研総合研究官猪股先生から昇進試験に書いた内容を実験してみたらどうだ、但し1週間だけだ、と言われたことを思い出した。

 

そして、その1週間で高純度SiCの製造プロセスを実証でき、数gの高純度SiCが得られた。無機材質研究所で実験をして得られた結果なので、無機材質研究所から基本特許を出願している。この出願については、ゴム会社も合意している。

 

一度目の昇進試験については、事前に留学前の同僚から聞いていた「あなたが推進したい新事業は何か」という問題だったので、あらかじめ作成していた高純度SiCの低コスト製造プロセスを武器に半導体治工具などのエンジニアリングセラミックス開発、将来はSiCウェハーを開発する夢を昇進試験の解答として書いていた。

 

新事業企画として合格点がとれたはずの内容であり、また、その後先行投資で始まった開発は、30年以上経った今も答案に書いたような事業として続いている。

 

ところが当時無機材質研究所で電話越しに人事部長から告げられた結果は0点だった。作文で0点をとったのは、人生でこの時だけである。あまりのショックで電話を受けながら言葉が無かったが、それを猪股先生が察して、1週間ではあるが、小生にチャンスをくださったのだ。

 

小生はそのチャンスを生かし、その2ケ月後には、ゴム会社の社長から2億4千万円の先行投資の決裁書を頂くのだが、この上司の手紙には、二度目の昇進試験を受けてほしい思いが書かれていた。

 

上司はその一年後癌で他界されたが、手紙を読みながら上司の目に映っていた自分の姿が思い描かれた。当時の小生には複数のヘッドハンティングの会社から勧誘が来ていた。

 

留学前生活してた独身寮にその書類が届いていたので、人事部経由でそれらの手紙が届けられ迷惑した思い出がある。宛先から小生から請求したわけではないことは自明だが、上司はおそらく転職を心配されたのではないか。

 

この時は、転職など考えていなかったのだが、昇進試験に落ちた部下の気持ちを察してのことだったのだろう。この上司の数々の心配はありがたかったが、昇進試験の後遺症は猪股先生のご配慮で人事部長から電話を頂いた1週間後には無くなっていた。

 

また、人事部長の0点という粋なメッセージで、昇進試験に落ちたことはショックではあったが、その内容に対する当時の基礎研究部門の評価を推し量ることができた。

 

ただ、経営陣は基礎研究部門に批判的で、基礎研究部門の役員が半年後には交代するのだが、それゆえ当時の小生に期待されている方々を信じ、1週間不眠不休で実験を推進し結果をだしたのだ。

 

若い技術者に伝えたい。組織で働くときに夢がいつも支持されるとは限らないが、もし一人でも経営陣にその夢に期待する人がいたならば、その夢を実現できるよう誠実真摯に直属の上司に語ることである。それが未来を拓く大きな夢であれば社会が必ず応えてくれる。

 

今日はメーデーだが労働者の祭典も労働者の夢を語る祭典にしてはどうか。古いイデオロギーの時代はすでに終わり経営者と労働者が夢を同じにする時代である。

カテゴリー : 一般

pagetop