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2017.04/22 オーディオ商品(1)

1970年代に空前のオーディオブームがあり、バブル崩壊までその勢いが続いたが、バブル崩壊とともに衰退した。しかし、最近ささやかなブームが起きつつあると言われている。

 

秋葉原の電気店のオーディオコーナーには、レコードプレーヤーまで再登場した。しかし、かつてのトリオとかサンスイ、オーレックス、オットー、ローディーなどのブランドは消失し、ビクターはささやかなアクセサリーメーカーに変わった。

 

一方、スピーカーは海外メーカーのブランド商品が増え、日本製の高級スピーカーを置いていない店も出てきた。WEBを調べると4社ほどホビーとしての手作りスピーカーメーカーが国内に登場している。

 

日本のポピュラーな総合オーディオメーカーはオンキョーとデンオン、ヤマハぐらいで、パイオニアはすでにオンキョーに吸収されてブランドだけ残っている状態である。高級アンプ専業メーカーは、ローテルやマランツ、ラックスマンはじめ幾つか生き残っている。

 

おもしろいのは世の中の商品がデジタル化された時代にオーディオ商品は、アナログ技術がデジタル技術と対等あるいはそれ以上の付加価値技術として扱われている。科学的視点で見れば、信号を正確にかつ安定に伝送するためにはデジタルの方が優れているにもかかわらず技術が十分に熟成されたアナログ商品が重宝がられている珍しい分野である(続く)。

 

 

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2017.04/21 科学的方法の問題(2)

市販のゴムと樹脂の全ての組み合わせ配合について粘弾性特性を計測すると1年近くかかりそうな仕事量であることはすぐに理解できた。さらに粘弾性装置にはミニコンが接続されてデータ収集こそ自動化されていたが、最初の測定条件設定などは現在のような便利なソフトは存在せず、すべて手作業で行わなければならなかった。

 

ただ、この不便さは計測機の仕組みを理解するのに役立ったと同時に、ゴムの粘弾性の特徴を体得するのに役だった。また、合成化学を学生時代に専攻していたのでこのような計測業務には新鮮さがあった。

 

業務を担当し厳しい技術伝承を兼ねた訓練後、指示された全ての温度領域で計測しなくてもある特定の周波数と温度でサンプルを計測する手順で、目標となっていたゴム配合を見つけ出すことができると気がついた。

 

指導社員にそのことを説明したら、それは最初から分かっていたが、練習用に全ての条件で計測するという指示を出していた、と言われた。そのような理由ならば、ということで、当方が見つけた条件で実験しても良いか、と尋ねたら、当方の提案でよいが物性に特徴あるサンプルについては完全なデータを揃えて欲しい、と言われた。

 

特徴的なサンプルの粘弾性について1組完全なデータをそろえるのは報告書のためだった。実は指導社員はゴールとなるべきサンプルと耐久試験結果まで行ったデータセットをすでに手元に持っていた。しかし、そのサンプルの存在は指導社員と当方だけが知っている秘密だった。

 

さらにそのサンプルは、科学的ではなく指導社員のKKDにより見出された配合である。すでに完成した配合が存在するのに、なぜ当方が一年かけて多数のゴムと樹脂の組み合わせ実験を行わなければいけなかったのか?(明日に続く)

 

 

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2017.04/20 科学的方法の問題(1)

技術開発を科学的方法で、とは企業の研究開発の現場で20世紀に声高に叫ばれたスローガンだ。そのような時代にゴム会社に入社したが、ゴム会社のタイヤ開発部隊の風土はKKD中心であり、さらに新入社員研修における発表会で当方は科学的方法の優位性を口にしたとたんにある役員から厳しく指導された。

 

ところが研究所に配属されたらそこは同じゴム会社とは思えない、大学の研究室のような風土だった。このような状況だったので研究開発業務の科学的方法と技術的方法について大いに悩むことになった。

 

配属後最初の指導社員は、どこか仙人のような雰囲気のある方で科学的方法と技術的方法に悟りを開いている、というよりも一つの会社における風土の全く異なる状況にあきらめているようなところがあった。

 

新しい防振ゴム配合開発の指導を受けたが、研究所内のプレゼンテーションの資料は当時のバネとダッシュポットによる先端の粘弾性論一色にもかかわらず、指導内容はこのような方法は忘れてもよいという姿勢だった。

 

実際に常微分方程式が解けなくてもかまわないし、マックスウェル方程式など理解しなくても良い、と言いながら詳しく説明されていたので、忘れても良いようなことに疑問を持ち、なぜそのように指導されるのか不思議に思った。

 

ただ、指導内容とスペクトロメーターを常時用いるゴム配合の検討方法とがうまく整合性がとれていたにもかかわらず、ゴムの配合処方を組み立てる部分は、とにかく市販のゴムを全部揃えたので、この全ての組み合わせを検討するようにと言う指示で科学的スマートさに欠けていた。

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2017.04/19 ハイブリッド方式とe-Power

トヨタのハイブリッド方式は20世紀末から21世紀初めまで使用された車の燃費改善技術の一方式、と将来語られるかもしれない。しかし、科学的視点から新しさのない日産のe-Powerは歴史に残らないかもしれない。歴史には残らないが、電気自動車が車の未来のあるべき姿とするならば、今後その技術は発展する可能性がある。

 

科学的に見るとハイブリッド方式よりも効率が悪いと過去に結論づけられたシステムを用いているe-Powerが何故発展する可能性があるのか。それは車載を目的とした発電用エンジンの開発がまだ遅れているからだ。恐らく日産社内ではe-Powerの成功によりそのプロジェクトが活動しているかもしれないが、発電用に特化すればまだエネルギー効率の高いエンジンができる可能性がある。

 

当方がこのe-Powerに注目する理由は、エネルギー保存則から考えると不利な方式、科学的に考えるとダメな方式だからだ。すなわち科学的に否定されるのに技術的には未来の可能性が残っている点である。逆にハイブリッド方式は今後今以上の発展をする余地が少ない。せいぜいPHVで走行距離を伸ばす工夫ぐらいだ。

 

科学的に精緻に作られたシステムは、論理的に導かれる限界以上の発展はしないが技術的に作り出されたシステムは、その限界を見極めにくい。

 

例えば20年以上前にe-Powerが、すなわちエンジンで発電した電気を電池にためて、そのエネルギーでモーターを回す方式が科学的に効率を追求して考え出されたハイブリッドシステムに勝てるなどと思った人はいないはずだ。

 

当方は20年以上前のモーターショ-でエンジンで発電してモーターを回す方式をトヨタの技術者に質問したことがある。その時一笑に付された記憶が鮮明に残っている。エネルギー保存則から効率が悪い、の一言だった。

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2017.04/18 科学の成果であるハイブリッド車の問題

ハイブリッド車は、そのシステムを眺めると科学の成果の塊に見えてくる。ガソリンエンジンの燃費を改善するために動力の発生を電気モーターとハイブリッド化するだけでなく、減速時のエネルギー回収システムも含め高度な制御システムでエンジンとモーターを効率よくd動作させている。

 

低速回転では高トルクを発生するモーターと低速回転ではトルクがやせているエンジンの組み合わせは、スムーズな動力発生を可能にし、あたかも多気筒エンジンのようななめらかさがある。

 

ヨーロッパでは、ダウンサイジングターボやクリーンディーゼルなどが車の燃費改善技術として進歩したが、日本ではトヨタが積極的にハイブリッドシステムを市場へ売り込んだためハイブリッド車が普及した。

 

面白いのは国内の自動車メーカーの動きで、トヨタのハイブリッド戦略に真正面から戦いを挑んだのはホンダである。その結果面白い車が無くなり昔のホンダらしさが消えた。さすがに社内でもその反省があったのかどうか知らないが、シビックタイプRというスバル車顔負けの高馬力車を最近発売している。

 

日産自動車は、一部の高級車と中級車にハイブリッド車の設定をしているが、その売り込みに積極的ではない。むしろリーフのような電気自動車に力を入れ、e-Powerシステムのノートがハイブリッド専用車アクアの売り上げを抜くなど好調だ。

 

マツダは、数年前に一新したデザインが日本市場で支持されただけでなく、ヨーロッパ同様のクリーンディゼルはじめレシプロエンジンの基本技術を見直し改良を進めた結果、コストパフォーマンスの優れた車として売り上げが好調である。

 

この流れに少し異端なのがスバルで、一応ダウンサイジングターボのレヴォーグを発売したかと思ったらガソリンエンジン車と変わらない燃費のハイブリッド車を販売し、スバルがハイブリッド車を作るとこうなるというようなPRの仕方をしている。しかし、走りのスバルという軸がぶれていないので、新車納期が3ケ月待ちとなるほど好調だ。

 

このスバルのハイブリッド車を試乗してみると、単純にエンジンとモーターのハイブリッドにしても燃費改善効果が小さいことに気がつく。エンジンをアトキンソンサイクルと呼ばれる方法で稼働しないと燃費改善に大きく寄与しないのだ。このアトキンソンサイクルとは1882年に開発された古い技術で内燃機関の燃焼効率を上げる方法だ。燃焼効率は上がるが馬力は下がる。

 

スバルのハイブリッド車のおかげでユーザーはハイブリッド車のからくりとその問題を学習できた。詳細は省略するが、もしエンジンとモーターを組み合わせて自動車を作るならば日産方式がトヨタのハイブリッド方式よりもまだ発展する余地があると感じさせる。これは科学的に最適化されたハイブリッド方式には科学的な限界を感じるためだ。

 

 

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2017.04/17 高齢者「引退」無き時代へ

表題は、毎日新聞デジタル版に掲載された記事のタイトルである。

 

「現役世代(15~64歳)の人口は50年後、現在より4割以上減るとされた。人口構成が激変していく中、社会の担い手をどう確保していくのか。  政府が昨年6月に発表した「1億総活躍プラン」。現役世代の男性に偏っていた働き手に、女性や高齢者にもより多く加わってもらい、経済活動の維持を図る狙いがある。今後、65歳以上の雇用延長も進める方針で、高齢者に、支えられる側から支える側に回ってもらいたい考えだ。高齢者となっても「引退」しない時代は目前に迫る。」

 

上記はその記事の抜粋であるが、目前ではなく、もうそのような時代だと思う。そのような時代の訪れは亡父の読書三昧の日常から感じていた。亡父は80過ぎまで郵便局のポスター書きをボランティアで請け負っていたが、自分の思うように書けなくなった毛筆書きのポスターを見て、引退を決めている。

 

亡父は元警察官だったが、自己実現目標として書道を追求していたようだ。当方も小さい頃から書道塾に通わされた思い出がある。兄弟誰もが書道の大会で何か賞を取っている。亡父の遺品にはその時の賞状が束になっていた。

 

現在の社会の組織では65歳までしか働けないが、組織で働きながら自己実現努力を行い、65歳以降はその成果で働く、という姿勢が現在のシステムでは必要だ。しかし、それを受け入れる社会の組織の少ないことが問題である。

 

一方で電通の過重労働が問題なったように若い人の労働環境の改善が求められている。ここは社会の知恵が必要になるが、高齢者と若者とのペアで働けるような組織を作り出せないだろうか。

 

子育てが必要な若者の時給は高く高齢者のそれは半額としても良いような社会のコンセンサスが必要となるが、おそらくそれは容易だろうと思われる。社長が新入社員の10倍の給与をもらうのは当然という時代から、社長の給与は従業員の平均よりも低い、という会社が理想となるかもしれない。おそらくそのような会社では社長の引退は陰口として出ないだろう。

 

 

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2017.04/16 技術をどのようにアピールするのか

レシプロエンジンで発電し、それを電池に一度充電してからモーターを動かす、あるいはレシプロエンジンで発電されたエネルギーでモーターを動かすというシステムは、高速走行ではもっぱらガソリンエンジンを使い、日常走行では、力の足らない部分をモーターで不足するトルクを補ったりするハイブリッド方式よりも燃費が悪いと推定された。

 

それゆえ,複雑なハイブリッドエンジンが考案され、トヨタやホンダが積極的に展開し成功した。実際にハイブリッド車のカタログ燃費は、同等排気量のガソリン車と比較しおよそ倍ぐらいである。

 

但し実燃費はカタログ燃費よりも極端に悪くなることもあるが、走り出すときに低回転で高トルクを発生するモーターのおかげで乗り味に高級感が出てハイブリッド車は社会に受け入れられた。

 

トヨタやホンダは高級車から大衆車まで競ってハイブリッド車を展開している。タンデム自転車を若者がこぐ模型とそれを年寄りがこぐ模型が作られ、それによりホンダが奮起してレシプロエンジンを改良した話題はニュースになった。

 

しかし、技術の進歩により皮肉なことに日常の運転条件では、ハイブリッドよりも効率が悪いと思われた日産自動車のe-Power方式がシステムとして優れている状態を創り出した。

 

すなわち、日常の運転では、車は必ず一旦停止を繰り返したり、加速しても減速することを強いられる。この時のエネルギー回生技術が進歩し、この技術をうまく組み合わせるとエンジンで発電してモーターを動かすというシステムの非効率性を補うことができるようになった。

 

また、アクセルペダルは、モーターの回転制御すなわち電力調整ペダルだけの役目を果たせば良いので、車が減速し停止するときにレシプロエンジンで使用しているようなブレーキ動作が不要になる。遊園地の自動車のようにアクセルペダルの操作だけで運転が可能になった。

 

それだけではない。ハイブリッドエンジンではレシプロエンジンも走行用に用いるのでその回転数を頻繁に変動する必要があるが、これを発電用だけに使用すれば、最もエネルギー効率の高いところにおける定速運転となるので、日産方式でもそれほど燃費の悪化につながらなかった。

 

その結果、日産ノートは実燃費においてアクアを抜いてしまった。カタログ燃費こそ同じような値だが実燃費ではノートの方が良くなるとの評判である。

 

その結果、技術としては劣っていたはずの日産自動車がうまくPRして消費者に支持されるようになった。おそらく、今後ハイブリッド車よりも日産自動車の方式の車が多数出てくるのかもしれない。

 

例えばマツダのロータリーエンジンは、発電用に特化すれば大変小型化でき、エネルギー効率の良い条件で運転も可能となるので日産自動車の方式に向いている。

 

日産自動車ノートの成功例は、技術をどのようにPRしたら社会に受け入れられるのかという参考になる。科学的に見れば劣勢でも技術として捉えたときに優れておれば良く、そこをうまくPRすればよいのである。

 

面白いのは日産方式でもエンジンとモータを使うのでハイブリッドと呼べるのだが、そこをトヨタと差別化しアピールするためにハイブリッドと呼ばずePOWERと呼んでいる。

 

余談だが、中国蘇州の街中では10年以上前から安っぽい赤色の電気自動車がたくさん走っており、日産方式のどこに先進性があるのか当方には理解できなかった。2ケ月前セールスマンの積極的な売り込みにもかかわらず燃費の悪いターボ車で4駆のジュークをあえて選んだ。

 

ところが驚いたことに冬場の街乗りで平均燃費が9.2km/lで、昔のターボ車のイメージと大きく変わっておりびっくりした。恐らく夏場ならば10km/lを超すだろう。おまけにランサーエボリューションより安いが、トルクベクタリングという凝ったシステムもついている。

 

ePowerノートと同じような値段で、内装はチープだがドアの開け閉めの音やコーナリング時の挙動など高級車に負けていない。デザインも飛んでいる。今最もコストパフォーマンスの好い車はこのジュークとスバルインプレッサだ。インプレッサは一クラス上のレボーグと同等以上の乗り味である。ドアの開閉音は高級車のそれで、内装はスバルとしては頑張っている。

 

「いつかは、クラウンーーー」というCMが昔あり、いつかはクラウンに乗りたいと思っていたが、クラウンの乗り味よりも値段の安いマークXの方がBM*に似ていた。おまけに電子制御のサスペンションがついており、高速走行の気持ちよさは外車のそれである。

 

一方今やクラウンよりも高級なレクサスがトヨタから販売されている。レクサスの高級感は外車以上で何よりも販売店の応対がすごい。思わず車の購入検討にスーツで出かけたくなるような雰囲気だが、ハイブリッド車を進められるとがっくり来る。

 

おまけに動力システムは一世代前のプリウスと同じである。同じホットハッチならばジューク1.6GT fourのほうが、内装は安っぽいがメーター類のデザインも含め運転していて楽しい。今のトヨタは、どこかちぐはぐな感じがする。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料

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2017.04/15 昨日に続き日産ノートの話

セラミックスフィーバーのさなか、いすゞ自動車がアスカにオールセラミックスのレシプロ断熱エンジンを搭載し公道を走らせた。この様子はNHKで紹介され、フィーバーの火にますます油を注いだ(宮崎緑氏がレポーターをされた「日本の先端技術」でその姿が紹介されている(注))。

 

しかし、21世紀になってもこのアスカのような自動車は登場していない。一方ガスタービンをオールセラミックス化しようというプロジェクト、ムーンライト計画の参加企業だったトヨタ自動車は、ガスタービンとモーターのハイブリッド車をモーターショーで提案した。

 

ガスタービンというエンジンは一定の高速回転で運転したときには効率が高くなるが、回転数を変動させると極端に熱効率が悪くなる、という。それで自動車に用いるときにはモーターとハイブリッド化して、高速走行ではガスタービンを用いる、というアイデアにたどり着いたようだ。

 

また、エネルギー効率を考えてエンジンとモーターのハイブリッドとなっている。同じ時に日産自動車はセラミックスガスタービンだけを参考展示していた。

 

ガスタービンとモーターのハイブリッドエンジンは、その後レシプロエンジンとモーターのハイブリッドとしてプリウスに展開され現在至るが、日本の消費者は、このハイブリッドエンジンが、未来の電気自動車へ変遷するつなぎ技術と信じたのでハイブリッド車が普及した。また、複雑な機構によりエンジンとモーターとの切り替えやエンジンとモーターの同時使用など凝ったつくりを好む日本人には支持されやすいシステムだ。(明日に続く)

 

(注)ゴム会社はこの番組のビデオを昼休み中も含め、少なくとも4回社内で上映している。4回見た、と吹聴していた社員がいたから回数を覚えていた。当方は3回しか見ていないが、3回見てセラミックスアスカに感動し高分子の難燃化テーマの傍ら高純度SiCの企画を練っていた。

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2017.04/14 日産ノートがアクアを抜いた

ノートの月間販売台数がアクアのそれをぬいたのだそうだ。しかもノートの売り上げの70%はe-Powerというガソリンエンジンを発電専用に用いた電気自動車。この現象はハイブリッド車が生まれた歴史的背景を考えると面白い。

 

まずエネルギー効率について説明すると、ガソリンエンジンだけで車を動かした場合と、ガソリンエンジンで発電して電気モーターを動かした場合、ガソリンエンジンで発電しそれで電池を充電しながら電池で電気モーターを駆動した場合では、この順にエネルギー効率、すなわち燃費は悪くなる。

 

エネルギー保存則など持ち出さなくても、ガソリンエンジンから直接駆動力を取り出したほうが燃費が良くなることは、科学に詳しい人ならば直感でわかる。また物理に詳しい人ならばすぐにモデル計算を行い、そのような結果になることを示すことができるはずだ。実際にその昔そのような議論を学会で聞いたことがある。

 

セラミックスブームの時にオールセラミックスガスタービンエンジンが話題になった。このエンジンを断熱状態で稼働すると熱効率が40%を超えるという。この40%というのは内燃機関の熱効率目標になっているが、未だに超えられない夢の目標なので、セラミックスブームは一気にフィーバーとなった(明日に続く)。

 

 

カテゴリー : 一般 電気/電子材料

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2017.04/13 科学は普遍的真理を技術は安定な機能を生み出す

科学者は自然現象に存在する普遍的真理を導き出すのが使命である。技術者は、自然で発生するいかなる現象が生じても安定して機能する技術を創り出すのが使命である。

 

両者の使命は異なるので、当然その業務プロセスは異なる。科学的方法については義務教育から高等教育までの間に十二分に学べる。しかし、技術的方法については企業の現場以外では学ぶ機会が無い。

 

例えば商品に必要な帯電防止技術を考えてみる。特定の帯電現象について科学的に解明しても市場で帯電故障を起こさない品質の商品を設計できないことは経験者ならば理解している。

 

市場における帯電故障が複雑な帯電現象の各要素と複合的な作用で起きている場合が多いからだ。また、帯電という現象そのものも材料が異なればメカニズムは複雑である。

 

しかし帯電現象について科学的方法でそれを解明する作業は面白く楽しい。仮にそれが解明できたとしても、そこで得られた真理で商品を設計できるかどうかは、真理が市場における現象の100%をカバーしているかどうかにかかっており、これは運である。

 

帯電の科学について詳しい人であれば、自分の見いだした真理がとても100%カバーしているとは怖くていえないはずである。得られた真理が市場における数%の現象を説明したに過ぎない場合だってある。換言すると帯電防止技術を科学的に行えという指示は、技術開発を運に頼って行え、と言っているようなものだ。

 

一方技術では、商品に必要な帯電防止機能をまずシステムとして設計し、それが市場で発生する様々なノイズに対しどれだけロバストがあるのか検証するといったプロセスとなる。

 

これは田口先生の教科書にも書いてあることだ。この時、基本機能を考えるのは技術者の責任であり、その責任遂行のためには科学的知識以外に経験(K)と勘(K)(注)が重要となってくる。

 

今技術の伝承の重要性が言われているのは、このKKを伝える方法が難しいからである。市場で発生した問題をどのように解決したのかは重要な教材である。面白いのは中国人はこのあたりを良く理解しているが、日本では未だに現場的思考を軽視する人がいるのは残念である。

 

当方は今でも日本で学会活動を行いながら、現場の指導を中国で行っているが、KKを素直に受け入れる中国人の合理的考え方には脅威を感じている。

 

(注)ヤマカンではダメである。心眼で見えて仮説のようなイメージのことだ。カンにもいろいろある。

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