中日の山本投手が、史上最年長勝利投手の記録を塗り替えた。投げ終わったときに舌が出ている独特のポーズで、派手さは無く地道に中日一筋で活躍している選手である。40歳前後で引退するのが常識のプロ野球界で珍しい選手である。少し前に工藤選手が最年長投手としていたが、その工藤選手の記録も来年抜くことになる。
中日落合GMからはいつまでもやっていてよい、と言われたという。うらやましい。転職の時ゴム会社からは慰留されたが、写真会社からは大震災の日が最終日の早期退職である。こつこつと地道に一本の道を歩ける人生が如何に難しいことか分かっているだけに山本投手の今後に関心がある。
60も過ぎているので人生とは、と感想を述べても許されるだろう。人生とは自分の好きな道を死ぬまで続けられたら最高だろう。趣味の道でも仕事でも遊びでも何でも良いと思う。大抵は続けられない。スポーツであれば肉体が、遊びや趣味であれば資金が制約となり、どこかで辞めなければいけない時が来る。
プロ野球であれば40歳前後という年齢が平均的な引退年齢だろう。ゆえに49歳と25日という年齢が光ってくる。たった9年弱という見方をする人もいるかもしれないが、50歳という年齢を経験しておれば、40歳を過ぎてからの肉体の衰える速度を理解しているのでもの凄い記録に見えてくる。
このように年を重ねた人間でなければその驚異的な偉大さが分からない記録は若い人に感動を与えないかもしれないが、少なくとも40過ぎの人たちにはこの49歳と25日という記録はもの凄い記録に見えると思う。90歳まで技術開発を続けたら彼に並ぶことができるだろうか?30年後の未来を目標にwww.miragiken.com を運営していますのでご覧ください。
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自動車のエンジンマウント用防振ゴムには省エネタイヤと同じように二律背反の要求があり、その解決策の事例として樹脂補強ゴムの開発や、電気粘性流体との併用技術の開発体験があることを昨日書いた。
電気粘性流体との併用技術では、電気粘性流体へ抽出されるゴムの配合物による增粘が問題になった。この問題では、界面活性剤による解決方法が1年間検討されたが、結局解決できず、解決できない理由を説明した報告書があった。
この報告書については見せてもらえなかった。ゴムと電気粘性流体を併用したデバイスで生じる增粘問題を解決するために助っ人としてかり出されたときには、科学的には正しくても商品として成立しない技術の検討をやらされていた。
世の中には科学的に正しくても商品として成立しない技術を平気で企画し推進する科学者がいる。このような人に技術開発を担当させると研究成果は出ても新商品は完成しない。研究成果が出るだけでも良い、と考える経営者もいるからびっくりする。このような人は、実は、否定証明も得意で否定証明までも研究成果と考えている。
33年間のサラリーマン生活で出会った企業の研究者の何人かはそうであった。商品開発ができない人は、否定証明も好きだ、という事に気がついたのは、技術者生活11年目に担当した電気粘性流体のテーマを担当した、このときだ。プロジェクトにはこのような技術者が3人いた。
助っ人を含めた技術者10数名のプロジェクトで3人もこのような人がいると商品はできない。若いプロジェクトリーダーを支えていた担当部長は頭を抱えていた。ゆえにヤミ研実施の相談をしたときにはすぐに賛成してくれた。一度は否定されていた界面活性剤の検討をすぐに行い、1週間で成果を出すことができた。短期間で成果を出すことができたのは、コンビナトリアルケミストリーの手法を使ったからである。
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自動車エンジンの防振ゴム、エンジンマウントも省エネタイヤ同様に二律背反を解決する技術が要求される分野である。すなわち、アイドリング時と高速走行時には防振しなければならない振動の周波数が異なり、前者は15Hz付近の運動モードを、後者は75Hz付近のモードを防止しなければならない。
また防振ゴムは硬くなければいけないが、硬いと材料の損失係数は低下する。これも二律背反である。ゴム会社で初めて担当した新入社員のテーマでは樹脂補強ゴム(TPV)でこの問題を解決しようとした。そして実用化に成功した。
同じテーマをその10年後電気粘性流体の開発で担当した。こちらは電気デバイスとして動作させて防振するのである。これはチームの一員として材料の耐久性を改善する仕事として取り組んだ。
電気粘性流体は電場をかけると固体になる流体で、電気で流体のレオロジーを制御できるデバイスであり当時ゴム会社として重要テーマだった。この流体を防振ゴムに封入すると、ゴムの配合物が流体中に染みだしてきて流体を著しく增粘させる。その結果、電源オフ状態でも固体のようになる現象が耐久試験で起きた。
そのプロジェクトでは界面活性剤で問題解決しようと1年ほど努力したらしいが、界面活性剤では問題解決できない、という結論が出された。そこで、ゴムから抽出される成分を解析して、それらの成分をゴムに添加しないでデバイス設計を行う方向で活動していたが、それではゴムが十分な物性を維持できない、ということになり、すなわち電気粘性流体の物性とゴムの物性の両立ができない二律背反の問題ということになり、大騒ぎになった。
問題解決のアイデアにつきたときに行う手段は人海戦術である。三人寄れば文殊の知恵ではないが、とにかく人を集めれば何とかなる、ということで研究所で重要テーマを行っていない人間が物色された。ゴム会社で、しかもファイアーストーンを買収しその立て直しをやっている最中に半導体用高純度SiCの開発を担当していたのですぐにお声がかかった。
プロジェクトには助っ人として参加させられ、最初は文献や特許すら読ませてもらえなかった。とにかくこの仕事をいついつまでにやれ、という命令だけである。しかし素人目にもそれで問題解決できると思えない仕事ばかりである。完全にプロジェクトリーダーは浮き足立っていた。
界面活性剤を問題解決手段として提案したら、過去に界面活性剤を検討してダメだった、という話を聞かされ、余分なことは考えるなとリーダーから言われた。ひょっこりひょうたん島の博士のような人物と思っていたのでびっくりし、相当深刻な状態であることが十二分に伝わった。
界面活性剤では提案しても採用されないので、「電気粘性流体の耐久性をあげる第三成分検討」という新テーマを提案した。第三成分などと持って回った言い方をしているが、界面活性剤のことである。ただ、界面活性剤では過去に失敗しており、テーマとして採用されないことが分かっていたから、第三成分と言い換えたのである。
発泡体を過去に開発した経験があったので、界面活性剤の技術について体得していた。したがって、たった一週間で問題解決できた。ゴムからの抽出物で電気粘性流体の增粘を防止できる界面活性剤を見つけたのである。これが後ほど会社を辞める原因になったのだが、担当したテーマの二律背反よりも人間関係の二律背反の問題が難しかった。ただ当時に比べればサラリーマン経験も積み、人間関係の問題については二律背反に持ち込まないで解決する知恵もついたが。
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省エネタイヤではシリカをフィラーとして添加している。シリカの表面にはシラノールが出ているので親水性が高く、WET SKIDは良好となる。しかし、この親水基のためにゴムへの分散が難しくなり、それを容易にするためにカップリング剤を使用する技術が20年以上前に開発された。
最近の技術では末端を変性したSBRを用いることでカップリング剤と同様の機能を発揮でき、シリカの分散性があがる。このゴムの末端変性技術が最近省エネタイヤの主流になった。またその研究発表も行われ、先行していた技術を追いかけるように科学の成果も発表されつつある。
フィラーがゴムにうまく分散せず、凝集状態となったために生じる現象として、ペイン効果がある。これは、ゴムに歪みをかけたときに歪み量が大きいと弾性率が下がる現象である。一般にフィラーの凝集体が大歪みにより崩れるから、と説明されている。
末端を変性したSBRを添加した処方にシリカを用いるとシリカの分散が進むのでペイン効果は見られなくなる。電子顕微鏡観察により、実際にシリカフィラーの分散が向上している様子も発表されている。
ところでこれらの現象はどのくらいのサイズの構造で起きているのか、中性子散乱で計測された結果を読むと、シリカの一次粒子サイズが13.6nmでクラスターサイズが65.4nmとある。そして末端変性SBRがフィラーに吸着している厚みは5.3nmだそうだ。
これらシリカフィラーの凝集構造の情報はこの20年間の研究成果であり、粗視化MD法でシミュレーションも行われている。このシミュレーションでは、シリカフィラーによりゴムが拘束されてTgが上昇する様子まで計算に成功している。
ゴム会社に入社したときには、二律背反の技術開発事例としてカンと経験の世界のような発表を聞いたが、これが科学として裏付けされつつあるのだ。転がり抵抗の低減で省エネを実現するという大変成果が分かりやすい事例である。30年間の長期テーマで現在も科学的研究が行われており、技術が科学を先導した一例だろう。
20世紀は科学の時代とも言われたが、科学誕生以前にも技術が存在したように、科学に依存しない技術の進歩が現在でもある。科学が著しく進歩した21世紀になっても人類の本能的営みとしての技術の進歩は続くと思われるが、便利な科学情報に頼りすぎた技術開発の手法ではそれが難しくなってきた。
人間の自らの発想力を促す目標仮説の重要性に気づき、ヒューマンプロセスによる問題解決が必要になってきた。www.miragiken.com ではその一例を探偵物語を例に説明しています。
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省燃費用タイヤに使われるSBRは40万t/年になるという。主にトレッド用のゴムの配合に使用されるのだが、この数値だけ見ても省燃費タイヤの普及のすさまじさを知ることができる。ちなみに乗用車用タイヤ1本の重量は概略7kg程度である。すなわちゴムは少なくとも3kg以上は使われているはずなので、配合量を考慮すると数十万台以上の車が省燃費タイヤということになる。
さて省エネタイヤは転がり抵抗を低減したタイヤであることは書いたが、これは運動時のゴムのエネルギーロスを少なくすること、すなわちヒステリシスロスあるいは損失係数と呼ばれるtanδを小さくできる材料にすることである。
タイヤは路面への食いつきを大きくするとGRIP力が向上するが、この特性とは相反する材料設計が求められる。要するに二律背反の材料設計を求められるわけだが、この解決には、トレドに使われるゴムの運動モードの解析が行われ解決の糸口が見つかった。
すなわちタイヤのGRIP力で重要なのは運動の高周波領域における損失係数の向上であり、転がり抵抗の低減では、低周波数領域における損失係数を低減すれば良いことがわかった。ゴムの運動モードと品質特性の関係は省エネタイヤに限らず、防振ゴムやその他ゴム製品で良く出てくるテーマである。古くからゴム会社ではノウハウとして使われてきた。
科学的に分かってしまえば簡単だが、40年前は温度時間換算則を使った仮説レベルの内容であった。それは昔は1000Hz以上の高周波数領域のゴム物性など直接測定することができなかったからだ。しかし、ゴム会社の友人に聞いた情報では、10年前実際に装置を開発し高周波数領域の物性を測定し、温度時間換算則の正しさが確認されたのだという。
科学では物理学で構築された理論から導かれた現象を説明できる方法が得られると実際にそれを検証したデータが示されて初めて科学的真実となる。ゴムについては、長い間温度時間換算則という仮説段階の理論を使い、高周波数領域の動的物性を推定していた。
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10年程前からシリカの分散を促進するSBRの特許が多くなっている。原因はこれであった。すなわち、40年前はカップリング剤を用いるのがシリカ分散技術のキーテクノロジーであったのが、現在の省エネ技術ではポリマーの改良でシリカの分散状態を制御するのがトレンドである。
すなわちシリカの分散制御という目的は40年前と変わらないが、その手段が新しくなり、ポリマーメーカーがこぞってその技術開発を行っているのだ。ポリマーメーカーによるシリカフィラーの補強構造に関する技術発表も多い。
この10年日本化学会年会には出席していたが高分子学会の年会には出ていなかった。高分子自由討論会にでていれば十分な情報が入っていると思っていた。
今年の高分子自由討論会でもシリカフィラーの分散を促す変性SBRの技術発表があったが、たかが40年前の技術、と軽く見ていた。しかし、特許を整理してみたところ、目的は40年以上前と変わらないがその達成手段が、カップリング剤から変性ポリマーへ変化していたのだ。
技術というものはピンポイントで見ると新しさを感じないことがあるので注意が必要だ。高分子自由討論会における変性ポリマーの発表ではシリカの分散を促進する効果のみ強調していたので、40年前の技術を知っていた当方には新鮮みが感じられなかった。
しかし、技術のトレンドとしてその新しさを説明してくれていたらもう少し質問したいことがあったのに、と後悔した。下手に生半可な知識があると情報に対する感度が落ちるので注意が必要である。
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新入社員研修で「二律背反」という言葉をよく聞いた。「技術開発は、二律背反を克服することである」とまで言っていた役員もいた。ちょうど二度のオイルショックでタイヤの省エネ技術がテーマになっていた頃だ。
タイヤのゴムのフィラーにはカーボンブラックが使われている。このカーボンブラックだけでは転がり抵抗とWET SKID のバランスをとることができないのだ。WET SKIDを犠牲にせず転がり抵抗を低減できる技術としてシリカフィラーが注目されていた。
しかし、シリカの表面は水酸基が存在するのでカーボンブラックのようにポリマーとの親和性が悪くゴムと混練すると凝集して分散する。この問題を解決するために使われたのがシランカップリング剤である。
シランカップリング剤でシリカ表面を化学修飾し、ゴムとの親和性を増すとともに、その結果分散性があがる。シランカップリング剤は当初分散性を上げるために使われたが、すぐにゴム分子との反応を考慮した試薬が開発された。
ゴム分子との反応を考慮されたシランカップリング剤では、その分子構造に加硫可能な構造があり、その構造でゴム分子と反応し、シリカ表面で反応することでフィラーとしての機能を発揮する。カーボンブラックではこのような面倒な手続きを踏まなくても、表面がゴム分子との反応性に富んでいるのでそのまま使用できる。
このようにシランカップリング剤は省エネ技術のために開発されたのでは無く、その前からシリカの分散性を上げる技術としてタイヤには使用されていた。1970年代ホワイトレターというタイヤの飾りが流行したことがあった。タイヤのブランド名を白いゴムで書いたタイヤだ。この時の白いゴムにはシリカフィラーが使われ、そのゴムへの分散を促進するためにシランカップリング剤が使用された。
ホワイトレターにシリカフィラーが使用されたが、タイヤのトレッドゴムにそれが使われたのは省エネ技術としてである。現在販売されている省エネタイヤも40年前の技術を使っていると思っていたが、店頭にはシリカフィラーの技術を新たに開発したかのような説明が踊っている。これはおもしろい、温故知新があるかもしれない、と思い少し特許を調べてみた。
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タイヤの残溝が少なくなったので、タイヤを交換した。12年勤務したゴム会社のタイヤである。交換前のタイヤは10年使用したにも関わらず外観はひび割れも無くきれいだった。技術の進歩を感じた。
新車への交換を考えていたのでタイヤ交換を見送るつもりであったが、万が一を考えて6ケ月後の車検前であるが交換を決意した。恐らく車は廃車にされるので、交換したタイヤはムダになるかもしれないが、タイヤメーカーに勤務した経験からリスク回避のため新しいタイヤへ交換した。
驚いたのは、省エネタイヤがブームで店頭には省エネの文字が並ぶ。新入社員時代にも同様のブームがあったがこれほどでは無かった。40年ほど前二回のオイルショック騒動で石油資源に対する関心が高まり、省エネタイヤが開発された。
自動車全体に対するタイヤの省エネ効果はわずかであっても、省エネタイヤとそうでないタイヤとの省エネルギーの差は大きく、宣伝に活用された。この省エネタイヤの技術に使われたのがシリカである。
タイヤの補強材料にはカーボンが用いられているが、この一部をシリカに置き換えることで、エネルギーロスが減少しタイヤの転がり抵抗が小さくなる。ただ、エネルギーロスが小さくなるとグリップ力が悪くなる(WET SKIDが低下)ので、転がり抵抗とWET SKIDのバランスをとる必要が出てくる。
当時タイヤ用ゴムへのシリカの配合技術は先端技術だった。カーボンフィラーでは対応出来ない転がり抵抗とWET SKIDのバランスをうまくとることのできる、コストの安い唯一のフィラーとしてシリカは注目された。
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子供の頃、夏休みでも餅米が手に入ると餅をついていたような記憶がある。夏の餅つきはともかく年末の餅つきは年中行事の一つであった。家を新築してから、餅つきに使用していた広い土間が無くなり、使っていた石臼が新しくできた庭のオブジェになったために餅つきの行事は無くなった。親類からの頂き物は、お祝いでなくとも赤飯を炊くのに使われた。
餅つきは子供の頃の楽しい思い出の一つだった。餅はネバネバ物質であるが、なぜか触れることも食べることも抵抗がなかった。生まれたときから接していたためだろう。餅つきをやってみたいと思っていたが、残念ながらいつも見ているだけで、餅をつくのは父と兄の役目だった。
餅を返すのは姉の役目で、母は蒸す係だった。当方はつき上がった餅をつまみ食いしながら成形する仕事をたまに担当していた。つまみ食いが多いので、毎年途中からお役御免になっていた。
餅つきで面白かったのは食紅を添加するときれいな桜色のお餅ができあがることだ。杵でただついているだけである。返しの操作で混ぜるプロセスもあるのだが、食紅の分散に大きく寄与しているのは、杵でついたときである。
杵でついたときに食紅は全体に広がる。その様子は見ていて不思議だった。今ならば剪断流動と伸張流動が同時に働くカオス混合のような混練プロセスだから効率が良い、と理解できるが昔は不思議だった。
この時の思い出は、退職前5年間担当した電子写真のキーパーツ開発で大いに役だった。中間転写ベルト用コンパウンドの生産ライン短期立ち上げや難燃剤を用いないUL94-V2通過の内装材開発という成果に結びついた。後者は回収PETボトルを80%利用した環境樹脂である。この回収PETボトルを用いた樹脂開発の仕事は退職後社長賞を受賞したとの知らせが元同僚から届いた。
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野依理事長は中間報告の会見で面白い表現をした。検証実験を「当たりのある宝くじではない」と言ったのだ。古くから当たりくじの無い宝くじを「狸の宝くじ」と言っている。この言葉を言わなかっただけでもSTAP細胞の存在にかける意気込みを感じる。
iPS細胞の発見では、山中博士は消去法という宝くじを引くような手法を使い、見事に当たりくじを引いた。昨日にも書いたが、STAP細胞のように科学的に存在が確認されていないどころか否定されている現象を科学的に攻めても解決の糸口を見つけることは難しい。山中博士同様にヒューマンプロセス、すなわち技術による解決を行う必要がある。
新聞を読むと、理研も最後は非科学的手法に頼るようで、小保方さんの投入を検討している。このあたりは、データの捏造と断罪しながらも、ゆれる理研の思惑が見て取れる。分子生物学会はぶれること無く検証実験などやめてしまえの大合唱で、奇妙な構図が見えてくる。
この科学の混乱は未来技術をどのように開発すべきか象徴的に示しているように思われる。20世紀まで信じられてきた、科学の発展こそ技術の進歩を約束する、という哲学が、今揺らいでいるのだ。21世紀の技術は、科学の進歩を待っていては進まない。技術をヒューマンプロセスで開発しなければいけない時代である。
20世紀にロジカルシンキングはじめ科学的な問題解決法がもてはやされた。科学の時代であったので、ビジネスの問題解決法と言えばすべて科学的な手法であった。しかし今後ビジネスの現場で重要視されなければいけないのは、目標仮説とヒューマンプロセスである。
詳細は弊社で販売している研究開発必勝法で解説しているが、一部は「www.miragiken.com」に探偵物語を事例に紹介している。未来技術の開発は、当たりがあるかどうか分からない宝くじを引かなければならない。しかし、未来は決してタヌキノタカラクジ、カラクジではなく夢のある技術が人類に発掘されるのを待っている。若人よ、がんばろう。
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