「忘れられたスター」では、刑事コロンボは真犯人の逮捕をしませんでしたが、そのほかの事件では、完全犯罪となるような難事件まですべて解決しています。
例えば「死者の身代金」では、「銃弾は下から上へ突き抜けるようにあたった、なぜ口径の小さい銃を使ったのか、銃弾が体を突き抜けると困る、など一つ一つは絵空事だけど全体を見ると絵解きができる」と、思考実験の過程を継母レスリーに説明し、「顔見知りに打たれた、と結論でき、犯人は身近にいる。あなたが犯人だ。」、と告げます。しかし、犯人に結びつく証拠はアリバイも含め、何一つありません。
この難事件では、犯人しか持っていない身代金を娘マーガレットへ渡すように仕向けたお芝居を娘に演じさせると、継母レスリーは、早く娘を追い払いたいため25000ドルを隠していた身代金から払ってしまいます。それが証拠となり犯人は逮捕されます。
「策謀の結末」では、銃を販売する闇の商人が殺され、犯人との接点もつかめない状況です。しかし、死体の脇に落ちていたウィスキーのボトルの不自然さに着目します。刑事コロンボは銃殺された時の倒れ方とボトルがテーブルから落ちる様子を実際に何度も自分で演じながら、死体の脇に置かれていたボトルの状態にメッセージが隠されていると気がつきます。そして、ダイヤモンドの指輪でつけられたウィスキーの特徴的なボトルの傷を手掛かりに詩人の活動家逮捕につながってゆくのですが、「上司の教えとして、眼力が大事だ」、という決め台詞を残しています。このあたりは、探偵ホームズと同じく観察に基づく推理の展開を武器にしている様子が伝わります。
同様の観察眼で犯人を見つけた「秒読みの殺人」では、支社長マークが、殺された時に遠近両用メガネをかけていなかった点と死体の姿勢から顔見知りの犯行と推理し、捜査を始めてすぐに殺人の動機と結び付けてアシスタントディレクターに注目します。そして巧妙なアリバイ工作に利用した現場で、犯人の思惑とは逆に証拠を見つけ出し、犯人逮捕に結びつけております。
刑事コロンボは、いずれのドラマでも犯人に近づき、犯人と対話をするのが特徴で、その中で「うちのカミさんがネー」というセリフは、ドラマの見どころでもあります。刑事コロンボが難事件を解決できたのは、いつも犯人(結論)に近づき対話していたから、と思います。結論から推論を逆向きに展開し、常に結論と対話をする姿勢は、「考える技術」として重要です。
(明日へ続く)
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アジアにおける日本の評価、特に親日的であるかどうかは極端に分かれています。先日の高分子同友会における報告会でもアンケート結果で示されていましたが、ある二か国は極端に反日的で、他は親日的です。特に旧ビルマのミャンマーは親日度が高いです。
これは先の戦争だけでなく、元寇の時代あるいはもっと古くの時代の戦争も考えなければいけないのでしょう。とにかく最も長くお付き合いしてきた国が最も反日的というのは不幸なことです。
C+1という戦略が改めて話題になっていますが、完全に生産場所をタイやインドネシア、インドに移すという案も出てきています。しかし、インフラが整っていない状況では制約があります。海外生産の悩みはともかく国内の経済活動をどうするのか、20年以上たちましても妙案が出てきません。一応就職率は改善しつつありますが、まだ100%ではありません。
今、新しい形態の農業が見直されています。また、メタンハイドレートなどの資源エネルギー分野にパラダイムの変換が必要なネタが出てきています。石油リファイナリーからバイオリファイナリーへの転換が数年前言われましたが、国内の資源見直しを進め新たな産業を興すことが急がれています。研究開発のやり方も考えなければなりません。
バブルがはじける前にステージゲート法を採用してきた企業も多いかと思います。研究開発の成功率を上げるのには成功しましたが、イノベーションの可能性は下がってきたのではないかと思います。研究開発は投資配分をうまくいやれば、ステージゲート法でなくともよいように思います。研究開発の成功率よりも研究開発投資の効率を上げることが重要と気がつきますと、ステージゲート法でなくとも研究開発管理はうまくゆきます。今イノベーションを引き起こす研究開発が大切です。
労働集約的な生産場所が人件費の安い地域へ動くのは仕方のないことです。国内では、付加価値の高い産業をどんどん興してゆく必要があります。
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刑事コロンボは、そのほかに「5時30分の目撃者」では「対偶の関係は真である」という「考える技術」を用いています。すなわち、このドラマの事件では殺人事件の犯人である精神科医コリア―が車で逃げる時に門扉へ車をぶつけ、たまたま盲導犬と歩いていた盲目のモリスと遭遇しますが、このシーンが犯人を追いつめる決め手となっています。
刑事コロンボは、「目撃者が盲目ならば、事件の目撃者になれない」という推論の対偶である「事件の目撃者になれるならば、目撃者は盲目ではない」を考え、モリスの兄デイビットを目撃者にしたて、精神科医コリア―に紹介します。精神科医コリア―は、目撃者は盲目だったはずだ、と証言し、その場で逮捕されます。
事件の唯一の目撃者が盲目だったために刑事コロンボがどのように犯人を追いつめる証拠とするのかが、このドラマでの見どころになっています。犯人を目撃者として使う逆転の発想は、対偶を用いる「考える技術」以外に、常に犯人(結論)から事件を見ようとする刑事コロンボの思考方法のなせる業だと思います。
余談ですが、「忘れられたスター」では、刑事コロンボは犯人を追いつめながら真犯人を逮捕をしていません。犯人の女優グレースが脳に手術不可能な動脈瘤ができており、余命いくばくもない記憶を失う病気になっていたからです。状況証拠では、女優グレースが犯人であることは明確なのですが、すでに犯罪の記憶が無くなっており、それに気がついたコロンボは、女優グレースを愛していた演出家ダイアモンドの提案を受け入れ、彼を誤認逮捕承知で連行します。ここで示した刑事コロンボの情は、常に犯人の位置から事件を見る刑事コロンボならではの味と思います。
(明日へ続く)
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昨日高分子同友会第一次東アジア化学企業調査団報告を拝聴いたしました。
この活動は、高分子同友会が1979年以来5年ごとに行っている化学企業の調査ですが、以前は先進国の調査が目的でした。しかし、今回は成長著しいアジア諸国が対象で、その第一回ということだそうです。
アセアン地区のベトナム、タイ、マレーシア、インドネシアが候補で今回はタイとインドネシアの状況報告です。
詳細内容は高分子同友会で訪ねていただきたいが、タイではPPT Global Chemicalという巨大コングロマリットが生産活動を行っており、その規模と技術に驚きました。基礎化学品の生産能力があれば20年後日本の企業はいらなくなるのではないか、と思われるような状況です。
インドネシアではPT.Chandra Asri Petrochemical社へ訪問したそうですが、ここは天然ゴムベースのABSを製造している会社で興味を持っていたのですが、詳細説明はありません。
終了後の懇談で事務局に問い合わせましたら、今回はバイオ関係のテーマは調査からはずし、基礎化学品に絞ったとのこと。ベトナムも含めこの地区の特徴はケナフやジャトロワ、そして古くからある天然ゴムという非可食バイオポリマーの産地であり、それを利用した産業が重要と思います。
しかし、研究開発力が未成熟の為、バイオケミストリーまで手が回らないとのこと。感心したのは、これだけ化学工場が活発に生産活動を行っていても、公害が起きていないことです。訪問団の感想として、日本よりも空気がおいしかったとのこと。おそらく日本をよく勉強したのだと感じました。次回は2年後。
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この第一の山場までの刑事コロンボの「考える技術」は、刑事という役職の制限からくる通常の証拠集めと証拠に基づく演繹的推論を前向きに展開しているだけですが、真犯人に結び付く証拠が揃わないだけでなく、肝心のアリバイ崩しもできません。すなわち、証拠やアリバイを基にした前向きの推論では犯人を特定できないのです。
そこで犯人が証拠隠滅までやった、と逆から推論し、空港の荷物検査における往路の荷物が帰路の荷物よりも2kg多い点を精神科医フレミングに問い詰めます。犯人は嘘の説明を行うので、嘘とわかっていても逮捕のための決定打になりません。
しかし、ここで精神科医フレミングが刑事コロンボの追跡をかわすために友人の検事に頼んで捜査に対して圧力をかけたのです。刑事コロンボは、精神科医フレミングに自分が捜査を外され彼に敗北したことを告げます。勝ち誇った精神科医フレミングは、夫婦の間のもめごとの解決手段が殺人しかなかったことをほのめかし、刑事コロンボの精神分析結果を語り始めます。視聴者は第一回のこのシーンで刑事コロンボのキャラクターを知ることになるのですが、刑事コロンボの反撃を期待させる場面でもあります。
その夜、刑事コロンボは、女優ハドソンに会いにゆきます。そして、殺人事件の全容を説明し、彼女に自首を勧めました。しかし彼女は承知しませんが、精神的な弱さから不安になり、精神分析医フレミングにすぐ来て欲しいと頼みます。しかし、精神分析医フレミングは冷たく拒否します。刑事という制約から攻め口には制限がありますが、犯人という結論に直接つながる共犯者を責めるアクションがあったのか、と視聴者を納得させるシーンです。ところが、刑事コロンボのすごいところは次の結末です。
刑事コロンボは女優ハドソンを責めることで、精神分析医フレミングが必ず動くことを読んでいたのです。すなわち、愛人ハドソンの精神状態を心配になった精神分析医フレミングは、翌朝彼女のマンションを訪問しますが、プールで自殺した彼女そっくりの女性が救急車で運ばれるシーンを見ることになります。驚く彼に刑事コロンボが質問を浴びせかけます。その質問は捜査に関するものではなく、人間の愛情に関する質問です。視聴者の予想を超えたアクションが取られたことで、このシーンが第二の山場として盛り上がります。そこでフレミングはハドソンを愛していなかったことを話してしまいます。その一部始終を隠れて聞いていたハドソンが現れ自分が共犯者として自首することを告げ、物語は終わります。
このように、刑事コロンボでは犯人逮捕(結論)に至る彼のアクションを推理する、あるいは彼と犯人(結論)とのやり取りがドラマの面白さになっています。一般の探偵小説では、犯人(結論)を捜す、すなわち結論へ向かう前向きの推論を展開するのに対し、この物語では、彼自身も勘で犯人を見出しているので、視聴者とともに結論から事件の原因へ遡るような逆向きの推論を展開することになります。
(明日へ続く)
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日産自動車からスーパーチャージャー付自動車が販売され好調という。常時ターボを効かせるターボチャージャーよりも燃費が良い。HV一人勝ちの自動車業界で、燃費を改善する様々な技術が出てきている。マツダからはヨーロッパと同様のディーゼルエンジンを環境対応とする技術の提案があった。従来のディーゼルエンジンと異なり、排気ガスの浄化レベルとエンジンの振動レベルが著しく改善されているという。
燃費改善手段として、このディーゼルエンジンを選択するというアイデアは、バイオディーゼルの技術の進展と結びつけると、面白い展開になる。デンソーは藻からバイオディーゼルを取り出す技術開発を進めているが、これが事業化されるとHVよりも環境対応力が向上する。バイオディーゼルについては、ジャトロワなどの開発が進みすでに実用化され、問題も出てきた。バイオディーゼルもあと20年すれば、技術が収斂すると思われるが、単純に植物から油を搾ればよい、という問題ではなさそうである。なんでもそうだが、量産してみて初めて分かってくる問題もある。
自動車の動力について電気自動車が環境対策として本命になっているが、バイオディーゼルが普及すれば、状況が変わってくるように思われる。コードレスで充電する技術も開発されつつあるが、電気自動車の泣き所は、燃料電池以外では、エネルギーの補給に時間がかかることである。急速充電技術にも限界がある。長距離の移動体はバイオディーゼルエンジンが本命のように思われる。
あるいは小型のバイオディーゼルガスタービンエンジンを発電機として使用する電気自動車というアイデアもあるが、いずれにせよ、植物から油を経済性よく取り出す技術は、今後発展すると思います。日本は四方が海に囲まれていますから海洋植物で経済性良く油を産出する植物が見つかればメタンハイドレート並みのブームになるかもしれません。
海洋植物から油を取り出す技術は、藻から油を取り出す技術よりも長所がいくつかありますが、風力発電システムとの組み合わせプラントが、化石燃料も使わない究極のエコ技術です。
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「殺人処方箋」という第一回のドラマを題材に刑事コロンボの「考える技術」を見てゆきます。まず、倒叙探偵小説の定型で最初に殺人事件のミニドラマから始まります。第一回ということで、犯人に刑事コロンボのキャラクター解説をさせるためでしょうか、犯人は精神分析医フレミングです。彼には神経症で野心家の若い女優ハドソンという愛人がいて、夫婦仲は破綻し離婚訴訟を妻は準備していました。
精神分析医フレミングは、訴訟を起こされる前に妻を殺す目的で夫婦和解旅行計画を立て、アリバイ工作のため女優ハドソンに妻の身代わりになる段取りを説明して協力させます。女優ハドソンは精神的に弱く精神分析医フレミングの指示に従い、空港まで妻の身代わりとして精神分析医フレミングに寄り添い、飛行機に搭乗し突然夫婦喧嘩を始め怒って飛行機を降りてしまいます。精神分析医フレミングは、あらかじめ空港に行く直前に自宅で妻を後ろから絞殺していますから、飛行機が飛び立ったあと精神分析医フレミングはアリバイ工作が成功して完全犯罪を確信します。ここまでが殺人事件のドラマのあらすじですが、殺人方法から犯人並びに共犯者のキャラクターの説明に至るまで、ここまででもドラマとして成立するくらいの細かい描写です。
精神分析医フレミングが自宅に帰ってきたところで、家宅捜索中の殺人課の刑事コロンボと出くわします。この時点で、刑事コロンボは精神科医フレミングの帰宅時の挙動に幾つか疑問を持ち、刑事の勘で真犯人ではないかと疑います。すなわち、ここで用いている「考える技術」は、観察力と過去の経験に裏付けられた勘です。
刑事コロンボがこの段階でフレミングに対し真犯人という疑いを持ったことは、ドラマの後半部分で事件から担当を外されたことを彼に告げるシーンにおいて、「刑事は年に100回殺人事件を見てるんだ。しかし真犯人はたった1回の経験だから必ずどこかにミスがあるはずだ」と、語りフレミングを初めから疑っていたことを告げています。
このドラマの最初のシーンでは、フレミング夫人がまだ生きている設定ですが、その後フレミング夫人は意識が回復することなく病院で亡くなり、大切な証人が死んでしまいます。そして、ここから精神科医フレミングと刑事コロンボの戦いが始まります。
刑事コロンボは執拗に精神科医フレミングを追い込みますが、アリバイを崩せないどころか証拠も見つかりません。視聴者も刑事コロンボも真犯人が分かっている状態ですが、証拠がないために真犯人を逮捕できないじれったさで盛り上がり、物語の第一の山場を迎えます。
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EFM(The extensional flow mixer)は、ウトラッキーが開発した伸長流動装置です。単軸あるいは二軸押出機もしくは混練機の先にとりつけて使用します。EFMの中で樹脂は細いスリットの効果で伸長流動状態になり、ナノオーダーまでの混練が進むことになります。
ただし、多くのスリットを通過するために樹脂圧が高くなり、通常の100kg/h以上の生産機の仕様に合わせますと、馬鹿でかい装置になります。しかし伸長流動の効果を得たい場合には現在のところこの装置が最も良いのかもしれません。
かつて剪断流動ではミクロンオーダーまでが限界だが混練効率が高く、伸長流動では、ナノオーダーまでの混練が可能だが、混練効率が悪い、と習いました。しかし、産業総合研究所の研究結果では、剪断流動でもナノオーダーまで混練が進むことが分かりました。しかし、分子量低下も同時に起きています。産業総合研究所の装置については特許も出ていますが、モーターの設計が難しくなりそうです。
ウトラッキーはポリマーアロイの分野で有名な研究者で、EFMを考案したのは伸長流動でナノオーダーの高次構造のブレンドを達成したかったからでしょう。EFMは実験室レベルならばそこそこ使えるそうです。
EFMよりも良い装置ができないものか、と考えたのが疑似カオス混合装置です。ご興味のある方はお問い合わせください。
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刑事コロンボのドラマの展開は典型的な倒叙探偵小説と同様で、最初の場面で犯人と犯人周辺の生活が丁寧に描かれ、犯人と被害者の人間関係及び犯行の動機などすべてが視聴者に提示されます。そして殺人事件が起きますが、殺害方法や現場の状況など一般の探偵小説では推理して明らかにする答に相当する部分まで、視聴者はすべて見ることになります。ここまでが短いドラマになっていますので、その後の展開における視聴者の興味は、もはや犯人にはなく、どのように刑事コロンボが捜査を進め犯人に迫り、逮捕に至るのかという点に集中することになります。
視聴者は刑事コロンボの事件捜査におけるアクションに注目していますが、すでに事件の結末を知っていますので、あたかも結末の位置から結末につながる刑事コロンボのアクションを推理するような視点になります。一般の探偵小説ならば、物語の進展に伴い探偵もしくはワトソンのような語り手から結末へ向かう方向に視点は動いてゆきますが、刑事コロンボにおける視点の動きは全く逆になります。これが一般の探偵小説と異なる面白さを生み出す秘密になっています。
面白さの秘密と関係している推論の向きとその性質について少し説明します。一般に行われる仮説から結論あるいは原因から結果へ向かう推論を前向きの推論と言い、これに対し結論や結果から推論を展開する場合には逆向きの推論(後ろ向きの推論と呼ぶ場合もある)と言います。この推論の向きの違いは、問題を考える時の見通しのよさと関係するので重要です。
すなわち逆向きの推論を行う場合には、結論へつながる推論の道筋を結論から考えていますので結論に至る道筋が明確です。しかし、前向きの推論を展開する場合には、推論の展開を始めた段階では結論につながるかどうかわからないので見通しが悪く複数の道筋を考えることになり、解決策については、その中から最良の推論を選ぶことになります。
この前の節で引用しましたが、探偵ホームズが「ブナ屋敷」で最初に七つの仮説を推論し、その後依頼人の情報を基に一つに絞り込むような手順が前向きの推論による解決策の選び方です。この時、思考実験を用いて推論を検討する方法が、非科学的ではありますがアイデアが出る「考える技術」として知られています。すなわち思考実験を通常行う時には前向きの推論を使い頭の中で結論に向けて推論を展開してゆきます。
この推論の向きと物語の面白さとの関係は、主人公の役職にまで影響を与えます。
すなわち、一般の探偵小説で謎を解く主人公は、探偵や民間人の場合がほとんどです。そして探偵という職業は警察組織に属さないので社会的拘束から解き放たれています。それが事件解決のための幅広い情報収集を可能にしていますが、多くの情報が提示された結果、読者に謎解きの視点の幅を広げて考えなければならない事柄を増加させるので、推理を難しくする効果を出すことができます。
一方、コロンボは探偵ではなく刑事なので、捜査する時には常に社会的規範や捜査組織の制約を受けることになります。それが犯人逮捕という結末に直接つながるアクションの推理に難しさを加えます。すなわち、コロンボが探偵ならば自由に取ることができるアクションを複数考えることができますが、警察組織に属する人間としての制約を受けることにより尋常なアイデアでは結末にたどり着けない状況も生まれ、知的ゲームとしての娯楽性を高めています。すなわち、「犯人は誰か」という結論を求めるような探偵小説の面白さの手法を使えませんので、探偵小説とは異なる技巧を凝らさない限り、推理小説としての興味は半減します。その技巧も何でもありではなく、法律という制約を設けることにより、考える領域に制限が加わり推理の難しさが増加します。ゆえにコロンボは探偵ではなく刑事でなければなりません。
第一回の「殺人処方箋」では、犯人の愛人によく似た女性の自殺シーンを見せ、犯人に愛人が自殺したような錯覚をさせています。おとり捜査に似たようなところもありますが、この刑事でなければできないトリックにひっかかり、錯覚した犯人は墓穴を掘ります。
「指輪の傷跡」では、刑事の立場を利用して、死者のコンタクトレンズが証拠品という嘘の情報を犯人に流します。それを聞いた犯人は、慌てて車の修理工場へ忍び込み、自分の車のトランクの中を探していて、その場で不法侵入の罪で逮捕されます。そしてその場の行動が殺人事件の犯人という唯一の証拠だ、と迫り、犯人の自白を引き出します。犯人の車が都合よく修理工場へ運ばれた理由も含め皆合理的な説明シーンが展開され、それらは刑事コロンボが刑事という立場を利用して合法的に仕組んだものでした。
「指輪の傷跡」も含め、犯人に重要な証拠情報を流し、犯人の証拠隠滅を図る行動を利用して犯人逮捕に結びつけるパターンを刑事コロンボはよく使います。これは、「そんな大事な情報を流して大丈夫か」と視聴者に思わせる効果もあり、刑事という役職を活用した情報操作までがドラマの面白さを盛り上げています。刑事コロンボでは、結論である犯人とルールに則り接触することができる刑事という役職も面白さの大切な要素となっています。
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ハードディスクはコンピュータの部品の中で脆弱な部品の一つです。WINDOWSで使用していて突然ブルーの画面になり、わけの分からないメッセージが出たなら、ハードディスクのクラッシュが起きた可能性があります。
NT以降のWINDOWSでは、ハードディスクへ頻繁にWINDOWSがアクセスしています。何をしているのか知りませんが、95や98とは異なる動きをしていることは確かです。95や98ではハードディスクのエラーが起きると起動しなくなります。あるいは起動中にフリーズするだけでした。しかし、NTの系譜は親切にメッセージを出してくれます。
最初にメッセージが出た時に対応しますとほぼ完全に復旧できますが、そこをさぼりますとにっちもさっちもいかなくなります。おまけにデータファイルも失うことになります。30年マイクロソフトのソフトウェアーとお付き合いしてきますと、できの悪いOSでもあきらめがつきます。カンと度胸でOSの至らないところを補ってゆきます。
昨日5年間使用してきたPCが突然ブルー画面になり、「はじめてこの画面がーーー」というメッセージがでました。さっそくハードディスクのクラスタースキャンをかけ、ファイル修復など行い、無事復旧しました。すぐに新しいハードディスクと交換して安定に動くようになりました。
ブルーの画面になる前に、OS自らハードディスクのスキャンをかけて、修復もしくはハードディスクの寿命を知らせてくれるとありがたいです。CPUが4つもついているのでそのくらい仕事してもパフォーマンスの低下は小さいと思います。
今回円安になりましたのでHDの値段を心配していたのですが、1Tで5000円弱と信じられない値段でびっくりしました。今まで500G2台をストライピング(RAID0)で使用していたのですが、500Gの半値(5年前基準)で1Tを買うことができました。おまけにアクセスが早い。ストライピングで使用していた時と大きな差はありません。
カテゴリー : 電気/電子材料
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