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2013.04/23 困ったブリードアウト

コンピューターのハードディスクから異音が出た。3年以上使用してきたので寿命かもしれないと思い交換した。そのときハードディスクとロジックボードをつなぐコードがベトベトしているのに気がついた。ブリードアウトである。

 

コードを最初に交換したが、この効果は無くハードディスクの単なる寿命だったが、3年程度でベトベトするコードでは信頼性に疑問が残る。おそらくコストダウンのため不適切な難燃剤を使用しているのであろう。

 

ライターでコードに着火してもコードは炭化してすぐに火は消える。難燃剤がブルームしてきたと想像しているが、3年程度でこのようになるのは充分な加速試験を行っていなかったのだろう。ブリードアウトの加速試験は環境試験器を使用して行われるが、その試験法が問題である。加速試験を処方に合わせて変更しているであろうか。ブリードアウトは物質の拡散現象なのでその速度は処方に依存する。加速試験の結果を利用して処方改良の情報にできるのだが、問題となるのは、加速試験条件である。

 

可塑剤は一般に低分子で純度の高い物質が多い。すなわち結晶化しやすい。しかし不純物を含むと結晶化しにくくなるだけでなく、融点も下がる。ベトベト感はこのような可塑剤の性質とも関係する。樹脂やエラストマーには数種類の添加剤が含まれているはずで、室温で長時間放置したときと高温度で放置したときに表面へ拡散してくる成分の組成は変化するはずである。

 

これが加速試験で観察される現象と実際に生じる現象との誤差が生まれる原因である。これは加速試験を行い表面にブリードしてくる成分を分析するとわかる。加硫ゴム材料では可塑剤以外に加硫促進剤や老防など多種類の添加剤を添加する。加速試験を行うと試験条件によりブリードしてくる成分が変化することは常識となっている。ゆえにどのような加速試験条件を設定するのか大きな問題となっていた。加速試験条件は重要な製品開発のノウハウである。

カテゴリー : 高分子

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