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2013.03/17 難燃剤の劣化

難燃性を要求される樹脂やゴム部品には難燃剤が添加されている。この難燃剤が劣化する問題についてあまり注目されていない。成形された樹脂の劣化試験で難燃性もチェックし、難燃性の性能が維持されていればそれで問題無しとされる。

 

しかし、リン酸エステル系難燃剤の多くは加水分解が進行しても難燃性が維持される。それは難燃化機構においてリン酸の構造で働くからである。また、ハロゲン系の難燃剤であればハロゲン原子が樹脂内に残存しておれば劣化試験において難燃性能は落ちない。

 

難燃剤の劣化で問題となるのは、難燃性能では無く、加水分解物で引き起こされる副作用である。劣化試験の中にこの副作用を確認する試験を入れておれば問題は生じないように見えるが、それが意外な落とし穴となることがある。すなわち実験室で行われる環境試験はあくまでもモデル試験であり、市場の環境すべてを表現できていると保証されていない。

 

樹脂の絶縁性が要求される分野では、促進劣化試験だけでは危険で、是非成分分析も実施したい。すなわち促進試験で導電性物質が増加していないかどうかのチェックである。加水分解物が樹脂内で拡散する場合を考慮すると、促進試験を行ったサンプルの抵抗測定だけでは不十分で、導電性物質の増加も調べておく必要がある。それはパーコレーション転移の問題が潜んでいるからである。

カテゴリー : 高分子

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2013.03/17 電気粘性流体を用いた画像形成装置

電気粘性効果(ER効果)をインクに使用して画像形成可能な実用装置ができそうなことを昨日書きました。ER効果は1mmあたり1kV以上の電圧が必要ですが、小さなドットを駆動するのであれば低電圧で可能である。しかし、インクには絶縁オイルを用いる必要があり、これが環境問題を考慮するとネックになる。

 

すなわち環境問題をクリアするためには、絶縁オイルが不揮発性でなければならない。揮発性であるならばインクを完全に回収できるシステムが必要になる。このシステムをどのように設計するかが技術者の腕にかかってくる。火災の問題も解消できるシステムになるとその装置の構造は限定されてくる。このあたりの特許出願はまだされていないのでこの活動報告を読まれた方は幸運である。

 

実は絶縁オイルが揮発性であろうと不揮発性であろうとオイル除去装置が必要になる。オイルを除去する前提になると揮発性絶縁オイルのほうがシステム設計を行いやすい。また、インクの定着機構も単純にできる。すなわちコーティング技術のノウハウをそのまま利用できる。不揮発性オイルであれば中間転写方式となる。すなわち一度絶縁オイルを含んだまま中間媒体に画像形成し、その中間媒体で絶縁オイルを吸収し粒子だけの画像とする。その後紙にこの画像を転写する方式となる。

 

完全密閉システムが可能ならば、揮発性オイルを用いても商用印刷以外に商品展開できる。医用の熱現像システムでは、現像時に感光層から若干の揮発物が出てくる。当初は脱臭剤でごまかす技術で対応していたが、脱臭装置の工夫でシステム外に揮発物が出てこないことが確認された。プリンターの完全密閉システムは意外と簡単なのに驚いた。特許出願される方を考慮して詳細を省略したが、アイデアをご希望の方はご連絡ください。電気粘性流体をインクに用いた場合には、現在のIJのようなノズルずまりの問題を解消できるIJプリンターを設計可能である。おそらく30年近く前にエプソンが電気粘性流体の不完全なアイデア特許を多数出願した背景と思います。

カテゴリー : 電気/電子材料

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2013.03/16 電気粘性流体を活用した画像形成

室温で低粘度の液体であるが、高電圧をかけると固体になる物質を電気粘性流体(ERF)といい、その変化をER効果と呼ぶ。ER効果は1mmあたり1kVの電圧をかけると顕著に表れる。ERFとそれに印加される電圧の間には相関がある。電圧上昇につれ粘度上昇が起きるため、高粘度化したときに固体のような弾性率を示す。

 

ERFは、1980年代に活発に研究され絶縁油と特殊な微粒子との組み合わせで実用になることがわかった。実際に某社の試作車のアクティブサスや防振ゴムとして応用研究が実施されたが、デバイスが単純な構造であるにもかかわらず性能は機械式のデバイスよりも高かった。しかし、コストの問題をクリアできず実用化が見送られた。

 

ER効果を画像形成に利用しようというアイデアは、エプソンから当時多数特許出願されている。単なるアイデア特許であり、中には研究者から見ればインチキな特許も存在した。出願から20年以上たっているので、インチキ特許でも怖くは無い。ER効果を画像形成に利用するアイデアは、ER効果を発生させるに必要な電圧を考えると実用性が無いようにみえる。

 

しかし、画像形成を行うドットの大きさが1/1000mmから1/100mmであることに気がつけば、数VでER効果を出すことが可能で、面白いデバイスができるはずだ。しかし、エプソンからER効果を利用したプリンターは発売されていない。恐らくコストがあわないのであろう。インクジェットのインクよりもコストが高くなる可能性がある。

 

ERFのインクを使用したプリンターの長所は、インクジェットで問題となるノズルづまりを皆無にできる可能性がある点。またインクジェットのようにメディアの受像層の設計で画質が大きく左右される問題も克服できる可能性もある。商用印刷には有効かもしれない。

カテゴリー : 電気/電子材料

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2013.03/16 高分子の相溶

消しゴムを長期間、樹脂製のトレイの上に放置していたら、くっついていた、という体験は無いか?トレイがポリスチレン(PS)で、消しゴムがポリスチレンとポリブタジエンの共重合したゴム(SBR)の場合にはこのような現象が生じる。

 

これはSBRとPSが混ざりやすいためだ。SBRに含まれるポリスチレンの構造とトレイのポリスチレンとは同一構造なので分子間力が高まり、接触している界面で自然と分子同士が混ざり合いくっつく。1年以上放置してあった場合には、消しゴムが溶けたような状態になっている。

 

消しゴムとトレイの界面では、消しゴムに含まれるSBRの分子運動性の高い部分がトレイのPSの中に拡散して相溶という現象が生じている。すなわち相溶という現象は、高分子の構造が似たものどおし溶け合う現象である。このようにPSとSBRは、接触させても相溶という現象が生じる。

 

しかし、構造の異なるポリマーの組み合わせでは相溶は自然に生じない。水と油を混ぜた状態を想像して欲しい。二相に分離したまま放置しておいて一相になることは無い。界面も明確にできたままである。しかし、強引に撹拌すると均一になったように見える。が、すぐに油の粒が見えてきて2相に分離する。

 

水と油の場合は低分子なので室温で容易に分離するが、もし相溶しない2種類の高分子を高温度で混合し、急冷したらどうなるか。もし組み合わせた高分子のガラス転移点が50℃以上の場合であれば混合したときの状態を長期間維持している。すなわち混合したときの分散状態できまる構造のポリマーアロイを製造することが可能である。

 

例えば公知の混練方法でポリフェニレンスルフィド(PPS)と6ナイロンを混練するとその比率でコンパウンド中の分散状態が変化する。例えば一方が30%以下であれば数ミクロン以下の粒子が分散したような状態の構造であるが、一方が30%を超えた当たりから数十ミクロンから1mm程度の粒子までコンパウンドの中に観察される。

 

PPSに10%ほど6ナイロンをカオス混合すると透明な樹脂液が吐出される。そしてこれを急冷するとPPSと6ナイロンが相溶したコンパウンドが得られる。初めてPPSと6ナイロンが相溶した透明な樹脂液が吐出されるのを見たときに大変興奮した。高分子の相溶は分子構造が似ていなくともプロセスコントロールで実現できるという事例。特許は多数公開されている。

カテゴリー : 高分子

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2013.03/15 びっくりした光景

静電気で悩まされる冬も終わり、春めいてきた。静電気で思い出されるのは、フィルムの帯電防止技術を担当したときに見た光景である。

 

印刷感材でクレームが発生した、と言うことで、営業担当に連れられて印刷工場に出向いた。印刷工場の見学は初めてで仕事でなければ楽しめたのだが、クレームの原因がどこにあるのか考えなければならないので、必死でした。とにかく、アースがとられているかどうかといった、工程内の帯電防止のイロハを実践した。

 

報告を受けていたクレーム内容は帯電防止されたフィルムが稀に機械に引っかかり、工程が停止するという内容だった。現場で説明を受けている時には問題なくフィルムが流れている。と、その時である。一枚のフィルムが、搬送途中で金属のガイドにくっついた。説明によれば、機械に引っかかる現象とはこのことで、静電気でフィルムが金属のガイドにくっついている、とのこと。

 

お客様の話では、4時間に1回くらい発生する故障なので、今回早めに見ることができたのは幸運だという。しかし、である。導電性の高い金属に静電気で帯電防止されたフィルムがくっつく現象が起きることを発見してびっくりした。他社のフィルムでは発生していなかった現象と説明され、営業からは必ず解決するようにプレッシャーをかけられ、不思議な現象を楽しんでいる余裕は無かった。

 

営業からクレームの内容が帯電現象として事前に説明を受けていたので準備してきたサンプルを工程に流したところ、ある集団のフィルムが現象をうまく再現する。実際は金属に帯電したフィルムがくっつくところを見てびっくりしていたのだが、お客様の手前、はったりを噛まし、原因を理解できたので今後は改善したフィルムを納入します、と約束した。

 

原因はフィルムが特定のインピーダンスであると金属にくっつきやすくなるのだが、くっつく相手は導電体である。教科書に金属でも帯電する、と説明されているのだが感覚的に現象を理解できない。結局特定のインピーダンスの領域にならないよう帯電防止層の処方を変更してクレームを迅速に解決できたのだが、未だに発生した現象を科学的に説明できていないだけでなく、気持ちが悪い思い出として残っている。営業担当には、当時「金属でも帯電すると言われていたのは本当でしたね」と言われても、言っていた本人は未だに気持ちが悪い。

 

 

カテゴリー : 電気/電子材料

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2013.03/15 カオス混合との出会い

高分子の混練技術についてわかりやすく説明された書籍を見たことが無い。一見学術的に書かれていても、論理の緻密さに欠ける説明も多い。混練で起きる現象は設備と混練物との組み合わせで様々だから説明が難しいのは理解できる。

 

混練は剪断流動と伸張流動の二つの組み合わせで進行している、と大雑把に理解できればそれ以上の内容は実技の中で習得してゆく以外に方法はない。例えば、スクリューデザインをもとにシミュレーションを行ってもおおよその温度上昇曲線は当たるが、それ以上の情報はシミュレーション技術で得られない。このシミュレーションで得られる温度上昇曲線については、数回実際に混練を経験すれば予想できるようになる。混練技術については未だに経験が学術成果に勝る分野である。

 

30数年前にカオス混合という神秘的な混練の概念を教えて頂いた。パイ生地や餅つきで起きる混練の現象である。ロール混練でも起きているらしい、と教えられた。教科書にはロール混練で起きる現象は伸張流動と剪断流動としか書かれていない。また、カオス混合の概念も書かれていない。最近では偏心ロールをモデルに発生した流れを解析したカオス混合のシミュレーションによる説明が出てきたが、餅つきやパイ生地で発生している練り、という説明のほうがわかりやすい。

 

混沌(カオス)混練だから、それを連続生産の中で行ったらものすごいことが起きるのだろう、と若い時にロール混練を行いながら考えた。高純度SiCの発明を行ってから、混練技術を担当する機会が無かったが、退職前の5年間中間転写ベルトの押出成形を担当したときに、外部の樹脂メーカーに混練技術が無く良いコンパウンドを供給して頂けなかったので、自社開発することになった。製品化期限まで半年しかないので、「ここはカオスしかない」と決断し、若い頃のアイデアを実行したところ一発で成功した。

 

有名なフローリーハギンズ理論では否定されるPPSと6ナイロンの相溶現象を起こすことに成功した。それもコンパチビライザーを添加しないで実現できたのである。分子量分布を計測してみても分子の断裂は起きていない。混練だけで分子レベルの混合が進行したのである。高分子学会賞に推薦され報告しましたが残念ながら受賞できませんでした。しかし、PPSと6ナイロンが相溶し透明な樹脂液が連続して吐出された状態を見たときの感動は最高でした。学術では否定されても技術では実現されている世界が存在するのが高分子物理の現状である。

カテゴリー : 高分子

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2013.03/14 昨晩(19時30分から20時)のNHKの放送(大人の発達障害)

昨晩のNHKの放送で大人の発達障害を取り上げていた。10数%いるという。その人達が今職場で問題になっている、と取り上げていたが違和感を感じた。

 

これは社会全体の教育「機会」が減少してきた問題として取り上げるべきであろう。その結果として大人の発達障害と類似の大人が増えてきたのではないか。発達障害ではなく、社会教育機会の喪失で顕在化した現象のように思われる。テレビで説明されていたように、アスペルガー症候群の人物が10数%以上本当にいるのかどうか学者は真剣に取り組むべきである。10数%以上という数値に疑問がある。

 

また、放送で述べていたような、社会が持っていた教育「能力」の低下がアスペルガー症候群を生み出している、という結論に至る過程に少し不満を感じた。昨日の放送では、社会全体の教育能力の低下の原因について掘り下げず、ことさら発達障害の説明に終始していた。

 

例えば柔道界の体罰事件と内柴事件は、ニュースにおいて異なるカテゴリーの問題に扱われている。しかし、どちらも教育に関わる問題である。教育システムさえうまく機能しておれば内柴事件も体罰事件も起きなかったはずだ。野獣のような人物を指導者に任命したり、かつては問題にならなかった指導者を匿名の集団で告発したり、このような現象をどこかおかしいと考えず、事務的に問題解決の処理を進めてゆく社会が正常であろうか。

 

体罰だけを取り出せばだれでもそれが良くない手段であると分かっている。しかし指導者を育成するシステムがおかしくなっていることに気がつかないのでは根本的な解決につながらない。内柴事件でも指導者として充分教育されなかった人材を指導者に任命したからこそ発生した、猫に鰹節の番をさせたような事件である。内柴被告の発言を聞く限り、指導者としてまともな教育を受けてきたように思われないが、一応指導者教育を受けているらしい。ただし教育とはその講義を受けた内容について一朝一夕に効果が現れるものではなく、現場におけるコーチングの機会が必要である。

 

テレビでは人材育成の余裕が無くなってきたために発達障害が顕在化したという説明になっていたが、人材育成は経営の重大事で有り、各企業最低限のプログラムを用意しているはずである。それよりも、いま職場では標準化が進み、仕事のやり方がマニュアル化されていることが問題のように思われる。マニュアル化される以前は、メンターが仕事のやり方を教え、そのビジネスプロセスを指導する過程でヒューマンプロセスも伝承していたのだが、標準化が進みその指導時間を合理化すると同時にヒューマンプロセスを指導する「機会」までも無くしてしまったことに根本的な問題があるのではないか。時間を短縮することと機会そのものを無くすことでは、その影響は異なる。

 

もしそうならば、余裕が無くなったからではなく、標準化の進め方を間違えたのである。そこへワークライフバランスなどを導入したので技術の伝承も含めた人対人による教育機会が吹っ飛んだのである。余裕が無いという考察とワークライフバランスがもてはやされている現実は矛盾している。標準化が進められた企業のOJTも含めた社会教育機会の見直しが今考えなければならない問題のように思われる。

 

弊社はこのような状況で社会教育が事業になる、と考えスタートしました。コーチングと組み合わせた問題解決プログラムを販売しているのは、ヒューマンプロセスの伝承方法を学ぶ題材として適しているからです。この事業は当初BtoBで考えていましたが、個人研修でも対応いたしますので仕事をうまく進めるのが苦手の方は弊社までご相談ください。

カテゴリー : 一般

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2013.03/13 国内の射出成形会社

製造業が中国やベトナム、タイへ出て行く中、日本で頑張っている製造業もある。例えば射出成形メーカーは国内に50社前後ある。百円ショップの製品を見てもメイドインジャパンの印字がされている商品がある。説明文が日本語なので、表記は日本製で良いと思うが、多くは「made in JAPAN」と書いてある。

 

日本に製造業が皆無くなってしまうのか、とも感じたことがあったが、自動化が進んでいる製造業は、日本でも充分やっていける。日本製と書かずにあえて「made in JAPAN」と書いているようにも見える。

 

日本だけで射出成形事業を行っている会社は、30社あまりあり多くは金型技術も社内に持っている。100円ショップの製品重量を測定してみると100g以下の製品が多い。材料費は高々20円だろう。国内の射出成形メーカーの多くは単に成形機の自動化だけで無く、何か特徴を持っている。例えば迅速、衛生、複雑、精密などの熟語が会社案内に書かれている。

 

100円ショップに並んでいる日本製の商品からこれらの熟語は感じられないが、おそらく売れ筋商品の場合、100円ショップではQCDのバランスから日本製になっている事情もあると思われる。

 

国内の製造業に何を残すか、という議論は今も聞くが、経済原理により議論の結論が出る前に淘汰されてゆく。半導体メモリーは射出成形よりも高度な技術なので、云々という意見を聞くとモノ創りの本質を知らない意見だと思う。射出成形技術でも半導体メモリーの製造技術以上に高度な要素があることを知らない人が多い。

 

射出成形に関連した難解な物理現象として、例えばフローリーハギンズ理論という高分子の相溶理論があるが、まだ理論として完璧では無い。20世紀に半導体分野の理論のほとんどが確立されたが、高分子物理は、試験の成績で表現するとまだ55点。そのような状態でも製造技術として国内で成立している射出成形メーカーは、残りの45点分のノウハウを持っていることになる。

 

教科書に書かれている技術レベルと教科書には書かれていない技術レベルが存在することに気がつくと、国内に残っている射出成形会社の凄さが見えてくる。多くは中小企業だが、今回の補正予算では、この中小企業に活力を与える施策が盛り込まれている。ようやく日本の政治に製造業を大切にする動きが見えてきた。二番でも良い、という見識では日本に製造業は残らない。

カテゴリー : 高分子

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2013.03/12 難燃剤のブリードアウト

樹脂を難燃化するために難燃剤を添加する。難燃剤が無機フィラーであれば脆性の低下が、液状であれば可塑剤として働くために弾性率の低下が問題になる。樹脂を難燃化する時に力学物性の低下は避けられない問題である。力学物性のバランスをとるためにポリマーアロイという手段がある。

 

しかし、液状もしくはTgが低い難燃剤で力学物性の低下よりも問題が大きいのはブリードアウトという現象である。ブリードアウトという現象は身近な製品で誰でも経験しているはずです。例えば皮状のケミカルバッグやケミカルシューズ、電化製品例えばPCのマウスに使用されているゴム状の部分。長年使用していてべたべたしてきたことはありませんか。

 

これは、樹脂を柔らかくするために添加していた可塑剤が外に滲み出てきた現象です。構造が異なる分子を混ぜると相分離という現象が生じます。例えば水にヘキサンという有機液体を分散し激しく撹拌し静置しますと2層に分離します。これが相分離という現象で、構造が異なる分子どおしを混合しますと必ず生じる現象です。

 

樹脂に何か有機物を分散しても構造が異なれば相分離し、表面に浮き出てきます。これがブリードアウトという現象で樹脂製品の外観品質を悪化させます。ブリードアウトという現象は、物質の拡散で生じており、温度が高くなると早く発生するようになります。その時間スケールは物質の組み合わせで様々で有り、製品寿命の間に発生しないように材料設計することは可能で、樹脂製品の多くはそのように設計されています。

 

難燃剤のブリードアウトで見落としがちなのは、表面で難燃剤の濃度が高くなり、金属が接触していた場合には錆を引き起こしたり、電気製品であれば絶縁性を低下させたりする原因になる故障です。ゆえに難燃性樹脂の促進試験では、市場環境あるいは市場における使用方法を想定した促進試験が重要になってきます。

カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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2013.03/12 弊社の問題解決法<最終>

問題解決をこのように考えますと、答を実現するアクションについて答を決めた時に気がかりになるはずですから、答から逆向きに考えるのはものすごく自然な行為になるはずです。そして問題解決の一番最初にしなければならないことは、答すなわちあるべき姿を具体的に決めることであり、これが具体的に決まりますと難しかった問題について解決の糸口が逆向きの推論で明確になります。すなわち問題解決力とは、あるべき姿を具体化できる意思決定力のことだと思います。そして具体化されたあるべき姿に向けて行動を起こせば人生のあらゆる問題は解決されてゆくと思います。

 

カテゴリー : 連載

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