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2014.02/03 STAP細胞発見の意味(3)

STAP細胞発見のテーマ設定プロセスは、非科学的プロセスで行われている。雑誌「ネイチャー」で最初に不採用とした編集者の見解もそれを指摘している。ところで非科学的プロセスは排除されるべきことなのか?

 

イノベーションを引き起こすような発明発見を科学的プロセスで行おうと50年以上前にTRIZやUSITが考案されたが、TRIZやUSITでイノベーションを引き起こすような大きな発明発見が成された事例を聞いたことがない。イノベーションを引き起こすようなプロセスは、むしろマッハが指摘しているように非科学的プロセスから生まれている。

 

非科学的プロセス、例えば「幸運プロセス」を活用して、それなりに努力すればイノベーションを引き起こせる分野の存在を示したのも今回の発明の意味である。もし小保方さんがハーバード大学で若いマウスから幹細胞を取り出す実験を担当しなかったら彼女は今回の発明発見をする役割になっていなかった可能性がある。このあたりは、幸運が作用している、といってもよいのではないか。

 

ただ、ハーバード大学へ留学するまでの彼女の努力や実験を担当してからの彼女の姿勢は、科学とか非科学に無関係に若い研究者の模範となる。ハーバード大学で今回の実験を担当するという幸運を引き寄せたプロセスについて紹介されていないが、実験を担当した幸運をチャンスに変えるまでのプロセスは新聞情報に掲載されていた。それは典型的なヒューマンプロセスであった。

 

おそらく彼女以外の人も同様の実験を担当していただろう。そして彼女でなくとも刺激で幹細胞ができている現象を見ていたはずだ。しかし、目の前の現象を従来の科学の常識からありえない現象として認識し、自分の担当している仕事は、若いマウスのリンパ細胞から小さな幹細胞を選び出す作業と納得し、生物化学の大発見となる現象が目の前にあっても気がつかずに作業を行っていたと推定される。

 

しかし、彼女はマウスから取り出した細胞に幹細胞が含まれていないことに疑問を持ち、細い管を通過した後に幹細胞が取り出されている不思議な現象に興味を持った。そして非科学な考え方であるけれども刺激で幹細胞ができている、とその現象を素直に捉え、それを実証するために研究を始めた。このヒューマンプロセスは、「現物現場主義」という言葉として技術開発では有名な取り組み方である。

 

すなわち技術開発の現場では、科学的な論理の説明よりも実際に現場で起きている現象が優先される。このあたりは会社により考え方が異なっていることを知ったが、ゴム会社のように徹底して現物現場主義で攻める姿勢の方が技術開発はうまくゆく。周囲から現象の見間違いと指摘されても、彼女は自分の目の前の現象を信じ、現物現場にこだわり成果を出している。

 

正しい現物現場主義では、非科学的な現象も受け入れなければならない。そのとき、それを誤差あるいは実験の失敗と捉えるのか、非科学的現象でもゴールを実現する有効な現象と捉えるのかにより、問題解決において次に取るべきアクションが異なってくる。現物現場主義というヒューマンプロセスにおいて重要な姿勢を取らない場合に非科学的な現象を否定し排除し、その結果新発見を見逃したり問題解決を困難にする場合がある。STAP細胞は、現物現場主義で発見された成果という見方もできる。

 

実は生科学分野に限らず高分子材料分野でも「幸運プロセス」でささやかであるが工業的に重要な発明発見の機会が多数存在する。6月に開催されるポリマーフォーラムの招待講演者に推薦されたが、そこで行うプロセシングの講演も「幸運プロセス」で問題解決できた技術成果で、フローリー・ハギンズ理論に合わない現象を紹介する。

カテゴリー : 一般 連載

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2014.02/02 ケミカルアタック(4)

前回まで説明したようにケミカルアタックは科学的に扱いにくい現象であり、それを逆手にとって問題のある樹脂を供給しながら、原因をケミカルアタックにして煙に巻くような樹脂メーカーもあるので成形技術を担当している人は注意する必要がある。成形現場に怪しいところがあると永遠に結論を出せなくなる。

 

現代の高分子の分析技術は正体不明のケミカルアタックを完璧に証明できるほどのレベルではない。ケミカルアタックとは樹脂供給メーカーがエラーを認めなかったら原因が闇の中になってしまうような問題である。換言すれば誠実な樹脂供給メーカーであれば、ケミカルアタックという問題が発生したときに現場対応で迅速に問題解決する。

 

しかし証明ができなくとも樹脂メーカーの担当者が成形技術者を煙に巻こうとしているかどうかは、樹脂の破壊機構を学べば見当がつくようになる。まず実務の手順から説明する。樹脂の破壊した箇所は汚染しないように注意して保存することが重要である。破壊した箇所から、樹脂に配合されていない油や界面活性剤などの「ケミカル物質」が見つかったならケミカルアタックの可能性が高い。現場からケミカル物質を除去する作業が対策になる。

 

ケミカル物質が検出されなかったときにどうするか。フラクトグラフィーを行い破壊に至った原因を探る。具体的には、破壊の起点を探すのである。破壊の起点がケミカル物質と無関係のボイドやクレーズだった場合には樹脂起因の可能性が高くなる。

 

成形体から引張試験片を切り出し引張試験を行い、強度が仕様どおりかどうか調べる。樹脂に問題があるとこの強度のばらつきが大きくなるか、あるいは低いところでばらつきが小さくなって観察される。

 

強度の低いサンプルの破面を観察し、ボイドやクレーズが破壊の起点になっていないか探る。すると樹脂に問題があるとそのような破壊の起点が幾つか見つかる。このような結果が出たら樹脂に問題がある。ペレットを観察するとスが入っていたり、ペレットにボイドやクレーズが観察されたりする。

 

ただし、この評価を樹脂メーカーに示しても難癖をつけて認めないメーカーもあった。直接の証拠を示すためにスの入ったペレットや、それを生産した現場(中国)で温度管理がされていなかった証拠写真を示しても、そのメーカーはケミカルアタックではない、という実験結果を認めなかった(注)。そのような不誠実なメーカーからは樹脂を購入しないことだ(続く)。

 

(注)引張試験片を成形体から切り出すときに、正確にダンベル試験片の形状にするのは難しい。試験結果が低くなるのはダンベル試験片の形状と指摘されたり、問題を示すDSCのベースラインが少し怪しい、などと難癖をつけられた。こちらも悔しいから不可能に近いDSCのベースラインがまっすぐになったチャートを見せてみろ、といったらその場で約束したが一ヶ月経過しても送られてこなかった。ペレットのスが観察されなくなったら問題が解決した。状況証拠では混練の温度管理が悪く状態の悪いペレットが原因であったことを示している。樹脂メーカーと類似の問題を経験された国内の成形樹脂メーカーはお気軽にご相談ください。ケミカルアタックの問題に関しては対応方法を電話にて無料で指南致します。

カテゴリー : 一般 連載 高分子

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2014.02/02 STAP細胞発見の意味(2)

今回の発見の意味について、問題解決でヒューマンシステムが重要になってきたことを昨日指摘した。異なる側面であるが日本の若手研究者に対する研究環境の変化について述べてみたい。

 

かつて20世紀の研究開発環境には老害の問題が指摘されていた。権威ある先生が若手の研究成果を自分の成果として公表していた例もある。当方も会社で独自に研究を進め、論文の下書きをして会社の許可を得て論文発表の価値評価を頂くためと学位申請をお願いするためにT大の先生にご相談に行ったら、大変良い論文だから、とその先生の名前が筆頭で論文発表された経験を持つ。その様な時代があったのだ。

 

また企業内部における成果の扱いもひどいもので、他人の成果を自分の成果として学会発表しても最終的に企業の成果になるのだから、と実際に実験を行い死の谷を必死で歩いたその成果を他人に発表されても我慢するより仕方のない状況であった。そのような時代があったことを思い出すと、実際に新しい現象に着眼し、その問題解決を実際に進めている人が若手の女性であってもその人をリーダーにして研究を進め、成果が出たところで評価したというニュースはもの凄い衝撃的なことなのだ。

 

もし20年前ならば、今回のようなニュースの取り上げられ方にはならなかった、と思われる。国立大学の先生に高純度SiCの論文の執筆者筆頭にしてもらえなかったのは20年前なのだから。また企業の中には未だに研究成果の扱いを曖昧にしている企業もあるので、むしろ国の研究システム体制の先進性がSTAP細胞のニュースで明らかになったのではないだろうか。

 

今年の6月に開催されるフォーラムで高分子学会から招待講演の依頼を受けた。退職後もカオス混合の研究を続けるために起業をしたのだが、混練技術というローテクに見られている分野だけに経済的には大変である。もし関心のある方は、講演を聴きに来て頂きたい。すでに国内外の企業で生産に使用されている技術である。若手だけでなく未知の分野をめざし年寄りも頑張っている。

 

今月末には技術情報協会のセミナーで高分子の難燃化技術について新しい知見を講演する。こちらは弊社に問い合わせて頂ければ割引券があります。

 

燃焼時にガラスを生成し高分子を難燃化するトリックを考案して33年、難燃剤を使用せずLOIが18程度の樹脂を配合処方の工夫でUL94規格を通過させる技術へたどり着いた。この技術はじめ退職後研究を続けているナノテクによる難燃化技術の将来について述べる。

 

カテゴリー : 一般 連載

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2014.02/01 STAP細胞発見の意味(1)

ヒューマンシステムが重要になるこれからの問題解決法

 

従来の問題解決法は、日本科学技術連盟(日科技連)新QC手法に見られるように決められた科学的問題解決手順にそって行えば誰でも簡単に問題解決できる、という内容だった。科学が技術を牽引していた時代には、問題は科学的成果で解決されるのでこのような問題解決法で対応可能であった。

 

しかし新しい技術のイノベーションが重要になってくると、科学で解明された自然現象を使っている技術だけでは難しい。科学で解明されていない自然現象も技術開発に多数取り込む勇気が必要になる。

 

32年間のサラリーマン生活では積極的に科学で解明されていない自然現象を技術に取り込む努力をしてきた。この過去の経験から科学で解明されていない自然現象を取り込んだ技術の問題解決に従来の問題解決法では限界があると感じている。

 

30年前に燃焼時にガラスを生成する組成でポリウレタン発泡体を設計したときに、日科技連の問題解決法を用いたが、PDPC図が複雑になったのでK1チャートとK0チャートという独自の図法を編み出した。この独自の図法を活用して高純度SiCの企画を行った。そして独自のチャートに現れたループの問題を解消するために、廃棄物となったフェノール樹脂を用いて実験を行い企画の成功を確信した。

 

以来独自の問題解決法を磨き上げ、退職後研究開発必勝法として販売している。この方法の詳細は問い合わせて頂きたい。従来の問題解決法は科学的システムであるが、弊社の問題解決法はヒューマンシステムという位置づけである。

 

例えば、独自の図法作成時に科学的推論ではなく、「成功した時」と「失敗した時」、あるいは「正しい時」と「間違っている時」、「○」と「×」、「△」などあらゆる事象を考えるルールにしている。

 

科学的に判断できるときにも一応科学的に否定される内容も同時に検証するのである。こうすることにより技術開発で遭遇するあらゆるケースを検討できることになる。

 

やや面倒な方法に見えるかもしれないが、そこはヒューマンシステムとしてうまく機能するように、すなわち使いやすくする工夫もしている。

 

さて、退職してから日本人が誇りとすべき2件の大きな技術分野の出来事があった。iPS細胞のノーベル賞受賞とSTAP細胞の発見である。両者の共通点は非科学として誕生していることである。すなわち科学的大成果が技術として創出され、その技術を科学的に証明するというプロセスになっている。

 

このような科学的成果の創出法は、科学の無い時代に当たり前のように行われていた方法である。例えばニュートンの万有引力の発見は、思考実験という非科学的手法を用いて見いだされている。そしてこの手法は科学の時代においてもマッハにより伝承され、その指導を受けたアインシュタインはそれを活用して相対性理論を生み出している。

 

これらの例だけでなく過去の世界的な発明の多くは科学的に行われたわけではなく、ヒューマンシステムによる問題解決法で行われていた。「マッハ力学史」では、力学分野の発展史について科学と非科学の視点でそれらの考察を行っている。また、E.Sファーガソンの「技術屋の心眼」では、ヒューマンシステムで役立つ心眼というものについて解説している。

 

科学の進歩が著しかった20世紀には科学的問題解決法で技術開発を行っていても科学の進歩と同じスピードで技術の進歩が保証された。しかし、科学の進歩が遅くなってきた昨今、あるいは科学の進歩においてSTAP細胞やiPS細胞発見のようなヒューマンシステムによる方法が顕在化してきた昨今の状況において技術開発を従来の科学的問題解決法に頼っていては迅速な開発ができないばかりか、イノベーションも起こすことも難しくなる。

 

今技術開発へ積極的にヒューマンシステムの問題解決法を取り入れるべき時期ではないだろうか。TRIZやUSITを一度使用した人ならば、その面倒な手順で科学的に当たり前の結果が得られた経験をもちその手法に落胆された技術者は多いのではないか。

 

技術は自然現象を人類の幸福のために制御して使用する方法である。自然現象の全てが科学的に解明されているわけではないので技術は積極的にヒューマンシステムを取り入れ、技術が科学を牽引すべき時代かもしれない。

カテゴリー : 一般

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2014.02/01 ケミカルアタック(3)

ケミカルアタックはケミカル製品と樹脂の溶解度指数(SP)で決まる、という説明も樹脂の教科書に書かれていたりする。またそこに着目したケミカルアタック防止樹脂という怪しい特許も存在する。確かにSPあるいはχパラメーターに着目すればケミカルアタックを防ぐことは可能である。ただし、その値を分子構造から計算で求めた場合には痛い目に遭う可能性が高い。

 

さらに高分子の溶解の問題あるいは相溶の問題は、実は科学的に100%解明されていない。例えばχの大きい高分子を相溶させた経験がある。光学用樹脂のアペルは側鎖基が嵩高い構造をしている。Tgを高くするためにそのような構造に設計しているわけであるが、そのためこの空間にうまく入るように高分子を設計してやると、χが大きくても相溶させることが可能である。

 

15年近く前に様々な条件で重合したポリスチレンをアペルに混練したところ、16番目の処方で重合したポリスチレンを相溶させることができた。このポリスチレンを相溶したアペルは興味深い熱特性を示した。

 

二種の高分子が相溶したこの樹脂は、室温で透明であるが、80-90℃で白濁が始まる。これはポリスチレンのTgに相当する温度領域である。しかし、135℃前後で透明になり始める。この135℃というのはアペルのTgである。

 

この現象から分かるように分子の一次構造が特殊であるとSPやχパラメーターと無関係に相溶という現象が起きることがあるのだ。高分子のモノマー構造からχを定義し組み立てられたフローリー・ハギンズ理論は大変狭い現象を扱っている理論であるか、あるいは間違っている可能性がある。科学とは一つそれを否定する現象が現れたら再度理論の見直しが行われなければならないが、アペルで見つかった現象を知っているアカデミアの学者は少ない。

 

ケミカルアタックが発生した状態を油と樹脂のχパラメーターあるいはSPからうまく説明することができたとしても対策は実技で対応することが賢明である。現象を科学的に説明することと再発を防止する実務では目的とするゴールが異なるのである。再発防止策は技術的に現場に即して対応することが必要である(続く)。

 

カテゴリー : 一般 連載 高分子

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2014.01/31 技術開発のヒントがSTAP細胞の発明に隠されている

STAP細胞の応用分野に関し、すでにTVや新聞の報道で山中博士のiPS細胞との比較なども行いながら夢が語られている。ここではSTAP細胞の発明から日々の技術開発に活用できるヒントを考えてみる。

 

理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーの話によると、昨年春に英科学誌「ネイチャー」に投稿した際には、「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄していると酷評され、掲載を却下された」ということです。

 

このことは、彼女の発明発見そのものが非科学的であったことを示しています。また論文も昨年春の段階では、非科学的と評価されていることです。この点は新しい技術開発を志すときに参考にすべき重要なことだと思う。

 

また彼女が今回の発明のヒントを思いついたのは、ハーバード大学で行っていたマウスから若い幹細胞を取り出す実験だ、と語っている。小さな幹細胞だけを取り出すために細い管の中を通して選別する実験において、管を通す前には無かった幹細胞がなぜできるのか、と考えたそうである。すなわち幹細胞を選び出す実験において、結果である現象を重視して、選び出しているのではなく細胞が刺激を受けて幹細胞になっている、と考えたのである。

 

また、細い管を通るときの刺激で幹細胞ができているのだから、もし刺激で幹細胞ができるならば、細胞に与える刺激をいろいろ試してみよう、と実験を行った。そして、オレンジジュースくらいの酸っぱさの刺激がSTAP細胞作成に適していると発見し、今回の発表に至った。

 

この着想とその後のアクションのプロセスが今回成功するために最も重要なことである。科学的常識にとらわれず、実験の結果である現象に着目し、その現象を再現するためにどのようなアクションが必要か彼女は考えた。これは弊社の研究開発必勝法プログラムで一般の技術開発でどのように実践したら良いか具体的方法を説明している。

 

科学的方法を重視する指導者は、まず仮説を考えろという。しかしその仮説の立案方法をうまくコーチングできない。実は科学的常識から仮説を考える作業は小学校から学んできてもなかなか身につかない難しい作業プロセスである。弊社の研究開発法プログラムではカラスができる程度のレベルでコーチングする方法を提供し、その結果小保方さんのレベルの技術成果がでる可能性を高める。

 

ここでカラスを例に出したのは、以前見たテレビ番組で紹介されたカラスの行動が参考になる、と思い出したためで他意は無い。その番組ではカラスがガードレールに止まっていたところから始まった。そのカラスは、たまたま通過した自動車がクルミを轢き、殻が割れて実が出たシーンを見ました。そこで、別のクルミをくわえてきて道路に置いたところ同じシーンが再現されたので、自動車にクルミの殻を割らせる工夫を思いつき、それを繰り返すようになった。

 

カラスは目の前の現象を見て、その再現を実現できるアクションを試し、それに成功して、堅いクルミの殻を割る簡単な方法を発明したのです。このカラスの発明プロセスで重要なことは、堅いクルミの殻が割れるとおいしいクルミの実が出てくる、という結果を再現しようと考えて、新たなクルミをくわえて道路においている、ということです。そして人間がカラスよりも賢いのは、自動車の代わりになる道具を試してみるという点です。

 

弊社の研究開発必勝法プログラムの一部を紹介しました。ご興味のある方はお問い合わせください。

 

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2014.01/30 ケミカルアタック(2)

ケミカルアタックは、環境応力割れとも呼ばれている。樹脂のまわりにケミカル製品が存在すると、本来の強度以下の応力または歪みで樹脂が破壊する現象は、いつでも発生するわけではない。もしいつでも発生する現象であれば、ケミカル製品の容器を樹脂で作ることができなくなる。

 

いつでも発生するわけではないので科学的に取り扱いにくい問題である。例えばポリスチレンでもSPSの場合にはケミカルアタックを起こしにくい。ゆえにSPSの箸なども登場している。この経験からケミカルアタックは非晶質相が多いと発生しやすい、という直感がはたらく。

 

ここで、ABS樹脂やPC、PC/ABS樹脂でケミカルアタックによる故障が多いのはそのためか、と思わず膝を叩いた人は樹脂を少し知っている人である。一方ポリエチレンやポリプロピレンが脆くなって痛い目に遭った人は納得がゆかない。実は結晶性樹脂でもケミカルアタックは起きるのである(注)。

 

ただし、ケミカルアタックが起きたときに樹脂の種類によりその破壊機構が異なる。結晶性樹脂でケミカルアタックが起きた場合には脆性的に破壊する。例えば界面活性剤の水溶液をポリエチレン容器に入れて販売しているケースがあるが、「年」のオーダーでケミカルアタックが進行する。ゆえに破壊したときにケミカルアタックだったのか経時劣化なのか分からないことが多い。そのため、知らずに自動車窓用ウオッシャー液をポリエチレン容器に入れて販売している例を店頭で見る。

 

このようにケミカルアタックでは、非晶質樹脂でも結晶質樹脂でも発生し、その発生機構が異なるが、非晶質樹脂特有の問題として扱っている教科書も存在するので注意が必要だ。科学的には非晶質樹脂特有の問題、と説明した方が説明しやすいからだが、ケミカルアタックに対して科学的に取り組むと問題解決できない、というぐらいに心がけておいた方が痛い目に遭わない。

 

(注)PCは、非晶性樹脂に分類される場合があるが、正しくは結晶性樹脂である。結晶性樹脂とか非晶性樹脂という呼び名は、成形体の状態で業界では使われている。しかし、正しくは全く結晶化しない樹脂に対して非晶性樹脂という言葉を使用すべきである。例えばポリオレフィン樹脂で光学用途に使用されているアペルという樹脂は結晶化する。しかし非晶性樹脂として売られている。そのため樹脂が結晶化して引き起こす問題を見落とす。

 

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2014.01/30 理系女子の大発見

朝、ビッグニュースが飛び込んできた。

体の細胞に酸性の溶液で刺激を与えるだけで、人工多能性幹細胞(iPS細胞)などと同様、あらゆる臓器や組織になれる「万能細胞」を作ることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市中央区)などのグループがマウスの実験で成功した。作製に2~3週間かかるiPS細胞に対し、最短2日間ででき、成功率や使う際の安全性も高いという。効率の良い万能細胞の作製に加え、生体内での臓器再生や細胞の若返りなど、医療の新たな応用に期待が高まる、という。

 

発見者は、理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーだ。今AKB48と同様にブレークしているリケジョだ。「刺激惹起性多能性獲得細胞(STAP)細胞」と名付けられたその細胞は、外からの刺激で多能性を与えることができる。さらに研究が進めば、機能の分化も外部刺激で制御できるようになるかもしれない。

 

この大発見の面白い点は、まだ科学で明らかになっていない分野における発見である点だ。柔軟な発想で大発見できた、とどこもが大ニュースで伝えているが、その柔軟な発想を技術者ができるようにする一つの方法が弊社の提供する研究開発必勝法である。

 

発見者の「リケジョ」は泣いたこともある、と記事に書かれている。恐らく科学的にできると保証されていない方法をただひたすら自分を信じて実験を進めたに違いない。もし科学的に明らかな方法であれば山中先生もその方法を試しただろうと思われる。

 

その山中先生は、実験を担当した大学院生の大胆な実験の提案を受け入れ実施しノーベル賞を受賞した。受賞するまでその方法は特許でも公開しなかった、という。特許ではヤマナカファクターの権利を確保すれば良いのだから、「驚くべき方法」で見つけた、と書けば良いのである。

 

山中先生がNHKの放送で明かされたiPS細胞発見にいたる戦略は弊社が販売している研究開発必勝法プログラムで立案できる。また、弊社のプログラムは、そのような戦略を導き出すための方法である。

 

科学的にサポートされた問題解決の方法にはTRIZあるいはUSITがあり、退職まで勤務した元写真会社で導入され、現場では面倒な方法で進めて当たり前の解しか得られない、との評判である。冷静に考えて欲しい。もし科学的に不明な解が、真理が一つである科学的方法を忠実に実行する問題解決法で得られるのかどうか、ということを。

 

TRIZやUSITを使って当たり前のこと以外が出てきたのなら、それは使い方が間違っているのである。TRIZやUSITは、50年以上前にロシアで開発された科学を忠実に再現する問題解決法である。定年前に担当したPPSと6ナイロンの混合されたコンパウンドを用いて半導体ベルトを製造する方法についてUSITで解いたところ、すでに担当者が実行し失敗していた方法しか解が得られなかった。

 

科学の時代では、誰でも最初に科学的に自明な方法を試すのである。そしてうまくゆかないから新たな発想が求められるのである。その新たな発想に科学をトレースするTRIZやUSITを用いることが適切であるかどうか考えて欲しい。科学を理解していない人には科学から得られる結論も必要なのでTRIZやUSITは少しありがたく写るのかもしれない。

 

弊社の問題解決法で解が得られたが周囲では「怪しい方法」と言う人もいたので単身赴任しその解を信じて技術を完成させた。ゴム会社から転職して20年間、「怪しい方法」と言われながら実践の場で活用し、科学で不明確な分野で技術成果をあげ日本化学協会や写真学会から賞を頂く成果もあげた。その基になったのは日本化学会化学技術賞を受賞した「高純度SiC技術」の企画開発手法である。

 

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2014.01/29 ケミカルアタック(1)

ケミカルアタックという名称は現象をわかりにくくする名称である。樹脂にオイルなどの「ケミカル製品」が付着し、それにより膨潤して、あるいは樹脂内部の添加剤が物理的影響を受けて樹脂が破壊に至る現象で、何も問題が無い状態における破壊応力よりも30%以上低い応力で材料が破壊する、化学的現象というよりも物理的現象と捉えた方が良いかもしれない。

 

ケミカルアタックに初めて遭遇したのは小学生の頃である。プラモデル(「スーパーカー」というTV番組に登場した車)の自動車を組み立てて遊んでいたら、ギアボックスがはずれ壊れた。組み立て方法には、ギアボックスがスムーズに動くようにグリースを濡るように説明されている。そのグリースがギアボックスを支えていたボスに付着し、ケミカルアタックでボス割れを引き起こし壊れたのだ。

 

ギアボックスはモーターの動力をタイヤに伝える機能があり、常に応力がかかっている。ギアボックスは、ねじ釘でボスに固定されていた。今から考えると組み立て説明書が悪い、ということになる。また添付されたグリースもケミカルアタックを考慮されたグリ-スでなかった。

 

グリースに問題があるが、なぜ組み立て説明書が悪い、という結論をくだしたのか。ケミカルアタックの説明がされていなかったからだ。ケミカルアタックの問題は、このような問題なのだ。すなわち科学的にはケミカルアタックを起こさないグリースに変更すれば解決がつくように見える。しかし、添付されたグリース以外の油をユーザーが使用する可能性もあり、その注意を喚起するように対策を打たなければ防ぐことはできない。

 

すなわち科学だけでケミカルアタックを捉えると実技で失敗する問題である。それではケミカルアタックという問題はどのような問題なのか改めて考えてみる(続く)。

 

 

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2014.01/28 科学的に明確でない問題を解く方法

高純度SiCの合成方法は1983年に生まれた。そしてその合成方法は6年間という開発の死の谷を乗り越えゴム会社で事業化され現在まで続いている。しかし1980年代にシリカ還元法の反応機構が明確になっていたわけではなく、さらに前駆体の合成条件に至っては、高分子の相溶で有名なフローリー・ハギンズ理論で否定される反応だった。

 

ところがこれらの科学的に明確になっていない問題を解き1週間で製造技術を創りだした。この例に限らず、最近ではノーベル賞を受賞したヤマナカファクターの発見も同様にiPS細胞を製造する因子発見という科学的に明確になっていない技術を創り出した例がある。

 

科学的に明確な問題は、科学的に解いてゆけば必ずゴールにたどり着ける。しかし、科学的に不明確な、あるいはできるかどうか分からない問題をどのように解いたらよいのか。一度科学的に不明確な問題を技術で解く経験をするとその一般則が見えてくる。

 

ただし誰でも見えてくるのではなく、科学と非科学を明確に意識して解いたときにおぼろげながら見えてくる。そしてそれを数回経験すると科学的に解決が難しい問題でも技術で解く事ができる自信が生まれる。

 

マッハは「マッハ力学史」の中で、科学的に明確になっていない問題を解く方法を示している。またイムレラカトシュは「方法の擁護」で、科学で容易にできるのは否定証明だけ、と明快に、科学的に不明確な問題を科学で説くのは難しいことを述べている。

 

弊社では、科学的に明確ではない問題を解く方法を指導しているが、この方法は科学的な問題でも解くことができる。ご興味のある方は問い合わせて頂きたい。この方法についてはゴム会社で経験を積み、写真会社でリーダーの立場で当時は専門外であった領域(注)で実践したところ多くの成果を出すことができた。

 

退職後、写真会社で実践した方法を豊田中研を退職されコンサルティングをされている方にお話ししたら、その方法は「マッハ力学史」に書かれている、と教えられた。あわてて「マッハ力学史」を書店で探し英語版を見つけて読んだら、確かに一部書かれていた。

 

そこで改めて世間の問題解決法について勉強しなおしまとめたのが弊社の研究開発必勝法プログラムである。

 

(注)転職当時はセラミックスや無機材料の専門家として活動していた。その後取得した学位で論文の半分は高純度SiCに関するテーマで単結晶に関しても少し触れている。写真会社では高分子技術の開発を担当した。20年間担当した結果、高分子の専門家としての執筆依頼や講演依頼が多い。来月2月には技術情報協会から依頼され高分子の難燃化技術について考え方を中心に講演する。また6月には高分子学会から招待講演を依頼され混練について講演を行うが、無機材料から有機材料まで、あるいは高度なノウハウが要求される分野まで弊社の問題解決法は何でも対応できます。

 

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