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2013.03/06 有機物で電池の正極を創る

昨日高分子同友会勉強会で久しぶりにアカデミアの典型的な研究報告を拝聴させて頂きました。有機物で電池の正極を合成する、というP社との長期にわたる産学連携で行われた京都大学吉田先生の研究報告です。

 

研究のコンセプトから始まり、コンセプトに基づく分子設計を行って分子構造と物性との関係のシミュレーション、そして実験でその結果を確認し、コンセプトの正しさを証明する、という内容でした。

 

科学とは真理を追究することと昔から言われています。そして研究とは何か新しいことを見つける活動だ、と40年前教えられました。昨日の講演はまさにこの両者を兼ね添えた典型的な科学的研究成果でした。

 

自然現象は複雑怪奇です。そのため優れた科学的研究はそれだけでは完結せず、真理を明らかにするとともに常にまた新しい課題を生み出します。研究者がそれに気がつく、あるいは気がついていなくてもそれが存在すれば優れた科学的研究成果だと思います。そのため後者の場合には時として科学的研究がその時代に評価されず、後世になってその研究で提示された課題に気づいた研究者により再評価が行われたりします。吉田先生の研究報告にも新しい課題の提示がありました。

 

産学連携が叫ばれ、アカデミアでは、その純粋性を維持するのが難しくなってきています。しかし昨日の講演に接しますと、アカデミアが健全に活動できる産学連携とは研究者の力量であると気づかされます。すなわち吉田先生のみならずP社の研究者も優れていなければこの研究の継続は難しかったと思います。すぐに実用化できない成果でも我慢してアカデミアを応援できる力量がP社の研究者にあったからこそ、長期間継続することができたと思います。両者に高い力量があり、研究の成果を共有し信頼できなければ、科学的研究が完成するまで我慢できません。提示された新しい課題に関連した特許が出ていないことを祈るのみです。この新しい課題にご興味のある方は弊社へお問い合わせください。

 

カテゴリー : 電気/電子材料

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