中国で鉛蓄電池が流行しているという。どこまで信ぴょう性があるかわからない情報なのだが、理解できる現象である。停電対策に二次電池を購入するならば、鉛蓄電池が一番安い。日本で自動車用の鉛蓄電池の値段は結構するが、自動車用品の投げ売り商品として鉛蓄電池が出ていた時にその値段を見てびっくりした。500円を切っているのである。
電気自動車の価格の半分以上は二次電池の値段だという。実際に電気自動車に乗ってみると、自動車としての性能は軽自動車よりも足回りが悪い。電気自動車の普及云々という話があるが、やはり自動車は足回りが重要で、運転する楽しみの半分は足回りにある。電気自動車を普及させるためには、自動車そのものにお金をかけられるように、二次電池のコストを下げない限り、普及しないと思う。
Liイオン二次電池の価格はLiの値段が影響します。すでにLiイオン二次電池が登場する前よりLiの値段は倍以上に上昇している。Liイオン二次電池の市場は5000億円を超えてしまいましたが、このLiの価格は将来も上がり続けると思います。Liはボリビアとチリで世界の70%以上の埋蔵量を占めている。中国は10%程度で、もちろん日本は1%以下である。
日本はLiを輸入しなければならないわけですが、将来を考えると不安です。Liを使用しないならば周期律表からNaが浮かびますが、Naは起電力はLiよりも0.2Vほど低くなる。またエネルギー密度は70%程度などと言われていますが、実際の電池性能は組み立ててみなければわからない部分もあります。
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カテゴリー : 電気/電子材料
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探偵ホームズシリーズのほとんどの作品は、ワトソンを語り手としてベーカー街で始まり、そこへ依頼人が登場し、謎(問題)が提起されます。依頼人の説明が終わったところで、探偵ホームズとワトソンは、分析と調査に乗り出し、それが依頼人の持ち込んだ問題の解決へつながる、というパターンです。もし、最初のトライでうまくゆかない時には、ベーカー街の事務所に戻り、依頼人から再度話を聞くか推理をやり直します。
シャーロッキアンの好きな短編リストの上位に入る「赤髪組合」では、依頼人の相談内容が極めて不思議な相談であったため、正しい問題は他にあるのではないかと探偵ホームズは調査を進めます。しかし、それを発見した後、事件解決の準備のためワトソンと現場で別れますが、その後の待ち合わせ場所は、やはりベーカー街になっています。
すなわち探偵ホームズは、ベーカー街で問題設定し、分析的思考で推理を進め問題解決する、という現在普及している科学的問題解決方法の典型プロセスで事件を解決していきます。このような物語展開の中で、読者はワトソン役になり、探偵ホームズから提供される分析や調査の結果を基に謎を推理し考えることになります。探偵ホームズシリーズが現代でも愛読される理由は、このような一般的に用いられている科学的な問題解決パターンで話が進められている安心感と読者の「解く力」とのバランスが良いためでしょう。
カテゴリー : 一般
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射出成形や押出成形、あるいはブロー成形において使用される樹脂には、耐候剤や難燃剤などの添加剤が必ず添加される。また導電性や熱伝導性を上げるために無機フィラーを添加する場合もある。
こうした添加剤の影響で樹脂本来の性質は変化する。樹脂がポリマーアロイであっても同様である。ポリマーアロイの場合には相分離構造も影響を受ける場合も出てくるので単一組成の場合よりも複雑になる。
添加剤による物性変化で見落としやすいのが靱性のわずかな変化である。たとえばアイゾットやシャルピーなどの衝撃試験を行い、規格値に入れば安心する。衝撃試験などはばらつきが大きい試験なので、多少平均値が下がっていても規格値内ならば問題としない場合が多い。
しかし同一条件で成形体を製造したのに物性が変化するのは、何か原因があり、その原因を明らかにしておかなければならない。樹脂を自社で成形している場合には問題が起きる確率は低くなるが、コンパウンディングした会社から外へ出た瞬間に問題が起きる確率が高くなる。
靱性は把握しにくいパラメーターではあるが、他の力学物性の動きと組み合わせてみるとおおよその理解ができる。例えば靱性が低下した場合には、強度も低下しているはずである。SSカーブには強度低下に対する靱性の効果の情報が表れている。しかし靱性が低下しているのに強度が上がっている場合がある。多くは弾性率が変化している。問題は弾性率がどうして変化したのか、という原因である。
添加剤による靱性のわずかな変化は、ばらつきの中に隠れてしまうことが多いが、お客様のところで大きな変化となって現れることがある。実験室で原因を把握しておかなければ、致命傷となる場合もある。ばらつきの大きい評価方法しか知られていないので注意が必要である。
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カテゴリー : 高分子
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20世紀末にアメリカのウトラッキーにより、伸長流動装置が開発された。それは二軸混練機の先に取り付けるだけで、樹脂に効果的な伸長流動を発生させ、ナノオーダーの高次構造を作り出す装置です。
21世紀に入ると、高分子精密制御プロジェクトが国研で推進されこの装置も検討された。しかしこの装置は、大量の樹脂を流すことができず、生産性が悪いので普及しなかった。このプロジェクトではL/Dの大きな二軸混練機や高速剪断装置も検討されたが、いずれも実際の生産に用いられていない。
伸長流動というのはお正月に食べるお雑煮の餅を食いちぎる時のようにながーく引き伸ばされて切れる状態と同じように進行する剪断流動と並んで重要な混練プロセスで発生する力です。剪断流動が引きちぎられるような状態であるのに、伸長流動はながーく引き伸ばされなければならないので、この感覚表現だけでも、効率が悪いプロセスになることは想像がつきます。
剪断流動のほうが効率よく混練できることは昔からわかっていましたが、高分子の高次構造がミクロンオーダーまでの混練しかできないので、伸長流動に注目が集まったわけです。しかし、国研で同時に検討された高速剪断装置ではナノオーダーの構造が達成されていましたので、剪断流動だからナノオーダーの構造を作れない、というわけではないのです。
装置を工夫して高速剪断装置と同じような機構を効率よく実現すれば、ナノオーダーまで混練できる量産装置ができます。5年前すでにその1号機は稼働し量産に使用されており、20世紀に開発されたどのような量産型混練機を用いても達成できなかった混練レベルを量産機で達成しています。
高分子材料のツボには、これまで公開された先端の混練技術の一つカオス混合として紹介しております。ご興味のある方はそちらをご覧ください。
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カテゴリー : 高分子
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1月1日ニューイヤー駅伝はコニカミノルタが優勝した。旭化成はじめ実力伯仲の中、宇賀地選手の走りが記憶に残りました。昨日の箱根駅伝では、日体大がトップで駒沢大は9位で今日駒沢大はシードを守れるかどうか応援したい。城西大と中央大の2校は健闘むなしく棄権となりました。ニューイヤー駅伝も面白いが、箱根駅伝では毎年壮絶なドラマが展開されるので緊張感という楽しみがある。
駅伝は、サッカーや野球のように特殊な技能が要求されるスポーツと異なり、単なるかけっこで誰でもできるスポーツですが、そこにもどの区間でどのような選手を走らせたらよいのか、という戦略が必要になる。選手の中には、走りたくない区間もあるでしょう。しかし、個人の希望はともかくチームの勝利に向けて与えられた区間で全力を尽くさなければならないのである。
途中棄権となった状況をライブで見ているのはつらい。テレビは選手の気持ちよりも壮絶なドラマを優先する。視聴者は倒れた選手の無念な気持ちを共有し感動する。しかしかわいそうなのは彼らである。これから一生このドラマを背負ってゆくのである。彼一人の責任ではないにもかかわらず、潰れそうになる自責の念を背負いながら人生を戦ってゆかなければならないのである。頑張ってほしい。世の中には君たちよりも大きな一国の責任を負いつつも、責任感のかけらもなく図々しく生きている大人が多いのだから、今日は明るい顔で仲間たちを応援してほしい。
福島原発の事故の責任について、昨年1年以上たってようやく訴訟が起こされました。これまでの原発行政までもその責任追及を、という声もありますが、まず福島原発の事故における個人の責任を明確にすべきでしょう。個人の責任で負える規模の事故ではありませんが、明らかに人災である以上、それぞれの役割を責任感もって果たしたかどうかが焦点です。少なくとも事故の対応状況をライブで見ていても問題のあった人がいるのに責任を表明していないのは見苦しい。
カテゴリー : 一般
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刑事コロンボの推論の特徴は、犯人から逆向きの推論を行うことです。捜査の初期には、証拠集めと観察による前向きの推論を展開しますが、コロンボが犯人を疑い始めたころから逆向きの推論に切り替わります。
このドラマは一般の探偵物が犯人を推定するのに対し、どのように犯人を追いつめるのかという点に面白さがあり、視聴者も犯人から逆向きの推論を行ってコロンボ刑事のアクションを推理します。
刑事コロンボの逆向きの推論の進め方は、研究開発にも応用でき、必ず成果を出すことのできる問題解決法です。
ただし何作かあるドラマの中で、「忘れられたスター」では、真犯人を逮捕していません。
カテゴリー : 一般
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刑事コロンボは倒叙探偵小説のカテゴリーに属す物語です。一般の探偵小説では、警察組織の主人公ではなく探偵という職業が多いのに、探偵コロンボではなく、なぜ刑事なのか。これは、物語の進め方からくる必然性であった、と思います。探偵コロンボではなく刑事コロンボだから娯楽推理物として成功したのだと思います。
ピーターフォーク主演の刑事コロンボは、今でもそのイメージが鮮烈に記憶に残っています。刑事コロンボの犯人逮捕に至るその手法は、オブジェクト指向の探偵物ではなくエージェント指向だからです。問題(事件)を解決し答(犯人)に至る手法で、答から逆向きの推論を展開し事件を解決してゆきます。
初めてテレビ放映されたときに、いきなりツボにはまったテレビ番組で、ほぼ全作楽しみました。
お正月を迎え、今年の年末の状態を夢見て今年1年の活動計画を考えています。昨年活動報告を愛読していただきありがとうございます。活動報告で書きました内容は順次電子セミナー形式でデータを示し販売したいと考えています。リクエストがございましたらご連絡ください。本年もよろしくお願いいたします。
カテゴリー : 一般
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論理学や問題解決法のような考える技術が商品として生かされ、大量販売された例として探偵小説があります。探偵小説の面白さは、謎解きと探偵が犯人と対峙した時のスリルにあります。探偵小説には固定客がいるようで、数百億円も本の販売が落ち込む中、大手書店の一角には、探偵小説のコーナーが必ずあります。
さて、謎解きだけであれば、探偵小説にはなりません。例えば、ポーの作品に「黄金虫」という物語がありますが、これは謎解き物語だそうです。探偵小説というのは、読者も探偵と一緒に謎解きをすることになるので、単なる謎解き物語とは異なるのだそうです。確かに「黄金虫」を子供の頃に読んだ時に、謎解きをしようとして読んでいません。謎が解かれてゆく面白さを楽しんだように思います。
探偵小説には、謎の提示から始まり、分析・調査を経て推理・問題解決そして犯人逮捕という流れがあり、読者は分析調査結果を探偵と共有化して犯人を推理してゆくわけです。このような一般的な探偵小説以外に倒叙探偵小説という分野があります。例えば「刑事コロンボ」がそのようなジャンルの物語です。最初に事件が提示され、読者に犯人まで知らされます。しかし探偵は事件を見ていないので、その後分析・調査なり行い問題解決に至る過程を読者は楽しむことになります。
単なる謎解き物語との違いは、探偵と犯人との交流場面で、ここで読者には探偵がどのようにせまるのかという推理が求められます。「刑事コロンボ」でも必ず犯人から直接事情聴取する場面が出てきます。「うちのかみさんがねー」というのは、コロンボが事情聴取の時に犯人に言うセリフの定型句の一つです。
この倒叙探偵小説は、「刑事コロンボ」が最初ではなく、1世紀以上前にアガサクリスティーなどが登場したころにオースティン・フリーマンが「歌う白骨」という倒叙探偵小説を発表しており、これが元祖らしいです。
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本能的に問題を解いていた時代から、解く力を磨き考える技術を生み出し、多くの人がそれを活用するようになったのはいつ頃からでしょう。科学者や技術者の考える技術については、誰が最初なのかその歴史をたどることは、物理学者マッハが指摘するように困難と言われています。しかし、推論などの考える技術を駆使した著作物をその歴史の足跡と捉えるならば、例えば哲学書をたどることによりその一端を調べることもできます。
ただし、難解な哲学書を一般大衆が読んだとは思えませんので、それが分かっても専門家の考える技術の歴史になります。一方で哲学に分類されますが、多くの信者を擁する宗教の教えを考える技術に入れるというのは少し違和感があります。たとえ心の問題を解決できても宗教による問題解決法に汎用性はありません。例えば科学の問題を宗教では解けないからです。
それでは、人類が科学の問題も解決可能な解く力に関心を持ち、能動的に考える技術を日常生活の中で使おうとした時代を知るにはどうすればよいか。科学的な論理が世間で注目され、その価値を商品に盛り込み大量に売られたのは、恐らく探偵小説が最初と思われます。江戸川乱歩は、探偵小説の定義として「探偵小説とは、主として犯罪に関する難解な秘密が、論理的に、徐々に解かれて行く経路の面白さを主眼とする文学」と「探偵小説の定義と類別」の中で述べています。この定義に従う著作物であれば、本書で取り上げる考える技術の参考資料にできます。
そこで、探偵小説の二つのジャンル、すなわち読者に対し謎の提示から始まり探偵の捜査と推理によってその謎が解き明かされる「一般的な探偵小説」と、書き出しで読者に犯罪を見せるという探偵小説の逆の語りで展開される「倒叙探偵小説」について調べてみました。
探偵小説の歴史を調べてみて興味深いのは、17世紀に哲学者ルネ・デカルトの「方法序説」が発表され、1878年にフリードリヒ・ニーチェにより「人間的な、あまりに人間的な」が出版されるまでの哲学と文学が相互に刺激しながら展開されてきた時代に生まれ、発展していることです。
すなわち19世紀初めに有名な「モルグ街の殺人」が探偵小説の元祖エドガー・アラン・ポーにより発表され、多くの人に読まれました。続いて書かれた「マリー・ロジェの秘密」や「盗まれた手紙」を含めた3部がデュパン探偵の活躍する典型的な探偵小説として知られています。少年少女名作集などで取り上げられる「黄金虫」は、探偵小説ではなく謎解き物語というジャンルだそうですが、これも探偵小説同様に考える技術を楽しめる物語です。おそらく哲学者の道具であった難解な論理が一般の生活に浸透するのに100年以上かかったのでしょう。
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コーティングのプロセスコストについて質問を受けました。コーティングプロセスはハイテクというイメージからのようです。申し訳ないが製造条件のデータが無ければ答えられない、と回答しました。実際に平方メートルあたり1円以下から10万円以上までピンからキリまであります。生産量と生産設備の関係で決まるのは、混練や射出成形などのローテクと思われている技術と同様です。
おおよその設備金額は当方もわかりますので、問題は生産量となります。生産量が少ない場合には外部に委託したほうが有利なのは、他の製品と同じです。委託費用も生産量で大きく変わります。コーティングの世界は設備が高価なので可能な限り老舗に頼んだ方が安くなります。フィルムならば平米あたり2円以下で出来る場合もあります。
すでにアナログ銀塩写真フィルムの市場は縮小し、現在2社しか生産していませんが、写真フィルムでさえもプロセスコストの占める割合は少なく大半が材料費です。大変付加価値の高い商品だったわけです。ゆえに某フィルム会社は往年の大スター2人を起用したCMを派手に展開できる資金力があるのです。ちなみにカラー写真フィルムの場合には10層前後の多層同時塗布技術など高度な技術を用いて乳剤層をたった1回で塗布する技術によりコストダウンを達成しています。
技術開発には製品の付加価値を向上するための技術とコストダウンするための技術開発があり、後者も結果として付加価値を上げているのですが、技術開発センスは少し異なるものが要求されます。両方経験してみると理解できますが、技術者としてのスタートをコストダウンの技術開発を重視する会社で働けましたのは幸運でした。市場が拡大すればどのような商品でもコモディティー化するのは宿命ですので、商品開発の初めからコストダウンを前提としたプロセス開発が重要になります。それにはノウハウが必要です。
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