樹脂と油の組み合わせで生じるケミカルアタックに限定してのべる。
樹脂と油のSP値が近いと付着した油が樹脂に拡散し、可塑剤として働き弾性率の低下を引き起こしたり、成形時の歪みが残っている場合には高分子の緩和が促進され、ひどいときには内部に破壊の起点となり得るボイドが発生したりする。
油が付着していた部分に力がかかっていなければ破壊に至ることが少なくケミカルアタックに気がつかないが、応力がかかっていた場合にはケミカルアタックにより材料の破壊が生じる。これはUVや酸化により引き起こされる高分子材料の劣化とは明らかに異なる劣化現象である。
油の分子量が大きければ拡散速度も遅くなるのでケミカルアタックの問題に気がつくのが遅れる。高分子量のグリースの場合には数年後にケミカルアタックと気がつく場合もある。低分子量の場合には拡散が早いので1週間程度でケミカルアタックに気がつく。しかし低分子量の油の場合には揮発もするのでケミカルアタックに至らない場合もある。
応力がかかっていて短期間で破壊し油の付着していない場合にはケミカルアタックかそうで無いかの判別が難しい場合がある。そのような場合にはフラクトグラフィーを用いると良い。フラクトグラフィーを行い、破壊の起点が判明した場合には、ケミカルアタックで無い場合がほとんどである。作業現場で油を使っていないならば、ほぼケミカルアタックでは無い、と断言できる。
ケミカルアタックなのかコンパウンドが悪いために故障が起きたのか分からない場合がある。しかし、作業現場や装置内に油が無ければケミカルアタックは起きないので作業現場の5Sや、使用している油の管理を徹底することがケミカルアタックを防止するために重要である。
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樹脂部品にグリースなどの油成分が付着していると力学物性の劣化速度が速まる、という現象が生じる。ケミカルアタックと呼ばれる現象で、付着した油成分が樹脂内に拡散し、クレーズを発生させ靱性を低下させたり、樹脂を可塑化し弾性率を低下させるために起きる。
ケミカルアタックは樹脂と油成分とのSP値の関係で決まるので、機械油を使用する場合にはSP値が異なる材料の組み合わせを選ぶように、とその分野の教科書には書かれているが、言葉足らずである。例えば樹脂に表面処理された無機フィラーが添加されていた場合である。
本来樹脂に分散しにくい表面を持った無機フィラーを表面処理して樹脂に分散しているのだから、無機フィラーの表面のSP値に相当する性質は、樹脂のSP値から離れている。もし無機フィラーが油成分と濡れ性が良い場合には、油成分が無機フィラーと樹脂の界面に分散し、クレーズを発生させる場合がある。
油ではないが水分の場合でも物性劣化を引き起こす場合がある。例えば樹脂レンズの場合に樹脂の添加剤にわずかに親水性を有する化合物が添加されていた場合には、水分で樹脂レンズが曇りやすくなる。例えばわずかに残っている未反応の二重結合などは親水性が有るのでレンズの曇りを促進する原因になり得る。これは透過率の低下が引き起こされたケミカルアタックとして考えるべきではないか。
またわずかに残った二重結合やUVに反応しやすい化学構造がある高分子材料でブリーレイ用の対物レンズを製造するとブルーレイで高分子緩和が促進される。緩和現象は物理現象であるが、その緩和を引き起こしているのは化学構造と物理因子である。これもケミカルアタックの仲間に入れても良いように思うが、これには異論のある方が多い。しかし、高分子の主鎖そのものには劣化が生じていないが、材料には劣化と同様の現象が化学構造で引き起こされているので、ケミカルアタックとして議論されても良いように思う。
このようにケミカルアタックは高分子の主鎖の断裂が起きていない場合でも高分子材料の劣化という現象を引き起こす。やっかいなのはこのケミカルアタックという現象が揮発性の油で引き起こされている場合である。明日は樹脂と油により引き起こされるケミカルアタックに絞り説明する。
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高分子材料の劣化という問題は取り扱いが難しい。例えば加硫ゴムを室内で保存した場合には100年以上その力学物性を維持している、というデータもある。これは保存状態が良い場合である。
銀塩写真フィルムでも保存状態が良ければ100年以上その画質を維持する。保存状態が悪ければ30年前のネガでは退色が起こり、元の色など判別できない場合がある。写真フィルムの場合には見て劣化が分かるが、高分子材料の物性の場合には何らかの試験を行わない限り、劣化状態を知ることができない。
商品であれば品質の基本となる重要なスペックの劣化状態を試験して耐久性を保証する。大抵は商品の使用状態を想定した試験を行う。ここに落とし穴がある。商品に使用される材料一つ一つに関し丁寧に耐久データを一通り揃えておくべきである。手元に無ければ材料メーカーに要求すれば良い。
高分子材料の劣化というと高分子の主鎖の断裂に伴う物性変化を問題にする場合が多い。空気中の酸素や紫外線により高分子の主鎖断裂は発生し、その結果力学物性は低下する。戸外で使用される高分子材料はこの点を配慮し材料設計されている。
ところが高分子材料の劣化としてブリードアウトの問題を取り扱わない場合がある。ブリードアウトを単なる拡散現象として捉え、その対策を行うだけで済ませる場合である。確かに静的な状況ではブリードアウトは拡散現象としてシミュレーションどおりの結果が得られる。ゆえに経時変化の予測を立てやすい。
しかし、温度変化や振動など外部エネルギーが関与するときの高分子内の拡散現象は複雑になる。すなわち静的な拡散速度よりも促進される場合がある。可塑剤の場合にはブリードアウトが促進された場合にクレーズの発生原因となり、そこが破壊の起点となって高分子材料の主鎖の断裂が起きなくとも力学物性の低下が起こる。その他ケミカルアタックおよびその類似現象による劣化については明日説明する。
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労働環境が厳しさを増している、という記事が多い。WEB上にはソニーの中高年リストラの現場やユニクロの状況を問題として提起した記事がみられる。しかしこれらの記事を冷静に読むと少しおかしい、と気がつく。すなわち経済原理に基づき経営の効率化を進めるならば、当然経営側から出てくる手法であり、労働者側は働く意味をよく考え、その時に備え準備していなければならない。
ソニーについては「東京キャリアデザイン室」が問題となっている。記事を読む限り、企業で働く場所が無くなった、すなわち貢献できなくなった社員が新たな貢献する場所を見つけるために自主学習をする場所と説明されている。記事を読む限り大変恵まれた施策である。何を勉強していても、生活保護よりも多い最低の給与が保証されているのである。
かつてブリヂストンでリストラのために同様の施策が座敷牢として新聞に紹介されたことがあった。20年ほど前のバブルがはじける直前のことである。世の中がバブル景気にわいているさなかにリストラをやったので新聞で騒がれたのだろう。しかし社内では新聞ほどの騒ぎにはなっていなかった。また多くの社員も新聞のようなとらえ方をしていなかった。当方など新聞の取り上げ方を迷惑に感じていたほどである。ただし社内風土に劣化が始まっていた。
数年後とんでもない事件が起きた。子会社へ派遣されていた管理職による社長室乱入腹切り事件である。リストラにより悪化した風土の結末である。実は当方はその事件が起きる前にある事件に巻き込まれた。臥薪嘗胆死の谷を6年間歩き社外とのJVを開始するなど当方が成果をあげはじめていた時なので明らかに嫌がらせととらえ、事件の状況を上司に報告した。しかし事件として取り上げてもらえず、事件を公にした当方が会社を去ることになった。ブリヂストンの社内風土がおかしくなっている、という警鐘をならす気持ちもあった。
当方は半導体用高純度SiCや電気粘性流体の開発を担当していたので無機材料の専門家として位置づけられていた。当時バブルがはじける前で無機材料関係の会社から良いお話を幾つか頂いていたが、仕事の内容が重複しない高分子技術を担当する会社へ転職を決めた。これまでのキャリアを捨て再度勉強をし直さなければいけない不利な条件ではあったが、会社への貢献を第一義に考えた選択であった。
ブリヂストンという会社の基本的風土は創業時の伝統を大切にしているチャレンジ精神あふれる会社であり好きであった。しかし、そこで働けない状況が生じたので不利な状況でも会社を去る選択をしたのである。
企業と個人の関係には様々な考え方があるが、現在の社会のシステムではその会社で貢献できない社員は会社にとってお荷物であることを個人としてまず認識しなければならない。それを誰が決めるか、と言ったときに自己責任の視点から自分で決めるのが幸福である。
自分がどの程度会社に貢献できるのか考え、貢献度が不十分であればいずれ会社から退職勧奨がある、と考える。退職勧奨が来る前に会社から身を引く、という心がけは大会社に勤める社員ほど重要である。貢献も満足にできず会社にぶら下がって生きるのは、会社にとって迷惑であるが、ぶら下がっている本人も惨めではないか。日本の大会社の給与が半分になったとしても20年以上勤務していたなら生活保護よりも金額は多いはずで、惨めな気持ちで会社に勤めるよりも元気よく清貧な暮らしの方が実は幸せなのである。
会社で働く、とはその会社へ貢献することである。会社に貢献している人を大切にし、貢献していない人をどのように扱うかは会社の風土による。その風土がおかしくなれば信じられない事件が起きる。貢献場所を見つけるために、あるいはキャリアを磨くためにソニーのキャリアデザイン室は「社員に優しい」施策に見える。もしそれが社内風土を変質させ不幸な事件が社内に起きたならば、経営陣はその施策をとったことを反省し責任をとらなければならない。その覚悟の上での施策に思われる。
一番の問題は当事者が会社をどのようにとらえるかである。会社を辞めたいが辞めたら生活ができない、というのは政治の問題である。新しい貢献のできる場所へ移動しやすいような社会システムがまだ不足している。転職すると給与が下がるから嫌だ、というのは、大卒の就職率が100%を切っている現在の社会状況を考えたら我が儘、と思わなければならない。やや厳しい考え方かもしれないが、日本社会の変革の過渡期であることを認識し述べた。このような過渡期では中高年はどのような社会貢献ができるかを真摯に考えなければいけない。今若者の雇用を増やすことが一番大切なことである。ささやかであるが弊社もそのために頑張って新しい企画を準備中。
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会社の研修で勉強になったと感じたテーマに問題解決法がある。学校では数学や物理、化学の問題解決で演繹的推論や数学的帰納法を学んできた。実務では同様の方法をビジネスツールなどを用いて誰でもわかりやすい手順で解決し、その途中経過はプレゼンテーションの資料にもなる。
しかし不思議に思ったのは科学的方法ばかりである。科学的方法で全ての問題が解けるのか。このような疑問を持ったのは新入社員研修を終える頃である。社会科学や人文科学とすべてに科学という言葉がつく。だから科学的方法でビジネスプロセスにおける問題まですべて解ける、という説明では納得できなかった。
大学の教養課程の哲学で科学とは思想の一つに過ぎない、と習った。非科学的な思想の世界もある、ということである。科学で全てが説明できる、というのは人間の思い上がりで、科学で説明できない世界も存在する。また、人類の進化は科学的思想によるもので知性そのものについてはほとんど進化していない、とも。哲学という学問の存在意義を理解できた授業であった。
もし科学が思想の一つならば、科学的問題解決法以外に非科学的問題解決法というものも存在しうるはずで、この両者を学んで初めてあらゆる問題が解けるようになる。哲学者のイムレラカトシュは、「方法の擁護」という著書で「科学的方法で完璧に証明できるのは否定証明だけだ」と言っている。すなわち現象の肯定証明を科学的論理で全て行うことは不可能と述べている。それゆえ実験を用いて肯定的な現象を示す必要がある。実験が仮説を設定して行われる理由である。
頭のいい人が、フラッシュアイデアを聞き、すぐに否定するのは科学的に容易だからである。頭のいい人に否定されたからと言ってアイデアを捨てる必要は無い。
有機高分子と無機高分子を均一に混合して高純度SiCの前駆体を合成するアイデアを同僚に話したら、すぐに否定された。フローリーハギンスの理論を用いて説明してくれた。2年間温めていて無機材質研究所へ留学の機会ができたときに実験を行ったところ大成功で、均一で透明な有機無機ハイブリッドが合成された。それいらいフローリーハギンスの理論で説明できないアイデアを考えるのが趣味になった。
目の前の問題について科学的にとらわれすぎると当たり前のアイデアしか出てこないときがある。そのようなときに非科学的な視点でブレークスルーを行い、何度も発明を成功させてきた。しかし、最初の着眼点は否定されることが分かっていたので誰にも話すことは無かった。iPS細胞のブレークスルーも非科学的プロセスでブレークスルーが行われ、山中ファクターが発見された。そしてノーベル賞受賞である。非科学的方法を科学的ではない、と馬鹿にするのはブレークスルーの機会を逃すもったいない行為である。
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自動車用途に使用可能な材料の判断基準はコストである、と先輩社員から教えられた。今はどのように教えられているか知らないが、400円/kgは新素材の目標価格であった。
カーボンが200円/kg前後であり、当時は天然ゴムが合成ゴムよりも高く350円/kgだった。一般のタイヤは400円/kg以下の材料でできていたが、高級タイヤには1000円/kg以上の高価な新素材も採用されることもあり、何を根拠に設定されたのか分からない400円/kgという数字に悩まされた。
材料技術を職業にするつもりで社会に出たが、400円/kgの壁にぶつかった。この価格を目標に新素材を設計するのは容易ではない。新たな生産設備を揃えたならば、固定費がかさみ、新素材を設計するために選択できる原料など無くなってしまう値である。
12年間勤めた会社で、独力でこの壁を超えることができたのは、難燃剤として設計した硼酸エステルだけだった。研究開始から6ケ月で試作段階へ、その後採用された。入社して1年後提案した新規ホスファゼン誘導体ではコストが高い材料研究を行った、という理由で始末書を書かされただけにうれしかった。また、材料メーカーから依頼される新素材評価の業務とは異なる達成感を味わうことができ、その後の進路に自信を持つことができた。
自動車用材料ではコストに苦しむことになるので、電子材料分野の企画を行うことにした。半導体用高純度SiCを有機無機ハイブリッドで合成する新技術について先行投資を受け試作ラインを立ち上げたが、市場が無かったために6年近く死の谷を歩いた。最近ハイブリッド車などに使用されるインバーターにSiCが使用され始めたがこの材料は400円/kg以上の材料である。
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最近気がついたことだが、身の回りの製品に加硫ゴムが少なくなった。ゴムのような感触の材料の大半は熱可塑性エラストマー(TPE)か樹脂に動的加硫ゴムを分散した複合材料である。自動車用タイヤは今でも加硫ゴムである。しかし、子供用遊具に使われているタイヤのほとんどは、TPEである。加硫ゴムがどうかの判別は加熱してみるとわかる。
1980年前後のころはせいぜいポリウレタンエラストマーが加硫ゴムの代替であり、材料が高価だったのでそれほど普及していなかった。しかし、加硫ゴムのプロセスコストに対して容易に射出成形できるTPEは、材料の低価格化もあり、急激に普及してきた。
手元で使用しているマウスはフィット感が良く長く愛用してきたが、材料設計が未熟なTPEのため最近べとべとしてきた。可塑剤がブリードアウトして表面付近の可塑剤濃度が高くなったためである。購入したときには加硫ゴムとほとんど変わらない感触だったので加硫ゴムと信じていたが、TPEであった。だまされたような気持ちである。
加硫ゴムを製造するためには、高分子鎖どおしを橋かけしゴム弾性が出るようにしなければならず、加硫という工程が必要である。通常10分前後の加硫のために時間が必要である。TPEは、高分子鎖が樹脂とエラストマーでできており、樹脂部分が橋かけしたような効果を出してくれるので加硫しなくともゴム弾性が得られる材料である。ゆえに射出成形で加硫ゴムのような感触の製品を短時間で成形することができる。
加硫ゴムとTPEでは、室温で使用している限りあまり材料としての感触に大きな違いを感じることはない。しかし、耐摩耗や耐熱の要求される分野では、やはり加硫ゴムのほうが諸物性のバランスが優れている。先ほどのマウスの例のように長期間使用していると可塑剤がブルームして感触が大きく変わったり、変形が激しく元の形状にもどらなくなったりすることもTPEの欠点である。加硫ゴムを完全に置き換えることが可能なプロセス性に優れた材料はまだ存在しない。
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1970年代に高分子の難燃化に関する研究が進み多くの難燃化に関する専門書が出版された。そこには主だった難燃剤の難燃化機構が書かれていた。リン酸エステル系難燃剤であれば炭化促進剤としての触媒効果とか、ハロゲン系難燃剤であればラジカル補足剤や空気の遮蔽効果などが説明されていた。しかし、多くはある特定の事例からその機構を推定しておりすべての場合に当てはまるのかどうか不明であった。
実務で高分子の難燃化研究を担当したときにこの時代の専門書にはお世話になった。あれから30年経ちましたが当時の研究成果に比較しこの30年間の難燃化研究における進歩はわずかである。これは1970年代に高分子の難燃化研究がほぼ完成したためと思われる。難燃剤の実務においても当時最も高い難燃効果として知られていた三酸化アンチモンとハロゲンの組み合わせ系を凌ぐ新たに登場した難燃剤システムは、リン酸エステルと硼酸エステルを組み合わせた系ぐらいである。
ドリップを活用した難燃システムでは、難燃剤を用いなくともUL94-V2レベルを通過する処方を開発することができる。しかし、5VBレベルになると高分子の力学物性に影響が出るくらいの難燃剤を添加しなければならないのが現在の技術である。周期律表のほとんどの原子について、その難燃効果は1970年代に明らかになったが、これは単体で用いたときである。組み合わせ効果は多数あるのでこの方面の研究開発を担当されている方はチャレンジして頂きたい、と思っています。
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絶縁体高分子に導電性微粒子を分散し成形したフィルムは低周波数領域の電気特性が導電性微粒子の添加量に応じて大きく変化する。500Hz未満の周波数依存性を調べると無添加のフィルムに比較して周波数依存性が大きくなっている。そしてその変化が導電性微粒子の添加量に応じて変化している。また、この変化の仕方はパーコレーション転移とも関係している。
高周波数領域では大きな変化が生じていないのでこの変化は、導電性微粒子の電荷二重層の影響であることが想像される。この点に気がつくとマトリックスを構成している高分子との組み合わせや、添加剤の影響をうけることも推定できる。粒子の充填量が増加しクラスターを形成するようになるとそのクラスターの効果が大きく出ることも推定されパーコレーション転移との関係が見えてくる。
こうした想像は実験データを揃えてみると間違っていないことが分かってくる。そしてマトリックスの高分子をコンデンサーに見立て、導電性微粒子を抵抗で置き換え、コンデンサーと抵抗との接続モデルを組み立て数値シミュレーションを行うと実験データによくあう結果となる。このシミュレーションは2次元で行っても実験で観察される現象をうまく表現できる。これはクラスターの成長効果の影響が大きいためで、パーコレーション転移とインピーダンスの関係を見積もるシミュレーションであることに気がつく。
この導電性微粒子分散系フィルムの低周波数領域におけるインピーダンス変化が重要になってくるデバイスとしてカラーレーザープリンターやカラー多機能複写機に使用されている中間転写ベルトや帯電防止フィルムがある。しかし、これらのデバイス評価を表面比抵抗や体積固有抵抗だけの測定で済ませていないだろうか。インピーダンスと諸特性の関係を調べると今まで見えていなかった世界が見えてくる。研究開発のおもしろさである。
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愛知県沖の東部南海トラフ海域の地層で次世代エネルギー資源「メタンハイドレート」を取り出すのに成功したと、今月12日に政府から発表があったが、まもなく2週間になる。
発表では2週間安定にガスが出るかどうか実証する、とあった。途中経過だけでも報道されるかと思っていたら、2週間近く何もニュースは無かった。特にトラブルが無いためか?
メタンハイドレートはその採掘にコストがかかるという。ゆえにコストダウンが技術課題であるが、高分子の熱分解とどちらが経済的になるのか興味深い。高分子の熱分解でもメタンガスを取り出すことが可能だからである。
廃プラスチックはサーマルリサイクルが最も経済的と言われている。しかし、石油資源から作られたプラスチックスをサーマルリサイクルしていてはもったいない、ということで、分別回収し再利用が進められている。最近高分子のガス化技術の議論を聞いたことがない。
過去に高分子のガス化技術というアイデアがあったが、ガス化にエネルギーが必要で経済的ではない、という結論が出され、その後あまり議論されなくなった。しかし、バイオエネルギーなども注目され様々なエネルギーの可能性と最近の触媒技術の進歩に着目し、高分子材料の熱分解を再度検討しても良いのではないか。効率的に、エチレンやプロピレンを取り出す技術ができれば廃プラスチックスの位置づけが変わる。
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