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2013.03/22 高分子の難燃化機構

1970年代に高分子の難燃化に関する研究が進み多くの難燃化に関する専門書が出版された。そこには主だった難燃剤の難燃化機構が書かれていた。リン酸エステル系難燃剤であれば炭化促進剤としての触媒効果とか、ハロゲン系難燃剤であればラジカル補足剤や空気の遮蔽効果などが説明されていた。しかし、多くはある特定の事例からその機構を推定しておりすべての場合に当てはまるのかどうか不明であった。

 

実務で高分子の難燃化研究を担当したときにこの時代の専門書にはお世話になった。あれから30年経ちましたが当時の研究成果に比較しこの30年間の難燃化研究における進歩はわずかである。これは1970年代に高分子の難燃化研究がほぼ完成したためと思われる。難燃剤の実務においても当時最も高い難燃効果として知られていた三酸化アンチモンとハロゲンの組み合わせ系を凌ぐ新たに登場した難燃剤システムは、リン酸エステルと硼酸エステルを組み合わせた系ぐらいである。

 

ドリップを活用した難燃システムでは、難燃剤を用いなくともUL94-V2レベルを通過する処方を開発することができる。しかし、5VBレベルになると高分子の力学物性に影響が出るくらいの難燃剤を添加しなければならないのが現在の技術である。周期律表のほとんどの原子について、その難燃効果は1970年代に明らかになったが、これは単体で用いたときである。組み合わせ効果は多数あるのでこの方面の研究開発を担当されている方はチャレンジして頂きたい、と思っています。

カテゴリー : 高分子

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