昨日の試合について、あの落合氏は、ピッチャー交代のタイミングで試合が決まる、と予測していた。すなわち、どちらが勝つか分からないが、中継ぎピッチャーの投入の仕方で勝負が決まると、サンデーモーニングで解説していた。
今回の日本シリーズが面白かったのは、まったく互角のチーム力で、それぞれのエースピッチャーが1勝1敗となっている点に注目する必要がある。
オリックスは先発投手の交代時期を誤った結果負けたと言ってよいような試合内容だった。ノイジーには前日余分なホームランを打たれているのだ。もし、ここで交代していたなら流れがどうなったか分からない。
逆に岡田監督は、調子のよかった青柳投手を投球数など関係なくあっさりと交代している。その後の継投策も早め早めである。9回もアウト一つのために新たな投手を投入した。
「のど飴」対「パイン飴」の戦いと言われたが、応援もすごかった。まるで甲子園のような雰囲気だった。昨日は今年の阪神らしい勝ち方で日本一となった。
両者のファンではないが、今年の日本シリーズは面白い展開となると期待し毎日観戦したが、本当に毎日面白い試合だった。リーダーである監督の采配も選手の力量も互角であり、投手力でオリックス有利という下馬評もあったが、当方は監督の采配と流れで決まる、と予測していた。
すなわち、どちらが優勝するのか予測は難しく、その時の流れをうまくチャンスとして活かしたチームが優勝すると思い、監督の采配を学ぶために観戦した。
そして、野球もトランスサイエンス時代の研究開発も似ていることに気づいた。20世紀には科学の方法で勝利が約束されたが、トランスサイエンス時代には、科学だけに頼っていては研究開発で勝利できないのだ。
データサイエンスのような流れを読む手法を積極的に取り入れないと研究開発に勝利できない時代である。12月の無料セミナーでは、今年度弊社が外部のセミナー会社に提供してきた教材の集大成とした内容の教材を新たに作成しています。今年の日本シリーズ同様に面白い内容です。
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「由伸が2回やられるわけがない。」と、オリックス監督の勝利後の談話。立ち上がりは良くなかったが、紅林選手のホームランから調子が上がり、終わってみれば14奪三振。
さすが、日本を代表するピッチャーである。岡田監督も「1年ぐらい会えへんわ」と、敗軍の将としてさばさばした答弁だった。
第7戦までもつれ込んだ日本シリーズだが、昨日の負けで一つ残念だったのは、阪神からホームランが1本出たことだった。
実は今回の日本シリーズで昨日まで阪神から1本もホームランが出ていなかった。ゆえにもし昨日阪神がホームランではなく、ヒットだけで勝っていたなら、ホームラン無しで優勝という珍記録が生まれるところだった。
昨日ホームランの有無にかかわらず負けてしまうのなら、ホームラン無しのままの方が良かったのである。まさに、ノイズとなったホームランだった。
ノイズと言われないためには、今日の試合でもホームランをノイジーは打たなければいけない。おそらく本人もその気で今日の最終試合には臨むと思われる。
本日ホームランが飛び出すロバストが最も高い要注意のバッターである。得点圏にランナーがいるならば、監督はピッチャー交代か敬遠策の指示を出すのが賢明である。野球を良く知らない当方でも本日の試合をコンサルティングするならこのような指導をする。
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ほとんどの有機高分子は空気中で燃える。室温で燃えにくい高分子でも温度を上げればよく燃えるようになる。ちなみに400℃以上では空気中で引火しない有機高分子は存在しない。
すなわち、空気中と同じ酸素濃度で400℃以上に加熱すればどのような有機高分子でも燃える。ただし、継続燃焼できるかどうかは、有機高分子の一次構造と高次構造あるいは難燃剤の有無で変化する。
仮にうまく炭化し、継続燃焼を阻止できたとしても、450℃以上の空気中では炭化構造さえ燃えてしまう。難燃性高分子を50年近く前に研究し見出した結論であるが、かぐや姫の期待に応えられない結果にがっかりした。
難燃性高分子という言葉が使われるようになったのは1970年以降であり、それ以前は不燃性高分子の研究が真剣に行われている。
ダイヤモンドは炭素でできているが450℃程度では空気中で燃えないので、科学者は期待して不燃性高分子にチャレンジして耐熱性高分子の研究が進み、1970年末にはその総説が発表されている。
耐熱性高分子の中には、空気中で容易に着火しない構造の化合物も存在する。フェノール樹脂はその耐熱性高分子の一つであるが、製造条件により、空気中で容易に着火して継続燃焼するようなフェノール樹脂を作り出すことができる。
この事例は耐熱構造として一次構造だけでなく高次構造も重要であることを示している。フェノール樹脂は、高次構造の制御により、極限酸素指数で20前後から40前後まで変化する耐熱性高分子である。
高分子の高次構造について解析が難しかった時代の耐熱性高分子の研究は、群盲像をなでる状態に近かったのではないか。
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「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。」これは、故野村克也氏の名言として知られている。元ネタは剣術の達人の言葉らしいが、野村氏は、たびたび勝利インタビューでこの言葉を持ち出していた。
昨日の日本シリーズ阪神の勝利は、まさにこの名言にふさわしい不思議の勝ちだった。昨日の阪神の勝利は、負けていてもおかしくない不思議の勝ちである。
7回までの阪神は、攻守において小さなミスが多かった。極めつけは7回中野、森下の連続ミスで追加点を与えている。この場面で当方は阪神のこの日の負けを確信した。
ところが、である。8回裏オリックスが最強の中継ぎリレーをしたのに6失点で勝負がひっくり返っている。この場面を見ていない当方にとっては、不思議の勝ちである。
阪神ファンにとっては、山崎-宇田川WBCリレーを粉砕したのだから、見ていて痛快だったかもしれない。このように書くとオリックスファンに悪いが、そのシーンを見ていないので、両者のファンではない当方は勝手に想像し書いている。
さて、昨日は7回まで阪神が負けていてもおかしくない試合だったが、8回に何があったのか。「2番手・山崎颯は不運な内野安打に失策が絡んで無死二塁。」と書かれた記事を見つけた。オリックスにもミスが出たのだ。
阪神の方がミスが多かったのだが、オリックスのミスは大事な場面で起きただけでなく、アウエーの状態で全体の流れを変えるようなミスになった可能性がある。
実際に最強中継ぎリレーで逆転され、半泣き状態の宇田川投手をゴンザレスが慰めている写真が掲載されているので、オリックスにとっては悲惨な魔の8回となったであろうことを想像できた。
オリックスの負けは、8回の流れを変えるような失策が原因、と納得ができるが、阪神の「試合の流れを変えたパワー」の要因はどこから生まれたのか。
7回にとんでもないミスをしたルーキー森下選手の奮起にあることは間違いない。さらに、森下選手に打順が回ってきたときに、チーム全員で彼を盛り立てている様子に触れた記事もあることから、阪神の今のチームワークが勝利の要因になっていると思われる。
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来月Python入門セミナーのいくつかについて、無料セミナーを開催しようと準備している。弊社のPython入門セミナーは、他社からWEBで公開されている無料セミナーと異なり、技術者が日常使用したいプログラムを事例に講義している。
これまでパーコレーションやタグチメソッドを題材に入門セミナーを開催してきた。新たな題材で入門セミナーを準備しようと思い、本欄の読者からご希望テーマを募集します。
もし何かございましたら弊社へテーマの希望を提出していただきたい。プログラムやその他資料準備の都合もあるのでリクエストの締め切りを11月10日に設定いたします。
なお、来週には12月度の無料セミナーの予定を公開いたしますが、リクエストのための予備日も設ける予定でおります。
なお無料セミナーにつきましては、これまで開催してきましたように、テキストは有料としますが、Pythonプログラム事例も含まれます。
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樹脂の粘弾性測定を行い、温度分散のグラフを書くと、TgとTmの間に変曲点が観察される。面白いのはこの変曲点で金属に対する接着力がほとんど無くなる現象である。
この現象を知っていると、混練機の掃除が楽になる。混練実験終了後混練機のスクリューとシリンダーを清掃するためにクリーニング樹脂を流すことがお決まりであるが。
たいていは、混練した樹脂よりも低融点の専用の樹脂を使用するのだが、PPSコンパウンドの開発を行っていた時に、このクリーニング樹脂を使用せず、混練実験直後250℃前後の温度領域で清掃をしてみた。
驚くほどきれいに掃除ができたので、担当者にノウハウを指導したところ、最初は不思議そうな顔をして説明を聞いてくれた。不思議そうな顔が怪しい話を聞いている顔に変化したので、いくつか配合の異なるPPSコンパウンドのレオロジー特性を測るように命じた。
頭のいい担当者だったので、すぐに変曲点の存在に気づき、面白いコンパウンド評価法を開発してくれた。詳細をここに書けないが、この変曲点がコンパウンドの品質とも関わっていることを発見して、品質特性の評価法を作ってくれた。
この評価法は、タグチメソッドの基本機能としても使える方法に思われたので、新しく設計したPPSコンパウンドの最適化に使ってみたところ、びっくりする実験結果が得られた。
タグチメソッドではロバストを高めた条件から調整因子を用いて感度をあげる二段階手法となるのだが、ロバストと感度が相関し高くなる、という幸運な実験結果が得られている。一般に感度が高くなるとロバストは下がる傾向の実験結果となる。
18年前の実験結果であり、もう公開しても問題ないと思っているが、ここに詳細を書くにはあと2年待ちたい。これまで、だれか学会で発表するかもしれない、と期待していたが、現場で発見された現象であり、アカデミアでは気がつかない現象かもしれない。
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20世紀には、ロジカルシンキングやTRIZなど科学の手法による問題解決法のセミナーが流行した。弊社では、問題をシステムとしてとらえる新たな問題解決法を創業以来提供している。
この問題解決法については、企業の研修用として提供してきたが、来年度はこれを分割してセミナー教材としても提供することを企画している。
その中の一つにデータサイエンスを活用した問題解決法がある。データサイエンスについては、統計手法はじめ様々な手法が存在し、さらに数学の知識も要求されるので短時間のセミナーでは難しい分野である。
しかし、難しい数学についてはプログラムを配布することにより、その考え方の理解で活用できるようになる。Pythonが普及してきたのでこのプログラム配布という対策で数学の詳細説明を省略できるので1日のセミナーに手法の数々をまとめることが可能となる。
さらに、当方の40年以上の実績から事例を選択し説明するので実務に密着した問題解決法のセミナーに構成できる。ご期待していただきたい。
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今朝この欄を書いていたら、NHKニュースで農研機構で取り組んでいるお米の辞書作りという活動が紹介され、面白い試みということで書く内容を変更した。
朝のニュースのながら視聴であり、詳細は後で確認する予定でいるが、お米の味について食感も含め、4つのカテゴリーでその表現をまとめている、という内容である。
科学がうるさく言われるこの時代に、アナログ的というよりも情緒的な表現で200種類以上もあるお米について、「言葉により」分類しているという。
このニュースに耳が動いた背景は、通常このような作業では、計測器で分析なり評価を行い数値化して取り組み、何か尺度を決め、それを仕様として分類してゆく。
しかし、そのような数値に頼らず、主観的と呼びたくなるような表現でお米の特徴を表現してゆく作業は非科学的である。
TVに登場した研究者たちは、お米を試食しながら真顔でふっくらした、という平凡な表現から、草のかおりなど普段お米の味などで使わない表現を出し合い、お米の味についてまとめていた。
これ以上ここで書かないが、この作業について科学の方法を知らない人たちの作業、と感じた人は、時代遅れである。トランスサイエンスの問題では、このような取り組みでアプローチする工夫も必要であり、その結果をデータサイエンスで処理するという方法は、科学の方法と異なる問題解決の一手法である。
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構造材料分野を眺めてみると、金属とセラミックス(ガラスも含む)、高分子と3種のカテゴリの材料が存在する。そして環境問題となると高分子材料にスポットライトが当てられる。
2015年頃から脱高分子とヒステリックに叫ばれたが、昨年再生材の活用に関する法律が施行され、脱高分子から再生材技術の開発へとブームが変化し、高分子再生材がバージン材よりも高騰するような事態となっている。
10年以上前から高分子再生材の技術開発を行ってきた当方は仕事がやりにくくなった。10年前は再生材の活用が多少なりともコストダウンにつながったのだが、最近では環境対応というプレミアがつき、どちらかと言えばスペシャリティーポリマーに近い感覚になってきた。
この感覚に変化したことによりぼやきたいことはたくさんあるのだが、スペシャリティーマテリアルズの開発であれば、金属やセラミックスの技術開発を支援していた方が楽しい。
機能性高分子の開発というテーマはそれなりに面白いが、機能性セラミックスの開発ほど楽しくない。この楽しみの尺度については少し書きにくいが、金属から高分子まで研究開発を行ってきた経験から、機能性材料の開発というテーマでは、有機材料よりも無機材料のほうが楽しいと思っている。
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金属やセラミックスの破壊機構やその寿命について形式知が存在し、予測が可能だ。そしてその予測法が裁判で用いられたりしている。御巣鷹山の旅客機墜落事故でもこの成果で、墜落した飛行機が以前羽田でしりもち事故を起こしたことが原因と結論が出ている。
この裁判で用いられたのは、フラクトグラフィーと呼ばれる手法だが、高分子材料技術者でご存知の方は少ない。そもそも高分子材料の破壊について詳しい研究者も少なくなった。
ゴムについては理解しているが、樹脂については知らない、と平気で答えるアカデミアの先生もいらっしゃる。しかし、この先生は誠実である。樹脂とゴムでは異なる破壊機構となる場合があるからだ。
また、樹脂の破壊原因とゴムの破壊原因では、前者の方が考察するときに困難を伴うこともある。当方が福井大学で客員教授をしていた時に講義でこの話をしたら、留学生の聴講生が材料力学の講義でそのような説明が無かった、と不満そうな質問をしてきた。
日本の大学で材料力学や応用力学の講義をするときに破壊の話まで扱わないからだが、これは、破壊力学の考え方のパラダイムが異なるためである。
当方はゴム会社でゴムからセラミックスまで扱ってきて、社内の破壊の専門家との交流を通じ、このことを学んでいる。特に一人ゴムの破壊についてマニアと呼んでも良い研究者がいたので、樹脂補強ゴムを開発していた時に大変鍛えられた。
ゴムの破壊機構が分かっていないのに樹脂で補強した材料を開発して寿命をどのように評価するのか、と当時は大変いじめられた。しかし、このいじめがあったおかげでよく勉強できた。
金属やセラミックスの破壊については、社内の優しい破壊の専門家からご指導いただき、やはりよく勉強できた。金属やセラミックスの破壊の研究者は優しかったが、ゴムの破壊マニアの研究者にはやたらといじめられた。
おそらく、形式知が完成していない分野だったので、いじめる以外知の伝達方法が無かったのだろう。素直に自分も良く分からない、と言ってもらえればうまくコミュニケーションも取れたのだが残念である。
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