このゴールデンウィークにおける高速道路の渋滞について、ワイドショーの「ひるおび」で実況中継を展開し、批判の意見が出ている。
実際には賛否両論あるのだろうが、昔は批判意見など出なかった。ところが今回は渋滞予測の検証と謳っていた点が批判されたらしい。
これも当方は興味深く思った。かつてはたとえ渋滞予測の検証のための中継でも誰も批判しなかったのだ。むしろ科学の視点では実況中継は重要な位置づけになり、国民全員それを理解していた。
実際に車を走らせなくても観測データの取れる時代に、なぜわざわざ渋滞に加担するような中継をやるのか、という疑問が批判として出てきているのはデータがどこからでも溢れてくるとみなす時代を感じる。
さて渋滞の実況中継が良いのか悪いのか当方はあまり深く考えていないが、「観測データがどこにでもある」という情報化時代の感覚には少し心配をしている。
いくら情報化時代でもひと手間かければデータが取れるならば、自分でデータをとるのが技術者の心構えとして重要だからである。
世の中にあふれているデータでヒューリスティックに結論を見出し、自己のデータでそれを検証する作業は、いつの時代でも求められることだ。
検証しなくてもモノができてしまえば、出来上がったモノでデータを検証できる。これはアジャイル開発で行う検証である。データサイエンスによりアジャイル開発を行う時に、出来上がったモノの品質確認を行うことはいつの時代でも常識である。
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SiCの合成法については、エジソンがダイヤモンドを作ろうとして石英るつぼでカーボンを蒸し焼きにしたところSiCを製造できた話は有名である。弟子のアチソンがそれを実験してダイヤモンドに次ぐ硬さの材料を発明したので、アチソン法と呼ばれている。
また、その材料はカーボランダムと呼ばれたのだが、今も昔もこの方法が主流である。但し、アチソン法はαSiCを製造する方法で、βSiCを製造する方法はシリカ還元法だと主張する人もいる。アチソン法もシリカ還元法とみなせるので話がややこしい。
ただ、高純度SiCの製造法になると、1980年代まで経済的な方法は存在しなかった。SiCの高純度化はレイリー法で実験的に行われていた。当方が発明した前駆体を無機材質研究所で処理し高純度SiCを製造したのが世界初であり、基本特許が出願されている。
その後、けい素源となるけい素の低分子化合物とアセチレンを気相で反応させる研究が盛んに行われ、一部新日鉄で実用化されたが、コストは当方の方法よりも高かった。
ポリエチルシリケートは、大量に購入すればkgあたり1000円以下であり、高純度フェノール樹脂も低価格なので、高純度SiCは、kgあたり5000円前後で合成可能となった。大量に合成すれば価格は下がる。
この前駆体法の優れているところは、この欄で書きにくいが、ひと手間かけるとSiCウェハーの原料となることだ。ご興味のあるかたはお問い合わせください。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料
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例題2において、5年以上の開発期間におけるデータを多変量解析で整理すると、典型的なもぐらたたき状態が見えてきて、開発開始時点からコンパウンドについて何も改良がなされていないことに気がついた。
開発開始前からコンパウンドメーカーより特許出願されていたPPSの靭性改良のためにナイロンを添加した程度の進歩が成果として認められてはいたが、その結果、パーコレーションの問題を複雑にしていた。
また、ナイロンを添加しなくても、PPSを非晶質で押し出せば、ナイロンの添加されたPPSと同程度のMIT値が得られたので、この仕事を引き受けたときにはコンパウンドメーカーの特許を大した発明に思わなかった。
ちなみに、当方が担当して半年後には、PPSとナイロンを相溶させて押し出すことに成功しMIT値が10倍になるベルトが完成している。靭性が10倍まで上昇すれば、それだけで大発明である。
パーコレーションの問題をデータサイエンスで解き、その目標を実現するためには、PPSとナイロンを相溶させなければいけない、と結論が出たので、それを実行しただけだが。
その結果、力学物性と電気物性の二律背反問題を一度に高いレベルで解決できた。ただしこれは科学の方法で考えていては出せない成果だった。
コンパウンドメーカーの技術サービス部長から素人は黙っとれ、と言われたので、黙ってデータサイエンスで解析し、コンパウンドメーカーも了解した工場を建てて、歩留まりが100%となるコンパウンドを原材料や配合を変更せずに実現したのである。
あれからもう20年近く経過した。今でも生産が続いている、と風の便りに聞いているが、データサイエンスで発明した高純度SiCと、このベルトのコンパウンドの発明は、データサイエンスの力なくして得られなかった成果である。高純度SiCの事業は、その発明から40年以上続いている。
データサイエンスによる問題解決法は非科学的であるが、科学の方法では当たり前の結論しか得られなくて問題解決に苦しんでいる人は、一度試してみることをお勧めする。当たり前の方法で集めたデータにとんでもないイノベーションを引き起こすアイデアが潜んでいるかもしれないのだ。
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20世紀には、ロジカルシンキングやTRIZなどが流行ったが、TRIZやUSITは今や忘れられようとしている。理由は簡単で、科学の思考法をオブジェクト指向に似せた手順で示しただけの、当たり前の答えを導く方法だからである。
トランスサイエンス時代の問題解決法では、非科学的方法でアイデアを導くことが可能な問題解決法が求められている。弊社ではそのニーズに応えるために問題解決法のセミナーを提供している。
その中の一つにデータサイエンスによる問題解決法がある。タグチメソッド(TM)もデータサイエンスの1手法であるが、そのほかに多変量解析や機械学習の手法などがある。
多数存在するデータサイエンスの手法について、問題解決を目的に使用する時のコツを伝授するだけでなく、データサイエンスで実務の問題を解くときの注意点を経験知として提供している。
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5年以上研究開発が行われ、量産試作段階でも歩留まり10%未満の押出成形による部品があった。時折30%近く歩留まりが上がることもあったので、量産が決まったのだが、半年後には80%以上の歩留まりにしなければ、大赤字になることが予想されていた。
コンパウンドを外部の国内一流コンパウンドメーカーから購入し、押出成形を内製化しており、コンパウンドを外部から購入するサプライチェーンと配合の変更は、QMSの仕組み上不可能だった。
そのような段階でリーダー交代を引き受けた。さて、どのように問題を解決したらよいのか。このような問題では、故ドラッカーが著書に書いていたように、正しい問題を明らかにすることが重要である。
経験知から、押出成形では、コンパウンドの出来が悪ければ、絶対に良い成形体ができない、といわれているので、たとえ世界的に有名なメーカーのコンパウンドであっても出来が悪いのは明らかだった。
5年以上の開発期間で採取されたデータをデータサイエンスにより解析してみても、コンパウンドのロットばらつきが大きいことが示され(注)、コンパウンドを改良しなくてはゴールを実現できないことは明らかだった。
過去のデータを解析すると、さらに現在の配合のままでもコンパウンドの構造ばらつきを制御すれば目標の表面比抵抗を実現できることが示された。ゆえに配合処方を変更しなくても大丈夫であることは、多数のデータから確信できた。
ゆえにコンパウンドメーカーが高次構造を制御するためプロセシングを変更してくれれば、歩留まり80%以上の実現が可能と見通すことができたので、リーダーの交代を引き受けている。これはデータサイエンスの成果である。
過去データの解析以外に、プロセシングを変更した時のコンパウンドについてその高次構造も含めたゴールを明確にする必要があった。さて、どうしたらよいか?これもやはりデータサイエンスで解答を導くことが可能であり、データサイエンスによる問題解決法のセミナーでその手法を公開している。
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(注)単相関で眺めていても気がつかない問題だった。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
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物理と化学は、理科の科目として高校では別々に学習する。その共通言語的位置づけとして数学がある。大学の教養部2年間ではこの境界領域の学問である物理化学を学ぶことになる。
面白いのは、化学が錬金術師を祖とし、物理はニュートン力学を祖として高校で学んだことある。ニュートン以前の物理学者の話も授業で出てきたが、マッハによればニュートンでさえ非科学的な研究を行っていたとされている。
教育指導要領がどうなっているのか知らないが、高校ではニュートン力学の知を科学として学ぶ。少なくとも当方はそのように高校で習った。
化学では錬金術師の話が出てきた。数学では指導要領外だが、とただし書きがついてユークリッド幾何学を教師手製の特別テキストで学んでいる。
マッハにより非科学の知と指摘されたニュートン力学を高校で科学として学ぶ問題と、教育指導要領外のユークリッド幾何学を3か月も授業時間を割き学ぶ問題、錬金術師の功績まで授業で学ぶ問題など、やたら問題の多い高校だった。
これらの問題があったにもかかわらず、大学の教養課程のレベルと高校3年間の学習レベルに大きな差を感じることなく課外学習の時間が多くても良好な成績が得られたのは、工夫された高校の授業のおかげと感謝している。
量子力学あるいは量子化学の授業のように高校のレベルをはるかに超えるように感じた科目もあったが、教養部の二年間でこれらを学んでも、高校生の時のように能力が上がったという実感は無かった。
やはり、中学校の理科が高校において物理と化学、生物、地学に分かれたレベルアップが高校から大学教養部へレベルアップした段差よりも高いような気がしている。
高校では、科学教育を受けていたはずなのだが、生物や化学の科目と地学や物理学の科目に微妙な頭の働かせ方の差を感じている。容易に100点近い点を取れる科目とうっかりすると50点などというひどい点になってしまう科目との違いと表現すると分かりやすいかもしれない。
生物と化学はパラダイムが似ていたようで試験前の勉強は容易だったが、地学は物理学と似ていて試験前の勉強を化学同様に行ったところ散々なテスト結果だった。両方得意の友人を羨ましく思ったりもした。
この同じ科学の科目であるにもかかわらず、高校教育における物理と化学のパラダイムの違いに早く気がついたことが、科学論への興味につながっている。
ドラッカー以外にマッハ力学史や科学と芸術など科学論に関する書物を高校時代に数冊読んだが、この経験から、社会人になるまであるいは大学の教養課程までに最低1冊は科学論の分厚い本を技術者は読んでおくと社会に出てから科学の知識を活かしやすい、と思っている。
理科系の科目すべてを好きだったが、何故化学系の仕事についたのか、この疑問を解くカギが高校時代の物理と化学に対する無意識の姿勢の違いにあり、科学論はそれを気づかせてくれた。
科学論といっても科学ジャーナリストが書いているような薄っぺらな内容は気づきにつながらない。日本の大学の先生が書かれた科学論には、受け売り的な駄作もあるが科学ジャーナリストよりましである。
科学論を多数読むと、科学という哲学の理解が進み、高校の物理と化学にパラダイムの差があることに気がつく。そしてこの二種類の分野の知を人類がどのように深めてきたのかその過程を想像でき面白い。
日本では科学教育を基本としているので、教育指導要領に厳密に従う高校では、この差がほとんどないのかもしれないが、当方の高校時代の思い出では、日本史や世界史、倫理社会も含め少し怪しい授業が多かった。
ただ、大学で物理を力学と電磁気学に分けて学び、高校で科学に忠実に従い物理や化学を指導する難しさに気がついた。興味深いのは科学的に怪しい物理や化学、ユークリッド幾何学まで教えてもらえた授業のおかげで力学や電磁気学の「科学」的理解が容易だった、と感じていることである。
データサイエンスを技術者が実務で活かそうとしたとき、例えばタグチメソッドを実務に導入しようとしたときに、どことなくアレルギーを感じたりするのは、この物理と化学の違いの感覚に近いように思う。早めに科学以外の問題解決法のパラダイムの存在に気がついておれば社会に出てからひどいアレルギーに悩まなくて済むように思っている。
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ゴールデンウィークにデータサイエンスの勉強をされてはいかがでしょうか。行楽地に行けば渋滞で悩まされるだけでなく、コロナ感染するリスクも上がる。
しかし、データサイエンスのWEBセミナーに参加すれば、どこかへ遊びに行くほどの費用が必要なく、またコロナ感染リスクは無くなる。
弊社のWEBセミナーで勉強後、弊社のサイトで公開されている主成分分析あるいは重回帰分析のプログラムで遊んでみるとデータサイエンスによる問題解決法が身につく。
DXの進展で、技術者は問題解決の一つの手段としてデータサイエンスを自由に使いこなせるスキルが常識となった。おそらく2017年度に新設されたデータサイエンスの講座卒業生が配属された職場もあるかもしれない。
ところがデータサイエンスのスキルは、個々が身に着けていてこそその企業のパワーになるのだ。その理由をこの3年間のコロナ患者数シミュレーションを見てきて学んだはずである。
訳も分からず専門家がシミュレートした数値に、ただおびえていた人もいたのではないか。各技術者が自分の目の前に出現した問題について自分でデータサイエンスのスキルを用いて問題解決するのが理想の状態である。
先日の例題のような問題は、スキルを身に着ければ簡単にできるのだ。科学的に完璧な解でなくても問題解決しなければいけないシーンは実務で多いはずだ。そのようなときに例題の手法を応用できる。
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タグチメソッド(TM)は最も普及しているデータサイエンスの手法の一つである。このパラダイムについて考えたことがあるだろうか。
TMには、データサイエンスを用いて問題解決するプロセスが完備されている。パラダイムを考える代わりに、この手順を言葉で書いてみると、データサイエンスで問題解決する手法が科学の方法と少し異なることに気がつく。
そして、制御因子の最適条件について確認実験を行い利得を求める理由も見えてくる。TMの指導者が気がついているかどうか知らないが、TMはデータサイエンスを使って問題を解くプロセスを科学に近づけたメソッドである。
田口先生がTMを技術の手法である、とこだわっておられた理由をTMのパラダイムを考えることにより、気づくことができる。そしてこれに気づくと、科学以外の技術開発の手法があり、データサイエンスというものがどのような学問なのか学ぶことができる。
AIによる機械学習だけがデータサイエンスと考えている人は、データサイエンスが統計科学として発展していた歴史を学んでいただきたい。古くは数理モデルで現象を解いていた時代までさかのぼる。
例えば、パーコレーションという現象について1950年代に数学者たちが研究を始めた。そして材料のレオロジー的性質をダッシュポットとバネのモデルで研究する時代もあった。
マテリアルズインフォマティクスは、アカデミアから登場しているが、ぼやぼやしているとダッシュポットとバネのモデルと同じ運命をたどることになる。
当方はその悲惨な運命を見てきたのでこうして警告しているが、データサイエンスについてその歴史的背景を理解したうえで、指導者は行動しなければいけない。
弊社はこのようなことを考えて、このゴールデンウィークにデータサイエンスのセミナーを開講している。データサイエンスとは何か、それを知ったうえで(この時気づきが必ずある)、学ばなけれ技術開発への応用が難しくなる。
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先日の例題では、量産試作段階に収集した20個ほどのデータと研究開発期間に収集されたデータが存在する。しかし、いわゆる数万、数十万のビッグデータではない。
そして、問題を考えるときには量産試作段階の20個のデータから結論を出すことになる。それでもデータサイエンスで問題の糸口が見つかるのだ。
すなわち、この問題を考えるために、まずデータサイエンスとはどのような学問か、という知識と、その知識を実務の問題に応用するときのスキルを身につけなければいけない。
ここで、データサイエンスの知識と書いているが、データサイエンティストになるぐらいの知識まで必要ではない。どの手法でこの問題を解くのかが分かればよい。
それは、データ処理するためのPythonはじめプログラム環境が整っているので、ほとんどの問題は高度な知識無くヒューリスティックな解として得ることができる。完璧な解決でなくてもよいのだ。
ちなみにデータサイエンティストでさえ実務の問題をデータサイエンスだけで科学的に完璧な解とすることは困難ということを知っておいてほしい。
次にデータサイエンスから選ばれた手法を適用するときには、それはソフトウェアースキルとなる。スキルなので例題に多数接し身に着けることが可能である。しかし、弊社のセミナーを受講して要領よくコツをまとめたものを覚えるだけでも身につく。
すなわち、データサイエンスを用いる問題解決法として整理された知識を身に着けるだけでよい。データサイエンスによる問題解決法のセミナーでは、データサイエンスという学問の概略と問題解決法をまとめたもので、事例とともに解説する。
ゆえにデータサイエンスを全く知らない素人でも以上の学習が可能である。さらに電子ブックの形式でテキストを提供するので、新たな情報を弊社で追加することが可能で、受講者は常に改定された新たな内容のテキストで復習できる。
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データサイエンスの手法は統計手法からシミュレーション、機械学習など多岐にわたる。実務ですぐに使いたいと思ったときに、現在市販されている書籍に適当なものが無いのが実情だ。
データサイエンスの学問を学ぶための教科書は多いが、実務にどのように応用するのかという視点で書かれた教科書は皆無である。
すなわち、実務の現場で問題が発生したがデータがあり、現場があるのだが、そこで発生してる問題が正しい問題であるのか明確ではない場合とか、正しい問題を把握したのだが、対策のヒントが欲しいとか思ったときに、データサイエンスは有効である。
しかし、市販されている書籍にそのような場合どのような手法を選んだらよいのか、また解析結果を現場に照らし合わせながらどのように考察するのかといった解説をしている書籍は無い。
実はデータサイエンスを実務の問題解決に応用したいときに市販されている本を頼る行動は、泥棒を「見つけてから」縄をなうようなものである。すなわち、泥棒を捕まえることすらできないのだ。
データサイエンスで問題解決する、という視点では、データサイエンスの無料プログラムを用意し、それでデータ解析できるので、解析ノウハウを学ぶだけでも実務に応用可能である。
弊社の提供予定のデータサイエンスのセミナーはここに焦点をしぼり、事例を中心に解説している。ゴールデンウィークに特別価格で毎日開催予定ですので弊社へお問い合わせください。参加者1名でも開催します。
5/7まで毎日開催していますので、希望者は10000円で複数回の参加も可能です。お申し込みの際に申し出てください。事例中心に解説を行いますので、データサイエンスを問題解決で活用するノウハウを理解しやすいと考えています。
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