ゴム会社では、アカデミアよりもアカデミックな研究所に配属されたが、幸運だったのは、最初の指導社員が技術と科学のバランス感覚に優れ、化学を学びたいという意欲に燃えた物理学者だったことだ。
指導社員は研究熱心なだけでなく、勉強も欠かさず習慣としていた人で、その姿勢は当方の技術者人生のモデルであり目標となった。
日本では技術者が成果を出しても高く評価しないどころか昇進を遅らせる会社もあるので注意する必要がある。さらに人の成果を盗む人も企業にはおり、盗むだけでなく妨害を行うことも黙認する企業もある。
会社というのは一つの社会なので善人もおれば悪人もいる。ただ人間社会には法律があり、それを遵守できるよう警察や裁判所があるのだが、会社にはこれらの機能は無く、被害者が泣き寝入りすることになる。
不幸な結果として自殺者が出て初めて社会問題として取り上げられる事態になるので、会社の中で悪人と仕事をしなければいけなくなった時に厄介である。
当方がこの欄でFDを壊された体験談を書くのは、自殺に至るような状況で当方は生きる道を選び転職していることを同様の問題で悩んでいる人に知らせたいからだ。
事件及びその後のおぞましい出来事については証拠を今でも保管しているので、企業における不幸な体験としていつか書籍にしたいと思っている。逃げたわけではない。ただし、このような内容の書籍は、社会的影響が大きいので安直に執筆できない。
科学だけでなく人間としての成長も重要である。STAP細胞事件について書かれた「あの日」を読んだが、事実と思われてもその事実が歪んで読者に伝わってしまう表現である。この原因は、組織活動について知識が乏しい著者の手によるものと推定している。
すなわち組織活動の視点で、業務姿勢その他に疑問がわく表現が多い。当方が自分のFD事件の体験記を書くときには、組織の問題も含め、科学と技術の視点からも事件を眺めたいと考えている。
例えば、犯人はデータサイエンスで電気粘性流体の耐久性問題を解決した当方の実験結果を非難している。それだけではない。
退職するときに参考のために見せてもらった耐久性問題の彼らによる報告書では完璧な否定証明が展開されていた。科学的に完璧な否定証明が成された現象に対して、データサイエンスで解決策を導いた当方の仕事の仕方が間違っているとまで言われたのである。
データサイエンスのセミナーでは、MZ80Kが出力しLOTUS123で徹夜でまとめた当時のデータをそのまま使って説明している。自宅で会社のデータ整理を要求するなど過重労働前提の指示が当然だった時代である。
少し話がそれたが、配合設計もこの脱線した話に近い。知識の量やモノの見方、人生体験も含めその技術に反映される。配合設計を簡単だと少しでも感じた人がいたら、それは誤った判断だと指摘しておきたい。
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わかりやすく表現すると、技術者の数と同じくらい配合設計の考え方があると思っていただきたい。配合設計ではコンセプトが重要であり、そのコンセプトは技術者の経験知に影響を受ける。
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配合設計をデータサイエンスで行い、Pythonで機械学習させながら実験を行う。実験結果の整理は、適切なグラフがいくつか提示されて考察する技術者の姿は、DXの進む時代の常識となるのか。
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WINDOWS環境で、ただ計算あるいはシミュレーションの目的でプログラミングするにはPythonは極めて手軽であり、すでにエクセル並みに普及しているという。
30年前Pythonが発表されてから2003年と2017年ごろにPythonの普及状態をチェックしたが、このスピードはDXの驚異現象といえる。
高純度SiCを開発した時の進歩よりも格段に速い。それでは今の技術者のニーズは、と思いを巡らせるとPythonでプログラミングする時のユーザーインターフェースの作成に思いが至る。
MS-DOS時代ならばともかく、WINDOWS環境でソフトウェアを使い慣れるとUIを工夫したくなる。途端にPythonの開発環境が貧弱に見えてくる。
UIの作成にはPythonよりもC#あるいはVisualBASICが便利である。また、これらの言語では、Pythonを呼び出すメソッドも用意されている。
この時アナコンダ環境でインストールされたPythonでは少し工夫が必要となる。なぜなら仮想環境で動作させなければいけないからだが、これがPFAからダウンロードしインストールしたPythonならばC#で容易にPythonを呼び出せる。
Pythonをマスターしたら、次はC#をマスターしたい。Pythonを呼び出すことはVBでもできるが、VBよりもC#の方が言語の設計が洗練されている。また、VBでできることはC#に類似のクラスが用意されているのでC#でもできる。
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ホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームの研究は学位論文に掲載されている。ここでは燃焼時の熱で、ホウ酸エステルとリン酸エステルが反応してボロンホスフェートの得られることが示されている。
学位論文なので科学的な分析結果を用いて掲載しているが、それ以外に重回帰分析結果もそえて解説している。今ならば、偏回帰係数の考察からでも科学論文として成立する時代かもしれない。
ホウ酸エステルは難燃効果が小さい。LOIが18.5の軟質ポリウレタンフォームを19に改善する程度なので、ほとんど機能効果が無い、と言っても良いかもしれない。
ところがリン酸エステルと組み合わせると、LOIに対してリン原子と同等の寄与率までその機能効果は上昇する。これは、単相関では明らかにできず、重回帰分析で得られる偏回帰係数の考察を行い初めて明らかとなる。
このことから、燃焼時にホウ酸エステルが積極的にリン原子に働きかけて難燃効果を発揮していることを理解できる。ゴム会社の研究所ではこのような考察では馬鹿にされたので、熱分析装置やIRなどを駆使して燃焼時の現象を動的に解析している。
そして燃焼時にボロンホスフェートが生成すること、またそれによりリン酸エステルからオルソリン酸となって揮発するリン単位が無くなることなどが実証された。
アカデミアよりもアカデミックな研究所だったので多変量解析の結果には誰も関心を示さなかったが、この燃焼時における動的解析結果には高い評価をしていただけた。
しかし、これらの研究がたった6か月間で行われていること、工場試作まで成功し実用化されていることなどが分からなければ、データサイエンスのありがたみが見えてこないと思う。
科学の研究アイデアを練る時にも現象についてデータサイエンスによる理解は時間短縮のために必要である。ああだこうだ、と議論を重ねるのも必要だが、時として電気粘性流体の耐久性問題で経験したように群盲像をなでるようなことになりかねない。
しかしデータサイエンスで科学的に現象のデータを整理して得られた考察は、十分に科学的だと信じてきた。科学と非科学の境界が動き、ようやくそれが許される時代になった。
禁教令のあった江戸時代の隠れキリシタンのような気分でいたゴム会社の研究員時代を懐かしく思い出した。このような仕事のやり方を進めていたらFDを壊されるなど実害が顕著になったので写真会社へ転職している。
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「配合と物性の関係」についてご質問を頂いた。しかし、詳細は別途ご相談させていただきたい。なぜなら当方のコンサルティング内容にかかわるからである。
マテリアルインフォマティクス(MI)でAIを設計する時にもこのあたりの知見は重要であり、無料で話せる内容は限られる。
中国ナノポリスの研究所ではカオス混合装置が稼働している。ここで退職後カオス混合装置の効果を検討してきたのだが、当初考えていなかった現象も起きているので勉強になった。
早い話が、混練技術についてはまだまだ開発の余地があるということだ。特に二軸混練機の取り扱いについては注意が必要で、現在市販されているどのような二軸混練機を使用しても当方の発明したカオス混合装置が取り付けられていなければ、到達できないレベルが存在するということが分かった。
当方の執筆した混練の本にも少しそのようなことを書いているが、8年間実験してきてデータが蓄積された結果の結論である。
もちろんカオス混合装置が取り付けられていても、二軸混練機の混練条件が悪ければ、カオス混合装置内で十分な混練効果が得られないこともある。だからカオス混合装置が万能とは言わないが、カオス混合装置が取り付けられた二軸混練機では、取り付ける前より混練が進むのは確実である。
さて、配合と物性が1:1に対応していないことを先日紹介している。これは、配合成分の一次構造よりも高分子の高次構造のほうが物性への寄与率が高いためである。
また、配合と力学物性が1:1で対応しても電気特性が対応しないこともありうる。例えば、電子機器にPPS材料の適用が多くなったが、カオス混合の有無で配合と力学物性が1:1で対応するが、配合が同一でも電気特性が異なるPPSコンパウンドが存在する。
特に絶縁耐圧が大きく異なるので面白い。これは以前当方のセミナーでもナノポリスにおける成果としてデータを紹介しているが、カオス混合を行うと耐トラッキング性能が100V以上向上する。この向上効果は二軸混練機にも依存する。
なぜ二軸混練機に依存することが分かったのかは想像していただきたいが、カオス混合装置を取り付けなければ耐トラッキング特性が品質規格のボーダーラインとなるが(射出成形体の歩留まりに影響する)カオス混合装置を取り付けると品質が向上するので、射出成形体の歩留まりが上がる。本日はこれ以上書かない。
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ホスファゼン変性軟質ポリウレタンフォームの工場試作に成功した時に高分子の難燃性を支配している因子について配合データと難燃性データから多変量解析を用いてい整理している。
その時に、残渣分析結果からホスファゼンが他のリン系化合物と異なる難燃化挙動をとっていることがあぶりだされた。
これは重回帰分析の結果だが、そこで実際にポリウレタンフォームの燃焼後の残渣を分析したところ、ホスファゼンで変性されたポリウレタンフォームの燃焼後の残渣だけにリン成分が見出された。
さらに驚くべき結果はP=N骨格が残っていたのだ。他のリン系難燃剤でリンが0.2%以上残っているサンプルを見出すことができなかった。0.2%という数値は分析限界から得られた数値なので、燃焼後にリン成分が残っていないと考えてもよさそうだ、という結論を当時出している。
このようなことは単相関のグラフからでも導くことが可能だが、他の難燃性の機能を付与する成分とどの程度異なるのかは、多変量解析では一発で得られるので、問題を考えるときにアイデアに結びつきやすい。
この時すぐに燃焼時に無機高分子を生成するリン化合物で難燃化機能を設計すればホスファゼン同様の高い難燃効果が得られる、というアイデアまでたどり着いている。
そして、ホウ酸エステルとリン酸エステルとを組み合わせて燃焼時の熱でガラスを生成して高分子を難燃化する手法のアイデアを企画としてまとめている。
この企画の実験では、動的に燃焼状態を観察するための工夫をいろいろ行い、一般のリン酸エステル系難燃剤では燃焼時にオルソリン酸が生成して系外へリン単位が揮発している現象が「科学的に」見出されている。
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材料の配合とそれにより製造された成形体の機能が1:1に対応していると誤解している技術者や研究者は多い。
国家プロジェクトの紹介をしているホームページにもこの誤解による説明が書かれたりしており、日本の将来の科学技術を心配する声が最近聞かれたりしているが、すでにそれが始まっていることに気づかされる。
国民の税金が使われているようなプロジェクトの説明でこのような誤解を見つけると税金の無駄使いと感じるのは当方だけだろうか。
さて、配合とそれにより作られた成形体の物性とが1:1に対応していない事例は、無機材料でも有機材料でも存在し、その原因は、プロセスの寄与を無視できないからだ。
この理由ゆえに、マテリアルインフォマティクス(MI)を行う時に注意を要する。深層学習では各ニューロンとの間で重みづけを行いデータマイニングを繰り返すことでこの値が変化してゆく。
プロセス因子の全く入っていないデータで学習させられたAIでは、学習のたびにいつまでも重みづけが変化することも予想される。
プロセス要因は配合因子よりも小さいからそのようなことは起きない、という意見を聞いてさらに材料科学の現状を心配になった。プロセス要因が配合因子より大きいのか小さいのかはいまだ不明であり、高分子材料については全く無視できない。
無機材料と有機材料の両者を研究してきて高分子材料研究の難しさは、このプロセス要因により現象が大きく変動するためとさえ感じている。
例えば、PPS/6ナイロン/カーボンの配合では、プロセスが異なると全く異なる高次構造のコンパウンドが得られる。そしてこれらのコンパウンドで押出成形をおこなうと力学物性も電気物性も異なる半導体ベルトが得られる。
PET/PEN/その他の高分子という配合でも同様にプロセス因子が変動すると異なる高次構造となり、その成形体の力学物性は配合が同一でも変化する。
すなわち、高分子材料の成形体の物性は、配合因子だけで決まらず、プロセス因子の影響を受ける。これは、その材料の成形体の高次構造と物性との相関が強く表れるためで、高次構造は配合因子とプロセス因子の両方の影響を受け、その寄与率あるいは重みはよくわかっていない場合が多い。
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昨日現代のAIがプログラミングされたものであることを書いた。そして現在話題となっている深層学習(ディープラーニング)は、無料提供されているPythonの豊富なモジュールの存在ゆえにブームとなっている。
深層学習はじめ機械学習にデータサイエンスの知識は欠かせないが、豊富な無料モジュールのおかげで誰でも容易にデータサイエンスできる。ところが、このデータサイエンスの知識を正しく習得すると実験のやり方が変わる。
20世紀における研究開発では、科学に基づく実験のやり方が推奨された。1979年にゴム会社研究所に配属された小生は、タイヤ部門で使われ始めたデータサイエンスの手法を研究所で積極的に使っていたら周囲から非科学的と批判されることになる。
FDを壊されるなど異常事態になったので、住友金属工業との高純度SiC半導体治工具事業がJVとして立ち上がった1991年にセラミックスのキャリアを捨て、写真会社へ転職している。ちょうどそのころ故田口玄一先生が日本でタグチメソッドの普及に力を入れておられた時である。
写真会社でタグチメソッドを導入することになり、田口先生から3年間直接ご指導を受ける機会に恵まれた。そして、タグチメソッドは統計手法ではなく、また科学とは異なる研究開発手法であることを田口先生との議論から学んでいる。
ゴム会社では、多変量解析やシミュレーション技術をどのように研究開発に生かすのか研究してきたが、タグチメソッドに出会い、これらの体系を整えることができた。
すなわち、データサイエンスについて学ぶと科学とは異なる実験方法、すなわち機能を中心とした実験方法を行えるようになる。これは科学とは異なる視点の実験が可能となることを意味し、一番重要なポイントは否定証明をしなくなるということである。
イムレラカトシュが「方法の擁護」で指摘しているように、科学の方法に忠実になると完璧な否定証明を目指すことになる。STAP細胞の騒動が起きたときに理研では否定証明を行っているが、その後ドイツでSTAP現象が再発見されている。
企業の研究開発を科学の方法だけで進めるとモノができない、と一部で言われていた理由はこの否定証明の存在ゆえだが、データサイエンスを学ぶとその方法と異なる視点、すなわちロバストの高い機能を実現しようと実験するので、必ずモノができる研究開発を行うことができる。
燃焼時の熱でガラスを生成させてポリウレタンを難燃化する技術や、その技術を発展させたフェノール樹脂天井材の開発、高純度SiCの半導体治工具事業、電気粘性流体の耐久性改良、高性能電気粘性流体用傾斜機能粉体などゴム会社における技術開発をすべて成功させることができたのは、データサイエンスに基づく実験方法のおかげである。また、写真会社ではタグチメソッドにより多数の成果をあげることができたが、パーコレーションのシミュレーションを発展させたWパーコレーションの考え方による半導体無端ベルトの開発やリサイクルPETボトルを活用した再生樹脂は、科学の実験方法では生み出せない技術である。
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チェスのAIと人間が対戦してAIが勝つとAIが人間を超えたとニュースになる。また、今企業では深層学習が普及し始め、例えば製品開発にその成果を用いたりしている。
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この時のAIにしろチェスのAIにしろオブジェクト指向の言語でプログラミングされている。かつてオブジェクト指向の次はエージェント指向の言語と騒がれ、それが活躍する映画「マトリックス」が放映された。
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しかし、派手なワイアーアクションに目を奪われ、映画の世界観を理解できなかった人も多いのではないか。多数のエージェントがターゲットに対し、連携しながら働きかけるその動きは、まさにオブジェクト指向の次に期待されている言語の姿であった。
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しかし、まだその言語ができたとの発表は無いので、現在活躍しているAIはオブジェクト指向でプログラミングされているはずだ。
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例えばPythonの機械学習に関する各種モジュールの一部は、C++で書かれていると告知されている。すなわち、人間がある一定のルールをプログラミングして動いている人工知能もどきのことをAIと呼んでいるのである。
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この意味で、まだAIは人間を超えていない。ただし人間は年をとればメモリーの劣化やその動作が極端に遅くなる。
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これらの心配がないだけでも現代のAIでも優れているといえる。ところが、これでは人間のヒューリスティックなアイデア創出あるいは第六感を備えたAIなど出てこないだろう。
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今行われている深層学習では、事象の間に何らかのつながりが存在することを前提としており、人間の第六感のように、つながりの無かった新たな事象を持ち出し、それを目の前の問題との重みづけをするなんてことは不可能である。
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おもしろいのは、人間は年を重ねることにより悟りが得られる。それにより、この第六感はさらなる進化をする。AIの時代に年を取ってみて感じるのは、現代の技術の延長線上のAIでは、せいぜいゲームで活躍できるAIしか生まれないのではないかという懸念である。
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換言すれば、現代のAIを使用したMIにより人間の想像を超えた新素材は生まれない、と断言できる。だからAIを使うデータマイニングよりも人間の頭を併用したデータマイニングの方が優れた結果が得られるはずだ。弊社は、先端のMIをはじめとしたデータサイエンスの手法とそれらも指導している。
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今どれだけの企業で機械学習が導入されているのだろうか。恐らく大企業ではすでに導入が完了し、若い技術者が普通にデータ解析を行っている周りで、理解できない中高年がうろうろしている風景が見られるのか。
かつて「花王のパソコン革命」が大ベストセラーになり、パソコンの普及が始まった時、まだその速度は緩やかだった。しかし、MS-DOSが普及し、一太郎が会議資料作成の標準ツールとなり、ロータス123やフリーランスが普及し始めた頃からデジタルによる職場の分断が始まった。
そのころ、当方は多変量解析はじめ統計手法を使い、現在常識となった機械学習と同様の方法で業務を遂行していたが、それが研究所という職場ゆえに科学ではないと批判されたのである。批判だけでなくFDを壊されたりする業務妨害まで受けている。
データサイエンスを用いた業務の遂行方法、具体的に実験のやり方は、科学の方法、すなわち仮説設定による方法とは異なる。それゆえ異端とされたのだ。
この10年のDXの進展はすさまじく、学校教育でもプログラミング教育がようやく導入された。プログラミング教育は、日本で熱狂的に信奉された科学という哲学による問題解決法とは異なる方法論を教育することになるので教育現場でやはり混乱が始まっている。
日常の問題解決に科学の方法論は常識であり、現代文明は科学の成果とまで言う人がいるが、科学誕生以前でも技術開発はそれなりのロジックで人類により営まれてきたのである。
学校教育では戦前ユークリッド幾何学の教育を行いながらも戦後はそれを廃止してしまったが、ユークリッド幾何学は科学と非科学をつなぐ言語のような立ち位置にあった。
統計は科学の一分野でありながら、それを適用したロジックが非科学として扱われるような時代があった。多変量解析にしても最初に普及したのは人文科学系であって技術分野では1990年ごろでもあまり普及していなかった。
しかし、さすが技術のニッサンで、1980年代に多変量解析のセミナー講師がいた。多変量解析をMZ80Kで使い始めた当方は、このセミナーが大変役立ったが、出張報告は職場内で評価されなかった。
このような体験があるので、現在のPythonの普及スピードや機械学習の普及、アカデミアにおけるMIなど科学と非科学の境界がベルリンの壁崩壊のような出来事として見えている。
もし、いまだPythonについてその意味を理解できていない企業は弊社にご相談ください。機械学習の導入はじめ業務のイノベーションを進めるお手伝いをいたします。40年以上多変量解析はじめ統計手法やタグチメソッドを使用してきた経験からわかりやすくご指導いたします。
また、深層学習までできるのだが、どうもすっきりしない、という技術者もご相談ください。例えば、材料技術者であれば、科学のせいで染みついた問題点を当方の実体験のデータを示し、すっきりできるようにいたします。今弊社で行っているセミナーはその一つです。
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C#はオブジェクト指向の洗練されたコンピューター言語である。C++のようなbetterC的なところは無いので、Cから直接C#を使う若い人にはとっつきにくいかもしれない。
しかし、C++から移行すると、もやもや感が晴れたような錯覚になる。ただし、ある種の禁欲に伴う厳しさを感じる人もいるかもしれない。
C#のプログラミングでは、オブジェクトの切った、張った的な手順でプログラㇺをコーディングするので、ただひたすらマニュアルから必要なオブジェクトを探し出す作業がプログラミングの中心になる。
C++の初期には、C++で書かれたプログラムをCに一度コンパイルしていた時代があったが、その時にはCで記述できる要素が残っていた。
ゆえにオブジェクト指向プログラミングへの移行がC++では障害なくできた。面白いのはPythonである。C#のようにオブジェクト指向的にプログラミングが可能なだけでなく、CやBASICのように手続き型でもプログラミングが可能である。そしてスクリプト言語なのでCやBASICよりも手軽である。
Pythonのこのある種いいかげんさは、C++のbetterC的感覚とは少し異なる。このいいかげんさゆえに手軽であり、誰でも気軽に使えるコンピューター言語として30年間生き残ってきたのだろう。最近C#をほとんど使わなくなった。
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