情報化時代でも正しく評価できなければ、伝承されない技術があるという話。
PPSという材料は、ようやく普及期に入ったエンプラである。国内ではそれでもコモディティー化していない。リニアタイプPPSは2000円前後の価格で推移している。
これは寡占状態のためであるが、今中国では安価なPPSが流通している。架橋型では1000円前後のPPSも存在し、リニア型でも安い品種は1500円以下である。
中国製PPSが日本製よりも品質が低いのかと言うとそうではない。コンパウンド状態で比較すると、中国製のPPSコンパウンドが日本製よりも品質が高かったりする。
PPSの合成はそれほど難しい技術ではないので中国でも簡単に量産技術が確立されたのだが、コンパウンド技術になると合成技術よりも難易度が高く、コンパウンドメーカーによりレベル差が生じる。
PPSのコンパウンディングの難しさについては、この欄で紹介している15年以上前の当方の体験談で理解していただけると思う。すなわち半導体無端ベルトの押出成形用コンパウンド開発の話である。
押出成形で歩留まりを10%以上に上げられないので6年間国内一流コンパウンドメーカーと共同開発してきた前任者が当方に、リーダーの席を交代してくれと言ってきた話である。
さて、15年前一流コンパウンドメーカーの技術者に押出成形ではコンパウンドの出来不出来の影響が大きいから、当方の提案のように改良してくれ、と頼んだら難色を示された。
それで、仕方なく当方は中古混練機を買い集め頭に描いた技術でコンパウンディングを行い、成形歩留まり100%を実現できるコンパウンドを3か月で開発している。
それゆえ十分に製品化まで間に合ったのだが、この時の当方の技術について国内では知られていない。その結果、国内のPPSコンパウンド技術は、ほとんど進歩していない。
ちなみに、この時は瞬間芸的に技術が開発されたのであり、研究時間も無かった。それゆえ退職までブラックボックスどこらか、その中身も空っぽだった。ある意味、モノだけできたのだがどうしてできたのかわからない状態で退職している(注)
ところが退職前に某大学の副学長から学会賞の推薦を受けたので、あわてて当方の仮説も含めプレゼンテーションしたら、その審査会で非科学技術を理由に落とされた。
たまたま、部下に中国人がいて、国内で評価されないならば、中国ナノポリスで研究を続けたらと当方に提案してくれた。それでコロナ禍直前までナノポリスで新しい混練技術の研究ができた。
ただし、研究の成果は当方の頭の中にあるのだが、技術だけが中国で独り歩きしている。もし日本製のPPSコンパウンドで不満点があれば弊社にご相談ください。
カオス混合や剪断混練は、それを実現するためにノウハウを学ぶ必要がある。しかし、技術として真似るのは簡単であるが、それを科学で理解しようとすると実現できない技術である。例えば安直に剪断混練をしようとするとトルクオーバーが起きる。
(注)当方はゴム会社で混練技術をマスターしていたのでノウハウを熟知していた。すなわち40年以上前にゴム会社で防振ゴムの開発を担当した時に指導社員がカオス混合技術を教えてくれた。京都大学大学院を出られた一流レオロジストで大変頭の良い方だったが、ゴム会社で出世が遅れていた。そしてカオス混合技術について連続式混練機で実用化できれば、ゴムの混練を合理化できるかもしれない、それが当方の宿題だと言われた。写真会社で退職直前に宿題を完成できたのだが、この指導社員の教えを基にゴムタイムズ社から混練に関する書籍を出版している。
カテゴリー : 一般
pagetop
以前本欄で告知していたシミュレーションを用いた問題解決の無料セミナーを9月3日(土)13時30分から開催します。このセミナーは3時間の予定ですが、4日以降予定している有料セミナーのPR版としての位置づけであり、有料セミナーの一部と内容が重複します。
アカデミアではシミュレーションのための研究もおこなわれたりしていますが、無料セミナーではパーコレーションという現象について、実験で機能を確認しにくい場合に、コンピューターでシミュレーションを行い、開発効率を上げた事例を公開します。
笑い話として、実験室で実際に実験を行えば1カ月で結論を出せるような現象について、その現象のシミュレーションプログラムを開発するのに2年かかりました、というのがある。
あるいは、シミュレーションプログラムの操作方法を習得するのに2カ月かかっても笑える話である。今回の無料セミナーではパーコレーションのモデル化も含めてシミュレーション実験が完結するまで1カ月も費やしていない。
また、Wパーコレーションの事例では、MS-DOS時代に開発されたシミュレーションプログラムを使っているので2日ほどでWパーコレーション制御のシミュレーション結果を導いている。
技術開発で行うシミュレーションでは、実際の実験時間とバランスの取れた作業時間でなければ意味がない。またそのためにどのようなプログラミングの工夫をしたのかについて説明する。
有料セミナーでは、Pythonで書き直したソースプログラムをテキスト購入者に配布します。ゆえに、そのプログラムを読むだけでも、開発環境が整っておればスクリプト言語であるPythonを使うことができる工夫をしています。
Pythonはスクリプト言語であり、BASICよりも使いやすいし、技能習得も容易である。プログラミング環境を整えるのが少し大変だが、情報が公開されているので技術者ならば環境構築は容易である。
エクセルを使いこなせる人は、Pythonとエクセルが手放せなくなると思う。エクセルでビジュアルBASICを使っていた人はPytonのライブラリーが豊富に無料公開されていることに驚くかもしれない。
技術者ならばPython を使いこなせることが常識の時代になった。弊社への問い合わせもあったので今回のセミナーを企画しております。今話題のAI,機械学習もPythonにはライブラリーが無料公開されているのでプログラミング可能になります。
GAFAでも使われている言語です。そして50年近いプログラミング経験のあるプログラミング講師によるセミナーとしても関心を持っていただきたい。大学に情報工学科など無かった時代からプログラミングを独学してきた。
カテゴリー : 学会講習会情報 宣伝
pagetop
2019年夏に三菱電機の新入社員がパワハラで自殺した問題の裁判が和解で終わったとのニュースが報じられた。どのような和解条件なのか金額等は非公開となっているが、企業の社会的イメージは悪い。しかし、あの日本を代表するトヨタでさえもパワハラ自殺が起きているのだから、日本中どこの企業でも類似の問題を抱えているのだろう。
当方は陰湿ないじめに始まり、ナイフによる脅しその他信じられない嫌がらせを受け10年以上苦しみ、社長方針と適合していた高純度SiC半導体治工具事業を住友金属工業とのJVとして立ち上げたところで(注)転職している。
当方がアカデミアよりもアカデミックな風土の研究所でこのような嫌がらせを受けた原因は、常に事業化を前提に仕事をしていた業務スタイルや、ゴム会社の既存製品の成果だけでなく、異業種の半導体用高純度SiCの事業化をゴム会社で0から起業するなどの成果を出したからである。
また、科学と技術の相違点に着目し、誰よりも早く事業に関わる問題の解決を実践していたことも問題だったと転職時に相談した会社OBの一人からアドバイスを受けた。某国立大学で学位取得直前であり、事業成果など無視して、おとなしく学位取得に専念すべきだったとも言われた。
組織の使命が明確にあり、企業内に存続していた組織でも時間経過とともにその職場風土が事業と合わなくなるケースは生じる。かつて研究所は、純粋に基礎研究を行う組織として設立された、とも言われたが、他の職場と明らかに風土が異なっていた。
企業の若手に対する期待と職場の古い体質との葛藤で悩むことになる。本来このような葛藤を無くすようなマネジメントは重要であるが、やっかいなことに問題の解決に自殺が選ばれたりする。三菱電機の事件では、自殺せよとの上司のメモが残っていた(補足)という。
当方は、恐喝まがいの事件が起きていてもそれらを組織に隠蔽化されたので、悩みを相談していた友人や一部の先輩社員のアドバイスから転職を選び生き残っている。
弊社の研究開発必勝法には、企業のご希望によりこのような葛藤の体験もプログラムとして準備しているので、問題のある組織は活用していただきたい。被害者としての体験を活かし、組織に適合した研究開発必勝法プログラムを提供いたします。
(補足)これを冗談だと思われた方は、異常な風土の存在を理解されていない。上司が笑いながら部下へ「殺すぞ」と言っていた光景を目にしたことがあるが、FDを壊された風土とは明らかに異なっていた。言葉だけを取り出せば、会社内でシュールな光景となるが、上司と部下の他愛もない会話の一場面で、「殺すぞ」はパワハラと受け取られていない。健全な職場風土の維持はマネジメントが成功するために不可欠な努力である。
(注)社長方針に合致し予算もついていたテーマであるにもかかわらず、高純度SiCの仕事では先輩社員により実験設備を廃棄処理されるような妨害も受けている。およそ仕事の継続が精神的に難しいところまで追い込まれていたが、役員のサポートもありJVを立ち上げている。ちなみに、この時の社外との契約書には社長印が押されている。4年ほど前にこの事業はゴム会社から愛知県の企業に売却されて現在も事業継続している。ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの研究や当時新素材だった樹脂補強ゴムの開発、燃焼時にガラスを生成し難燃化する技術、それを応用したフェノール樹脂天井材、高分子前駆体による高純度SiC合成技術、電気粘性流体用3種の特殊構造粒子と耐久性改善技術による実用化など12年間に多くの成果を出したが、報われていない。報われていないが特許などにその足跡が残っているだけでなく、悩みを相談した方から頂いた手紙など転職時の状況を示す証拠やゴム会社が無機材質研究所に支払った特許報償の記録など大切に保管している。その中で、今では笑い話として友人に話したりしている、転職後に技術指導のためゴム会社の研究所へ通ったが、「もう来なくてよい」という手紙を頂いた体験がある。技術指導は無報酬で行っていた。あるいは、高純度SiCの事業化は数々の受賞をしているが、そこには当方の名前は書かれていないだけでなく、事業化に至った歴史には嘘が書かれていた。たまたま某学会の技術賞審査員を担当した時に目にした推薦書には当方が転職して開発が始まったことが書かれており、無機材質研究所の名前が入っていなかっただけでなく、住友金属工業の名前も入っていなかった。ゆえにコメントとして産学連携による成功例として記録に残すべき典型的成果とコメントをつけたところ、どのようになったかはここに書きにくい。人間は生きるべきである。生きておればこのような笑い話に遭遇する。渡る世間は鬼ばかりかもしれないが、そこで出会う神様のような人物や鬼に隠れて応援してくれる人々は人生を生きる意味を教えてくれる。何といっても苦しい体験があればこその幸福感である。生きていてよかった。パワハラなどの組織問題をこの世から無くすには、まだまだ時間がかかる。しかし、一人一人が生きる選択をすることは今すぐにできる。悩まれている方も弊社へご相談ください。弊社はあらゆる問題についてその解決法を指南いたします。
カテゴリー : 一般
pagetop
コロナ感染第7波では、連日20万人以上の感染者を出している日本がWHOから世界一として報告されている。この感染者数の増大の原因について、感染免疫なる概念を用いてしたり顔で説明しているアカデミアの研究者がいる。
・
日本の感染学に関するアカデミアの専門家のレベルはこの程度なのだ。この2年間の専門家の発言を聞いてきて、非科学的な発言の多さにうんざりしている。非科学的発言なので予測が外れたりする。
・
科学とは一対一の真理の対応で体系ずけられた形式知を基にしていることは公知であり、科学の方法の問題について哲学者イムレラカトシュは否定証明だけが完ぺきな科学的証明を実現できる方法として指摘している。
・
これについて過去の活動報告を参考にしていただきたいが、コロナ感染騒動の2年間に感染症に関わる専門家が非科学までも取り込んで議論することを当たり前としていることに多くの日本人はびっくりしている。
・
そして、振り回されてきた。ここまできて、コロナ流行を止めるには、ワクチンによる免疫と感染免疫が必要(注1)と言われたら国民がどのように思うか、考えてほしい。日本人はその論を信じるほど馬鹿ではない。
・
日常において科学的だから正しい、とある意見にお墨付きを与えるために科学的という言葉が安直に使われる。この問題に無頓着な研究者は非科学的な事柄でも平気で科学的に云々と論じたりしている。
・
生活に影響が無い現象に対していい加減な論理を展開している間は問題ないが、コロナ感染は生活に直接影響するのだ。科学と非科学の境界を充分に理解していない専門家の口を封じない限り(注2)、日本国民はこの先振り回されることになる。
・
ちなみに感染免疫が必要だ、という提案は、「皆コロナに感染しましょう」と言っていることと同じだということに気がついてほしい。
・
(注1)検索するといろいろ出てきます。自然免疫と獲得免疫の違いを論じている学者もいるが、その論理展開を当方は評価する立場にないので、どうのこうのと文句を言わないが、この論における自然免疫を感染免疫と言っている学者は少し専門家として怪しいと疑っている。インターネットの時代は老人のボケ防止の手段が豊富な時代ということができる。多くの意見に接する機会が大量に提供されているだけでなく、世界中の人と社会を共有している錯覚に陥る。
(注2)自由に意見が言える日本とは無責任な発言で人心を惑わしても良い、あるいは社会生活に影響を与えても良いことではない。無責任な非科学的発言を繰り返す専門家と統一教会の問題は、社会的影響力を考えると同じ問題を引き起こす。
カテゴリー : 一般
pagetop
高分子材料に他の成分を分散して現れる現象を30年以上前まで経験則である混合則で議論されてきた。当方が帯電防止層で観察された現象をパーコレーションで説明した時にも、他のセッションで混合則による考察がなされていたのでパーコレーションが日本で一般化しはじめたのは1990年ごろのことと思っている。
ポリジメチルシランを用いて世界で初めてSiCを合成されたのは矢島先生だが、ポリマーアロイを前駆体にしてSiCを世界で初めて合成したのは当方であることは、無機材質研究所の先生方がご存知で特許もそこから出願されている。
高分子材料の難燃化技術でイントメッセント系の耐熱層が話題となったのは1990年前後だが、当方は燃焼時の熱でガラスを生成し難燃化する技術を1981年に工場試作している。
汎用二軸混練機に伸長流動装置を取り付けたのはウトラッキーであるが、それを改良しカオス混合による効率的な混練でポリマーアロイの製造に世界で初めて成功したのは当方である。
電気粘性流体について、傾斜組成粉体や微粒子分散型粒子などの特殊構造の半導体粒子が高い電気粘性効果を示すことを世界で初めて実証したのは当方で、その耐久問題も解決している。ただ、パーコレーションについては、世界初であるかどうか自信がない。
何故なら、1950年代に数学者が議論をはじめ、それから40年近く経っていたからだ。そして、シミュレーションプログラムについて論文を書こうと調査したところ、調査の2か月前に学会誌「炭素」に類似のシミュレーションについて論文が投稿されていた。
すなわち、日本化学会で混合則でまだその現象を議論していた時代に、炭素学会でパーコレーションが議論されていた可能性が高い。スタウファーによる浸透理論の教科書が登場したのは1980年代で、当方が初めて指導社員から説明を受けたのは1979年である。
指導社員は、混合則を説明しながら本当はパーコレーションで説明するのが好ましいが、材料屋は信じていない、とぼやいていた。おそらくアカデミックな研究所でパーコレーションが議論された可能性があり指導社員はその議論で周囲から叩かれた可能性が高い。
その後無機材研へ留学する直前にゴムへカーボンを分散し半導体ロールを開発企画していた主任研究員が当方に物性バラツキについて相談してきた。その時にパーコレーションの説明をしたら鼻で笑われた。
ちょうどCの勉強を始めた頃で、Cを用いてシミュレーションプログラムを作ってみようと考えていた頃である。1990年前後まで材料屋には混合則が一般的であったことは確かである。パーコレーションの概念が材料屋にどのように浸透していったのか定かではない。
パーコレーション転移シミュレーションプログラムを作りながら学ぶPython入門PRセミナーの受講者を募集中です。
PRセミナーについてはこちら【無料】
本セミナーについてはこちら【有料】
カテゴリー : 一般 学会講習会情報 電気/電子材料 高分子
pagetop
9月に予定しているPythonのセミナーでは、実際に遭遇した問題についてシミュレーションプログラムを動作させ考察を展開し短時間で解決した体験を話す。
例えばPPS製半導体無端ベルトでは、Wパーコレーションと言うコンセプトを実現可能かどうか、パーコレーションシミュレーターでデータを出してグラフを描き、その現象が起きる条件を探っている。
すなわち、データマイニングに必要なデータをシミュレーションプログラムを用いて計算し、その結果から機能の確認をしている。そして、Wパーコレーション制御により問題解決できる確信を得た。
そして、この確信からプロセシング技術を開発して、配合組成を変えることなく、外部の一流メーカーと全く異なる機能を有するコンパウンド(注)を3か月で仕上げている。
これはシミュレーションで得られた多数のデータのおかげであり、マテリアルインフォマティクスにより短期間で問題解決できた事例でもある。Wパーコレーション転移制御と言っても、パーコレーション転移のシミュレーション計算を二回繰り返しただけなので、過去のプログラム資産をそのまま使っている。
ただし、このプログラムは業務上の成果ではない。休日に独身寮で開発していたプログラムである。クラスター理論の数学表現が難しかったのでそれを理解したいという願望から作った。
セミナーではこのプログラムのエンジン部分を説明しながら、Pythonの技法を説明するので、パーコレーションの理解とプログラムスキルを同時に習得できる。材料技術者にとって、この点が類似のプログラミング教室のセミナーとは一線を画す。
9月度のセミナー結果を見て、他のセミナー会社へコンテンツを販売予定であり、低価格で受講できるのは9月度だけである。
(注)同一配合でもコンパウンドの高次構造が異なれば、機能が異なる。セラミックスでは常識の現象でも機能と構造相関を理解していないために残念な開発しかできない高分子技術者は多いように思う。強相関物質という言葉は無機材料科学の世界から生まれている。セラミックスでは焼成温度で異なる結晶構造をとる物質が知られている。例えばSiCは1500℃前後で2H型のウィスカーを生成し、2000℃までは3C、2000℃を超えると6Hはじめ様々な結晶系が生じる。この構造の力学物性への影響はわずかだが、6Hには熱膨張率の異方性があり、3Cの結晶系で製造された焼結体よりも強度は低い。
カテゴリー : 一般 学会講習会情報 宣伝
pagetop
外国語の習得とプログラミング言語の習得、どちらが容易か。プログラミングスキルの必要性を感じているならば圧倒的に後者の方が容易である(注)。
予約語の少ないスクリプト言語のPythonでは30分ほどその仕様を学べばすぐにプログラムを作成できるようになる。過去にプログラム作成経験があればオブジェクト指向プログラミングも可能だ。
今日の情報化時代において、コンピューターを必要としない知的職業は存在しない。コンピューターと対話をするためにOSの操作スキルだけでなくプログラミング言語の一つぐらいマスターしておきたい。
当方は、FORTRAN、BASIC、Forth、アセンブラー、C、C++、C#、JAVA、Pythonでプログラミング経験があり、CとC#の使用時間が多い。ただし、最近はPythonを立ち上げることが多くなった。
理由は無料のライブラリーが豊富にあり、手軽にプログラミングができるからである。最近、人工知能やGAFAで使用されているため、一般にも関心が高くなったので当方のスキルをもとにセミナーを企画してみた。
かつてBASICが初学者に易しい言語と言われた時代があったが、Fortranと変わらない難易度だった。言語仕様がほとんど同じだったからである。
30年以上前に容易なスクリプト言語としてPythonが登場している。その仕様はBASICよりも単純であり習得しやすい。さらにライブラリーなどのパッケージが豊富に無料で開放されているので、他のプログラミング言語に比較して短時間に目標とするプログラムを作成できる。
技術者がプログラミング言語を学びたいならば、興味深い現象や関心のある現象についてシミュレートしたプログラムをそのソースを変更しながら勉強する方法が一番良い。
これはプログラミングを長年趣味で遊んできた体験からのアドバイスである。今回コロナウィルスでも知られるようになったクラスター理論で引き起こされるパーコレーションという現象を独自のモデル化により作成したプログラムを題材にPythonのセミナーを企画してみた。
クラスターという言葉を2年以上聞いてきたのでその現象について興味のある人は多いはずだ。今やウィルス感染者は国民7人に一人がかかっている時代だ。
いつ濃厚接触者になってもおかしくない時代にクラスター生成について学んでみたい、そのような人でプログラミング言語を学びたいならばチャンスである。
皆でパーコレーションという現象を学び、クラスターができやすくなる確率を学び、現在が感染の危険レベルが高いことを知り、コロナ感染から身を守る知の一つをセミナーで習得してほしい。
皆でパーコレーションとPythonを学んで感染者を減らす工夫をしよう。無料セミナーも一日予定しているので問い合わせていただきたい。
(注)学生時代に外国人女性をナンパする目的で英会話教室に通っている、と言っていた同級生は、結局ナンパできるほどの語学力を習得することなく大学を卒業した。その後英会話教室で一緒に学んでいた日本人と結婚したというから、日本人である点が減点ではあるが英会話教室へ通っていた目的に対するそれなりの成果は出ている。学生時代にセリカを乗り回し英会話教室に通うぐらいだったので裕福な家庭だったのだろう。彼を見ていて思ったのは目的が明確であっても日本人がそれなりの英会話力を身に着けるには相当な努力とお金を要求されるということだ。中学時代に旺文社の英会話セットを親から与えられて中学二年時に道案内程度(英語検定3級レベル)はできるようになったが、それでも当時の金額で5万円と1年かかっている。外国人を道案内できるレベルと外国人女性をナンパできるほどの英語力とどれだけのレベル差があるのか説明できないが、Pythonで数値シミュレーションできるまでのレベルと外国人を道案内できるレベルとの語学習得のための容易さならば説明可能である。圧倒的にPythonの習得のほうが金銭面も含めて容易である。今コンピューター環境があれば無料でプログラム環境を手に入れることができる。予定している弊社の無料セミナーを聴講すればスキル習得も無料である。弊社としては有料でソフトウェアーソース付きのセミナーを受講していただきたいがーーーー。
カテゴリー : 一般 学会講習会情報
pagetop
9月に予定している「パーコレーションのシミュレーションプログラムを作成しながら学ぶPython入門」について少し説明する。参加希望者は申込ページから参加申し込みをしていただきたい。休日にも有料セミナーを入れたが、日程を調整してどこかでテスト用の無料セミナーを1回実施したいと考えている。
正しい問題が見出され、それを「考えるとき」にシミュレーションを用いると容易に答えが得られる場合がある。シミュレーションスキル(注1)は、情報化時代に技術者が身に着けておくべき重要な問題解決の武器となる。
プログラミングスキルもあれば、自分でシミュレーションプログラムを作成し費用をかけずに多くのデータを得ることが可能となる。ありがたいことにPython及びそのプログラム開発環境は無料で手に入る。
昔は、MS-DOSにCのプログラム開発環境を構築するために50万円ほどかける必要があった(注2)が、今や周辺ライブラリーも含めて無料である。また、ただPythonのプログラミング入門程度のセミナーならば、情報処理会社が開催している無料セミナーがある。
9月に行うセミナーでは、単なるPython入門を説明するつもりはない。簡単なパーコレーションのシミュレーションプログラムを作成し、それにより集められたデータを考察して問題解決した事例2題を用い、シミュレーションをどのように用いて問題解決したのか、その過程を公開する。
科学でシミュレーションは、仮説の検証手段として用いられたりする。そして本当にその現象が起きているかどうか、シミュレーション結果を再現する実験を行い、仮説の実証を行う。
技術開発では、機能が本当に動作するのか確認する目的と現象をうまく理解できない時にそのヒントとしてデータを集める目的で行われる。今回のセミナーでは、その両者の事例を示し、シミュレーションを用いてどのように問題解決したのか、考え方のノウハウを公開する。
科学の研究で用いられるシミュレーションと異なり、そのモデル設定の段階から実務の問題解決のヒントとなるセミナーとなるよう現在資料を作成中である。
簡単な数値シミュレーション程度ならばエクセルを用いてでもできるが、このような場合でもエクセルでプログラミングする時間と、Pythonでプログラミングする時間を比較すると、後者の方が短くなる。
カラムに数値を埋め込みながらプログラミングを行うエクセルは意外と面倒であり、VisualBasicを起動したくなるが、Pythonをデスクトップに常設しておれば手軽にプログラミングできる。
当方は最近VisualC#をほとんど起動しなくなった。ずぼらなプログラムでも簡単に動いてしまうPythonは、技術者の問題解決スタイルを変えるかもしれない。
ちなみにPythonはスクリプト言語であり、昔のPIPSの仲間でBASICよりも簡単である。使いこなせば先端のオブジェクト指向プログラミングも可能となる優れモノだ。
セミナーでは、同一プログラムをPythonで記述した時に、オブジェクト指向プログラミングの導入レベルを変更した場合についても説明するので入門の域を超えた内容となるが、実例によるセミナーの構成なので容易に理解できると思っている。
この点が、ソフトウェアー会社の無料セミナーとは異なる点である。Pythonは、これまでのプログラミング言語に備わっていた表現の自由度は無い、あるいは可読性をあげるようプログラム記述に制限をくわえている、そのため習得が易しい、と言われている。
制約のある自由度の中でも実は表現の自由を発揮可能である。規程など組織には様々な制約が存在する組織活動であるが、その中で自由に成果をあげてきたノウハウの公開でもある。
(注1)シミュレーションと聞くと、天気予報で示される雲の動きのような大掛かりな汎用性の高いソフトウェアーを想像する人がいるが、実務で問題に遭遇した時に手っ取り早く行うシミュレーションでは、そこまでの汎用性を備えたソフトウェアーは不要である。汎用性の高いソフトウェアーほど開発に時間がかかる。目の前の問題を解くためにヒューリスティックな解を得る方法の一つとしてシミュレーションを位置付けたときに、どのように考えたらよいのかは既存の書籍に公開されていない。また、既存のソフトウェアー会社は、そのようなシミュレーションに事業としての関心がない。技術者が九九を覚えるように身に着けておくべきスキルである。
(注2)Lattice社のCには豊富なライブラリーが用意されており、当方は120万円ほどかけて独身寮に開発環境を構築している。なぜ自腹を切る必要があったのかは、この欄の「花王のパソコン革命」に理由を書いているが、40年以上前アカデミアよりもアカデミックな研究所でもデータサイエンスは胡散臭い手法に見られていた。胡散臭い手法に見られていてもその技法に未来を感じ、率先して技術開発に用いてきた。パーコレーションのシミュレーションもゴム会社で独身時代に開発したプログラムである。正直にこのソフトウェアーの開発背景を白状するとスタウファーのクラスター理論が難しくてわかりにくかったので理解を進めるために簡単なモデルでプログラムを作成した。このプログラミングそのものはSiCのスタッキングシミュレーションよりは簡単であった。ちなみにSiCスタッキングシミュレーションは無機材研留学時代にBASICで開発している。当時苦労した思い出から現在の情報環境を眺めると天国である。現代の若い技術者は恵まれている。ちなみに業務とは無関係のクラスター理論を勉強していたのは、新入社員の時に指導社員から教えられたパーコレーション転移について研究していたからである。1950年代に数学者により開発されたクラスター理論はその後も発展し、今回のウィルス感染にも応用されている。コロナウィルスの感染シミュレーションに何やら先端の香りを感じていた人は勉強不足である。材料技術者にとってパーコレーションは40年以上前から常識である、と指導された。常識だと言われても身の回りでは複合則ばかりが跋扈しており、当方が日本化学会で発表しても新鮮な研究として受け取られたのでびっくりした。その時指導社員にからかわれたことに気がついたが、当方が学んだ時には、数学者が研究を初めてから20年経過していた。FDを壊され転職するきっかけとなった電気粘性流体はウィンズローがその現象を発見してから40年経っていたという。40年経過していても当方が開発したような傾斜組成の粉体や、微粒子分散型粒子、コンデンサー分散型粒子が新発明となったように、材料分野の進歩は遅い。MZ80Kが登場してMS-DOSが普及するまでに6年ほどである。その後ウィンドウズ95が登場し、今日に至るまでコンピューターの進歩には目を見張る。Pythonは登場して20年以上経つが、オブジェクト指向やジェネリック、リストなどC#のようなコンパイラーに実装された機能が簡単に利用できるようバージョンアップされ、たんなるインタープリターなスクリプト言語ではない。数値計算では用途によって、少し精度に気を配る必要があるが、すでにBASIC言語で体験したレベルなのでBASICを知っている人は、すぐに使えるようになる言語である。逆にCをはじめとしたプログラマーに自由が解放されている言語の達人は、制限された自由のためにイラつくかもしれない。当方は郷に入ったら郷に従う性格なのでPython文化にすぐに慣れた。
カテゴリー : 一般
pagetop
プログラミング言語Pythonが3年ほど前から注目され始めた。この言語に限らず、コンピューター関係のセミナーはソフトウェアー会社による無料セミナーが多い。
無料セミナーが多いにもかかわらず、弊社に問い合わせがあったので尋ねたところ、プログラミングの環境構築はできたが、実務で利用する場合の事例を知りたい、という。
これ以上は企業名が分かるといけないので書かないが、「花王のパソコン革命」という書籍がベストセラーになった時代を思い出した。
コンピューターは、その活用方法やシーンがあれば何にでも使える道具であり、そしてその無限の可能性ゆえに今日でも進化し続けている。
Pythonのブームは、それが人工知能AIに使われる言語として注目されて起きている。しかしPythonはCやC#同様のプログラミング言語である。
もう少し詳しくその姿を語ればスクリプト言語であるにもかかわらずBASICよりも進化した初心者にも使いやすいコンピューター言語である。
AI用とかGAFAで使われているとかといった評判が先行して何か特別感のある言語として誤解されている。そこでPythonをシミュレーションで使った場合を想定したセミナーを企画してみた。
当方は、世の中に情報工学科が登場する前から、データサイエンスを開発実務に導入して成果を出してきた。今その成果について公開できる事例のセミナーがセミナー会社主催のセミナーとして開催されている。
内容については問い合わせていただきたいが、この中にパーコレーション転移をシミュレーションし、材料開発した実績を事例の一つとして紹介している。
化学工業協会から技術特別賞を頂いているが、この時はPC9801(MS-DOS)でC言語を用いて開発したプログラムでシミュレーションしている。
これを事例にPythonのスキル獲得セミナー、すなわち実務でシミュレーションプラグラムを作成し、問題解決したストーリーとPythonの使用方法とを組み合わせたセミナーを企画してみた。
すなわち、実務でどのように正しい問題を設定し、それを解くためにコンピューターシミュレーションでデータを出す必要があったので、プログラムを短期で開発した。そして開発されたプログラムでコンピューター実験を行い成果に結びつけた話である。
パーコレーションを題材にしており材料系以外の方にも参考になると思いますのでセミナーの案内サイトから申し込んでいただきたい。
教材が出来上がってみると小学生の宿題「夏休みの自由研究」にも活かせると思いついたが、夏休みは残り10日を切っている。もし希望者がおれば、「1日で終わる夏休み自由研究」あるいは「親子でPython」などという企画も可能だ。
もし希望者がおれば、8月28日前後の開催となるが、企画してみたい。夏休みの宿題でなにをやったらよいのか悩み、困っている方は問い合わせていただきたい。
夏休みの宿題は、ソフトウェアー会社で公開されている無料セミナーでも代用可能だが、9月開催予定の当方のセミナーは、他では知ることができない知を提供予定である。
すなわち、パーコレーションという現象についてどのように考え、そこから制御された機能をどのように取り出し実用化したのか、そのプロセスを公開予定である。
カテゴリー : 一般
pagetop
高分子材料にしてもセラミックスや金属材料にしてもそれを形にして利用するときには、どこかの段階で配合設計技術が必要になる。
道具だけでなく料理も配合設計が必要になってくるが、料理の配合設計と道具の配合設計との違いは、味見を舌でするかどうかという大きな違いがある。
刀鍛冶が出てくる番組で、刀鍛冶が刀をなめながら研いでいたシーンを見たことがあるが、これは例外として、一般に道具の配合設計では道具の機能について評価しながら最適化を行ってゆく。
材料設計に携わる人は、化学系の学問を修めた人が多いが、この評価をする行為に着目すると物理や数学のスキルも要求されるのが配合設計技術である。
化学系の人は物理や数学が不得意であることに大学へ入学して驚いた。理系を志すにあたり物理や数学が不得意だから化学を目指した、という友人もいた。
しかし、配合設計技術では化学同様に物理や数学のスキルが重要である。最近ではマテリアルインフォマティクスも取り入れなければいけないので情報工学のスキルも要求されるようになった。
もっとも、当方が学生時代に情報工学などという学問は無かった。情報工学を理系の文学部と表現している人がいるが、このような感覚では情報工学は進歩しない。
確かに文学部的ではあるが、科学のあらゆる分野に精通していることが要求される学問である。すなわち、化学や物理学、数学について配合設計ができるぐらいの知識があってはじめてマテリアルインフォマティクスの研究ができる。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
pagetop