連日旧統一教会の問題が、ワイドショーで報じられている。表題は某代議士がその関係を尋ねられたときに発した言葉である。「何が問題か、わからない」
今回のワイドショー等での報道合戦は安倍元首相銃撃事件に起因するのだが、世の中は犯人の意図した方向へ動き、そして旧統一教会と政治家との結びつきが次々と明らかになってきた。
驚くのは自民党議員の該当者が誰一人として今後決別する、と明確に答えていないことだ。旧統一教会を宗教法人とした元大臣でさえ、国民が納得できる反省の弁を語っていない。
あたかもカルト集団に国内の政治が支配されているかのような錯覚に陥る。驚くのは公明党議員にも関係者がいたことだ。
今回のように旧統一教会が社会問題として大きく取り上げられ、ワイドショーで報じられればそれで視聴率が稼げた時代が過去にもあった。しかしそこから今日までカルト集団が政治支配を実現できたのは国民の関心が薄れてしまったからである。
その結果被害者が拡大し、今回の銃撃事件を引き起こすまでになった。何が問題か、問題が複雑になったのではなく、問題の渦中に本人がいるために見えないだけだった。
国民は今回の問題を次回の選挙まで忘れてはいけない。旧統一教会関係者を政治の世界から一掃しない限り、政治は良くならない。
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マテリアルインフォマティクスのブームであるが、データサイエンスを適用した技術開発は多変量解析が登場した40年以上前から行われてきた。何か目新しい研究ではない。
科学的ではないということで注目されていなかっただけだ。また、そのような手法を用いていると研究の妨害を行う企業研究所も存在し、当方は転職を余儀なくしている。
ところでこの手法は、科学の方法とは少し異なる。それが今注目される理由は、科学で答えられない問題が増えてきて、トランスサイエンスという言葉もポピュラーとなり、科学と非科学の境界が変わりつつあるためではないか。
それだけ形式知に関する情報が溢れていても問題解決できない事例が開発現場に多いのだろう。例えばPPSのトラッキング特性が射出成形条件が一定でもばらつく問題は、形式知で理解できない。
この現象では、PPSであるにもかかわらず100V程度の電圧で絶縁破壊した成形体サンプルを見せられたこともある。これではMAO処理に耐えられない。
ある方法でこの問題を解決でき、300V以上でもロバストが高く絶縁破壊しなくなるPPS材料を4年前開発しているが、このような情報は4年前の古い情報でも日本では知られていない。
PPSの変性方法をノウハウとして隠すため特許出願していないからである。ただし弊社からストーリーを変えてそこに添加された物資の特許をこの技術開発前に出願している。
その特許には絶縁破壊の言葉は出てこないが、射出成形でトラッキング特性がばらつく問題の解決方法に使える。このようなことはそれを解説されない限り不明である。
情報化時代であっても簡単には入手できない情報が存在していることを理解していない人は多いのではなか。非科学的な情報では技術的価値をすぐに理解できないことを知るべきである。
しかし非科学的であってもロバストが高い機能であれば十分に技術として成立する。それがトランスサイエンス時代の技術である。
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急激な円安が進行し、70%前後の企業が苦しんでいるという。コロナ禍でも無ければ観光産業が潤うはずだが、1日の感染者数が世界一では外国人の来日を期待できない。
かつての高度経済成長期には「Japan as No.1」と騒がれ、原材料を加工して付加価値をつけて輸出するのが日本の強みとされた。しかし、世界の工場と言われた中国へ日本企業の多くは進出し日本は空洞化した。
日本の変遷をここで論じるつもりはないが、明治時代から高度経済成長に至った時代に「勤勉さ」が日本の強みとよく言われたことを考えてみたい。
ワークライフバランスという言葉に踊らされて、まず勤労の見直しが進んだ。派遣労働というスタイルがそれを加速したことも無視できない。最近は同一労働同一賃金が叫ばれ、正規採用の給料みなおしが進んでいる。
賃金の見直しについて高くなることを期待していたら、実質賃金が低下して驚いている正規社員が多いのではないか。韓国よりも給与水準が下がった、などという記事も出てきた。
枝葉の考察を進めてみても問題解決につながらないのは、「問題」というものの特徴であり、本当の問題を真剣に考えなければいけない。
日本の本当の問題は、意外にも単純であり、世界に誇れる強みが無くなった可能性がある。この強みについて、かつて「日本人の勤勉性」があげられている。
高度経済成長の時の日本人は勤勉だったが、今の日本人は勤勉でなくなったのか。これには疑問符をつける必要が無いのかもしれない。アメリカを真似したワークライフバランスを進めた時点で、日本人の強みと思われていた勤勉を否定したのである。
生産性を高めて人生を豊かに、という霊感商法のようなフレーズに日本全体が洗脳されたのである。生産性を高めても生産物を世界が買ってくれなければ、日本人は豊かになれない。
世界が買ってくれる生産物は「安くて高品質」か「高付加価値」製品となる。円安の進行について、日米の経済政策の違いが指摘されている。しかし、世界は日本に安くて高品質の製品を期待しているのではないか。
中国や韓国から日本の労働力を当てにして工場進出する企業が出てきた。日本からアジアへ工場が出てゆき、空洞化してから20年以上経ったのだ。
日本企業もIT技術を駆使して安くて高品質の製品を生産できる工場建設を国内で進めることが強みになるのかもしれない。そもそも日本人の勤勉さは現場のQCサークルに見られるように生産現場があって実現されたのだ。
ところが、半導体工場建設で話題になったのは、「技術者の不在」である。その結果日本がお金を出して外国企業に建設させるという誤った政策決定が行われた。これで強みが育つのだろうか。
半導体について日本にはまだ周辺技術で世界と競争している企業が存在している。このような企業を集結して「世界一の半導体工場を建設する」という発想にならないところが日本の問題かもしれない。弊社に相談されていたならば成功可能な秘策を提案している。
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昨日自分の子供の夏休みの宿題の解答について写真をツイッターにあげた親がいて、その話題で少し盛り上がっていたようだ。
写真の内容は、男の子がブランコに乗っており、それを脇で見つめている女の子の気持ちを考えさせる問題だった。解答欄に小学生の男の子は、女の子の気持ちについて、「早くしろ、ボケ」と答えている。
もう一問質問があり、女の子の気持ちに対して男の子はどのように答えたか、という質問に対しては、「だまれ」と答えている。写真に映し出された文字の形状から4年生か5年生くらいだろうと思われる。
当方はこの写真に最初は絶句したが、その後思い直して親の気持ちを想像して素直に笑ってしまった。これには問題も悪いと感じた。おそらくこの問題の趣旨はブランコに乗りたい女の子の気持ちを考えて譲り合いの気持ちを期待したのだろうけれど、問いに工夫が無い。
当方ならば、教室の掃除をやっている男の子と、それを見ている女の子と言う設定で、それぞれの気持ちを答えさせたいと思う。これは難しい問題になるのではないか。「早くしろ、ボケ」的解答は、「もっときれいに掃除しろ」となるのかもしれない。
しかし、掃除の問題でそのように男の子は解答するのだろうか、疑問が出てきた。これは解答者である男の子が、掃除をやっている男の子の気持ちをどのように捉えるかに依存する。
そして黙って見ている女の子に対してどのように感じるかによっても解答は変わるだろう。おそらく小学生には解答が多数出てくる難しい問題になるのかもしれない。
男女協同参画が叫ばれてかなり経つが、男の子とは何者なのか、女の子とは何者なのか、夏休みなのでそのくらい考えさせる問題を出した方が良い。
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小学生の夏休み自由研究は、それほど難しいことをする必要もない。身近な現象から題材を拾い出せばよいだけである。身近な題材には科学で結論など出せないものも存在するので無限である。
簡単に一日で済ませたいなら、コロナ感染者データを整理すると面白いかもしれない。2年分のデータのどこに着目するかにより、整理の仕方が異なる。
すでに発表されている考察に縛られる必要もない。なぜならそれらの考察だってあてにならないから今医療機関は大変なことになっているのだ。小学生がどのような考察をしたって許される。
現象を整理してその結果に対して考察する、という作業の過程が自由研究では重要であり、考察が正しいのか、間違っているのか、そこはあまり重要ではない。そこを重視しすぎると夏休み自由研究の長所が失われる可能性すらある。
あの日本を代表する理研ですらSTAP細胞の騒動ではいい加減なまとめをしているのだ。小学生が夏休み自由研究で多少おかしな考察をしても許容すべきだろう。それよりもその考察をまとめたことを褒めるべきである。
このような視点に立つと、夏休み自由研究のテーマは何でもあり、という気楽な宿題になるはずだ。夏休み自由研究は、昔から気楽な宿題だった。
以前空き缶のテーマを扱った話を書いたが、空き缶以外に家庭のトイレの汚れについて100件アンケートをとってまとめたこともある。このまとめは当時セロハン工場が近所にあって、その汚染水が下水に流れている証拠となった。
このアンケートは、便器に黒墨があるかどうかという簡単な質問だけで配布と回収に1日かけて、そのまとめに1日と、たった二日の手間だったが何か賞を頂いた記憶がある。宿題の内容よりもその効率の良さで記憶として残っている。夏休みの自由研究を廃止するという発想は子供の科学の芽を摘むようなものだ。
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データマイニングとは大量のデータを統計学や人工知能を駆使して新たな知を取り出すことで、まさに情報化時代の知の獲得方法だが、新しい方法でもなく、多変量解析が登場した40年以上前から行われてきた手法である。
ただ、科学の方法が過信されていた時代でもあり、IBMの大型コンピューターにサービスパッケージとして多変量解析プログラムが存在しても理系の利用者は少なく、人文科学系の研究者が多く使っていたようだ。
電気粘性流体の耐久性問題をデータマイニングで解決し、さらに画期的な傾斜組成の粉体を同様の方法で開発したとたんにデータFDをいたずらされる事件が起き始めた。
犯人は科学的ではないという理由で実験の妨害をしてきたのである(注1)。ドストエフスキーの世界ではあるまいが、アンチ科学と見なされて迫害されたような状態となった。
データマイニングによる問題解決手法は、科学こそ命と考えている人には許されない思考方法かもしれない。また思考方法が科学と異なる魅力があるゆえにマテリアルインフォマティクスでは、その手法(注2)に注目が集まり、本来の新しい技術を生み出す目標実現の事例発表が少ない。
当方は、新しいアイデアを練る手法の一つとしてデータサイエンスに注目してきた。シミュレーションもデータを大量に得たい時には重要な技法となり、これでいくつかの材料開発を成功させている。
データサイエンスだけが当方のアイデア創出法ではないが、来月サービスプログラムとして、当方の実践してきたデータサイエンスの手法を公開したい。手始めに日曜プログラマーとして腕を磨いてきたプログラミングに関するセミナーを準備し始めた。今週中にセミナー募集を行います。
(注1)犯人に謝罪をもとめたが、謝罪どころか開発手法を非難された。また本部長は事件を隠蔽化すると言われたので転職以外に道は無くなった。社内ベンチャーとして起業した高純度SiC半導体治工具事業について住友金属工業との共同出願も完了していたので一区切りついた時期でもあった。研究開発本部のリーダーも含めてデータマイニグによる問題解決手法を非科学として嫌っていた時代があった。
(注2)手法の研究は科学的に進めることが可能である。ただし、その手法で問題解決した場合には厳密な意味で科学ではない。しかし、科学と非科学の境界は時代により変化すると言われている。30年前はその手法による開発を妨害するような人が支持された時代だが今は実体の成果が出なくても手法研究がもてはやされる時代になった。
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終戦後27年間グアム島に潜伏していた元日本兵横井庄一氏の肉声テープが公開された。戦後も投降せず20年以上終戦を信じなかった元日本兵は横井氏以外に小野田氏がおられるが、潜伏時の情報量は横井氏の話が多い。
小野田氏の戦中の立場がそのようにさせていると思われるが、横井氏の体験談から人間の極限における行動も人それぞれである。そこから生きる希望を誠実真摯に見つめることの重要性を知ることができる。
彼自身の体験を語る時と戦友を語る時では、語り口が変わる。最初3人で行動していたが、些細なことでたもとをわかったという。久しぶりに二人が暮らす穴を訪れてみると並んで白骨化していたそうだ。
そこにどのような事件が起きていたのか不明だが、極限において横井氏は一人になる行動を選んでいる。二人との間にどのような見解の相違があったのか。彼が語らない限り二人の死亡の事実は永遠に不明となった点に着目すると、彼の無念な気持ちが伝わってくる。
彼は小さな誤解と表現しているらしいが、彼らのおかれていたのは極限状態である。そして、彼はいつまでも生きる選択をし二人と別れている。
現代の組織社会でもリーダーのマネジメントに問題があれば、このような極限状態が作り出され、その結果の自殺報道をニュースとして知る。電通の女子社員の自殺や財務省の忖度自殺など記憶に残る事件は多い。
多くの人が認める戦争の極限状態と異なるのは、多くの人が黙認しようとする人間関係でそれが引き起こされている点である。戦争と現代の組織、それぞれで生じる極限状態の比較は難しいが、助け合って逃げていた3人の人間関係から抜け出し、生きる道を選んだ横井氏の勇気を称えたい。
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夏休みもあと1週間ほどだが、残り少ない夏休みに適した自由研究として野良猫の観察がある。猫に関する書籍がたくさん販売されているのでどれか一冊購入し、野良猫と接してみるとよい。
たいていは、本に書いてあるようにうまくゆかない。岩合氏の番組がいかに大変な努力により撮影されたのかを知ることができる。
そのうまくゆかない体験記でも立派な自由研究である。まず野良猫を見つけても、すぐに逃げられて観察どころではないかもしれない。面白いのは野良猫の中には、注意深く接すればすぐに友達になってくれる猫もいる。
一匹野良猫と友達になれると、不思議にも昨日まで逃げていた野良猫がすぐに逃げなくなっているのに気がつく。この変化だけでも一週間あれば観察可能である。
恐らく岩合氏の撮影もこのような努力で猫と友人関係をまず構築してから行われている可能性が高い。もし、まだ自由研究の題材で困っているならば、夕方野良猫を探してみるとこのほかの面白いテーマを発見できる。
シートン動物記を目指したわけではないが、コロナ禍となり、中国の仕事が無くなり時間ができたので、この2年間野良猫の観察をしてみた。丑三つ時に開催される猫の会議を偶然見ることができた。
野良猫も都市の中で助け合いながら必死で生きているのだ。衣食住に不自由しない小学生にとって野良猫の研究は、人生を考えるきっかけになるかもしれない。
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夏休みの自由研究不要論がネットに出ていた。不要論の背景等は恐らく想像がつくと思われるので必要論と自由研究のヒントを述べてみたい。
必要論は自由研究により「知を学ぶ」意味を理解できるからである。そもそもそのような運営が自由研究の宿題でなされていないので、不要論が出てきたりするのではないかと当方は想像している。
小学生でも自由研究を通して知を学ぶ意味を考えることができる。自由研究だから何でもよいのだ。例えば、自宅の1km圏内にあるラーメン屋の数とその位置でも構わない。
ラーメン屋の数を数えるついでにラーメンの系列を調べたりすればいろいろ疑問が出てくると思う。換気扇からの匂いが臭いラーメン屋もあるかもしれない。この匂いの違いにも疑問が出てくると思う。
何か調べれば、その結果新しい疑問が出てくる。このようなことは日常の学校教育で本来体験させるべきことだが、当方が小学生の時にも夏休みの自由研究以外その機会は無かった。
恐らく今日の授業のカリキュラムでもそのようなゆとりはないだろう。ゆとり教育の時代にもこのような機会は無かった。知を学びたいという意欲は、まず自発的な疑問から始まる。
そして、疑問が解決されて知が身につく。この一連の活動が知を学ぶ意味を教えてくれる。その活動の機会の一つが夏休みの自由研究である。
夏休みの宿題でことさら難しいテーマを取り上げる必要はない。身近なテーマでよいのだ。当方の小学生の時の自由研究の思い出に「空き缶問題」がある。子供時代に道路に捨てられている空き缶に疑問をもった。
この研究の結論は、缶の材質が鉄からアルミに転換されれば空き缶ゴミは無くなる、というものだった。この自由研究がきっかけとなり材料技術者というものにあこがれたのだが、毎年の自由研究のたびに将来の夢が変化していた。
今材料技術者として活動しているので空き缶問題を自由研究として取り上げたことを思い出したが、自由研究は身の回りのつまらないテーマで構わない。自分で見つけ、問題形成し、それを解く、この一連の活動が重要である。親は、その活動をサポートするだけでよい。
今時のつまらないが面白いことがわかる問題として、「野良猫は、どこで寝ているのか」、「野良猫はどこで食事をしているのか」、「道路に落ちている糞は犬の糞か猫の糞か」、「野良犬がいないのに、なぜ、犬の糞が道路に落ちているのか」、「カラスはどこで寝ているのか」、「カラスは、なぜ集積場のゴミをあさるのか」、「たばこの吸い殻が少なくなったのは何故か」、「ポリエチレンの袋が道路から消えたのはなぜか」、「なぜツートーンカラーの車が増えたのか」、「何故、黒い外観の電化製品が増えたのか」、「自動販売機の缶製品は何故高いのか」、「自動販売機の売り切れが少ないのは何故か」、「外車が増えたのは何故か」、夏休みの自由研究になりそうな身の回りの問題は多い。
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50年近く前、ゴムの新素材開発が積極的に行われていた。例えばSBRについても乳化重合技術の進歩で様々なSBRが開発された。同一分子式でも合成された材料の物性が異なり、物性を基にした特許も出始めていた。
ゴム会社はゴム合成部門を切り離し、子会社ではなく別会社として経営していた。新素材開発競争が激しくなったので素材開発から行うのではなく、配合技術の高度化でゴム開発を行う戦略だった。
新入社員テーマは当時の新素材TPEを配合技術で開発する研究だった。開発目標は樹脂補強ゴムと呼ばれ、少量の樹脂の海にゴムの島相が分散する構造を創り出す技術を開発しなければいけなかった。
すでに高分子の高次構造を制御し物性をコントロールしようという技術開発が行われていた時代であり、高分子の合成技術よりも配合技術やプロセシングに注目するのが先端技術者の姿勢とされた。
そして、例えばSBRについてプロセシングまで含めた素材パラメーターを設定し、商品品質を目的変数とした多変量解析が実施され、理想とされるSBRの姿がコンピュータを用いて示された。
AIは使われていないが、多変量解析と人間の頭脳を用いたデータマイニングの手法が開発されていた。商品開発部門の手法は社内の定期プレゼンテーションで学ぶことができ、樹脂補強ゴムを担当した時に偶然最適SBRの分子設計という当方にとって記憶に残る技術のプレゼンテーションを聞くことができた。
このプレゼンテーションのおかげで樹脂補強ゴムを効率よく開発するには、手当たり次第に配合を混錬しデータを出すことが重要と理解し、残業代がでないことが分かっていても夜勤を行い、指導社員が一年の研究予定で準備していた樹脂を一カ月で混練処理し、データサイエンスの手法で最適条件を求め3か月で実用配合を見出している。
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