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2022.06/06 セミナー

新しい試みとして、3時間WEBセミナーを6月と7月受講者の希望日に希望内容で開催いたします。これまで弊社が外部セミナー企業の依頼で講演してきました内容を下記にまとめましたので、ご希望の受講日を3候補及びセミナー内容希望をご連絡ください。受講料は1名3時間1万円を基準としますが、企業等で多数受講される場合にはご相談ください。別途お見積りをさせていただきます。また、WEBセミナー以外に対面セミナーも可能ですが、別途出張に伴う交通費が必要です。


1.実務全般

(1)ドラッカーベースの問題解決法

ヒューリスティックな解決、アイデア創出法なども含まれます。希望内容に合わせ講演内容を構成可能です。

(2)コーチングによる問題解決

(3)統計手法、重回帰分析、主成分分析

(4)環境問題の動向


2.技術開発

(1)データサイエンス

タグチメソッドから多変量解析、データ駆動の実験法まで、事例による手法の紹介。

タグチメソッドに関しては、習得を目標とした複数回の講義や実例をベースにしたご指導も可能です。

(2)高分子の難燃化技術

(3)高分子のプロセシング技術

混練技術を中心に講義内容を構成します。

(4)高分子材料の耐久性、劣化寿命予測等

(5)信頼性工学

(6)界面活性剤の科学

(7)セラミックスのプロセシング技術

(8)高分子からセラミックスまで熱膨張

(9)高分子からセラミックスまで熱伝導率

(10)高分子からセラミックスまで熱重量分析

(11)高分子材料のブリードアウト現象

(12)シリコーンの科学と技術シリコーンゴムの入門から応用まで

(13)フィラーの表面処理

(14)パーコレーションの科学

(15)高分子材料の帯電防止技術

(16)フィルム成膜技術とその表面処理技術

以上

カテゴリー : 一般 学会講習会情報 電気/電子材料 高分子

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2022.06/05 スピノーダル分解

無機材料の相分離には、例えばガラスからの結晶成長で観察されるように核生成から始まる場合と明確な核が観察されない相分離が存在する。


この体系が高分子科学に用いられ、ブレンドされた高分子の相分離は核を伴わないのでスピノーダル分解で進行すると説明されている。


この高分子の相分離において、海島構造以外に興味深い構造に興味がもたれ、10年ほど前から粘弾性相分離という言葉が生まれている。


言葉が生まれている、と書いているのは、まだ一般の教科書に登場していないからだ。この粘弾性相分離は、緩和速度の速い分子と緩和速度の遅い高分子の間で特異な構造形成が行われる、と説明されている。


緩和速度の速い分子とは低分子であるが、スミノーダル分解で進行する場合も粘弾性相分離で進行する場合にも、そこでは拡散現象が生じていることを忘れてはいけない。


高分子の運動で土井先生らの提唱されたレピュテーション運動というのがあるが、これが高分子の拡散現象とどのように関係づけられているのか、まだわかっていないと思う。


なぜわかっていないと述べているのかというと、スピノーダル分解にしろ粘弾性相分離にしろその過程においてレピュテーション運動が重要な役割を果たしているように思われるからだ。


科学の世界で困るのは、現象で未解明な機能が働いているにもかかわらず、それをブラックボックスのまま新説が登場(注)することである。


当方が学生の時にたった一言フローリー・ハギンズ理論が出てきたが、それがテストで得点の2割も占める問題として出題された。


重要な理論と判断されてのことかもしれないが50年近く経ってもχの中身がブラックボックスのままだ。


自由エネルギーであるらしいことはわかっているのだが、50年経っても解明されていないような問題を学生のテストに2割の得点を占める問題として出すのは、単位を出さない、と言っているようなものでアカハラに近い。


そもそも出題した先生だって十分な理解ができていなかった問題と思われるので、せいぜい1-2点程度の問題だと思う。単位取得で得点差の大きな相分離を期待するような配点は学生イジメかもしれない。.


もしそのような問題が出たときには弊社へご相談ください。学問の新しい流れに注意を払っている弊社も一緒に勉強させていただきます。


(注)技術では、未解明の機能でもそのロバストが確保されれば、新技術を生み出すことができる。熟練技術者とは科学で未解明な機能でもそのロバスト確保をうまく行い、人類に役立てることができる技術者である。タグチメソッドの習得は、初心者でもそれを可能にするので弊社にご相談ください。貴社に適合した研修プログラムをご提案させていただきます。トランスサイエンスが認識され、アカデミアの研究者さえ科学で未解明な機能を使って研究を進めている状態である。本来アカデミアとは真理を追究するのが使命なのだが。

カテゴリー : 高分子

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2022.06/04 データサイエンスの導入を

アカデミアからAIを活用しデータマイニングを行うマテリアルインフォマティクスが提案されて20年近く経過した。しかし、日々の業務であれば40年以上前から行われている多変量解析を行うだけでも十分である。


多変量解析が心理学などに導入され始めたのは50年以上前だが、当時は大型コンピューターの時代でその使用料も高価だった。


当方は1979年にゴム会社に入社したが、新入社員グループ研修テーマの解決手法として新入社員Mが提案した多変量解析を用いている。


このとき初めて多変量解析に接した。まず困ったのは教科書が少なかった点である。高価な専門書しかなかった。次にデータ処理方法だがIBM3033のマニュアルは英文だった。


新入社員の研修テーマだったのでコンピューター部門の丁寧な指導など無く、分厚い英文のマニュアルを読めと渡されただけである。そしてデータをパンチカードに打てば明朝までに出力結果を渡すというそっけないものだった。


それでも重回帰分析と主成分分析を使いこなし、成果を出している。成果発表会ではCTOから「大馬鹿もの」と叱られた記憶が今でも残っている。


パワハラが問題視される昨今とは異なり、各種ハラスメントが社会に溢れていた時代だ。コロナ禍でマスクが日常の習慣となったが、パワハラも常態化すればマスクと同じである。


データサイエンスを業務に導入してみて一番ためになったのは、パワハラ耐性を持たなければ社会を乗り切ることができないという教訓と技術とは何かというCTOの説教だった。


今ならばこのような空しい結果にはならないだろう。コンピュータ資源は社会に溢れている。また重回帰分析と主成分分析は弊社のサイトに無料公開されている。


当方は多変量解析の導入で転職を決断しなければいけない状況になったりと、よい思い出は無いが、それでもデータを数量的にうまく捉えることができる有益な方法であると若い人に伝えたい。

カテゴリー : 一般 学会講習会情報 宣伝

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2022.06/03 多変量解析のセミナー

下記予定で3時間WEBセミナーの予定を立ててみました。ご希望の方は弊社へお申し込みください。受講料はデジタルデータテキスト付きで10,000円です。グループで申し込まれる方は、人数により減額サービスいたします。また、平日開催も致しますので希望日(3日以上候補予定日をお知らせください)をご連絡ください。


<内容>

数量的思考で課題を解決する手法として多変量解析は、理系以外に文系においても利用されている。今回、多変量解析の中で重回帰分析と主成分分析について、その活用事例を示しながら、問題解決ツールとして使用する方法を解説する。なお、弊社のプログラムの使用法も簡単に説明するので、セミナー受講後すぐに活用可能である。


<目次>

1.統計手法概略説明

2.多変量解析概略

3.重回帰分析

(1)重回帰分析による故障寿命予測(アーレニウスプロット)

(2)重回帰分析による故障寿命予測(ラーソン・ミラー・パラメーター)

(3)段階式重回帰分析による高分子の難燃化技術事例

4.主成分分析

(1)主成分分析による顧客ブラックボックスの見える化

(2)その他事例


<開催予定日>

下記2日間同じ内容で開催します。

1.6月19日(日)13時30分-16時30分

2.6月26日(日)13時30分-16時30分

<参加費のお振込み先はお申し込み時にお知らせいたします。お振込み確認後WEBセミナーの開催アドレスを送付いたします。>

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*本セミナーは企業で研修教材としての利用も可能です。弊社へご相談ください。弊社では多変量解析以外に企業研修用の教材を用意可能ですのでご相談ください。これまで実績のある教材につきましてもお問い合わせいただければカタログを送付させていただきます。

カテゴリー : 未分類

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2022.06/02 データサイエンスのセミナー

弊社のサイトで多変量解析のソフトウェアーを無料で公開している。当方はゴム会社に入社以来、40年以上アイデアを練る時に多変量解析を利用してきた。


また、多変量解析結果が科学的思考では思いつけないアイデアを提案してくれたおかげでFDを壊され転職した話もこの欄で紹介しているが、実務で大変役立つ強力な手法である。


ただし、生兵法はケガのもととも言える手法でもあり、その有効性よりも使ってみてがっかりした、という人もいる。当方は必要なときに使用しているのでそのような経験は少ないが、それでも期待通りの結果が出なかったこともある。しかし成功体験が多いので、タグチメソッド同様に手放せない手法である。


さて、先日某セミナー会社でデータサイエンスについて講演しているが、6月中に弊社のプログラムの使い方と事例、上手に使うコツに絞ってセミナーを開催しようと準備中です。


もし、開催希望日があれば今週中にご連絡ください。参加費は一名1万円程度を予定していますが、企業でクローズドセミナーを希望された場合には、割引価格を設定させていただきます。また内容も企業の実情にあうように工夫させていただきます。


なお今回の企画は6月だけの予定でおります。また、個人で受講希望される人のために土曜あるいは日曜の午後1時30分から4時30分のコースも準備したいと考えています。

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2022.06/01 ジョー・パス(5)

ドミナントスケールとは、ドミナントコードから展開されるスケールである。過去の形式知から表現するとハニホヘトイロハの「ト」すなわち5番目Vが代表の和音となる。


このあたり、一気に概念を飛び越しジョーパスの世界観で説明する。まずその前に義務教育で学習した音楽の形式知で移動度の関係を表す、「ドレミファソラシド」と、固定度の関係を表す、「ハニホヘトイロハ」を忘れなければいけない。


音の並びの位置関係、固定度の関係は、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、—-Ⅷで表す。すると、ハ長調すなわちCメジャーのキーではVの和音とはGとなる。


すなわち、この時のドミナントスケールは「ソラシレミファソ」となる。ドが無いのは、シの音とぶつかると音が濁るためで、「アボイドノート」と呼ばれている。


また、最近の音楽理論書には、これをGミクソリディアンと紹介しているが、ジョー・パスはそのような表現をあまり使わない。


使わないどころか、アボイドノートでも続くコードとの響きさえあえば使っても良い、と言っている。すなわち、彼は響きを動的に捉えてその世界観を構築している。


ポップスで多く使われるⅠⅥⅡⅤ、あるいはⅠⅥⅣⅤというコード進行さえも、ⅠⅤでとらえてスケール展開しても良い、あるいはCとAmは一緒だとかDmはG7の付属コードとかかなり大胆な説明をしている。

カテゴリー : 一般

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2022.05/31 ジョーパスの視点と粒子

コロイド水溶液に含まれる粒子表面には電荷が存在し、電荷二重層が形成されている。その電位はゼータ電位として知られ、計測されている。


ゆえにこのゼータ電位のバランスを崩すような物質をコロイド水溶液に添加すると粒子が凝集して沈殿してくる。この性質は安定したコロイドを必要とする産業には迷惑な現象を引き起こすが、浄水場の沈殿槽のような分野では重宝する。


これは現象に潜む機能を活用したいのかどうかに左右される事例である。ジョーパスのギター演奏に見られるテンションや代理コードの使い方は、この事例とは雰囲気が異なる。


美しい響きを頼りに和音を組み立てていったバッハに対して、ジョーパスはメロディーラインの中にフィットする音を頼りに和音を組み立てている。必ずしもバッハが好む和音とはなっていなくても汚い響きとはなっていない拡張された和音を使っている、と言う表現になるかもしれない。


このような表現に相当するような視点でコロイド粒子を眺めると、必ずしも電荷二重層の安定性だけにとらわれる必要が無いことに気がつく。


ジョーパスと同様に電荷二重層のバランスを安定に保つ視点ではなく現象の変化(流れ)に着目し、うまく安定に変化するような状態を創り出す視点もあるのだ。


すなわち電荷二重層の電位が多少乱れても状態の遷移過程で粒子を沈降させない現象が起きれば、コロイドの相の反転手法を開発できる。例えば粒子表面の吸着現象に着目した手法は、ジョーパスの代理コードに匹敵するパラダイムだ。


この現象に着目すると、W/O型のコロイドをO/W型のコロイドへ安定に反転させることができる。科学の常識からはありえないことであるが、ここでは電荷二重層で説明されるコロイドと異なる世界で起きる現象の機能を使用している。


現在この技術の特許審査請求中であるが、詳細は弊社へお問い合わせください。ギターをうまく弾くことはできないが、ジョーパスの視点で現象を眺め、新しい技術を生み出すことはジョーパス並みにできます。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料

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2022.05/30 バッハとジョーパス

以前ここに書いたが、バッハは現代のピアノの発明者である。すなわち、ドレミファソラシドを決めた音楽の父として知られている。


ピアノを生み出したのだから母かもしれないが、とにかく440Hzをラとし気持ちよく聞こえる音の並びの規則(注)を決めたのである。この時決められた1オクターブ8音の並びで現代音楽が作られる。


それだけでなく和楽はじめ民族音楽も現代までにこの音の並びの基準に揃えられていった。アメリカに奴隷として連れてこられた黒人がギターを手にしてブルースが生まれ、この独特のブルーノートがジャズやロックで使われるようになった。


音楽の歴史については専門書を読んでいただきたいが、ドレミファソラシド8音の並びや3和音の響き、ハーモニーの基礎などを周波数解析機器の存在しない時代に作り上げたバッハの経験知と暗黙知に驚かされる。


ソロギターアルバム「バーチュオーゾ」で知られるジョーパスは、その演奏で和音の拡張やハーモニーに対する新しい概念を展開している。


彼の演奏を聞くと、バッハとは異なるアプローチのように感じられる。バッハの音楽のような美しい響きを追及する姿勢ではなく、新しい曲の流れあるいは論理性や新しい体系について追求しているように感じる。


それはCとAmは同じようなものだという発言にも現れている。CとAmはメジャースケールとマイナースケールの和音だが、曲の流れの中で特に区別する必要が無い、と言っている。


確かに両者のコードの2音は同じであり、ルートが異なるだけだ。彼のような和音の捉え方をすると、演奏においてコードから解放され、ギターのような楽器を演奏するときにはメロディーの可能性が広がる。


ジョーパスの考え方で注目したいのは、よほどの不協和音でない限り、クラシックで重視された3和音にとらわれる必要が無いという点である。これは、バッハとは異なる視点で音楽を眺めていたことを示しているように思われる。


バッハが考案した単なる8個の音の並びにも異なる視点を用いると、異なる世界が広がる。現象を科学の視点だけで眺める習慣を早く卒業したい。


(注)440Hzの2倍880Hzは1オクターブ高いラになる。ラとミの関係(完全5度)は440Hzと660Hzの関係すなわち周波数が2:3の比率である。ラとドの関係(短3度)は440Hzと528Hz、すなわち5:6である。ラと#ミの関係(長3度)は440Hzと550Hz、すなわち4:5の関係になっている。その他の音程の関係についても一定比率になっている。

カテゴリー : 一般

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2022.05/29 体系の重要性(2)

小学校から学んだ音楽の体系では、和音は3種の音でできており、スケールはメジャースケール(長調)とマイナースケール(短調)の2種である。


ところが最近の音楽の理論書を読むと、和音について音は3個に限定されていない。また、マイナースケールは、ナチュラルマイナースケールとハーモニックマイナースケール、メロディックマイナースケールの3種があるという。


また、小学校から学んだ音楽でメジャースケールとマイナースケールの関係は、かたやドから始まるが、もう片方はラから始まるというものだ。和音で表せば、CとAmの組になる。


音楽の理論書では、メジャースケールもナチュラルマイナースケールもドから始まる説明がなされ、ミラシに♭記号がつけられている。


そしてハーモニックマイナースケールでは、シの♭が外され、メロディックマイナースケールではラ音のフラットが外されることになる。


このような説明からでも義務教育で学ぶ音楽の体系と現在の音楽理論書に書かれた体系とが異なることが見えてくる。


後者の方が複雑な音楽も体系的に説明できるメリットがあり、前者の体系では複雑なジャズのコード進行や最近のポップスの理解は難しい。


現代の音楽理論書の体系で複雑なコード進行なども体系だって説明できるのだが、それを読んでいると理解はできても、実際の音楽の演奏では即座に使えない。


ジョーパスは、形式知を最小限に経験知と暗黙知をうまく活用した独自の体系を持っていた。それについて、ユーチューブの動画でうかがい知ることができる。


その彼の知にアクセスできたとき、改めて体系の重要性を認識することになる。このように音楽では演奏者ごとに様々な体系が自由に使われている。


技術開発の現場で科学と異なる体系で新しい機能を探せば新しい科学の種を生み出せる技術を見出せるかもしれない。科学の禁じ手、あみだくじ方式でヤマナカファクターが見出されたことに注目したい。

カテゴリー : 一般

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2022.05/28 高純度SiC前駆体

1975年に東北大矢島教授により、ジメチルポリシロキサンによるSiC繊維の発明がなされている。そしてこれがパイロットプラントで試作されたのが1978年である。


その3年後の1981年にゴム会社で、フェノール樹脂とポリエチルシリケートとをリアクティブブレンドで均一なポリマーアロイとする技術(高純度SiCの前駆体技術)が開発されている。


この技術を実用化するために、当時セラミックスフィーバーを背景にゴム会社の研究所で高純度SiC事業化企画を提案したがボツとなった。


その後故服部社長がゴム会社のCIを進めるにあたり、「電池とメカトロニクス、ファインセラミックス」を3本の柱とする多角化戦略を発表され、50周年記念論文の募集があった。


この記念論文に高分子技術でファインセラミックス事業に進出するシナリオ(注)で応募したが佳作にも入らなかった。しかし、これがきっかけとなり、1983年4月に無機材質研究所へ留学している。


この年に昇進試験があり、「推進したい新事業についてA4用紙にまとめよ」という問題に、「高純度SiCの半導体治工具とウェハー事業」を解答として提出し落ちている。


しかし、この昇進試験に落ちた知らせが、1983年10月1日に無機材質研究所所長室にかかってきて、T所長の許可を得たI総合研究官から「1週間だけ自由に実験できる許可を与えるので、試験答案に書いた内容を実現してみなさい」とありがたい言葉を頂いた。


すでに前駆体技術を開発していたので、この時から4日後に高純度SiCの製造プロセスの元になる研究データを揃えることができた。初めての実験では真黄色のSiC粉体が得られ、無機材質研究所でちょっとした騒動になっている。


その後、この時合成された高純度SiCの粉体技術について服部社長から2億4千万円の先行投資とセラミックス研究所の建設が決定され、30年間ゴム会社で事業が続くことになる。


先日SP値に関するセミナーがあった。フェノール樹脂とポリエチルシリケートはSP値が大きく異なるがリアクティブブレンドにより、それを均一にブレンドすることができる。この体験談を解説した。当方の学位論文にもなっている技術であるが、その内容を講義するとなぜか気分が若返る。


ゴム会社で何度も却下された企画が事業として30年続き、今は愛知県にある(株)MARUWAで事業継承されている。


若い人に伝えたい。パワハラはじめ企業内環境は40年以上前に比べれば比較にならないぐらいよくなっている。他人のFDを壊して仕事を妨害したり陰湿ないじめなど少なくなった。


たとえ上司に否定されても事業の大きな夢があるならばそれを持ち続けてチャンスが生まれるまで我慢する胆力と日々の学びを行い強みを磨けば必ず夢を実現できる(夢を実現できてもひどい目に会うかもしれないが、夢を実現できた成功体験とそれにより広がる視界は、本当に努力しないと得られない。)。


本来のあるべき姿は、無機材質研究所で出会ったような人々が上司や同僚である組織だが、バブル崩壊後停滞した日本企業から噴き出した様々な問題や、昨今の各種ハラスメントを排除しようという社会動向から問題のある企業がまだ多いのだろう。


(注)SiCが半導体物質であることが研究段階だった時代で、高純度SiCを低価格で量産できる事業が大きなニーズとなっていた時代である。レーリー法でアチソン法によるSiCを高純度化する手法が知られていたが、何度も繰り返す必要があった。当方の考案した前駆体法は単位操作一回で高純度化できた。当時オール電化がブームとなっており、電気自動車やエンジンで発電しモーターで走るハイブリッド車が話題になっていた。ハイブリッド車についてはエネルギー保存則から、日産のePower方式では実用性が無いとされた時代である。そこでトヨタプリウスが「20世紀に間に合いました」と登場している。インバーターとして用いるパワー半導体のニーズが急激に高まった。Siウェファーでは冷却技術にコストがかかったので現在のSiCウェハーの低価格化が期待されていた。シナリオではエンジニアリングセラミックスとして半導体治工具事業を行い、ウェハー開発を行う壮大な話を展開しており、現実的ではないという理由で評価されなかったのだろう。バイオテクノロジーによる豚と牛の賭け合わせで作った量産性があり旨い肉やそれを食べながらマリンスポーツを行う論文が1席に選ばれている。セラミックスフィーバーと同時にバイオテクノロジーも注目が集まり始めた時代で、10年後には第一次藻類ブームが起きている。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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