未知の問題に遭遇した時に、まず「何が問題か」を考えることの重要性はドラッカーが指摘している。
未知の問題だから「わかんない」と言って許されるのはTVに出てくるかわいいおバカタレントだけである。
会社の仕事でそのようなことを言っていたら、いくらパワハラが許されなくても上司から「馬鹿タレ」と一括される。
ところが、その結果すぐに問題を解き始めたら失敗する。まず、「何が問題か」をよく考えなければいけない。
間違った問題の正しい答えほど空しいものはない。さて、今回のコロナウィルスについて正しい問題は、「どのようにして医療崩壊を防ぎ、感染による死亡者を可能な限り少なくできるのか」だろう。
「いかに早くウィルスを絶滅させることができるか」という問題を解いていてはダメであることは、インフルエンザウィルスなど多くのウィルスの事例を考えれば明らかである。
ウィルスには絶滅できないものがあり、人類はそのようなウィルスとともに生きていくしかない。
ましてや「感染者をどのように早く見つけ隔離し、感染者を社会から無くす」という問題ではない。
一番重要な問題は、このウィルスによる死亡者数を最小にすることだろう。
未知のウィルスに対して、対策を開発するには時間がかかる。感染して病状が悪化すれば必ず死亡者が出てくる。かつて織田信長は「人間50年」と言っていたが今や寿命は延びたと言っても80歳を過ぎればウィルスに限らず死ぬ確率は高くなる。
ゆえに未知のウィルスに対して死亡者が出るのは避けられない結果である。人間に寿命がある限り、死にかけた人がたまたまウィルスを拾ってもウィルス感染による死亡となる。
だから、未知のウィルスが発生したときの正しい問題とは死亡者をどこまで最小にできるか、そしてそれはどのような方法なのか、だろう。
若い人は、今回のウィルスで死ぬ確率が低いので感染に対して深刻に考えていないかもしれないが、60を超すあたりから感染率が高くなっているので、100歳まで生きる覚悟をした当方にとって、感染経路不明者の増加は深刻な悩みである。
若い健康保菌者は、そのあたりを少し考えていただきたい。特に感染したのかどうかわからない若い人が増えているとニュースで聞くと、心配で街を歩けない。
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エジソンは、弟子のアチソンにグラファイトを高温で熱処理してダイヤモンドを製造するプロセスの開発を命じた。
この時代にダイヤモンドはグラファイトが高温度で熱変性されてできたことが科学的に証明されていた真理だった。
それをエジソンは知っていて、アチソンにグラファイトを高温で熱処理するように命じたのだ。
指示を受けたアチソンは、グラファイトを高温度で熱処理できる石英るつぼを作り、実験を行った。当時高純度環境で高温度の熱処理を可能とできる材料は高純度石英しかなかった。
アチソンは、根気よく前向きの推論で実験を続け、ダイヤモンドのように硬くて高純度の結晶を発明することに成功し、カーボランダムと名付けた。
これは、SiC単結晶であり、石英砂とカーボンからSiCを製造するプロセスは、アチソン法と今でも呼ばれている大発明だ。
彼は、グラファイトが石英るつぼと反応することなど意図していなかった。しかし、ダイヤモンドを作ってほしかったエジソンからは褒められたのだ。
当方が女性の指導社員から命じられたのは、ホスファゼン変性ポリウレタン発泡体の極限酸素指数(難燃性)を確認することだった。
しかし、発泡体を製造するプロセスは難しいと判断し、まず発泡していないポリウレタンについて、ホスファゼンの機能を示すデータを求めることにした。
すなわち開発すべきオブジェクトを「機能」にして実験を行ったのだ。こうすることで、モノを創るという行為が分析や解析と同じく科学的に前向きの推論で進めても効率的に結論を出すことができる。
研究部門では科学的に業務を進めることが求められた。そこでは、科学的ゆえにモノを創るという行為は非効率的となるのだが、オブジェクトを機能にすれば科学的な業務の進め方でもモノ創りではなく解析業務なので効率的な仕事が可能となる。
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八年ほど前に電子ブックとして高分子のツボを出版しましたが、そのリクエストの問い合わせがありました。実は混練り活用ハンドブックにはその6割ほどが盛り込まれています。すなわち高分子のツボについてプロセシング部分を膨らませたような構成です。ご一読ください。
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現代の教育は、科学を中心にして指導される。すなわち義務教育も含め、科学による問題解決法を大人になるまで学ぶ。企業の研修でも科学的問題解決法が行われたりする。
しかし、社会人で問題解決がうまくできない人が多い。長い期間をかけて基礎から学んできてもうまくいかない、というのは教育内容そのものが間違っている、あるいは不十分である、と考えてもよいのではないか。
学校で学んだことは社会では通用せず無駄だ、とよく言われた時代があった。最近は声高に言われなくなったが、これは大卒が50%近くになったこととも関係しているのかもしれない。
大卒が10%から20%の時代であれば、大学教育は役立たないから社会で実務を勉強しようという論法も社会に受け入れられたが、大半がその役立たない教育を率先して受けるようになった時代では虚しさが漂う。
ここは科学教育が無駄と考えるのではなく、社会の問題を解くのに科学以外の方法があることを悟ったほうが良い。すなわち、科学で問題を解くのか、それ以外の方法を使うのか、問題を解く前に考えるのだ。
例えば、科学で問題解決する手法をホームズ型とすると他の手法は刑事コロンボ型だ。名探偵ホームズにはワトソンという相談相手がいるが、コロンボには「ウチのカミさん」しかいない。
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サービス価格期間を過ぎましてもぽつぽつと弊社へ問い合わせがある。定価4800円に消費税と送料を加えた価格となるのだが、それでも7万円以上の本よりは安い。また、類書と異なる内容であり、高分子に興味のある方にも参考になると思っている。また高分子を知らない人にも読んでいただきたい。
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1980年に発泡ポリウレタンの難燃化研究を担当していた時に、プロジェクトの一員として熱重量分析を担当していた。
先代の管理職が熱重量分析が好きで、何台も熱重量分析装置を買っていた、と上司が批判的に言っていた。
職場には真空理工の熱重量分析装置と理学電機の熱重量分析装置があった。しかし、以前にはまだ数種類存在し、置き場所が無かったので廃棄されたという。
もったいないと思ったが、上司の説明では、機種によりデータが異なるので厄介な問題が起きたからだという。どのような厄介な問題かは、その後上司の仕事のやり方を見ていて想像がついた。
残された二台の熱重量分析装置の測定データには、機種間の差異が小さかったが、それでも丁寧な実験を行うと、その差が大きく現れることもあった。
定時後この機種の差がどのような原因で現れるのか研究してみた。詳細は理学電機に悪いので書かないが、真空理工の装置のほうが優れた設計であることを見出した。
高純度SiC合成について速度論的研究を行うときには、迷わず真空理工に熱重量分析装置の発注をしている。
購買担当からは理由を聞かれたので、この難燃化研究時代のデータを添付し、優れた機械だから、と説明している。優れた装置が市場で生き残るとは限らないので注意が必要だ。
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本書のテーマは混練ですが、高分子材料の実務に関わる方すべてに読んでいただきたい。従来の混練が分配混合と分散混合を扱って説明をしていますが、本書では異なる視点、すなわち混練される高分子材料の視点で混練を説明しています。ゆえに、既存の高分子材料の教科書で理解できなかった人にもプロセシングを通じて高分子材料を眺め、理解を進めることが可能となります。また、ポリエチレンとかナイロンとか個別の素材特有の問題については高分子を紐として扱うことにより隠蔽化し、高分子特有の現象をクリアーに描くことに努めています。
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明日から2日間高分子の難燃化技術セミナーが企画されています。
本セミナーでは、1960年代の耐熱高分子科学を再考し、高分子材料の難燃化技術と対比させて、新技術の可能性を中心に講義します。
高分子の難燃化は科学として取り扱いにくい分野です。出火原因や環境で複雑に影響を受ける火災という現象を科学的に解明できないからです。
仮に解明できモデル化できたとしても、消防士ならばそのモデルを見てすぐに否定するかもしれないほど科学で取り扱いにくい。
科学では解明や対策が難しい分野について技術で対応しなければならず、経験知が重要になります。
ゆえに、本セミナーでは講演者の開発事例を中心に高分子の難燃化技術を解説します。
事例は、PC/ABSの難燃化、PETの難燃化、PUの難燃化、皮革の難燃化等で、難燃化手法として溶融型と炭化促進型を扱います。炭化促進型では、ハロゲン系と非ハロゲン系を事例にしています。
また、混練で材料を処理するプロセスだけでなく、リアクティブブレンドやコロイドによる難燃化処理などプロセシングについても配慮した内容であり、これまでの難燃化技術セミナーで不満足な方にも満足していただける内容となっています。
盛りだくさんの内容となりますので、明日から2日間のセミナーとなりましたが、空席まだございますのでお問い合わせください。本日でも大丈夫です。
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MACやWINDOWS、iPHONEなどはすべてオブジェクト指向でプログラミングされ、またオブジェクト指向で駆動される。
例えば、WINDOWSシステムでワープロを使いたいならば、WORDのアイコン(オブジェクト)をダブルクリックするとWORDが起動される。
すなわち、オブジェクト指向では、コンピューターで自分が使用したい機能を実現してくれるオブジェクト(実体)に働きかけて、機能を利用する。
この時、複雑な機能の詳細はオブジェクトの実体が動き出す(この動作、振る舞いを規定しているのがプロパティー)まで不明である。
ワードなどが動き出すと、メニューとして多数のアイコンすなわちオブジェクトが表示される。ユーザーがワードを利用したい時には、利用したい機能が組み込まれたオブジェクトであるアイコンをクリックするだけでよい。
このように、オブジェクト指向では、常に利用したい機能についてそれがオブジェクトに組み込まれており、このオブジェクトが呼び出されれば(ユーザーがオブジェクトであるアイコンをクリックするだけで)動作する。
オブジェクトに組み込まれた複雑な機能、すなわちそれを実現するためのプログラムを意識することなく、ワードを使うことが可能である。
ここで問題となるのは、オブジェクトとしてどのようなものを用意するのか、またそのオブジェクトがユーザーの求めに応じた振る舞いを行うためにユーザーの求めるどのようなオブジェクトを実装すればよいのかは、プログラマーの世界観に左右される。
すなわち、科学では真理が一つなので最も硬い物質、といえばそのオブジェクトはダイヤモンドと決まるが、プログラミングにおけるオブジェクトの設計では、プログラマーの世界観すなわち彼の日々の営みから形作られる実体となる。
換言すれば、オブジェクト指向では、どのようなオブジェクトとなるのかを唯一決めることができず、これを決めることができるのはプログラマーであり、プログラマーの日々の営みから形成された世界観でオブジェクトが作られることになる。
昔、表計算ソフトは表計算以外の用途に使用できなかった。しかし、最近の表計算ソフトは、ワープロとしても使用可能で、例えばプロジェクトの議事録作成に使えば、一括して議事録を管理でき、専用ワープロよりも便利である。
実はこれはオブジェクト指向プログラミングで実現できた振る舞いであり、昔の手続き型言語、例えばフォートランで実現しようとするとプログラムは長くなるだけでなく複雑となる。
オブジェクト指向では、オブジェクトの設計、すなわちどのようなオブジェクトを用意するのか、ということと、用意したオブジェクトの振る舞いを決めることはプログラマーの世界観に合わせる必要があるが、ユーザーは用意されたオブジェクトとその振る舞いを理解するだけでコンピューターを利用することが可能となる。
ワードやエクセルでユーザーが難しいと感じるところは、プログラマーの世界観であり、これは初対面の人と会話をする状況と似ている。
挨拶をしたり、名刺交換をするだけであれば易しいが、業務上の交渉ごとになると難易度は変わる。
ハンバーグの売買などはマニュアル化できても、新事業や新規顧客開拓など科学のような正解が一つとならないシーンでは、マニュアル化すら難しい。
しかし、こうした難易度の高い非提携業務でもオブジェクトとしてまとめ上げることが可能で、ベテランのビジネスマンならばそれをノウハウとして身に着けてゆく。
技術者はオブジェクト指向を導入すれば、形式知と経験知をうまく使えるようになる。
例えば、混練のオブジェクトを分配混合と分散混合とするのか、剪断流動と伸長流動とするのかは、混練で材料を変性しようとするときにそのオブジェクトの使い勝手が変わる。
ゴムタイムズ社から出版予定の混練の本(1月中に弊社でサービス販売予約受付中)は、従来の類似書籍と異なる世界観でまとめた内容です。
混練がテーマとなっていますが、高分子について学びたい初学者にも参考になります。高分子材料と関わる方、すべてに読んでいただきたい本です。
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学校の先生だけでなく、プログラミングの専門家の中にもそもそもプログラミングというものをただプログラムを作るだけのことと誤解している人が多い。
今のオブジェクト指向のプログラミングにおいて、オブジェクトをつなげてプログラムするだけならば簡単で、このようなプログラミングだけを仕事とするならば小学校から学ぶ必要はない。
問題となるのは、新しいオブジェクトを設計できるかどうかという点である。新しい機能を実装し、正しいふるまい(動作)の新しいオブジェクトを設計できるようになるためには、科学教育と少し異なる訓練が必要となる。
ところがこの訓練において、教えることが難しい「試行錯誤」というスキルがある。
試行錯誤と言うとすぐに馬鹿にする人がいるが、効率的に試行錯誤する方法があり、どのように無駄なく試行錯誤を行うか、これを訓練する必要がある。
ただし試行錯誤をどのように正しく教えたらよいかは、それを知っている人は少ない。また、当方はいまだにそれを体系的にまとめた論文を読んだことが無い。
試行錯誤という方法において、科学的な効率追求を行ってきた体験から、非科学的な方法であるが科学的に効率を上げる方法を見出した。例えばデータ駆動型材料開発を20年以上前から実践している。
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