木曜日から昨日まで高分子材料自由討論会に出席していた。この会はいわゆるクローズドセミナーの色彩もあり、あまりこの欄で内容を公開するのはお金を払って出席された企業の方に失礼になる。
しかしこの二泊3日の討論会の特徴である夜の自由討論で公開しても差し支えない、というよりも公開して世間に問題提起したほうがよい話題があったので紹介する。
N先生が指摘され、当方も以前より気になっていたことだが、科学で解明された分野の事業の終焉である。N先生は終焉とまでは表現されなかったが、金属や半導体分野の企業が凋落してゆく昨今の状況は終焉と表現しても間違いないのでは、と思っている。
すでに他の方も言われていることだが、金属や固体物理の科学は20世紀にかなり進歩し、ほぼその体系が確立した。この科学の体系が完成した事業分野の日本企業は新興国の追い上げで今苦境にあえいでいる。
一方高分子分野では、高分子物理の研究者が頑張っており、その科学的体系を構築しようとしている。しかし、半導体分野のように容易ではない。
そのおかげで当方が12年在職したゴム会社はまだ成長し続けている。ゴム材料技術について、階層構造で考える体系が見えてきたとはいえ、科学で解明されているところはほんの一部の現象だけでありいまだにノウハウの領域が多い。これが高い参入障壁になっているのだ。
20世紀に科学が進歩したおかげで企業の技術開発は急速の進歩をしたが、科学の知識だけで成立する技術は、その分野の知識労働者さえ集めれば、どこでもすぐに事業を始めることが可能である。
また、仮にノウハウを詰め込んでブラックボックス化できたとしても、科学の体系が確立されているならば、そのリベールも容易である。中国に追い上げられ抜かれてもおかしくないのだ。中国の知識労働者には日本人よりも優秀な人材が育ってきている。
今日本の企業が行わなければいけないのは、アカデミア同様の科学による研究ではなく、科学で解明されていない分野から機能を取り出す技術開発である。
そして、20世紀の研究所ブーム以来多くの企業が行ってきたような研究開発は、アカデミアへアウトソーシングしたほうがよい。21世紀に入り以前にもまして産学連携が重要になってきた。日本企業は現象から機能を取り出す技術開発を重視すべきである。中国ローカル企業経営者にはこの考え方が支持されている。
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昨日セルロース液晶の講演を拝聴した。といっても、肝心のセルロース液晶の話は講演最後の15分程度説明があっただけである。おまけに前半は講師のキャリアが語られ、それが15分程度過ぎたときには、時間の無駄と感じた講演である。
しかし、講演を聞き終えてみると面白かった。それは、なぜ演者がセルロース液晶を研究するに至ったかが見えたからだ。そして演者がその新しい発見を今後どのように展開しようとしているのかも見えてきた。
昨日の講演の面白さは、演題よりもその中身であり、自然界の現象から新しい発見ができる人とできない人の差がどこから出てくるのかが説明されたところである。おそらくこれは演者の意図ではなかったかもしれないが、演者のレーザーの専門家としての深い知識と複数の職場環境を経験したことから形成された独自の知識体系で新しい発見をした体験が学生に伝承される様子まで語られていた(注)。
かつてπ型人間になれ、と複数の専門の必要性が叫ばれたりした。しかし、複数の専門性を身に着けるといっても人生という時間は限られている。一方で専門性は無くても面白い発明発見をする人がいる。これまでの人生で出会ったこのような人は、皆複数のキャリアと好奇心を持っていた。その中には好奇心はそれほどではなくても仕事の取り組みが前向きの人もいた。
同じ職場環境にいても仕事が前向きの人であれば、新しい提案や仕事の改善をしようとする。しかし、それは知識の積み重ねで仕事をより便利にしようとする方向にベクトルは向いている。すなわち、専門性の深化と同じである。
そもそも働く上において仕事に対して前向きであることは大前提であり、これだけで独創性のある新しい発見ができるのであれば世の中の進歩はもっと早いだろう。好奇心も同様だが、好奇心だけであれば不道徳の方向へ走ってしまうかもしれない。
昨日の講演で感じた大切な肝は、「知識」と「職場環境の変化」が生み出す独創性の一つの姿である。誰でも職場環境の変化に対して少なからずマイナスイメージを持った経験があるだろう。仮に栄転であっても職場環境の変化にある種の不安はつきものだ。
しかし、この職場環境の変化は、その人の持っている知識体系に少なからぬ変化を与える。すなわちこの変化を受け入れる柔軟性を持っているかどうかが独創性が形成されるかどうかの分かれ道だろう。
高い専門知識を持っている人でも、その話を聞くとつまらない人がいる。また、仕事をやらせれば知識の深さを感じさせる専門性の高い成果は出てくるが、それだけの人がいる。知識社会において専門性を高めたりそれを増やす努力だけではだめである。このような努力を続けてもやがてAIに負けてしまう。人間にできてAIにできない(恐らく飛びながらくそを垂れるカラスにもできない)ことは、柔軟な知識体系の再構築であり、それをキャリアの変化が促進し独創性を生み出すエンジンになるのだ。
やっかいなのは、その努力が自然にできる人が少ない。職場環境の変化や人生の変化、さらには多様性の受容などでその人独自の知識体系を再構築し続ける努力こそこれからの時代に必要である。ただしその努力の方法については残念ながら未だ良い方法が公開されていない。昨日の講演はその方法の一例が提案されていたので面白かった。
(注)大学でこのような先生に指導される学生は幸せである。
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山本尚先生は有機合成分野における触媒反応の権威で、「基質支配の反応」を御研究されてきた。ほとんどの有機反応は、「反応剤支配の反応」であり、今世紀に入りこの反応の分野で破壊的イノベーションが進行しているという。
すなわち、当量反応であった化学プロセスが触媒反応に塗り替えられているという。そうしたイノベーションを起こされた先生のご経験から、昨日のアカデミアの研究構造が語られている。
すなわち、先生は、アカデミアで未知の学理を探求され「純正」研究を進められた。そこで培われた「基礎」研究を応用研究まで展開され、有機合成の世界に破壊的イノベーションを起こされた体験を語っておられたのだ。
この、先生が実践された「応用」と「純正」に向かう真の「基礎」研究では、目標に沿った学理を世界で初めて見出すことが要求される。そして「純正」研究の目標では、流行を追わず、また狭い分野の科学技術にとらわれない融合研究領域を目指すべきで、新しい学問を創る気概が必要だと述べられている。
そしてアカデミアの研究者は未知の基礎学理を見つけ、新しい世界のイメージストーリーの提示が必要だと指摘し、それにより「Game Changing」を成し遂げると述べられた。
これは、アカデミアの研究の構造の視点で述べられた破壊的イノベーションのおこしかたであるが、ドラッカーも述べているパラダイムの変換による破壊的イノベーションの起こし方のアカデミア版と感じた。
先生は、研究を誰のために行うのか、という視点でも、応用研究と純正研究の違いを説明されていた。前者が人のためであり、後者は自分のためだ、と明確に言われた。このあたりは、研究者として年を重ねても純正研究だけをやり続ける姿勢について批判されている。
ご自身の研究について、アカデミアの研究構造に基づく説明でまとめられていたので、途中から参加したにもかかわらずご講演の意図を理解できた。しかし、産学連携における企業側への期待がうまく実行されるかどうかは難しいと感じた。企業側の問題は、もっと次元の低いところにある。
企業側の問題以外に、先生は指摘されなかったが、「今の時代の」アカデミア側の問題もある。すなわち「末梢」研究に走り、それをもとに「純正」研究を行うアカデミア側の問題である。当方はこれを「技術が科学を牽引し始めた」と以前この欄で指摘している。
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3日(土)に山本先生のご講演を拝聴した。時間を間違えて30分程遅刻したので、空いていた最前列に座ることになった。偉い先生のご講演であることはこの空席の状態から理解できたが、遅刻して一番前に座らなければならない事態で学生時代の授業を思い出した。
ところで福井大学客員教授を勤めさせていただいたとき、授業では後ろの席と前の席が詰まり真ん中ががら空き状態だった。前の席を占拠していたのはすべて留学生だった。このとき大学の授業で後ろから席が詰まるのは日本人特有の習性と知った。
遅刻したので最初の30分を聞き逃したが、inventionとinnovationについて説明しているスライドが映し出されていた。基礎という新しい学理から純正研究を進めてゆくのが発明とか創意で、これは理学であり、順問題を解くことになる。応用研究から基礎という新しい学理を追求するのは工学であり、逆問題を解くことになる。そしてこれがイノベーションを引き起こすと説明されていた。
途中から伺ったので意味不明だったが、その次に、アカデミアの研究構造と称して上田良二先生が考えられた四象限模式図を用いて説明された。
研究には社会に役立つ「応用」研究と自分の探求心から行う「純正」研究があるという。そして、会社で行われる研究は、既存の学理による「末梢」研究であり、当面役に立たないような「純正」研究は、未知の学理を求める「基礎」研究から生まれると、四つの象限を説明された。
すなわち、第一象限には「純正」、第二象限には「応用」、第三象限には「末梢」、第四象限には「基礎」と書かれたスライドが映し出されていた。inventionとinnovationとを説明したスライドと同じような説明をされているようにも聞き取れたが、現在のアカデミアの99%が「末梢」に基礎を置く「純正」研究と説明された点は、非常に的を得ていると思った。
すなわち99%の大学は、「末梢」研究を基に「純正」研究を行っているという。残り1%の大学だけで「基礎」研究から「応用」研究を進めており、これが重要で、この流れだけが破壊的イノベーションを引き起こすという。
この説明は理解しやすく、アカデミアの現状を憂慮されているお気持ちが伝わってきた。そのお気持ちから企業へのお願いとして、真のボトルネックとなる課題をアカデミアへ提示していただきたい、と述べられていた。
すなわち、産学連携によりアカデミアの研究が影響を受けたり、TLOがなぜうまくゆかないのか等わかりやすくご説明され、大学の真の役割は共有価値の創造(Creating Shared Value)と一つの結論を講演の中盤で提示された。このことで、前半産学連携におけるアカデミアの問題を話されていたのだと想像できた。
偉い先生のご講演に遅刻し失礼をした以上は、一生懸命理解する覚悟で拝聴したが、アカデミアの深刻な問題の構造を考えることになり、後半に話された先生の御研究までもその延長の感覚で聞いていた。
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昨日から3日間の予定で幕張メッセで高分子学会年会が開催されている。退職してから仕事の都合で高分子学会の年会には出られなかったが、今年は日本化学会の年会に忙しくて出られなかったので、高分子学会の年会に出てみた。
学会の年会にポスターセッションがつきものだが、口頭発表よりもじっくり研究内容を見ることができるので楽しい。研究内容には何に役立つのかわからないようなものがあり、面白いのは発表者が教えてください、といってくる向学心旺盛な方もいる。
昔は企業に属していたのでこのような質問から逃げていたが、今は答えるようにしている。学会の発表は科学であればよいので、何に役立つかわからない研究でも新しい真理さえ明らかになっておればよい、と思っている。
だいたい企業で研究発表の許可が早く出るケースはたいていが役に立たなかった開発成果だから、アカデミアの方も何に役立つかわからない研究を堂々と発表すればよい。ただし、何か一つ新しい真理が述べられていることが重要だ(注)。
真理については科学的論理で証明されておればわかりやすいが、そうでなくても、それが不動の真理であれば、年会で発表すべきである。その場合には、「こうしたらこうなった」的な発表になるが、これでも価値があると思っている。
昔、高純度SiCの前駆体について日本化学会で発表しとんでもない体験をしたことをこの欄で紹介したが、今でもこの体験は、大学の先生がおかしいと思っている。なぜなら科学の一つの方法に「発見」があるからだ。「発見」については真理の迅速な発表こそ必要である。
そして科学的に論じない代わりに繰り返し再現性を語ることになる。STAP細胞も自殺した世界的に著名な研究者が現象を見たのだから少しは再現性があり、特許を撤回する愚行までしなくてもよかったと思っている。「新発見」は、科学的な準備ができていなくても年会でどんどん発表すべきだろう。
真理や発見と同様に大切なのは体系なり研究のコンセプトである。何に役立つかわからない研究でも、一つの真理が明確にされており、そこに向かうコンセプトなりあるいは体系が見えるならば、それは科学の研究として価値がある。
さらにこのような研究は、仮にその研究が何に役立つかわからなくても、技術者に道具の提供をしているという貢献の価値がある。
最近は目的を明確にした研究が求められており、年会の発表でも訳のわからない研究が少なくなってきた。しかしその結果このような体系あるいはコンセプトを新たに提案している研究が少なくなっているのは残念である。
(注)昔故小竹先生が「研究とは何か新しいことを見つけることだ」と言われた。この言葉を述べられたときに科学とことわられていなかったことが印象的である。科学にも技術にも研究が必要というお考えだった。科学技術とみそくそ一緒にされるケースが多いが科学と技術は研究の方法も異なる。
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創業から5年たち、いろいろな業務を経験することができました。その中で高分子の難燃化技術は、ゴム会社へ入社1年後から3年間担当した業務でした。ホスファゼン変性ポリウレタンやホウ酸エステル変性ポリウレタン、ケイ酸変性フェノール樹脂など燃焼時にリン酸ユニットを系内に保持する炭化促進型コンセプトで開発した技術は、40年ほど前では斬新な考え方で、学会の招待講演などでも高い評価を得ました。
その後、イントメッセント系難燃剤などが注目され、現在に至っておりますが、燃焼時にリン酸ユニットを固定し、炭化促進を行う難燃化手法は、三酸化アンチモンとハロゲンの組み合わせによる難燃化手法と同様現在でも主要な難燃化技術(イントメッセント系難燃剤も同様のコンセプトの発展形)として採用されております。
今回、この難燃化技術にさらに磨きをかけるため、新素材を開発いたしました。まだ特許出願中のため素材の詳細を開示できませんが、基本コンセプトについてわかりやすく解説する講演会を開催いたします。弊社へお申込みいただければ、新素材を開発した企業のご紹介等特典がございます。
なお、11月には科学にとらわれない思考法をベースにした問題解決法の講演会を予定しております。本講演会では、従来の科学的な問題解決法をおさらいし、そこに潜む問題点を明らかにし、新たな技術を創造するための誰でもできる発想法と当方がこれまで用いてきて有効だったノウハウを伝授いたします。
1.機能性高分子の難燃化技術とその応用
(1)日時 10月4日 10時30-17時30分まで
(2)場所:東京・西新宿
(3)参加費:48,600円
(注)評価技術に力点を置き、高分子物性を創りこむノウハウもご説明致します。
https://www.j-techno.co.jp/seminar/ID57NLFEZ15/%E6%A9%9F%E8%83%BD%E6%80%A7%E9%AB%98%E5%88%86%E5%AD%90%E6%9D%90%E6%96%99%E3%81%AE%E9%9B%A3%E7%87%83%E5%8C%96%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%BF%9C%E7%94%A8/
2.高分子難燃化技術の実務
(1)日時 10月27日 10時30-16時30分まで
(2)場所:江東区産業会館第一会議室
(3)参加費:49,980円
(注)難燃性と力学物性、さらに要求される機能性をどのようにバランスさせ品質として創り込むのか、という視点で解説致します。
https://www.rdsc.co.jp/seminar/161026
3.11月度開催予定の講演会は下記
https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116
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昨日10月4日の講演会の紹介のためにかつて社会問題になった建築の難燃規格について触れた。これは、規格に定められた試験試料に着火する方法が問題で、試料をセットし、試験が開始され炎がこの試料に当たると燃焼し始める。
すべての試料が手順通りに着火してくれればよいが、試験試料の中には余熱や試験炎が着火した瞬間の熱で、もちのように膨れ始める材料があった。最初この発見をした人は、高卒の技能員の方で、これは面白い発見ということになった。
ところが、試験試料がもちのように膨れ、試験炎から逃げるために試料へ着火することができないので、本来ならば試験は失敗のはずだ。ところがこの規格では試験試料の変形について炎から逃れるほどの大変形あるいは着火しない場合についてどのような判定にするのか決めていない。これは評価法がおかしいのだが、お国の偉い先生方が考えられた成果ということで疑われることはなかった。
その結果、もちのようにうまく確実に膨れる材料の研究開発が行われ、材料設計手法について特許出願がなされた。他メーカーもリバースエンジニアリングと特許情報から同じような材料設計の商品を特許回避して製造するようになった。
このような場合に、現在の企業ならば、評価法の問題を疑い、本来規格が目指しているあるべき姿を想定し、改良された新評価法を開発する。そしてその評価法を権利化するとともに、その評価法で必要となる材料群の特許を押さえ、評価法は無償で開放しその評価法を標準規格にする戦略をとるのが正しい。
しかし、当時はそのような発想が無かったので、狭い範囲の特許出願しか行われず、他社が類似技術で追従することが容易となり、難燃性に問題を抱えた商品が主流になる事態になった。
責任は問題のある規格を制定した国にあるわけだが、実際には問題とわかっていてもそれを是正せず普及させた企業も同罪である。社会に出て経験が浅い当方は問題の是正を上司に提案しているが、逆に誤った指導をされた。ただその指導方法にも少し問題がったので、反骨精神で難燃化技術について評価技術も含め、あるべき姿を追求するようになった。
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10月4日に高分子難燃化技術に関する講演会を予定している。高分子の難燃化技術は科学で扱いにくい分野である。40年以上前にはアカデミアで積極的に研究されたテーマだが、30年ほど前から研究発表が少なくなっていった。
また、そのころから、LOIとかULなどの規格が普及していった。規格の中には科学的に決められたにもかかわらず、火災を普及させるようなものも登場している。それは、社会問題となってから規格の見直しが行われ,現在は使われていないが、当時は新聞にも取り上げられ大問題になった。
これは、科学的に決められた規格に対して、企業におけるある発見がもとになり規格を科学的に解析し、規格を通過できる材料設計を科学的に推進したことが原因で問題が大きくなった。すなわちその規格を採用した各企業で同じような材料設計の商品が販売されたために日本全国に問題が広がった。
当方がゴム会社に入社して2年目の出来事だったが、LOIのJIS化が制定されようとしていた時である。そのLOIを用いて、先に述べたとんでもない材料設計の問題を指摘したのだが、上司の主任研究員は、LOIは商品規格ではないので問題とはならず、自社の商品は国の規格に通過しているので問題ではない、と涼しい顔をしていた。
このような問題は、今の時代では涼しい顔は許されない。企業の社会的責任として、仮にお上が制定した規格であってもその間違いを積極的に指摘しなければいけない。さらに規格に問題を見つけた場合には、本来のあるべき姿を想定し、知財戦略を展開するチャンスでもある。
難燃化技術に関しては科学的に扱いにくい、という理由以外に、その手段が限られる問題がある。未だに炭化促進型がドリップ促進型のいずれかの手法の材料設計となり、用いる添加剤もほぼ定型になりつつある。
ただまだ新しいアイデアの出てくる余地はあり、今回の講演会では、電子材料に焦点をしぼり、その考え方を説明したい。1日では難燃化技術全体を講義できないので、10月下旬にも異なる視点の講演会を予定しているので、両方の講演会に参加することをお勧めしたい。
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創業から5年たち、いろいろな業務を経験することができました。その中で高分子の難燃化技術は、ゴム会社へ入社1年後から3年間担当した業務でした。ホスファゼン変性ポリウレタンやホウ酸エステル変性ポリウレタン、ケイ酸変性フェノール樹脂など燃焼時にリン酸ユニットを系内に保持する炭化促進型コンセプトで開発した技術は、40年ほど前では斬新な考え方で、学会の招待講演などでも高い評価を得ました。
その後、イントメッセント系難燃剤などが注目され、現在に至っておりますが、燃焼時にリン酸ユニットを固定し、炭化促進を行う難燃化手法は、三酸化アンチモンとハロゲンの組み合わせによる難燃化手法と同様現在でも主要な難燃化技術(イントメッセント系難燃剤も同様のコンセプトの発展形)として採用されております。
今回、この難燃化技術にさらに磨きをかけるため、新素材を開発いたしました。まだ特許出願中のため素材の詳細を開示できませんが、基本コンセプトについてわかりやすく解説する講演会を開催いたします。弊社へお申込みいただければ、新素材を開発した企業のご紹介等特典がございます。
なお、11月には科学にとらわれない思考法をベースにした問題解決法の講演会を予定しております。本講演会では、従来の科学的な問題解決法をおさらいし、そこに潜む問題点を明らかにし、新たな技術を創造するための誰でもできる発想法と当方がこれまで用いてきて有効だったノウハウを伝授いたします。
1.機能性高分子の難燃化技術とその応用
(1)日時 10月4日 10時30-17時30分まで
(2)場所:東京・西新宿
(3)参加費:48,600円
(注)難燃性と力学物性、さらに要求される機能性をどのようにバランスさせ品質として創り込むのか、という視点で解説致します。
https://www.j-techno.co.jp/seminar/ID57NLFEZ15/%E6%A9%9F%E8%83%BD%E6%80%A7%E9%AB%98%E5%88%86%E5%AD%90%E6%9D%90%E6%96%99%E3%81%AE%E9%9B%A3%E7%87%83%E5%8C%96%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%BF%9C%E7%94%A8/
2.高分子難燃化技術の実務
(1)日時 10月27日 10時30-16時30分まで
(2)場所:江東区産業会館第一会議室
(3)参加費:49,980円
(注)評価技術に力点を置き、高分子物性を創りこむノウハウもご説明致します。
https://www.rdsc.co.jp/seminar/161026
3.11月度開催予定の講演会は下記
https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116
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創業から5年たち、いろいろな仕事を経験することができました。その中で高分子の難燃化技術は、ゴム会社へ入社1年後から3年間担当した業務でした。担当業務の中で自ら企画したテーマ、ホスファゼン変性ポリウレタンやホウ酸エステル変性ポリウレタン、ケイ酸変性フェノール樹脂など燃焼時にリン酸ユニットを系内に保持する炭化促進型コンセプトで開発した技術は、40年ほど前では斬新な考え方で、学会の招待講演などでも高い評価を得ました。
その後、イントメッセント系難燃剤などが注目され、現在に至っておりますが、燃焼時にリン酸ユニットを固定し、炭化促進を行う難燃化手法は、三酸化アンチモンとハロゲンの組み合わせによる難燃化手法と同様現在でも主要な難燃化技術(イントメッセント系難燃剤も同様のコンセプトの発展形)として採用されております。
今回、この難燃化技術にさらに磨きをかけるため、新素材を開発いたしました。まだ特許出願中のため素材の詳細を開示できませんが、基本コンセプトについてわかりやすく解説する講演会を開催いたします。弊社へお申込みいただければ、新素材を開発した企業のご紹介等特典がございます。
なお、11月には科学にとらわれない思考法をベースにした問題解決法の講演会を予定しております。本講演会では、従来の科学的な問題解決法をおさらいし、そこに潜む問題点を明らかにし、新たな技術を創造するための誰でもできる発想法と当方がこれまで用いてきて有効だったノウハウを伝授いたします。
1.機能性高分子の難燃化技術とその応用
(1)日時 10月4日 10時30-17時30分まで
(2)場所:東京・西新宿
(3)参加費:48,600円
(注)難燃性と力学物性、さらに要求される機能性をどのようにバランスさせ品質として創り込むのか、という視点で解説致します。
https://www.j-techno.co.jp/seminar/ID57NLFEZ15/%E6%A9%9F%E8%83%BD%E6%80%A7%E9%AB%98%E5%88%86%E5%AD%90%E6%9D%90%E6%96%99%E3%81%AE%E9%9B%A3%E7%87%83%E5%8C%96%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%BF%9C%E7%94%A8/
2.高分子難燃化技術の実務
(1)日時 10月27日 10時30-16時30分まで
(2)場所:江東区産業会館第一会議室
(3)参加費:49,980円
(注)評価技術に力点を置き、高分子物性を創りこむノウハウもご説明致します。
https://www.rdsc.co.jp/seminar/161026
3.11月度開催予定の講演会は下記
https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116
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