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2026.04/15 実験環境

DXは社会に様々な変革を引き起こした。しかし、意図的に変革を受け入れなければDXが進行しない領域がある。それは実験環境である。


OAと同様にラボラトリーオートメーションが進行し、分析装置など素人でも扱えるようになった。しかし、製品開発のような総合的視点が要求される業務や、研究開発の解析業務では、昔ながらの方法が行われているのではないか。


MIはじめデータサイエンスの手法は、20年以上前は明確に非科学とされその手法の導入を否定する研究者が多かっただけでなく、手法を導入している研究者を排除する動きさえあった。


当方は様々な出来事や同僚の転職なども重なり、結局立ち上げたばかりの高純度SiC事業を置き土産として、写真会社へ転職している。


しかし、最近は解析業務にデータサイエンスの手法を導入するのが流行にもなってきて、実験環境が変わりつつある。


昔は高価だった解析ソフトウェアーが無料で利用できるようになり、また、その事例も公開されているので、AIを用いると誰でも事例を参考に高度な解析ができるようになった。


このような世の中になると、専門家として昔ながらの方法にしがみつく研究者はリストラされても仕方がないのかもしれない。新しい方法の導入で悩まれている方はご相談ください。

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2026.04/14 実験データの解析

MS-DOSの時代はLOTUS123が、そしてWindows時代には、Excelが実験データ整理の定番ソフトウェアーだった。ExcelにはVBが搭載され、自動処理も可能だった。


ところが、AIの登場でそれが見直されつつある。理由はAIで自動処理を行おうとしたときに、Excelは意外にも使い勝手が悪い。そこで弊社では、データベースソフトにExcelの表機能をつけて、これを出力可能なソフトウェアーとしてまとめたツールを開発するとともに特許出願した。


グラフ機能は無料で配布されているRを用いる。Pythonでもグラフを書くことが可能であるが、RはPythonよりも簡単にきれいなグラフが書けるだけでなく、統計解析結果も簡単に出力できる。


Rを使用したことが無くても、今やAIに質問するとスクリプトを書いてくれるので、文法を勉強するのはコードを読めるレベルまででよいのだ。


このような環境で、Excelを使用していた時より、はるかにデータ整理の効率が上がる。昔ならば、MS-DOSのバッチファイルさえもコンピューターに詳しくないから、と他人に押し付けていた人がいたが、今はAIがあるのでその言い訳は使えない。

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2026.04/13 技術者の責任

故田口玄一先生は、タグチメソッドをご指導されるにあたり、基本機能の選択とシステム設計は技術者の責任である、と常に申されていた。


システム設計はタグチメソッドで行うので、基本機能の選択は100%技術者の責任となる。田口先生には3年間直接ご指導いただき、当方が高純度SiCの技術開発で用いていた倉地メソッドの方法についてもご意見を頂いた。


このタグチメソッドもどきの倉地メソッドは、田口先生がアメリカでご活躍されているときに当方が独自に発明した方法である。


倉地メソッドは、実験計画法において外側に相関係数を配置して実験を行う方法であるが、これを発明した背景には、ゴム会社の研究所が統計手法をバカにしていた風土の影響がある。


実験計画法は、直交表を用いて行う実験手法だが、外側には直接実験データを割り付ける。田口先生はこの方法の抱える問題から、外側に誤差と信号因子を割り付ける実験法にされたのだが、当方の実験方法も同様の理由である。


田口先生は、常々タグチメソッドは実験計画法ではない、実験計画法という呼び名は統計手法の教科書に書かれている実験方法が唯一である、とも申されていた。


残念ながら実験計画法も倉地メソッドも基本機能という概念を想定していなかった。田口先生は、基本機能の研究が一番大事であり、それが技術者の本来の仕事と言われていた。

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2026.04/12 教職

ある中学校の入学式の校長挨拶が話題になっている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3677b88ee490bacca0ef90612cde5341be55e913


保護者の皆さんに2点お願いします。 1. 本校の教員の勤務時間は8時15分から4時45分までです。学校への連絡は時間内にお願いします。 2. お子さんのスマホトラブルについては保護者の責任です。悪質だと思われた時には遠慮なく警察に通報してください。


という内容である。これは、今の時代に間違っていない。しかし、ため息がでた方もいるのではないか。ため息の原因は書かない。


昔、教職は聖職と言われた時代があった。それに対して日教組は教職を単なるサラリーマンよりも軽い位置づけにする運動を行って、現在に至る。


このように書くと、日教組の方に叱られるかもしれないが、昭和の時代にはそのように聞こえた。すでにこの校長のあいさつのようなことを叫んでいたのである。


しかし、当時のサラリーマンはモーレツサラリーマンの時代だったので、当時の常識からみると、日教組の主張では教職の位置づけが一般サラリーマンより軽い職業となる。


当方はセミナー会社の依頼を受けてセミナーの教師も業務として行っているが、いつも受講者の要望があれば定時過ぎても質問に対応している。それで講師料が増えるわけではないが、当方の知識を生かしていただけるならという思いで、時間を問題にせず質問に答えている。


時にはセミナー後に質問メールが来ることもあるが、丁寧に回答を書いている。これらは、教職のプロとしてのプライドからである。いかにも昭和的プライドかもしれないが—-。


教職ではないが、転職したころに総労働時間目標を1800時間にしようという運動が起きた。それから15年後、単身赴任したら半年後に量産立ち上げしなければいけない仕事が歩留まり10%前後でうろうろしていた。


解決策をわかっていたので、当時共同開発を行っていたコンパウンドメーカーに申し上げたところ、勝手にコンパウンド工場でも立てて生産せよと言われた。ゆえに仕方なく睡眠時間や休日を削り、3か月でコンパウンド工場を建て歩留まりを100%にすることができた。


これで給与が増えたわけでもなく、昇進できたわけでもない。その後の年収に影響はなかった。それでも成功させようとしたのは、職業に対する責任感からである。校長のあいさつとは別の問題かもしれないが。

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2026.04/11 上手な実験のやり方

新材料開発を行う時に一番心配なことは、情報が少ない中で特異点を見落とすことである。これを理解していない人が多い。特異点があってもロバストが高いとは限らない、とか、特異点を見落としても実用的なものができればよいとか思っている人がいる。


確かにそれらの意見にも一理あるが、特異点の存在を知らずに実用化した時に、ライバルから性能が高い特異点の領域で特許を出されると大変である。


ゆえに、上手な実験のやり方として、まず開発領域を明確にすることから始めることをお勧めする。これは故田口玄一先生の言葉で表現すれば、システム設計を行い基本機能を明確にする、ということだ。


そして、システム設計を行うためにタグチメソッド(TM)で実験を行うことになる。ところが、システム設計がうまくできない場合も出てくる。その時は、システム設計を行うための実験を行うことになる。


この時にも直交表を使うと良い。直交表を使うのだが、TM実験のように大掛かりに行う必要はない。システム設計できたなら改めてTM実験を行い、調整因子で最適化を行う、というのが従来の実験方法である。


10年ほど前からベイズ最適化の手法がもてはやされているが、ベイズ最適化がいつも最適であると限らない。昔ながらのTMによる最適化で十分な場合がある。


ベイズ最適化実験を行う時でも、最初にL8かL9程度の直交表でTMを行うことをお勧めする。これにより、特異点の存在を伺い知ることができる。数個実験を行って、ベイズ最適化で攻めても最適点に到達できるが、特異点の不安が残る。


1980年代にコンビナトリアルケミストリーが流行ったのは、新素材が思いもよらぬ条件で見出されたりしたからである。この20年ほどは驚くような新発見はiPS細胞くらいなので、全部の条件で実験を行うというのは野暮に思われるかもしれない。


ベイズ統計を用いるプログラムが身近にあれば、それを少し手直しして誰でもベイズ最適化ができる時代である。しかし、この半世紀に様々な実験方法が開発されてきた。山中博士のあみだくじ方式には驚いたが、良いものができれば、それでもノーベル賞である。


実験のやり方、戦略や戦術の立て方は重要で、弊社はそれを販売してきた。中国では、小さなローカル企業が大きくなるという成果が出たが、日本では全然販売実績が無いのが寂しい。


TMが日本に普及し始めた90年代にも似た空気がベイズ最適化にも感じられる。AIとの親和性もありこれからどんどん発展するのだろうけれど、これまでの実験方法が悪いわけではない。目的や戦況に応じた実験方法を選択するのが正しい。

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2026.04/10 直交表とベイズ最適化

直交表を用いてデータ駆動による材料開発を50年近く行ってきたが、コンビナトリアルケミストリーより効率が良いことを発見している。


この10年近くベイズ最適化に取り組んできたが、オーバーフィッティングが起きると正確な予測が困難になる。ベイズ最適化では、TMや実験計画法のように線形性の無い現象でもモデリング可能であるが、仮に線形性があってもオーバーフィッティングが起きる。


これは、実験計画法やTMの要因効果図で変曲点が現れたりする現象と同じである。実験計画法では要因効果図に線形性が無くても解析可能と指導しているが、材料開発に適用するときに、これが最適点を外す原因となる。


面白いのは、TMの要因効果図でも線形性が崩れ、多次元モデルとして扱った方が良い場合が出てくるがTMでは最適点を外さない工夫を指導される。また、欠損値の扱いも明快である。


ベイズ最適化でもAIとして用いるモデルを充分に吟味し評価すれば多少のペナルティーを防ぐことができるが、TMほどではない。TMでは確認実験がベイズ最適化における回帰モデル評価に相当するのかもしれないが、実際に実験を行っているので説得力がある。


一方ベイズ最適化でオーバーフィッティングの問題が起きたりするので、線形性が存在する現象では、AIとして用いるモデル構築の手法は重回帰分析で十分である。


直交表を用いる時にせよ。ベイズ最適化を行う時にせよ、正しくその手法を理解していないと、自分の無知を手法の責任にしたりする。その点、TMは、手法を理解すれば実験者を裏切ることは無い易しい実験手法である。

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2026.04/09 直交表を用いる実験

直交表を用いる実験といえば、実験計画法である。しかし、実験計画法で材料開発を行うと、最適点が外れることがある。これには50年近く前にゴム会社の研修(日科技連BASICコース)で痛い目にあっている。


研究所では統計手法を業務に導入するのはアホと陰口を言われていた。面白いことにタイヤ開発の基礎研究所ではすでに多変量解析はじめ当時の先端の統計手法が使われていたのに、コーポレートの研究所ではそれが否定されたのだ。


ただ、実験計画法で痛い目にあってみると、研究所の陰口にも納得できたりした。しかし、会社が一人50万円もかけて研修を行っているのだ。業務に導入しないのはおかしい、と思い、実験計画法の研究を趣味で行っている。


これも研究所でいじめられる原因となったのだが、最適点を外すと周囲によく笑われた。嘲笑を受けながら工夫して、直交表の外側に相関係数を割り付けると、最適点が外れないことを発見した。


これは、タグチメソッド(TM)で直交表の外側にSN比を配置する手法と類似である。TMでは、誤差因子も外側に配置して実験を行うが、TMを実験計画法と呼んではいけない、と故田口玄一先生はいつも言われていた。


TMは統計手法ではないのだ。例えば感度は相関係数に似たような性質だがTMの感度は相関係数そのものではない。また、感度も含むSN比は標準偏差と異なるTM独自の指標である。


すなわち、TMでは直交表を用いるが、それゆえ実験計画法と誤解される、と田口先生は嘆かれていたのだ。このお気持ちはよく理解できた。当方も実験計画法で嘲笑を受け、相関係数を外側に割り付ける手法を編み出しているので、その手法が実験計画法ではないように感じていたからである。

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2026.04/08 実験のやり方

いつの時代でも効率的な実験のやり方が求められている。なぜなら、研究開発の費用に直接影響するからである。直交表を用いる実験計画法は古くから用いられてきた実績のある方法だ。


しかし、最適条件が外れる場合がある。タグチメソッドでも直交表を用いるが、こちらはへまな実験を行わない限り最適条件が外れない。ここでへまな実験とは、故田口先生が言われていた基本機能の選択や制御因子について先生の教えを守らない場合である。


データサイエンスの普及で、実験モデルを組み立て実験する方法が新たに登場した。ベイズ最適化がその例であるが、いつもこの方法が効率が良いとは限らない。


また、実験モデルの組み立てにいわゆる回帰モデルなどが使われたりするが、このモデリングにおいて説明変数をうまく選ばないと、実験に失敗する場合がある。


実験モデルをプログラムコードで書けばAIとして使えるので今時の流行なのだろうが、モデリングで失敗すると良い結果を導けない。


自動化が可能な方法であるが、自動化が必要ない時には、アナログ的なモデリングも試してみると良い。グラフ用紙を用いて行うが、意外と有効な方法であることに気づく。実験条件は直交表を用いて決めると良い。

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2026.04/07 エクセルは古い

Pythonが普及し、誰でもデータ解析をコンピューターさえあれば無料で行える環境が整備された。このような時代になると、データをどのように管理したらよいのか、という問題が出てくる。


来週月曜日に技術情報協会で開催される「Excel業務をPythonで置き換えるデータ解析の実践」では、生成系AIの普及を踏まえた幅広い講義内容で構成している。


すなわち、今の研究開発業務をDXにふさわしいやり方に変革しようとしたときに、まず生成系AIについて正しく理解しなければいけない。次にこの生成系AIを生み出した、データ駆動という概念とオブジェクト指向という概念を学ばなければいけない。


もちろんデータ解析にはPythonの習得が必須であるが、PythonだけでなくR言語に関しても知識が必須である。Pythonを駆使できればR言語はいらないように思われるかもしれないが、エクセルファイルを使ったデータ解析にはR言語が手軽である。


PythonでもPADASをimportし、statsmodelsを活用すればR言語の内容をおおよそカバーできる。しかし、R言語の変数でベクトルを使うことができる便利さは、それでも生み出されない。


R言語を必要ない、と言われる人もいるが、Pythonの中でR言語を記述できることを知ると、知識として持っていた方が便利なことに気がつく。


この他に今の研究開発シーンで技術者が一通り知識として持っていた方が良いことを盛り込んだセミナーであり、おそらく他に例のない内容だと自負している。


				

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2026.04/06 ベイズ最適化の落とし穴

ベイズ最適化の手法が普及し始めたのではないだろうか。雰囲気として90年代のタグチメソッド普及の時のような空気感がある。


ベイズ最適化は、配合設計のような組み合わせと量の最適化問題を解くときに便利である。数点の実験データから最適点の確率の高い条件を見つけ実験し、外れればそのデータをモデルに組み入れ再度計画を練ってゴールを見出すデータ駆動の方法である。


AIによる自動化も可能である。最初にモデルを組み立てる時に過去データを用いて行うこともできるので、従来のようにエクセルにデータを貯めていては不便な時がある。


可能ならば、実験データは一つのデータベースに保存した方が便利で、その点に着眼しFAIR原則が10年前に定められた。


データ駆動の時代にデータの再利用の重要性に気づき、環境が整備されつつある。この状況に着眼し、弊社では特許出願を行い、エクセルに代わる新しいデータ整理用のツールを開発した。


さて、弊社のソフトウェアーを使用すればデータ管理の方法も今の時代にふさわしくなるが、それでもベイズ最適化の方法には落とし穴が残ってくる。


実験を効率的に行う方法として、実験計画法が古くから使われてきた。そしてこの方法の問題を解決するためにタグチメソッド(TM)が登場している。残念ながらTMは日本で普及せず、アメリカでまず故田口先生は大成功を収める。


この時日本ではコンビナトリアルケミストリー(CS)が流行している。セレンディピティーなる言葉ももてはやされ、CS用の実験装置も開発された。


CSは、すべての条件を検討するので、特異点の存在を見落とさない。実験計画法やTMも対象としている系のモデリングには因子の水準の振り方を間違えなければ落とし穴に落ちない。


しかし、ベイズ最適化には、特異点が存在しない、という前提に注意しないといけない。ベイズ最適化は確かに効率が良いが、それは特異点が存在しないという条件においてである。


以前この欄にデータ駆動によりPETボトルのリサイクル樹脂を開発した話を書いている。この実験ではベイズ最適化を用いていない。PETに5種類の樹脂やゴムをカオス混合し、PETが主成分となるポリマーアロイを目標としたが、直交表を用いている。


すなわち、最初にL9を用いた9種類の配合実験を行い、ポリマーアロイの引張試験や曲げ試験におけるふるまいを観察整理している。この9種類の配合系の試験で延性脆性転移や、延性破壊をする高靭性のポリマーアロイを発見している。


オブジェクト指向におけるふるまいから考察すると、3種類のポリマーアロイができることになる。しかし、L9実験で得られた結果からはその規則性を示すデータは得られなかった。


そこで、次のL9実験ではちちんぷいぷいとおまじないをした配合系で検討したところ、高靭性高強度のポリマーアロイを開発でき、驚くべきことに老化防止剤等耐久性に関わる添加剤を添加していないにもかかわらず、15年間窓際においてもこの性質が失われていない。


このような、特異点の材料を見出すには、データ駆動の方法が便利であるが、その時にベイズ最適化が良いとは限らない。なぜ、80年代にセレンディピティーなる言葉が流行し、CSが生み出されたのか知っている人は、ベイズ最適化の問題点にすぐ気づくはずである。

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