小学生の頃に象が乗っても壊れないアーム筆入れ、という商品がヒットしている。TVで実際に象に踏ませて壊れないところをPRしていた。
映像で見る限り、象の全体重が筆入れにかかっていたわけではないが、それなりのインパクトがあった。同様に今でも記憶に残っているナイロンザイルの事故は、高分子の破壊について講演するときに常に思い出す。
奥穂高の事故を扱った井上靖の「氷壁」は、当方が3-4歳頃の新聞小説で、その後映画化やTVドラマ化されている。だから、実際の事故について記憶が残っていたわけではない。
小学校時代に見たTVの記憶である。最初のTVドラマではフジTVの昼メロ(注)として放映されており、記憶が正しければ、人妻と密通しロッククライミングで滑落する男性を渋い二枚目の山崎努が演じていた。
この思い出は、その後必殺仕事人で念仏の鉄の演技を見ていて興ざめした体験として残っている。小学校高学年の午前中の授業だけの時に帰宅すると、この昼メロを見ることができ、ナイロンザイルの事故として一生懸命見ていた。
氷壁は長編小説であり、読むのに大変だったが、この昼メロを見ていたおかげで、中学の時に一気読みしている。このような経験から、古い事件でありながら、小説と実際の事件との区別がつかず、鈴鹿高専の実験を見ていたような錯覚まですることがある。
また、念仏の鉄と滑落死した人物が一緒なのは、必殺仕事人を見ているときに邪魔な記憶だった。特に鉄が女郎と遊んでいるシーンを見ると人妻との密通を思い出し、喜劇に映ったのである。
ところで、ナイロンザイル事件はTVドラマのような浮ついたものではなく、長い間裁判が行われ切れるはずの無いナイロンザイル事件として当方が成人するまで新聞でたびたびニュースとして取り上げられている。
ちなみにこのナイロンザイルはT社製の糸をTS社がロープ化したもので、企業と被害者がそれぞれ公開実験を行い戦っている。このように泥沼化したのは、高分子材料の破壊機構について科学的に不明点が多かったからである。
科学的に不明だから企業に過失はない、というのは法的に正しいのかもしれないが、思春期の当方の目には良い印象が残っていない。T社もTS社も日本を代表する立派な企業であり、例えばPPS/6ナイロンの技術は、脆いPPSを高速で動作する複写機部品として使えるようにした素晴らしい技術である。
しかし、パーコレーションの問題を解決できなかったのは残念で、技術サービスからド素人と評価された当方が3カ月でコンパウンド工場を子会社の敷地に建設しなければいけない事態になっている。
この時、脳裏にあったのは、辛抱強くナイロンザイルの問題を訴えた被害者の兄の姿である。PPSの力学特性を改善する技術には成功したが、半導体としての電気特性を安定化させる技術に失敗している点に気づいていない問題を深く議論することをすぐに諦めている。半年後には製品に搭載しなければいけない部品の責任者だったからである。
二律背反の技術は、科学では解決しにくい場合が多い。そのとき科学で分かっていないからモノはできないでは困るのだ。今月19日にこの事例とともに問題解決の方法をゴム協会シンポジウムで2時間講演する。
何をこの時考えていたかについても話す予定でいるので聞きに来て欲しい。セラミックスが専門の人間がリスキリングできたDXの効果についてご理解いただけるのではないか。
ちなみに、材料の破壊力学が金属やセラミックスに適用され、一応の完成を見たのは、1980年代のセラミックスフィーバーの時であり、高分子の破壊についてはまだ細々と研究が続けられている。
しかし、金属やセラミックスで線形破壊力学の考え方の正しさが確認され、K1cというパラメーターは弾性率同様に物質の固有の値という認識ができつつある。
当方が、材料の破壊に関心があるのは、プラモデルが登場した時に今は無くなった今井模型の社長からケミカルアタックの説明と壊れた部品の代わりを送られた思い出からである。
ナイロンザイル事件について新聞のニュースで知ったのは小学校高学年になってからであるが、昼メロ以外に氷壁のドラマをその後数回見ることになり、高校生の頃にナイロンザイル事故が同日に2件起きたセンセーショナルなニュースはワイドショーでも扱われ今も覚えている。
そして成人した時に法制化されたニュースを見た記憶が残ってる。同様にTVドラマを通じて印象に残っているのは、「わたスキ」が放映された時に頻発したABS製スキー靴が壊れる事故である。
高分子材料の破壊について、学術的な思い出よりもこのようなTVドラマとの関連で関心が強く、今も興味深くその研究成果について勉強している。
(注)この昼メロを今から思い出しても少し憤りを感じる。いくらナイロンザイルの結晶化による靭性低下が原因という機構が分かっていないから、といっても、滑落原因を人妻との密通が原因であるかのような展開だったからである。一方で鈴鹿高専の先生が辛抱強く研究成果を発表されて、それが新聞で取り上げられたりしていた。すなわち高分子の破壊がこれほど社会問題化された例を当方は知らない。「私をスキーに連れてって」では、スキー靴の問題を扱わず、モータリゼーションの世相を描くのに一生懸命だった。デートカーという言葉も生まれ、その後プレリュードが大ヒットしている。プレリュードは、バブル崩壊後売れなくなってカタログから消えたが、最近ホンダはプレリュードを再登場させると発表している。初任給バブルの時代にヒットするか?
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ゴム会社の12年は、現代に通じるマネジメントを学ぶのに良い機会だった。およそ昭和のダメマネジメントのすべてを体験するとともに、著書も多い浦川取締役という研究開発マネジメントに長けたリーダーにご指導いただき、その方のご指導で高純度SiCの事業を住友金属工業とのJVという形で立ち上げている。
この方は、昨年4月にお亡くなりになったので、もうすぐ一周忌である。この方の前任者Y取締役は任期半ばで解任されている。本部長室でゴルフクラブを振り回し天井の蛍光灯を壊したり、横断歩道で老婆を跳ねた管理職の事故を隠蔽したりと、役員として短命であられたことに納得がゆく方だった。
日産の役員も今世間から批判されているが、とりわけ社長についてはすでに後任が発表されたにも拘らず、その無能ぶりがネットで批判のネタになっている。ゴム会社の経営は厳しく、このような社長が誕生する余地はない。
大会社でダメ経営者が生まれるのは、やはり、人事評価がうまく機能していないのだろう。人事評価の実際の問題はなかなか表面に出てこない。
ゴム会社で高純度SiC半導体治工具事業を0から立ち上げた当方の12年間の人事評価をこの欄で公開したい。なぜゴム会社でタイヤ以外の新事業が育ちにくいのか、なぜゴム会社はタイヤ業界で世界一になれたのか、も見えてくると思う。
初任給30万円だの景気のいい話が今日本で溢れているが、その前に経営者はやらねばならないことがあると思っている。現在抱えている人材をどのように戦力としてのポテンシャルを上げるのか、難しい時代である。
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昨日ゴム会社の同期の葬儀に参列させていただいた。先月25日にお亡くなりになって、火葬場が満員ということで、葬儀の日取りが決まらず、とりあえず葬儀に出られない場合に備えてご霊前だけお送りした。
その時弔電も送ろうと車で郵便局へ向かう予定だったが、突然後席のシートベルト警告ランプがついた。車には運転手である当方一人しか乗っていないので驚いた。また、新車から3年経っているが、初めてのことである。
何か異常でもあるのか、と思い、とりあえず車を止めたのだが異常は無かった。ややホラーめいた出来事だが、高純度SiCにまつわる話には、このような不思議な出来事が毎度起きているので慣れている。それで弔電を送るのを辞めている。
そもそもゴム会社で高純度SiCの事業を行うことが決まり、無機材研から基本特許の斡旋を受け、スタートしているが、この経緯も異常であり後日書きたい。
また、事業スタート時の管理職は、当方が研究所へ配属されて、3か月間だけ課長だった方である。この方がリーダーになられるというのも、書きにくいが少しありえない人事だった。
6カ月の新入社員研修を終え、研究所に配属されて3か月後に人事異動となったのでびっくりしている。3カ月後には無くなる組織へ配属されて、1年間の新入社員テーマの予定を3か月で仕上げねばならなかった。
指導社員は、仕事をまとめる必要はない、と言われたが、樹脂補強ゴムを使用した防振ゴムの基本配合を完成させ、特許出願から研究報告書まで仕上げている。指導社員のご指導の賜物であるが、課長は特に喜ばれず、がっかりした記憶がある。
しかし、この方は、高純度SiCの研究棟起工式が終わり、社長を送り出されてから、当方によりかかるように倒れられたのでびっくりした。新入社員の時の印象とは異なり、体調が悪いにも関わらず無理をおして起工式に出られていたのだ。
そして研究棟が完成し、竣工式の日に病院でお亡くなりになられた。竣工式の2日後は葬式が開かれ、幹部の葬儀ということで、社長も参列されたのでびっくりした。写真会社では弔電と花籠だけだったので風土の違いを感じるシーンである。
実はこの数カ月の予定を見る限り、今週は韓国出張があり、昨日の葬儀に出席できなかったはずである。それがクライアントの都合で出張が取りやめになっただけでなく、葬儀の連絡はその後にメールで送られてきた。
お亡くなりになって1週間ほど後に葬儀の連絡が来ることも珍しいが、なんやかやと偶然が重なり、迷いに迷って葬儀に参列させていただいた。12年勤務して転職した立場では参列するのは肩身が狭いが、焼香だけでもあげたかった。
化工品開発本部長まで勤められた人物の葬儀、ということで会社関係の参列者が多かった。ゴム会社の退職者の葬儀には、転職者という立場で参列しにくいが、お世話になった方々の葬儀には連絡を頂ける限りにおいて参列することにしている。
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大阪万博会場の二億円トイレの画像が流出し話題になっている。どうみても仮設トイレより少しだけまし、というひどい作品である。材料費もそれほどかかっていないように見える。
ここで思い出されるのが、東京オリンピックの時の盗作問題。結局盗作作品は採用されなかったが、今回の2億円トイレ問題はどのように収拾するのだろう。
万博のようなイベントでは、公正な監査が求められる。この2億円トイレは、問題物件として監査に引っかかる可能性がある。
それにしてもひど過ぎる。せめて材料だけでも金をかければよかったのに、ホームセンターで手軽に入手可能なプラスチックの波板を使用するという発想はどこから出てきたのだろう。
芸術性とかデザイン性などみじんのかけらもなく、金をケチったとしか見えないのである。これで多額の税金の一部が使われるのなら、国民は怒るべきだろう。
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ところで自民党内で石破内閣では参院選を戦えない、と言い出した国会議員がいる。大半の自民党議員はこの発言に応答していない。まだ国民の支持率が岸田内閣よりも高いためだろう。
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国民は、これまでの自民党内閣と異なる石破内閣をそれなりに評価しているのだ。恐らくここで他の人に交代したら、誰がなっても支持率は落ちるだろう。
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首のすげ替えよりも、トイレ問題について発信した方が支持率が上がるように思う。公開された写真を見て、あまりにもひどい費用との乖離をどのように自民党は評価するのか聞いてみたい。
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先日起きたハヤブサとこまちの連結部分が外れた問題は、設計ミスではないか。故田口玄一先生は、新幹線のロバストの低さについて、ときどき話されていた。
テレビのニュースで、今回の事故原因の説明を聞き、信頼性工学の観点で問題のある設計であることを知った。
まず、驚いたのは、外れてはいけない連結部分には万が一の対策がとられていなかった、という点である。すなわち、連結部分はすべて電気仕掛けで、万が一誤動作した時の対策が設計段階からとられていなかったことをニュースは告げていた。
これは、ロバストの低さというよりも設計ミスと思われる。電気信号が誤動作しても外れないような対策として、連結した後に手動で1本外れ止めをする方法が考えられる。
これは、信頼性工学の観点から基本の対策となる。新幹線の設計では検討されなかったのだろうか。もしそうだとすると、故田口先生の嘆きよりも新幹線の開発過程に悲惨な光景が目に浮かぶ。
モノづくり日本と言われ、品質の高さを誇ったのは50年前のことで、今はそれが伝承されていない可能性がでてきた。製造業は一度基本にたちかえり、技術の見直しをする必要があるのかもしれない。
電気回路の点検は当たり前だが、手動でピン止めする仕掛けを全車に展開してはいかがか。アナログ的対策だが、一番確実な方法である。電気信号にエラーがあっても外れない。
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高分子成形体の密度は、重要なパラメーターである。しかし、これに無頓着な技術者は多い。技術者だけでなく、一般消費者もこれに関心を持ってほしい。例えば100円ショップで同一形状のプラスチックケースを複数購入した時に重量を計測すると、それがばらついていることに気がつく。
PS製品であれば、密度を計測し、1年後その密度を再計測すると変化していることに驚くことがある。中には変形する製品もある。100円ショップの製品だから、と思ってはいけない。
高級品でも同様である。二**のF100というフィルムカメラの裏蓋が破損した時に、破片と本体の密度をアルキメデス法で計測したら異なっていた。すなわち、成形体部品に不均一な密度分布があったことになる。
これが経時で生じたのか、最初から密度分布があったのかは不明だが、最初から密度分布があったのならば、二**は重要部品の品質管理をやっていなかったことになる。
セラミックスでも金属でもその成形体の密度を計測すると理論密度となっていないが、高分子ほど経時での変化は大きくない。セラミックスなど10年や20年では変化しない。
この高分子が時間経過とともに密度変化している問題は、製品の品質管理で重要になる時がある。もし気になった技術者がいたら弊社へ問い合わせていただきたい。
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ゴムを混練りした経験者と樹脂を混練した経験者とでは、プロセシングに関する議論がかみ合わないことがある。樹脂の混練経験者は、せいぜい二軸混練機のL/Dを気にするぐらいである。
スクリューセグメントについて知識を持っていることは常識であり、その前にL/Dが最低どのくらいの値を基準にして議論しようとしているのか気にしている。
ゴムの混練り経験者でもニーダー1台で用を足していた技術者とロール混練りを経験していた技術者とでも議論がかみ合わない場合があるが、ニーダーしか経験の無い技術者は、ロール混練り経験者に敬意を表すのでやがて議論は結論へと向かう。
しかし、二軸混練機で成果を出してきた技術者は、どこかプライドが高い。お釈迦様の掌の上で飛び回っていただけであることに気がついていない。
PPS/6ナイロン/カーボンの配合を議論していた時に素人は黙っとれと言われた。当方は、ニーダーやロールでもこの配合を混練りしてみたが、一流メーカーのコンパウンドと異なる性能のコンパウンドが得られたので、混練りプロセスの検討をお願いしたのである。
結局議論にならず仕方が無いので3か月でカオス混合プラントを中古の二軸混練機を購入して立ち上げ、一流メーカーのコンパウンドよりも高性能なコンパウンドを生産し押出成形に使用している。
混練りの世界は科学の形式知の広がりよりも広いのである。何故高性能ゴムが今でもバンバリーとロールで混練されなければいけないのか、わかっている技術者は少ないように思う。問題意識を持たれた方はお問い合わせください。
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高分子学会の会報に「アメリカでフラフラしています」と題した記事が載っていた。マサチューセッツ大学で研究をされているこの筆者は、いろいろと面白いことや愚痴を高分子学会の会報に投稿したのだ。
当方もこの欄で時々ゴム会社で受けた各種ハラスメントや80万円のローンの話などを書いたりしているが、他人の愚痴を読んでみると、学びがあった。
基本的に、愚痴も含めマイナスイメージの内容は多くの支持が得られない。それどころか、今の時代ならば炎上することもあるので書くときには注意が必要である。
それが分かっていても書くのは、同じく愚痴を言いたくなるような境遇の人に何か気づきを得てほしいからである。
この筆者の愚痴は、「楽しい」だけを考えて生きている人がいる、ということを言いたいために書いているようだが、幸せな人である。
「何かキツイと感じているのなら、そこは自分のいるべき場所なのか考える良い機会なのかもしれない。」この一言は、今の時代金言である。当方は人生でこのような考え方になったことは無く、また時代も社会にガンバリズムが溢れていた。
そして、頑張ればやがてキツさから解放され、その場所に明るい未来が見えてくる成功体験を何度もしてきたのである。80万円のローンを抱えた時にも、ローンを支払い終えたら、データサイエンスのスキルが身についていた。
少なくとも当時情報工学科の助手よりも高いレベルのコンピュータースキルやデータサイエンスに対するスキルの伴った知識は、80万円の負担で遊ぶ金が無くなり、しかたなく必死で身につけたものである。
その他、自分がキツイと感じる多数の問題をガンバリズムで跳ね返してきたのだが、それで周囲に歪がたまっていることに気がつかず、FDを壊されたりする嫌がらせが起き、部下の新入社員が転職したり、期待していたセラミックスの専門家が当方の環境を見るに見かねて転職を相談してきた。
それで当方も転職を決断しているのだが、それまで12年間無理をしたことによる多くのトラウマを抱えることになった。
1年後どこで何をしているのかわからないような人生には賛成しかねるが、無理をしない生き方は、12年間我慢して身につけたスキル以外自分には何も報われなかった貢献だけだったことを思うと、賛成せざるを得ない。
いくらドラッカーが、働く意味を「貢献」と「自己実現」にある、として定義していても、少しぐらいは報いがあってもいいだろう、と凡人ゆえに嘆きたい。
但し、無理をしなければ、ゴム会社で高純度SiCの半導体治工具事業など立ち上げることができなかったことや、実用的な電気粘性流体ができなかったことを思う時、会報の筆者に少しは無理をしてみてはどうか、ただし、それは未来に明るい幻が見えるとき、というアドバイスをしたい。
日本には努力の成果を奪ってゆく人がいる。しかし、努力の結果身についた知識やスキルまで奪ってゆくことはできない。知識はどこでも身につけることができるが、無理をしなければ身につかないスキルもある。知識だけでは、研究者や技術者として生きてゆくことは難しい。
(注)スキルとは何か。経験知と暗黙知である。形式知や一部の経験知は本から学ぶことができるが、例えばプログラミングのスキルは、場数を踏まないと身につかない。バグ取りなどはノウハウが公開されているが、そもそもバグを含まないようなコーディングをするコツなどどこにも書かれていない。Pythonは言語の中でもバグを含みにくい。各種成形技術やコンパウンディング技術など、金属やセラミックス、高分子まで全ての材料を処理した体験から見えてくるものがある。ミキシングプロセスなど高分子だけでは理解できない部分があると思う。80万円のローンを押し付けた(会社の業務を処理するパソコンを部下に購入させるのは問題ではないか。初任給10万円の時代である。)上司は、社外から依頼される新規難燃剤の評価をすべてやらせてくださった(今は感謝である)。サービス残業でそれらは処理されたが、おかげで上司の代わりに難燃化技術のセミナー講師を数回引き受けている。このセミナー講師の仕事では、講師料を頂いてないのでひどい話(やりがい詐欺どころか本当の詐欺ではないかと思っている)だと転職してわかった。パワハラやセクハラ、やりがい詐欺などありとあらゆるものをゴム会社で体験しているので転職した写真会社は天国に見えた。FDを壊されたり、ナイフが机の上に置かれたりする嫌がらせは、ローンを押し付けたり、セミナー講師料を頂けなかったりした問題とは異質である。同僚も犯罪だと感じたように異常な出来事だった。異常な出来事は転職後も続き、例えば無機材研の協力があり当方一人で住友金属工業とのJVを立ち上げたのだが、転職後、当方がいなくなってからゴム会社で高純度SiCの開発が始まった、と書かれた学会賞の推薦書が出てきた。そこには住友化学の担当者の名前も無ければ、脳梗塞となった転職時に業務を引き継がれた部長の名前も無い。さらには無機材質研究所の名前も入っておらず、当方がいる時全く何もしていなかった人物が筆頭だった。そしてその人物が開発したなどと推薦書には書かれていた。偶然審査員としてこの推薦書を見てびっくりしたが、真実の開発の経緯と携わった人物の名前を添えて、学会賞に値する、とコメントを書いている。結局無機材研を筆頭にした推薦書が出しなおされて学会賞を受賞している。苦労し脳梗塞にもなられた部長の名前や住友金属工業の担当者も書かないというのは、いくら自分の成果にしたいと言ってもひどい話である。まだここでは高純度SiCの誕生した実話のすべてを公開していないが、今となっては喜劇でもある技術の誕生は、決して楽しい環境ではなかった。どちらかというと地獄の中で観音様に助けられながら、地獄から這い上がったような体験である。観音様は、PPS中間転写ベルト開発を担当しようか迷っている窓際の時に激励の手紙をくださったので、びっくりした。観音様は死なないものだと思っていたが、昨年訃報が届いた。
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トランプ大統領とゼレンスキー大統領との口論は、歴史に残る出来事である。また、これが全世界に放映されたのだが学ぶべきことが多い。
ある問題があって、認識の違いが常に生まれていることを時々忘れる。そして、相手の見解に感情的に反論し、すべてを台無しにしてしまうのは、お互いの立場や役割を考え、問題を捉えていないためである。
ゼレンスキー大統領は、ロシアの侵略に対して戦っている立場であり、トランプ大統領は、それを援助してきた国の大統領である。
それぞれの大統領は、国民の代弁者であり、国家の代表である。この立場の違いは大きい。ゆえに認識の違いも当然大きくなる。これをわきまえた発言や態度が両者に求められたのだが、結果は見苦しいものになった。
面白いのは、この口論を見苦しいと認識していない見解もこの1週間見つけることができ、この年になってもなお学ぶことが多い。
今回このような口論があったとしても、トランプ大統領は停戦交渉を進めるだろう。そして、ゼレンスキー大統領は、国民のことを考えたなら、それを受け入れなくてはいけない立場なのだ。
アメリカの援助が無くなれば、戦争継続が不可能なことは現在の戦況から明らかである。また、トランプ大統領がこれまでのような支援を認めるはずがないのだ。
国際政治の残酷さは、今に始まったことではない。国際政治に限らず、人間社会では、少なからず認識違いというものが生じる。そのとき、それをどのように修復してゆくのかは、お互いのゴールを一致させるように日々努力する以外にない。
今回の出来事は、第二次世界大戦から80年過ぎても国際社会で共有化された平和な世界が夢物語であることを世界に示した。
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ある出版社から、多人数共著の書籍について、原稿依頼があった。セラミックスから高分子材料までいろいろな原稿依頼がある。最近は材料関係以外にAIに関する原稿依頼も来るようになった。
最近の生成系AIは、かなり進歩し、ハルシネーションも少なくなった。そこでAIに原稿を書かせてみたところ、つまらない原稿となった。
学生が宿題でAIにレポートを書かせていることが以前話題となっていたが、当方の目にAIの原稿はつまらなく見える。恐らく学生のレポートもつまらない結果しか得られていないと予想される。
同じテーマで質問を変えて書かせてみたのだが、当たり前の原稿しか書いてくれない。間違いではないのだが、この原稿にお金を払う価値があるのかという観点で見ると、今の時代であれば無価値と言わざるを得ない。
仕方が無いので、AIの原稿を事例に、当方の経験知を加えた原稿を作成した。すなわち、AIに質問した回答や科学的な見解を引用し、これでは開発に失敗する、という当方の持っている技術やノウハウを満載した原稿を作成した。
AIの原稿のどこがまずいのか。それは科学的であり、形式知と一部の常識となっている経験知だけで構成されているからである。このような原稿に10万円支払うのかと言えば、誰も支払わないだろう。
当方のセミナーや論文には、研究成果や世の中の技術トレンドに合わせ新しい視点を必ず入れている。すなわち、生成系AIの出す回答とは一味異なるのが弊社のアウトプットである。AIの回答で満足できない方は弊社へお問い合わせください。
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