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2023.05/26 何故今Pythonか

社会の変革は、ある日突然起きる場合よりも、知らず知らず変革が進み、気がついたら10年前と大きく変わっていた、という経験の方が多い。


当方は比較的変革に敏感だが、それでも音楽のイノベーションについていけてない。音楽だけではない、その他ファッション、飲食店等気がついたら大きく変わっていてびっくりすることが少なからずある。


しかし、技術については70年の人生で物心ついてから変化のきざしに敏感に対応してきた。大学4年時に有機合成の講座で学んだが、たまたま教授の退官で大学院で研究が続けられなくなったときに、思い切って無機材料の講座へ入学している。


そして社会に出たらセラミックスフィーバーに巻き込まれる前に自らその変革の方向を社会に示すことができた。ゴム会社の昇進試験で否定された内容は30年ゴム会社で事業として続き、今は愛知県のセラミックス企業で継承されている。


また、上司からの強制ではあるが、初任給10万円の時代に80万円前後でローンを組み、MZ80Kのシステムを一式そろえ、パソコンの研究をスタートしている。当時はパワハラや過重労働は問題とならなかった時代である。


ただ、多少の抵抗を示すために上司にローンの保証人として印鑑を押してもらっている。もう時効だが、これはパワハラの大切な証拠である。


さらに会社の業務で必要な装置を社員の月給の8か月分を負担させて購入させる行為など今なら大変な問題となる。当時は馬鹿な社員という笑い話を周囲が平気で語っても問題とならなかった。


パソコンが1セットOA委員の仕事のために必要と主張しても理解してもらえなかった時代である。それほど必要なら自分で買え、と言われ購入し、まず作成したプログラムが上司に命じられた薬品管理プログラム(注)である。


当時のプログラム含めて48kバイトという狭いメモリー空間で研究所の薬品を管理するためには256kバイトのフロッピーディスクが必要だった。しかし、本体メモリーが狭いので一部はアセンブラーでプログラムを組む必要があった。


また、大量のデータを効率よく管理するためにdBASEⅡで有名になったリレーショナルデータベースとして設計する必要があった。当時そのような概念の無い中で、ただ狭いメモリー空間で大量データを扱う工夫として自己流に設計した技法だ。


この薬品管理プログラムを上司の目の前で動かして、ようやくパソコンの使用目的を上司に理解していただけた。


上司は研究所の安全委員会のリーダーの立場であり、データベース化により棚卸が楽になることや、消防の点検で帳票整理の問題を指摘される心配が無くなったことを喜び、100万円のソード社のシステムを導入してくれた。


MZ80Kを当方がローンを組んで購入し毎日の業務終了後努力していたことなど理解していないどころか上司の性能の低いメモリーからは消えていた。


当方はこのMZ80Kを用い、日々の業務の問題を迅速に解いていったのだが、今やそれが当たり前の世の中になっている。パソコンが何に使えるのか、疑問に思う人など皆無である。


このハードウエアーで起きた変革と同じことが今後ソフトウェアーで起きる。小学校でもプログラミング教育が行われる時代である。さらにソフトウェアーは無料で手に入り、自由に自分の解決したい問題で使用することができるのだ。


(注)上司はコンピュータがソフトウェアーで動作していることなど理解していなかった。そもそも薬品管理をコンピューターで行うために、コンピューターがまず必要ということの理解さえできなかった。今を生きる若い人には信じられないでしょうが、それでも管理職が勤まり、部下の5倍の給与で生活し、パワハラセクハラ何でも許されたのである。

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2023.05/25 才能と努力

才能と努力どちらが大切か、と言えば、努力することの方が大切だろう。才能が無くてもそのことが好きで努力できれば、何とかなる、と人生経験から言える。


特に好きでなくても努力すれば、一流にはなれなくても自分で能力に応じて設定したゴールへ何とか到達できるように誰でもなれる。努力のありがたさはそこにある。


努力しても自分で勝手にゴール設定できない場合には、すなわち相手にゴールを左右される場合には努力だけで何ともならない時もあるが、それでも努力による気づきでそれが無ければ得難い学びができるのは努力の大切な理由である。


才能があれば、努力すべきだろう。才能が有っても努力しなければ、結局十分な能力を発揮できなくなるか、活躍期間が努力した人よりも短くなる。これは、メジャーリーグの藤浪投手と大谷投手を比べて納得できる。


大谷投手が野球に対して真摯に向き合い最大限の努力をしていることは誰もが知っている。またそれに関する逸話も多い。


一方藤浪投手の才能も大谷投手に負けないほどであることは、メジャーリーグの活躍を見ていると理解できる。高校時代は大谷投手より高く評価されていたし、今でも一瞬凄いピッチングをすることが稀にある。しかし、それが一瞬であることを阪神ファンは皆知っている。


また藤浪選手の練習嫌いは有名で、遊び人でもある。地味に見えるところもあるが、これまで幾度となく週刊誌をにぎわせてきた。コロナ流行の初期には、夜遊びの結果早い段階でコロナに感染している。


この大谷投手と藤浪投手を較べてみると才能と努力について、努力の重要さを大変良く理解できる。才能が恵まれるかどうかは天が決めることだが、努力はその人の習慣で誰でも身に着けることができる。


才能のある藤浪投手でさえ廃業の危機に直面するのだ。凡人が努力しなかったらどうなるかは説明の必要が無い。凡人は死ぬまで努力することが常識と考えて生きていると、息抜きの散歩さえどこか旅行したような気分となり楽しくなる。


藤浪投手がメジャーで成功するかどうかは、誠実真摯に野球に向かい、生活を大谷投手のように野球一色にできるかどうかにかかっている。

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2023.05/23 プログラマーではない

昨日Pythonについて書きましたが、職業がプログラマーと誤解されたのではないかと心配している。当方は日曜プログラマーのカテゴリーに入るかもしれないが、専門は材料科学である。


さらに金属やセラミックスだけでなく高分子材料まで扱う。それぞれの材料分野で学会等から賞を頂く成果を出しているだけでなく学位論文では無機化学から有機化学まで論じているので自称材料科学の専門家と言っても許されるだろうが、技術者だ。


日本人が日本語を話すように、仕事を早く仕上げるためにコンピューター言語が必要だったので多数のプログラミング言語を使うようになった。


例えば、名古屋に行けば名古屋弁を大阪では大阪弁を話すようなものだ。中国に行ったときに最初は中国語を話していたが、中国語を話せない方が楽しいと分かり、日本語以外の言語は話せないことにしている。


かつて当方が中国語を話した痕跡は、弊社で販売した中国語講座の電子ブック3冊の工夫を見ていただければ納得いただけると思う。


さて、コンピューター言語について、コンピューターを使う時にそれを使いこなせると便利だ。これは特に説明の必要はないだろうが、何か計算したいときに、エクセルなどをわざわざ立ち上げず、電卓を使う。


同様にTM実験を行った時には、エクセルを使うよりPythonのほうが便利だ。Pythonでデータ整理しエクセルファイルに落とす。これが便利な使い方である。


その他コンピューターを使っているときに、プログラミングができると重宝する(注)。プログラマーでなくてもプログラミング能力を身に着けていることが常識の時代となった。これは小学校教育でプログラミング科目が指導要領で必須科目となったことからも明らかだ。


(注)8ビットコンピューターの時にPIPSが話題を集めた。エクセルにはVBAがあり、PIPSよりも使いやすいが、VBAよりもC#の方がさらに使いやすい。これはPythonでも同様だが、オブジェクト指向言語としてC#は洗練された設計になっている。ボーランドC++のクラス設計も使いやすかったが、C#はC++の問題を解決しているので普及したのだと思っている。

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2023.05/22 Python

プログラム言語はいろいろあるが、おそらくPythonは、今後20年間使われ続けるコンピューター用の言語ではないかと思っている。


30年近く前に登場した古い言語だが、BASICよりも使いやすい。BASICは、科学技術計算用のFORTRUNというプログラミング言語を初心者用に改良し登場したのだが、数値の扱いが単精度と倍精度に分かれているだけでも面倒だった。


Pythonでは、それを意識しなくても良いので助かる。またほとんどのコンピュータ言語がそうであるがお金の計算用の仕掛けもあるので、事務処理にも使える。


昔は、経理計算用に特化したプログラミング言語もあった。地球上で人類が話す言語の種類ほどではないが、それでもコンピューター言語の種類が大変多くなった。


当方は、これまで10種類前後の言語でプログラミング経験があるが、FORTRUN、BASIC、アセンブラー、Forth、Pascal、PIPSを8ビットコンピューターの時代に経験している。


16ビットの時代になり、dBASEⅡ、LATTICE C、MIWA C++、Borland C++、Boland Pardox、32ビットに移行後、MS C++、MS C#、そしてPythonである。


PIPSは簡易言語だが、Pythonには簡易言語的使いやすさがある。簡易言語的であるにもかかわらず、FORTRUN並みのことも可能だ。Pythonの計算精度に不満であれば、C++やC#との併用も可能となっている。


すなわち、Pythonでプログラミングできない部分をC++やC#で組みあげ、Pythonではそれらを呼び出して使う。


とにかく、スクリプト言語でありながら難しいこともできてしまうので、この30年間に多数のライブラリー資産が蓄積された。それらが無料で開放されているのだ。有料のライブラリーもあるが当方の仕事では無料で十分目的を達成できる。


パソコンの黎明期からコンピューターと人間との関係を組織の中で見てきたが、黎明期にはコンピューターなど部下の女性にやらせればよい、と言っていたおっさんが多くいたが、いまや社長でもパソコンを自分で操作している時代だ。


その他DXで様々な変化が雪崩のように起きているが、10年後プログラミング言語を自由に使える人が身の回りに溢れているのかもしれない。そのとき使われている言語がPythonと説明すればご理解できるか。


パソコンを使えないおっさんは絶滅危惧種と言われた時代があった。もうすぐPythonを使えないおっさんは絶滅危惧種と言われる時代が来るのかもしれない。


パソコンが登場した時におっさんは、パソコンなんてなぜ必要なのか、何に使用するのか、などと言っていた。今Pythonを何に使用するんだろうと、一瞬でも思った人は危ない、時代に乗り遅れている。小学校でもプログラミング教育が始まっているのだ。悩む前に弊社へご相談ください。


ちなみに、来週技術情報協会主催でPythonの超入門セミナーが開催される。有料だが、無料セミナーと異なり、参加者にはTMのプログラム例やパーコレーションのエンジン部分のプログラムが無料で配布される。


すなわち、その日に動特性でTM実験をやれたり、パーコレーションのシミュレーションができたりする人もいるかもしれないセミナーである。

カテゴリー : 一般

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2023.05/21 技術と科学を意識することの重要性

科学誕生以前から技術が存在していたことを否定する人はいない。技術の歴史は進歩ばかりではなく、民族が滅び文明とともに消えた技術が存在する。


科学については、未だ解明されていない現象も存在し、発展途上だ。素粒子論は行き着くところまで来たように思われるが、生命科学は、発展途上である。


20世紀は、科学的な技術開発が唯一の方法と偏り過ぎた考え方だった。E.S.ファーガソンはその歪に着眼し、「技術屋の心眼」を書いている。20世紀末にアメリカではトランスサイエンスということばがうまれているが、これが日本に伝わったのは21世紀になってからである。


バブル崩壊の影響があった。バブル崩壊により1980年代科学論のブームだったが、それも消えた。日本の科学論は、同時期のアメリカと異なり、未来がバラ色という傾向が強かった。


バブル崩壊から30年以上たっても日本経済は以前の輝きに戻っていないが、これは日本発で大きな技術のイノベーションが起きてないからだ。


1980年代には日本発のセラミックスフィーバーが世界を席巻し、やがてナノテクブームへと広がっていった。やはり、日本発のイノベーションがGDPの飛躍的上昇のために必要だろう。


日本の技術開発で問題と感じているのは、非科学的な内容を全否定するところである。カオス混合技術で学会賞に推薦されたが、フローリー・ハギンズ理論で否定される現象をあからさまに嘘だろう、とプレゼンテーションの席で言われた。


あまりにも失礼だと思ったが、実際の現象として起きていることを改めて理解してほしいとお願いしている。科学的に説明できなくても現象として自然に起きている機能を活用した技術は、カオス混合以外でも存在する。


技術をいつでも科学的に理解できるとは限らない。科学で理解できない現象を活用した技術でもそのロバストが高いならば十分に実用化できるのだ。

カテゴリー : 一般

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2023.05/20 モデルベースデザイン

20年近く前、すなわち早期退職前に担当した中間転写ベルトの開発は、データサイエンスを積極的に取り込んだモデルベース開発の集大成となった。


数理モデルにより、開発ターゲットのふるまいを企画段階に考察する手法は、研究開発を成功させる有効な方法である。数理モデルとしてどのようなものを考えるかは、技術者の力量によるが、力量が高ければ、アジャイル開発も可能となる。


タグチメソッドや多変量解析による考察は数理モデルで設計する一手法である。中間転写ベルトでは、6年近く前任者が国内トップメーカーと共同開発を続けたデータが存在したので、当初これらのデータを多変量解析で処理している。


その結果、コンパウンドに問題があるとの結論に至り、カオス混合をコンパウンドメーカーへお願いすることになるのだが、QMSの仕組みもあり、量産まで半年という状態で頭を抱えた思い出がある。


そこでパコレーションシミュレーションをみなおし、6ナイロン相にカーボンを分散させ、それをPPSに分散させたベルトを押出成形してモデルベースデザインを実証するのだが、必死だった。


カオス混合装置を手作りし、それでPPSと6ナイロンが相溶し、わずかにスピノーダル分解が起きる機能で形成されたカーボンのクラスターがドメインをつくり分散した理想的なコンパウンドを創造した。


センター長に予算交渉し、コンパウンド開発のために中途採用1名と職人1名、当方含めて3名でコンパウンド工場立ち上げプロジェクトグループを立ち上げた。


その後は以前書いているので省略するが、モデルベース開発は、研究開発を著しく加速する。企画から量産立ち上げまで半年で、コンパウンドだけでも数億円の利益の出る技術が完成できるのだ。


数理モデルで現象を考察するコツは、ただ、ひたすら黙って現象を観察すればよい。会議で「素人は黙っとれ」とコンパウンドメーカー部長に言われたのだが、その結果当方を黙らせるために工場見学の機会ができた。


ところが、二軸混練機のラインが稼働しているだけの何の工夫もない工場だったので、これでは歩留まりをあげるコンパウンドを生産するまでに時間がかかると納得している。今タイヤ工場の見学が難しくなったが、ゴム工場のコンパウンドラインは技術を感じることができるラインである。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2023.05/19 Python入門セミナー

今やPythonは技術者のスキルとして常識になりつつある。そこでとびきり入門のセミナーを技術情報協会主催で開催するのでPythonを御存じない方はご活用ください。


https://www.gijutu.co.jp/doc/s_305208.htm


弊社でもPython入門セミナーを開催していますが、プログラム作成に重点を置き、インストールや環境設定は簡単な説明となっています。コンピューターに詳しい人はこちらのセミナーが良いかもしれません。ホームページでご確認ください。


技術情報協会のセミナ-につきまして弊社へお問い合わせいただければ割引がございます。

カテゴリー : 一般 学会講習会情報 宣伝

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2023.05/18 パーコレーションの制御

導電性微粒子を絶縁体高分子に分散し半導体高分子を設計するときに、導電性微粒子の導電性が銅と同じくらい高いと10の9乗Ωcmの材料を安定に製造することが難しくなる。


これを昨日書いたようなシミュレーターで考察すると、半導体高分子を安定に製造するためのアイデアが容易に見えてくる。数式でシミュレーションしていたのでは直感的にアイデアへつながらない。


すなわち、非科学的なシミュレーターであっても良いアイデアが出てくるのだ。むしろ数式で考えるよりも良いのかもしれないと思っている。科学的にこだわっていてもアイデアが出なければ仕方がない。


詳しくはこのホームページで募集してるセミナーを受講していただきたいが、希望者がいれば土日に開講することも可能である。土日であれば一人でも特別サービスで1万円で講義を行っている。


平日が3万円なのに土日が1万円であることを不思議に思われるかもしれないが、平日は企業の方の受講を想定し、土日は個人のスキルアップを目標に受講されるのではないかと期待している。


当方は企業を退職するまで土日に勉強していたが、このようなセミナーがあれば便利だと思っていた。自分が受講したいと思っていたので、今それを実現している。土日はストレス解消に弊社のセミナーを受講してみてはいかがでしょうか。是非お問い合わせください。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2023.05/16 なぜ数理モデルが必要か

1980年から1990年にかけて高分子の緩和現象に対する科学的アプローチに変革が起きている。レオロジーについてダッシュポットとバネの数理モデルによる研究が否定されたのだ。


そして、20世紀末に当時名古屋大学教授土井先生をリーダーとしたOCTAプロジェクトにより高分子シミュレーターOCTAが登場している。


このOCTAは無料開放されており、高分子物理についてこのOCTAに実装されたライブラリーでシミュレーション可能である。ただし、OCTAでできるのは科学の形式知で明らかな現象だけである。


換言すれば、これから研究しようとする高分子物理について形式知による予測が可能だということを示している。ただし、このような予測はOCTAに限る必要は無く、現象の回帰や予測を多変量解析や、流行の機械学習で行っても良い。


もちろん過去に否定されたダッシュポットとバネのモデルを持ち出して技術開発を行っても良い。ただし、この時緩和現象の問題を知っているという前提である


ところで、マテリアルズインフォマティクスではディープラーニングばかりが注目されているが、タグチメソッド(TM)もマテリアルズインフォマティクスである。


基本機能とその制御因子はじめ調整因子など各因子の体系ができれば、企業の貴重なノウハウとなる。そして新技術を開発するときにそれを利用すれば、開発スピードが上がる。


モデルベース開発(MBD)が注目される理由の一つに開発スピードの向上がある。これがどのくらいスピードアップするのかというと、例えばPPS半導体ベルトの開発に5年以上かかっても歩留まり10%いかない状態だった。


コンパウンドのパーコレーション制御がうまくできていなかったためで、これをシミュレーションで問題解決した後に、中古の二軸混練機部品を買い集め工場建設後量産開始まで半年で歩留まり100%を実現している。


もちろんコンパウンド工場の最適化はTMで行っている。このようにMBDによる開発スピード向上は著しい。この他に弊社では豊富な事例を開示している。


試作段階で原因がわからず20ロット以上も無駄なコンパウンドを量産試作した結果を解析し、たった30分で問題解決した実績もある。


科学の形式知に忠実なOCTAのようなシミュレータだけでなく、独自の数理モデルによる予測や回帰、分類などをフロントローディングで実施し、最適条件を目標に技術開発を行うMDBの一番の特徴は、開発スピードが速くなる、という長所である。


開発成果が得られたならば、人材育成のためにゆっくりとそれを題材に研究を行う、というマネジメントも良い方法だ。答えが分かっているので研究もやりやすい。半導体治工具用高純度SiCの学位論文もそのような手順で完成している。

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2023.05/15 主成分分析

重回帰分析が現象の数理モデルを得る目的として回帰や予測を行うための方法であるが、分類や特徴抽出、パターンニングを行う方法が主成分分析である。


今AIを活用する機械学習、ディープラーニングが注目を集めているが、学習機械をプログラミングしなくても弊社が公開している重回帰分析と主成分分析を駆使すれば同様の数理モデルによる現象解析が可能である。


そもそも、現象を数理モデルで理解する方法としてシミュレーションがあるが、広義には現象を記述できる数式ができればよい。その簡便な方法が重回帰分析や主成分分析であり、データ駆動で行う方法が学習機械を利用するディープラーニングである。


さて、主成分分析であるが、これは多変量解析の手法として知られている因子分析の方法であり、因子分析では各因子の序列がつかないが、主成分分析では、全データの変動を加味して、変動の大きい因子から小さい因子に序列をつけた結果を得ることができる。


心理学の分野では因子分析がよく使われるが、技術開発の分野では変動の大きな、すなわち影響力の大きい因子を見つける作業が重視されるので、主成分分析が便利である。


nを評価項目、mを実験数としてnxmのマトリックスデータを主成分分析にかけると、n個の主成分データに変換される。実験で得られたデータ群の一次独立性は保証されていないが、n個の主成分はお互いに一次独立となったデータマトリックスに変換される。


この性質を活用し、重回帰分析と組み合わせると、一次独立の変数で組み立てられた回帰式を得ることが可能となるので、主成分分析と重回帰分析の両方を自由自在に使えるようにしておくと、一次独立のパラメーターで記述された現象の数理モデルを簡単に組み立てることができる。


弊社では、ディープラーニング以外にも多変量解析の活用だけに絞ったセミナーも準備しているのでお問い合わせください。ディープラーニングだけがデータサイエンスではないのだ。データサイエンスは必要な時に必要な手法を使ってこそ実務で光る。

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