ある日突然高分子製品が壊れた経験は無いだろうか。例えば樹脂製のフックが壊れたり、パンツのゴム紐が伸びきった状態になっていたりする故障はクリープが関係している。
金属やセラミックスのクリープの多くは拡散クリープとして説明され、その寿命予測も実験室結果をうまく再現できる設計が可能だが、高分子のクリープ問題は悩ましい。
何故なら、科学で解明できていないからである。ただし、現象の幾つかは再現よく現れ、技術として問題を解くことが可能で、その解に沿って品質管理を行えば、品質問題を回避できる。
すなわち、トランスサイエンスとして扱う知識があれば、製品設計が可能と言える。もちろんこの時はロバスト設計が基本となり、タグチメソッドを使用する。
ゆえに高分子の破壊問題では、タグチメソッドが不可欠であるが、タグチメソッドをご存知ない方はお問い合わせください。Pythonのプログラム付でご指導するので、すぐに実験で活用できます。
タグチメソッドのセミナーにつきましては、「Pythonで学ぶタグチメソッド」をお勧めします。セミナーは1人でも開講いたしますのでお問い合わせください。複数受講の場合にはサービス価格でご提供いたします。
カテゴリー : 一般 高分子
pagetop
9月末に広州で再生材に関する国際会議が開催される。樹脂再生材と言えば中国で、広州のヒルトンホテルで開催されるのだが、日本化学会や高分子学会の会報には案内が無い。
中国では10年以上前から国際学会や展示会が多く開催されるようになった。しかし、ほとんどが日本国内で告知されていない。展示会は、中国国内企業が大半のようで、それを見学しても海外企業は展示会の業界で知られている企業以外展示していない。
しかし、日本では告知されていなくても中国の産業動向を知るには勉強になる。8年ほど前の炭素繊維複合材料の展示会は、国際という冠は無く中国企業だけの展示会であったが、結構大規模な展示会であり、中国において炭素繊維複合材料に力を入れていることを理解できた。
さて、今回の再生材に関する国際会議だが、海外からの講師も招聘されており、かなり中身が濃い会議である。学術的なものであれば関係学会に案内が来るので、おそらく産業が主体の会議と思われる。
小生も招待講演者に選ばれており、PETボトルの再生材を用いたポリマーアロイについて、講演するのだが、PC/PETは現在も生産されているので話しやすいが、PETを80%含有した成形体について悩んでいる。
予稿集の締め切りも近いので決断しなくてはいけないが、原料の廃材が無くなったのですでにディスコンとなった材料である。
再生材を設計するときに気をつけなければいけないのは、廃材の生産調整はできない、という事実である。原料のゴミがが無くなれば、再生材を生産できなくなる。ただし国内の樹脂再生率はまだ2割台なので当分は大丈夫である。
カテゴリー : 一般
pagetop
ChatGPTが登場してから1年以上経ったが、その進化は止まらない。さらに各社から様々な生成系AIが短期間に登場したが、これは基本エンジン部分のアルゴリズムがオープンとなっているから。
すなわちオープンイノベーションである。ソフトウェアー技術の開発を促進するためにコンピューター技術の分野ではLINUXをはじめとしたオープンソースが多い。
コンピューター技術分野の独特の文化に支えられて現在のAIの進化がある。弊社もこのAIを活用する立場から研究を行い、さまざまなノウハウを獲得し、この半年間セミナー会社にてセミナーを行ってきました。
9月から使用シーンをプログラミングと問題解決に絞ったセミナーを行います。WEB上に公開された情報の検索であれば、検索エンジンを使うよりもAIを使用した方が便利である。
さらに、各AIが学習している情報もあるので、一部文献検索にも制限があるが活用できる。驚くのは、国会図書館で検索にひっかからなかった文献が得られた経験もある。
AIが気を使って提案してくれた文献である。当初ハルシネーションと思ったが、その文献を取り寄せてみると関係していた文献であるが、キーワードが含まれていなかった。
1年以上前のAIよりもハルシネーションを起こす頻度は下がったように思う。また、ハルシネーションを回避するプロンプトのノウハウもあるので、これを活用すればハルシネーションに悩まされず快適なAIのある生活ができる。弊社のセミナーにご参加ください。
カテゴリー : 一般
pagetop
高分子の難燃化技術は、トランスサイエンスの分野である。そもそも火災という現象そのものがトランスサイエンスである。燃焼をいくら管理して実験を行っても、それが非平衡で酸化が進行しているならばトランスサイエンスの現象であることを悟るべきだ。
未だ非平衡の現象を科学で解析できていない。そこを理解できていると、無重力状態における燃焼現象が地上と異なることに驚く必要はない。地上と異なるのは「当たり前」である。
地上では、自己消火性となる酸素濃度で可燃性の高分子を無重力状態で燃焼させると燃え続けたのでびっくりした、ということがニュースで報じられた。当方ならば驚かない。
宇宙での火災、とりわけ宇宙船の中の火災は人命にかかわるので重要な研究とばかりに、科学の研究を始めた学者がいるそうだが、センスが悪い。
もっとも、世間は高分子の難燃化技術について未だ正しい理解をしている人が少ないので、いかがわしいサイエンスショーでも「科学」と持ち上げるように、哀れみではなく称賛として見られるのだろう。
科学者と称する人は、自分が正しいと思い込んでいる人が多いように思う。科学的手順で答えを出せばそれは皆が科学として認めてくれる。
仮に無駄な答えでも無知な人から見れば宝物のように見えるのだろう。無駄な知識になっているだけなら良いが、時々間違った問題で正しい答えを出している場合もあるので困る。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
pagetop
当方は運の良い時に学生時代を過ごした。ちょうど耐熱性高分子の研究に限界が明らかとなり、難燃化手法へ研究者の関心が移ってきたころである。
当時東北大学村上研で輪講に使用していた本を出版することになって、当方をご指導してくださった先生に献本があった。おそらく高分子難燃化技術では、その本が体系だった最初の教科書だろう。
それより以前でも日本で高分子の難燃化技術に関する本が2冊出版されていて、いずれも大した内容の本ではない。今ならば著者には悪いがゴミである。村上研が翻訳された教科書は、この2冊とは月と鼈の差がある内容だった。
だからアカデミアで翻訳しようという気になられたと推測している。当時PVAの難燃化研究を3か月ほど行い、論文を1報書いているが、この本を参考にしている。
PVAは、難燃化が難しい高分子と書かれていたので、難燃剤の添加量について実験条件を大きく変動させている。意外にも10%程度のホスフォリルトリアミドのホルマリン付加体で自己消火性サンプルが得られびっくりした。10%では難しいと思っていたのでそれより少ない添加量を検討していない。
当時の経験も含め、高分子の難燃化技術開発に50年近く携わっていると、世間の誤解の多さにびっくりする。高分子の難燃化技術の難しさだと思う。
当時の教科書では、リン系の難燃剤では難燃化できる高分子が限られるようなことが書かれていたが、LOIを21以上にする条件を基準にすれば、すべての高分子をリン系の難燃剤で難燃化できる、と経験知として持っている。難燃化技術でお困りの方はご相談ください。
カテゴリー : 一般 高分子
pagetop
オンキョーも無くなり、オーディオ市場というものが存在するのかどうか知らないが、インターナショナルオーディオショーが今年も1か月前に開催されたようだ。
良い音の定義は難しい。さらに音の入力機器と出力機器は、どのような組み合わせになるのか不特定である。ゆえにライブであっても録音が再生された音楽であっても良い音をどこでも同じ品質で届けることは、不可能に近い。
かつて、録音メディアがレコードからCDに代わった過渡期に、その両方のメディアで新譜として発売されていた。数十万円程度の再生機器でもレコードとCDの音の違いを聞きわけることができた。
レコードの方がライブ感が高かったのである。サックスの響きなど同じ音源に思えない録音もあった。少なくとも録音メディアはアナログの方が活き活きとしていた。
しかし、SN比という尺度で聴けば、CDに軍配が上がる。音の透明感を感じることができた。このようにオーディオでは良い音の定義が難しくなる。そこから生じる曖昧さに数百万円も投じる人がいると聞くと驚く。
スピーカーだけでもいまや1台100万円を出さなければ、パイプオルガンの低音が満足に出てこない。昔は2台4万円のスピーカーでも30Hz前後の低音を再生できたスピーカーが存在した。
この30年間にスピーカーの振動板に対する考え方が変化している。そしてDA変換された信号を正確に再生する方向に設計され、低周波領域は50Hz前後として無理に低い領域まで再生領域を広げていない。
昔のスピーカーの振動板の材質は、紙やシルクなど天然素材が多かった。最近は安いスピーカーであれば紙かPPと限られてくる、高くなるとケブラーやセルロースナノファイバーなど明らかに高そうな素材が使われる。
安いスピーカーでは、その素材の音を感じることができるのだが、高いスピーカーでは素材の音が無くなる。昔ながらのパルプ複合材でコーン紙を設計している超高級品もある。スピーカーの材質を見るとその値段が材料で決まっていないことに気がつくが、ダイヤモンドをツイーターに使ったスピーカーは300万円もする。ダイヤモンドである必要はないのだが。
カテゴリー : 一般
pagetop
高分子の難燃化技術はどこまで進んだのか。科学の視点では、どのような高分子でもLOIを21以上にする技術が存在する。すなわち、どのような高分子でも空気中で自己消火性を持たせることが可能となった。
ただし、用途に応じて難燃化規格が存在するので、それぞれの規格に合うように最適化しなければ難燃材料として社会へ提供できない。
LOIだけが難燃化規格となっている場合には、現在の難燃化技術ですべての高分子をその用途で用いることが可能である。
環境への負荷を考慮すると、非ハロゲン系難燃化技術を用いるのが好ましいが、このような話になってくると、幾つか誤解が存在するので説明がややこしくなる。
まず、ハロゲン系難燃剤の問題を述べると、三酸化アンチモンとの併用で最も効果を発揮するようになる。臭素系難燃剤であれば、単独使用で空気中において自己消火性とすることが可能である。
しかし、臭素系の難燃剤は、使用禁止物質に指定されている化合物が存在する。そしてそれが30年前より増えてきており、現在使用可能なものは少なくなった。恐らく将来使えるものが無くなる可能性も出てきた。
すると困るのは、2022年の法律との関係である。Renewableが基本となっているこの法律に従い、リサイクルするときに、臭素系難燃剤が含まれるとリサイクルできなくなる。
現在でもリサイクルするときに再生材の中に臭素が含まれているかどうかのチェックが行われており、臭素が含まれていると再生材から取り除かれる。
ゆえに、高分子を難燃化するときには今の時代であれば、非ハロゲン系難燃剤で高分子を難燃化すべきという結論が出てくる。それでは、非ハロゲン系難燃剤ですべての高分子を難燃化できるのかと言えば、残念ながら科学ではyesという結論を出せない状態である。
しかし、技術的には可能である。このような表現を不思議に感じた方は弊社にお問い合わせください。当方は50年近く前に難燃化が難しいとされたPVAをリン系化合物だけでLOIを21以上にすることに成功している。論文発表もしている。
カテゴリー : 一般 高分子
pagetop
FNNプライムオンラインニュース( https://news.yahoo.co.jp/articles/495a99ab9234fe2491619e47b9c482025cb1b135 )に兵庫県知事擁護論が載っていた。
しかし、この擁護論では擁護していることになっていない。逆に、リーダーのスキルの無さを許すような論理である。組織リーダーは、メンバーの能力を引き出すことに努力すべきであって、躾係ではないのである。
ゆえに、30年ほど前からコーチングの研修が流行している。新入社員の指導社員となる入社3年目から管理職向けなど様々なコーチング研修が行われている。
弊社でもコーチングプログラムを用意しているが、グレード別ではない。問題解決に特化している。すなわち、リーダーの大切な役目として担当者との問題解決があるからである。
リーダーは、問題解決の過程で最も担当者からそのリーダシップを称えられる、というのが弊社のコーチングスキルの考え方である。
知事が乗ることが分かっているエレベーターならば、扉が開いていて当たり前だろう、という辛坊氏の見解は、今の時代に合っていない。知事のために扉が開いていないエレベーターのどこに問題があるのか、そこから考えるのが正しいリーダーの在り方である。
知事のためにエレベーターをあらかじめ乗れるように準備すべきか、あるいはそのような気づかいを無くす風土を理想とするかを新しいリーダーは問題としなければいけない。
初めて知事が乗るエレベーターが正しく準備されていてもそこに問題を知事は見出さなければいけない。例えば、知事にはエレベーターを準備できるが、庁舎をおとづれた身障者を見ても職員の誰もがエレベーターの準備をしていなかった光景があるならば、大問題である。
カテゴリー : 一般
pagetop
東電では以前78億円かけて燃料デブリ取り出しロボットを開発したが、通路にがれきがあることが分かり、新たに開発をしなおして、先日その試験を行った。
ところが、試験をしようと準備を始めたら、部品がそのためのものではないことに気がつき、中止したという。ニュースを読む限り、リーダー含め研究開発の素人集団のように思われる。
その彼らの活動資金は高い電気料金から支払われているのだ。それを思う時、弊社に任せなさいと、言いたくなる。弊社がご指導すれば、少なくともニュースで報じられている馬鹿げた失敗をしない。
馬鹿げた失敗は1度なら笑い話で済むが、それが2度繰り返された場合には、仕事の内容から恐怖となる。これまでの2回の失敗で事故が起きていないのは幸運なことだが、3度目は何か大事故が起きそうな予感がする。
このように書くと、事故を防ぐために中止したのだ、という言い訳が出てくるかもしれない。記者会見では凡ミスかどうかの質問に対しては答えなかったそうだが、隠蔽してはいけない。
カテゴリー : 一般
pagetop
材料開発にコンピューターを利用するきっかけは、大学4年の時に在籍した研究室の風土が影響している。そこには分子軌道法で反応経路を評価している研究者がいた。
また、コーリーによる逆合成の考え方も研究テーマではないが雑談で議論されるような風土だった。有機合成の研究室だったが、コンピュータの話題が時々出てきた。
ゴム会社に入社し、情報工学の優秀な卒業生がいて、情報工学とコンピューターについて熱く語っていた。当時は大型コンピューターの時代だったので、FORTRUNを使えることが必要だと言っていた。
1か月半の新入社員実習でタイヤの軽量化について指導された時に、彼の発案で多変量解析でデータ処理をすることになった。以前この時の様子をこの欄で書いているので省略するが、この時の成功体験は大きく、10月に配属されてからもIBM3033を使用していた。
「花王のOAパソコン革命」という本がベストセラーになり、研究所でもOA化を推進するプロジェクトが作られ、上司がOA委員長になった。パソコンを一台も研究所で購入しないでプロジェクトを推進し、アウトプットとして研究所の薬品管理体制を成果として出し上司は高く評価された。
プロジェクトの推進にパソコンが1台も購入されなかった原因は研究所に予算がとられていなかったからである。それで、上司に命じられて当方が80万円のローンを組みパソコンを購入している。
もちろんパソコンは当方の私物となったが、10万円の初任給の時代に80万円のローンの意味が分かる人はプロジェクトメンバーに一人しかいなかった。カローラデラックスが1台買えた時代である。
唯一の理解者は、当方のかつての指導社員だった人である。他のメンバーは、OA委員長の上司も含め、コンピューターを趣味とする人間が購入したいと思っているぐらいにしか考えていなかった。
また、廊下ですれ違ったときの同僚の言葉にも独身寮のパソコンが順調に稼働しているかという挨拶が多かった。だれも、80万円のローンを問題にしていなかった。
その後FD事件が起き、当方含め3人ほどが転職するような状況となっても隠蔽化されたり、転職後社長室乱入腹切り事件が起きたりしている。さすがにこれは新聞沙汰になっている。
今から思い出せば、ビッグモーターのような風土で我慢して仕事をしていた、と感じたりするが、この時ローンで購入したことがきっかけで、毎日がコンピューター漬になった。
もっともローンの負担で休日に身動きできなかったのだが、おかげでプログラミングはじめ情報工学の勉強を当時の学生以上にできる時間が生まれた。
その後起きているDXの先端を走りながら、今年の春にはAIを活用した配合設計について日本化学会で発表することができた。そして、来月は広州で開催される再生材に関する国際会議へ招待講演者に選ばれた。
ゴム会社の12年は楽しい思い出である。地獄に行っても楽しめる術を身に着けた良い経験と思っている。どのような組織でも、それが社会的使命を目指し活動しているのであれば、例え内部が地獄でも自死する必要はないのである。
当方には兵庫県知事がどのような秀才なのか、体験から想像がつく。また、ビッグモーターの常識を超えた活動も当方にとっては、リーダーが腐っていたなら起こりうることと理解できる。皆、ゴム会社の研究所における12年の体験のおかげである。
一番の問題は、過去の多くのリーダー論が誤って理解されたり、リーダー論そのものが偏っていたりしていることだ。そのようなリーダー論を基にした研修では、ビッグモーターのような事件を防ぐことができない。
リーダー論のヒントは、ドラッカーにある。彼はただ一言、「誠実な人をリーダーに選べ」と述べている。兵庫県知事にしてもマスコミに現れたビッグモーターの幹部にしても誠実さは感じられない。
カテゴリー : 一般
pagetop