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2022.10/28 新素材テーマ

今年4月に施行された法律のおかげで再生材事業に関心が集まっている。また4年ほど前から国研も推進されているが、未来を感じさせる技術が存在しない。


高分子材料の環境問題について2015年に大きく潮目が変わり、4つ目のRとしてRefuseが世界で叫ばれるようになった。最近は沈静化してきたが、日本のRenewableは、Refuseよりもセクシーである。


この意味を理解できる方は、環境問題に高い関心を持っている人だ。ご存知小泉元環境大臣が国際会議のインタビューで回答し、日本中が笑ったニュースだ。日本人の英語力では小泉元大臣の英語力を評価できないのだろう。


さて、Renewableの視点に立った時に小売り家電の再生事業者は現在の資源再生プロセスを見直す必要に迫られている。すなわち大半がサーマルリサイクルされているからだ。


再生事業者の大半は貴金属に着目し、高分子材料のリサイクルについては熱エネルギーとして回収することを考えてきた。しかし、サーマルリサイクルはいまや日本だけである。


国研では、再生技術の一つとして高分子を分別する技術を開発しようとしているが、分別せずに多成分のポリマーアロイとする技術開発も必要ではないか。


品質管理が大変かもしれないが、技術開発が困難なテーマではない。なぜなら10年ほど前に当方は廃材の多成分ポリマーアロイを開発した経験があり、開発された材料は事務機部品として実用化された。詳細はお問い合わせください。

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2022.10/27 DXの進展とデータサイエンス(1)

ところでMIでは、AIによる機械学習でデータマイニングを進める。


データマイニグとは、データサイエンスの成果を実装したコンピューターを用いて大量のデータを処理し、「知識」を見出すための技術である。


また、機械学習とは、大量のデータをコンピューターに学ばせて、そこから特定のパターンなり法則を見つけ出す作業である。


そして見出された法則を基に、新たな別のデータを分類(クラス分類やグループ分け)したり、関連する新たな情報を推薦したり、未来予測(回帰)したりする。


すなわち、アカデミアで研究されているMIとは、現象を観察して得られたデータをデータサイエンスにより処理してそこに潜む特定の新法則なり新機能を探す「技術」である。


ここで注意しなければいけないのは、科学の手続きで必要とされる仮説設定プロセスが見当たらないにもかかわらず、「科学の方法」と捉えられている現在の風潮である。


 もう少し詳細な説明を続けると、機械学習には人間の脳を模倣した仕組み、すなわちニューロンのネットワークにより様々な情報伝達を行いながら学習を進める「ディープニューラルネットワーク」(DNN)と呼ばれる構造を活用する方法があり、それを特に深層学習(ディープラーニング)と呼んでいる。


深層学習では、DNNに重みづけをするパラメーターが重要となる。DNNで大量のデータを学習させると、このパラメーターが修正されながら学習が進行し、全体があるパターンに重みづけられてゆく。


この時使われる演算はデータサイエンスの成果から適宜選ばれ、オブジェクト指向と呼ばれるプログラミング手法により実装されてAIとなる。


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2022.10/26 トヨタEV戦略見直し論

表題のタイトルは今週の話題の上位に必ずなると思われるので本日少し私見を述べてみたい。


高分子の環境問題に関するセミナーについてこの4年ほど講師として呼ばれる機会が多いが、そこでトヨタの電気自動車に対する対応がホンダと大きく異なる点を毎度指摘している。


4年前はトヨタは全く電気自動車への関心がないようだったが、2年ほど前から急激に電気自動車へ舵を切ってきたように思われる。そして昨年末の発表に至った。


しかし、まだ一年もたっていないのに、昨年末に発表したEV戦略の見直しが記事になっているのだ。これは4年間連続して自動車業界を観察していないと理解できない。


日本で最も早くEV商品化をしたのは技術のニッサン自動車だが、ホンダとトヨタのようにこの2年間あまり注目されていない。しかし、日産の自動車ラインアップ(注)を見れば着実に独自戦略を進めている。


極端な動きのホンダであり、慎重な対応のトヨタという位置づけである。トヨタはEVについてサブスクで展開する計画を立てているが、今回それも見直しを進めるのかもしれない。しかし、トヨタの話はもっと大きくシャシー含め自動車全体の開発計画を見直すというのだ。


それほど世界は急激にEV化の方向に動いている。中国では日本の軽自動車並みの価格のEVが既に商品化され、それが着実に世界で売れ始めた。


トヨタは既存の自動車ラインでEVを生産する予定でいたらしいが、生産ラインの専用化を検討しているという。すなわちコストを下げない限り2026年から始まるEV競争に負けてしまうのだ。


今回のニュースは、恐らく昨年末までトヨタ社内で意見が分かれていたEV車戦略についてまとまったのでそれが発表された結果のことではないかと推測している。


すなわちニュースで取り上げられているような大騒ぎではなく、意外にも社内のベクトルが揃った結果かもしれないと当方は想像している。


トヨタぐらいの規模の会社になると開発担当者のベクトルを揃えるのは大変である。昨年末は、それが十分にそろっていない段階で株主の圧力に押された形の発表だったのではないか。


一部のニュースで騒がれているクラウンのEV化取りやめは大したニュースではない。クラウンはもともと日本向け専用車である。グローバル展開されているレクサスのEV化変更についてはアナウンスは無い。


すなわち、現在のカテゴリーである車とは異なるカテゴリーでEVをとらえ、生産ラインも含め専用設計に本格的に乗り出す、とアナウンスしているだけではないか。昨年末まではそこを明確に打ち出していなかっただけと想像している。


(注)オーラはノートの派生車種であるが、サイズが少し異なる。これがデザイン上のことかと思っていたら、ボディー内側の奇妙な位置に使われていない穴がいくつか空いている。おそらく、オーラはこのまま電気自動車に作り替えることができるのではないか。ePowerのエンジンを取り外し、電池を搭載することは難しくない変更である。

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2022.10/25 DXの進展で整ったMI環境

データサイエンスを活用しているMIは、約30年前に登場し無償配布されているプログラミング言語Pythonとその豊富なライブラリーを用いて研究できる。


この言語はスクリプト言語であり、初心者用とされたBASICよりも習得しやすい。例えばプログラミング言語を使うためにあらかじめ覚えなければいけないコマンド、予約語の数は、BASICの場合70以上存在するが、Pythonではたったの33語である。


さらに変数を定義する時のルールも含めプログラミングが易しいだけでなく、データサイエンスや機械学習を実行するときに必要となるプログラム要素あるいはソフトウェアーの部品とも呼べるプログラム(モジュール)を集めたライブラリーまで豊富に無償提供されている。

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そして、この無償ライブラリーから必要なモジュールを抜き出し、プログラムの部品として貼りつける簡単なコーディング作業により、高度なプログラムを誰でもコーディングできる。グラフ化の無償モジュールもあるので、演算結果をグラフ化する作業も容易である。


また、これも無償で提供されるJupyter Notebookという開発環境を用いれば、各種解析用ライブラリーを使った演算結果をグラフ化してインタラクティブに確認しながらプログラミング作業が可能である。


すなわち、データサイエンスの優れたプログラミング環境をDXの進展で誰でも無償で利用できる時代となった。


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2022.10/24 MIに対する誤解(3)

汎用ゴムの混練ではほとんど影響しない作業手順が、樹脂補強ゴムではその物性に影響を与える手順が存在した。この体験は、高分子材料を仕事としてスタートした新入社員にとって重要な経験となった。


この経験がきっかけとなり30年後にカオス混合装置を発明することになるのだが、この指導社員無くしてカオス混合装置は生まれなかったと思う。また彼は、この科学で理解しにくい現象について当方に学んでほしかった、と独自の仮説とカオス混合の存在を教えてくださった。


この学びの成果は大きく、1年の予定のテーマを3か月で仕上げる原動力となった。しかし、そもそも3か月でできるようなテーマを何故1年間のテーマとしたのか。


それは指導社員が開発していた樹脂補強ゴムはベスト配合ではなかったからだ。それを指導社員は気づいており、配合とプロセシングの最適化を行う必要から1年という開発期間を設定している。


そして指導社員は1年間の報告書の内容をすでに用意していた。その報告書を見せられた当方は、単なる混練の作業者として仕事をすればよい状態か、と指導社員に不満を述べている。


指導社員は、データ駆動の実験法で短期間に成果を出す方法もある、と教えてくれた。すなわち1年間の計画は、科学的方法で進める計画だったが、データ駆動の実験を行えば1か月でできるだろうと。そして当方は実際に短期間に樹脂補強ゴムを開発できて耐久実験まで完了している。


この実話から、シミュレーションとは何か、デ ータサイエンスとは何かを考える毎日となった。ちなみに指導社員は物理が専門で化学は専門外の方だった。


(注)3か月で仕上げて評価されるのかと思っていたら、業務は科学の成果では無いと評価されず職場異動となった。樹脂補強ゴムの配合技術は後工程の防振ゴム事業部隊へ移管され、技術テーマとして推進され某自動車のエンジンマウントとして実用化された。当方はポリウレタン難燃化技術を研究しているグループへ異動となった。指導社員は新たなテーマ企画が業務となった。研究所ではモノを作ることよりも研究成果が求められていた。新入社員のタイヤ軽量化という研修テーマではデータサイエンスで軽量化到達推定値を求め軽量タイヤを指導社員が試作したところCTOからその発表会で「大馬鹿もの(研究成果であって技術成果ではない)」と叱られ、研究所では技術であって科学ではないと評価されず、頭が混乱するような社会人スタートとなった。また、半年の新入社員研修を終えた配属日に転職した友人がいた。彼とは同部屋であり、退職願を提出する前日の夜、転職理由が科学技術のない会社だったので科学技術について話し合った。1980年代は科学論がブームになり始めた時で多数の著書が発売されていた。イムレラカトシュ「科学の方法」は、その科学論に影響をあたえた専門書であり、アメリカではトランスサイエンスという言葉が誕生している。


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2022.10/23 配合設計(3)

当方の配合設計の考え方は、技術者としてスタートした時の指導社員から強く影響を受けている。彼が、混練の神様のようなレオロジストで関数電卓を使いシミュレーションを行うような人だったから、化学系の配合屋と少し異なる。


まずプロセス条件から考えてゆく。具体的に言えば、プロセスから生じる制約条件を考慮して配合設計を行う。タグチメソッドでは制御因子の水準を幅広く設定するとよい、と指導されるが、プロセスの制約を考えず制御因子を決めるのは愚かである。


ところで、プロセスの制約から配合因子が影響を受けるケースではどうするか。このときプロセスにおける配合因子の挙動をチェックできる指標を入れた実験を必ず一水準入れる。プロセスの制約からその配合因子をあきらめるような配合設計を行わない。


こうすることにより、配合系の特徴が明確になる。データサイエンスにありがたみを感じるのは、公開されている多量のデータから自分が設計している配合系の特徴が明らかになった時である。


配合設計をいつでも新しいコンセプトで行っているとは限らない。従来の配合系を参考に設計したり、習慣に従い、比例計算だけを行いボーっと配合設計している場合もある。


アカデミアよりもアカデミックな研究所で見かけたゴム配合設計者の中には、グラフを書くためだけに配合設計している人がいたが、これはボーっと何も考えずに配合設計している人と変わらない。


ゴム配合の物性に与える影響を知っているならば、グラフを想像する前に考えなければいけないことがある。それは、ブリードアウトの問題、あるいは、物質の分散状態と拡散の問題である。


配合したい物質の機能に着目することは重要だが、その副作用を見落としてはいけない。副作用がある時にはその副作用を抑制する方法も配合設計時に考え、システム設計しなければいけない。


いろいろ考えてうまくコンセプトをまとめられない時がある。そのようなときは、データ駆動の実験を行いながら考える。例えば高純度SiC前駆体の配合設計やPETボトル再生材を80%含む樹脂はじめどこから考えたらよいのか難しい問題の成果は、50年近く前からデータ駆動の実験で成果を出している。


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カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2022.10/22 MIに対する誤解(2)

新入社員テーマの企画は指導社員が立案したものである。指導社員は前年にダッシュポットとバネのモデルのシミュレーションを行い、理想的な防止ゴム材料の設計を提案していた。


報告書には、難しい常微分方程式が並び、粘弾性のシミュレーション結果が示され、それを実現する樹脂補強ゴムの配合設計までなされていた。


そして、それが1年間の新入社員テーマとして認められ、新入社員の業務は、量産品質の最適化とあった。すなわち、理想的な樹脂補強ゴムがすでに見つかったことになっていた。


指導社員から最初に指示されたのは、指導社員が発明した樹脂補強サンプルと同じものができるようにバンバリーとロール混練技術の腕を磨くことだった。


詳細を省くが同じものができるまで1週間ほどかかったが、一般のゴムならば1日の練習で目標を達成できていた。すなわち、レシピに書かれた条件で混練を行っても、樹脂補強ゴムのロール混練では作業者のスキルがコンパウンド性能に大きく影響していた。


指導社員は、その原因を御存じだったが、最初は何も教えてくれなかった。とにかく真似をすることを求められた。指導社員の作成したサンプルと同じサンプルができるようになったときに、ロール混練においてどの手順が問題だったのか説明をしてくれたのだが、十分に納得できる解説だった。


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2022.10/21 MIに対する誤解(1)

MI(マテリアルインフォマティクス)を真剣に研究されている方もおられるので書きにくいが、当方の材料開発経験から、MIの問題を学んでいただきたい。


新入社員の時に1年間の予定で与えられたテーマを3か月で仕上げ、某社のエンジンマウントに採用が決まるという成果を出した体験談を書く。


このテーマは当方の材料開発人生に大きな影響を与えたテーマであり、データ駆動の実験という科学の方法とは異なる手法を学んだ重要なテーマだった。


当方が優秀だったのではなく指導社員が粘弾性の神様と称しても良いようなレオロジストであり、混練技術者だったおかげである。ただし、所属していたのがアカデミアよりもアカデミックな研究所だったので彼は技術者の顔を隠して仕事をされていた。


さて、樹脂補強ゴムとは、加硫ゴムでは限界のあったゴム物性の問題を解決した新素材である。今ならば、二軸混練機を用いた動的加硫によるTPEが相当するが、いかなるTPEよりも物性が優れた樹脂とゴムの複合材料だった。


この優れた物性は、絶対に二軸混練機では到達できないレベルであり、バンバリーとロールによる混練と金型内における加硫というプロセスで初めて実現できた。


同一処方の加硫ゴムの配合を二軸混練機でプロセシングしても性能の良い樹脂補強ゴムとはならない。バンバリーとロール混練で、さらにロール混練もある条件で行われた時のみ優れた物性となった。


まず、このような材料をMIにより予測することなど難しいだろうし、シミュレーションでも難しいだろう。実際に指導社員もバネとダッシュポットのモデルで物性のシミュレーションを行っているが、それは材料の目標であり、どのように材料を創造するか(How to)までシミュレーションは教えてくれなかった。


(注)弊社では、無機材料から有機材料まで豊富な材料開発の経験からHOW TOを見つけ出す手法までご指導しております。


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2022.10/20 実験のやり方

科学技術が叫ばれていた20世紀の実験のやり方は単純だった。仮説を設定し、仮説の正しさを確認するために実験を行えばよかった。名探偵ホームズと同じである。


仮説を設定する作業は、大卒でなければできない難易度の高い業務だと言っていたゴム会社の研究所の主任研究員は、この小説を読んでいなかったに違いない。


当方の指導社員は、研究所の科学一色の風土を批判していた。そして、ものを創り出すためにはもう一つの実験のやり方があると、データ駆動の方法を教えてくれたが、研究所内では馬鹿にされるから話すなと言っていた。


電気粘性流体の耐久性問題では、データサイエンスによるカタログ整理とデータ駆動の方法で問題を解き、実験データを示したのだが、馬鹿にされるどころか、FDを壊されたり、机の上にナイフが乗っていたりと大変な騒ぎになっている。


昔、小指を立てて、「私、これで会社を辞めました」というコマーシャルがあったが、当方の人生では「データ駆動の実験で問題解決したために会社を辞めました」というおかしなことになっている。


今は、アカデミアでもデータ駆動の実験やらAIやら、昔のゴム会社の研究所員ならば軽蔑したであろう手法が行われているので、時代が変わった、と感じている。


科学の方法とデータ駆動という今流行の方法の二刀流で40年以上研究開発を行ってきたが、まずモノを創り出してから科学の研究を行う、という指導社員の名言は今の時代に価値ある言葉だと思っている。


二刀流の成果として、データ駆動の実験が決め手となった成果は、樹脂補強ゴムの開発、燃焼時にガラスを生成して難燃化する手法、高純度SiC前駆体合成、SiC切削チップ、電気粘性流体などゴム会社の成果の大半である。写真会社では、科学が好まれた風土だったので転職者という立場で指導社員の忠告を守った。しかし、タグチメソッドの導入が行われたので、管理者として堂々とデータ駆動の実験を指導できた。酸化スズゾルを用いた帯電防止層はじめ担当した業務で、できると判断した業務すべてについて商品化された。データ駆動の実験の凄いところである。科学の方法では、どれほど優秀な人でも否定証明に走ったらモノはできないことを知っておくべきである。電気粘性流体の耐久性問題では京大博士はじめ高偏差値スタッフによる否定証明が1年かけて行われたが、最近では理研のSTAP細胞騒動が有名である。故ドラッカーが「優秀な人がしばしば成果をだせないのは、ーーー」と言っていたことと同じである。イムレラカトシュは科学で完璧な方法とは否定証明であると語っている。


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2022.10/19 DXの進展と材料開発(1)

デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、業務フローの改善が進行している。それは、マイコンの普及により1980年代に起きた「パソコン革命」よりも激しく、科学と非科学の境界までも見えなくした。


1980年代のデジタルイノベーションは、ワープロ「一太郎」や表計算ソフト「LOTUS123」の普及による職場のOA化に留まったが、今起きているDXは、マテリアルインフォマティクス(以下MI)にみられるように、アカデミアの科学観まで変革している。


すなわち、ビッグデータを用いたデータマイニングにより新たな知を見出そうとする活動は、まず仮説を設定し、その真偽を実験で確認する科学の方法と異なっている。


ドラム缶一杯のフグの卵巣を下関港から名古屋まで運び、テトロドトキシンの構造解析を行った研究では、専門外であっても1匹のフグに含まれる毒の量が微量ゆえに研究に必要な量を確保するためのドラム缶作業と納得できる。


ところが、AIを機械学習で鍛えるために使用されるデータ量について、そのロジックを知らないならばヤマカンに頼る研究と誤解されるかもしれない。


さらにその作業の結果、当たり前の知が得られたとなれば先人は大笑いするだろう。しかし、定型化された高分子の分類法も無く、それゆえ科学でサポートされた明確な体系も存在しない高分子材料では、MIにより得られた知が当たり前であっても、それは科学と異なる方法で科学と同様の結果が得られたという大切な証拠となる。しかし、企業の研究開発では、それが事業の利益に結びつかなければ意味が無い。


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