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2012.10/16 不易流行

芭蕉の俳句哲学の言葉で、いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと、とか不変的な事象と流行変化する事象は、見かけ上は相反するようでありながら、根本的には同質の、表裏一体の事象であるとか様々な解説がありますが、技術開発の戦略にもこの考え方は重要です。

 

例えば基盤技術を基に時代とともに変化するニーズに応える商品を生み出す活動は、不易流行と通じます。新規事業に進出する時にも基盤技術を基に進出すると成功確率が高くなると言われております。

 

ところで、基盤技術を活用できない既存事業と全く異なる市場へ参入する場合には、どうすればよいのか、となると意見が分かれるようです。古くからあるマーケットインという考え方で商品に着目して商品企画に力を入れるべきだ、という考え方と、基盤技術を作ってそれから新市場へ入ってゆくという考え方があります。

 

ファインセラミックスフィーバーが吹き荒れる中、セラミックス市場へ進出しようとしていたゴム会社の方針を決めたのは無機材質研究所(現在の物質材料研究機構)長の、「高純度SiC合成プロセスが開発できたなら、エンジニアリングセラミックス市場にもエレクトロニクスセラミックス市場にも進出できる」という一言でした。すなわち、高純度SiC合成プロセスを基盤技術にすえて広大なセラミックス市場に進出する、という考え方です。この方針に従い、1984年に2億4千万円の先行投資を行い、高純度SiC合成プラントと研究施設を整え、ファインセラミックス市場へ進出しました。その成果はピュアベータという商品名で30年経過した現在でも事業が継続し、高純度SiCが必要なパワー半導体の市場が大きくなりつつあるので、今後も事業は成長してゆくと期待されています。無機材質研究所長の不易流行の考え方は正しかったわけです。

 

一方不易流行で気をつけなければならないのは、基盤技術を破壊する対抗技術が登場した時です。うまく不易の部分を再構築し、新技術を取り込むのか、不易の部分までも捨て去り事業を撤退するのか判断が難しいですが、デジタル技術の写真業界に与えた影響を見ますと、大胆な判断とスピードが重要と思います。また、技術者一人一人も急激な変化に耐えられるように、幅広い技術分野に耐えられる不易の能力を鍛えておくことが変化の激しい時代には大切だと思います。「高分子材料のツボ」セミナーは、あらゆる高分子技術の不易の部分を整理できるセミナーです。是非ご活用ください。

 

 

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カテゴリー : 一般

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