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2012.11/13 タバコの灰付着テスト

フィルムの帯電防止評価技術の一つに、タバコの灰付着テスト(アッシュテスト)というのがある。測定方法は測定者に依存する部分が多いように見えるが、再現性の良い怪しい試験である。環境条件等を正しく設定すればきわめて再現性が良いデータが得られる不思議なテストである。

 

測定方法は、吸ってできたばかりの灰を用意し、その上から帯電したフィルムをタバコの灰に近づけてゆき、灰がつき始めた時の灰とフィルムとの距離を測るという実技である。帯電したフィルムは測定を開始する直前にフィルムをゴムで摩擦し摩擦帯電させたフィルムを使用する。写真フィルムでは環境条件を変えて3水準行うが、怪しく見える評価方法です。

 

この評価テストで驚くのはテストの再現性だけでなく、摩擦帯電したフィルムが1m以上離れていても勢いよくタバコの灰がフィルムに吸い寄せられることである。これが帯電防止処理を行うと、その処理技術に応じて灰が付着し始める距離が変化する。写真用フィルムは現像処理前であればすべての品種で灰付着距離が0という社内規格でした。このレベルのフィルムは不思議なことに灰に密着させても灰が付着しない。

 

しかし、現像処理後は品種によりこの灰付着距離は変化する。APSフィルムは現像処理後も灰付着距離が0であることが品質規格として決められていたが通常の35mmフィルムには現像処理後の灰付着距離の規格は無かった。現像処理後も帯電防止性能を維持しているフィルムは業界用語で永久帯電防止処理と呼ばれているが、この永久帯電防止処理のレベルは品種により規格がある場合と無い場合がある。コニカの35mmフィルムは海外製品に比較し現像処理後もゴミが付着しにくい良心的な帯電防止設計がされていた。

 

印刷業界に使用されていたフィルムは1980年ころまで永久帯電防止処理はされていなかったが、1980年中ごろから永久帯電防止処理された商品が登場し始めた。しかし、海外のメーカーの永久帯電防止の規格はタバコの灰ではなく表面比抵抗を規格に用いていた。

 

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カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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